【完結】苺プロで働くしがない普通の事務員なのですが仕事に復帰したら某トップアイドルに「お母さんっ!!」と抱きつかれました 作:SUN'S
僕は星野アクア、高校一年生だ。
今日も妹のルビーとかなを乗せたタンデム自転車(三輪車仕様のやつ)を漕いでいる。父さんに手伝ってもらいながら二人が日焼けしないように通気性の良い素材で作った屋根とシートベルトもついている正しく二人を乗せるのに適した完璧な乗り物だ。
「ねえ、ルビー」
「なに?かなちゃん先輩」
「これ目立つわよね、すっっっごく」
「もう目立つくらいいいじゃないですか。それだけ私達はお兄ちゃんに愛されてるってことですよ!それにヒカルもたまにママにやってるよ?」
「そういえばお父さんも変態だったわね」
僕は二人の可愛い声をBGM代わりに歩道を進んでいるとルビーが仲良くしてもらっている二年生の不知火フリルや寿みなみと擦れ違う。
二人とも呆れたような表情で見てくる。やれやれ僕のかなへの愛は突き抜けているだけだ。そんな顔をされても困ることなんて一つもない!
「にしてもアクアは体幹良いわよね」
「だって、お姫さま抱っこで鍛えてるもん♥」
「えぇ、そういうやつなの?もっとバランスボールとかストレッチで鍛えてると思ってたんだけど。やっぱり、ただのシスコンなのね」
「ほんとにそうなんだよね!お兄ちゃんたら私が好きです!って言ってるのに反応はさっぱりだし、ちょっとベッドで寝たふりしてるのにイタズラするどころか風邪を引かないように布団を掛けてくれて、ずぅーーーっと傍にいてくれるだけじゃなくて手も握ってくれるんだ!ひょっとしたら起きてるのを知ってるのかな!?なんて期待してたけどさらフツーに『そのほうが安心するだろ?』だって言うんだ?もう、かっこよくない?いや、もはやかっこいいの権化そのものだね!ちなみにお兄ちゃんがかなちゃん先輩のことが好きなのは知ってるけどそれはそれだから奪いに行くよ!かなちゃん先輩だからってお兄ちゃんを渡すつもりはないよ!なんたって私とお兄ちゃんは前世から運命の赤い糸で結ばれてるカップルなんだから!ああ、もちろんお兄ちゃんも前世のことは覚えてるよ?二人とも仲良くて結婚の約束もしてなのに私が死んじゃって、生まれ変わったら双子の兄妹として再会したんだ!だからね?私はかなちゃんに負けるつもりもMEMちょに負けるつもりもあかねちゃんに負けるつもりもないの!しっかりと私がお兄ちゃんのお嫁さんなんだって教えてあげるから覚悟してよね!!お兄ちゃんを世界で一番愛してるのは私だから絶対に渡さないよ!まだお兄ちゃんの最推しはママだけど、アイドルをやるからにはお兄ちゃんを私だけの虜にしてみせるんだ!そのためにはかなちゃん先輩達の力も借りるけど、恋は戦争だから手抜きするつもりはないから!前世で結婚するって誓った私のほうが有利だもん!!かなちゃん先輩はあかねちゃんと仲良くすれば良いんだよ!ダイジョーブ、私達は二人の事を応援してあげるからさ!なんならあかねちゃんのところにMEMちょも引き連れていってもいいんだよ?ねっ、お兄ちゃん!!!」
「ああ、そうだな!」
「アンタ、きっちんと聞いてないでしょ!?」
ああ、やってしまった。いつものようにルビーの言葉を素直に肯定してしまった。
くっ、やっぱりさりなちゃんだった頃の君を思い出してしまう。雨宮吾郎に任せたいはずなのに、あんなおっさんに任せるのはムカつく!
〈タンデム自転車〉
自転車。
三輪車仕様のタンデム自転車。星野ルビーと有馬かなが日焼けしないように通気性が良くて紫外線を遮る素材を使った折り畳み式の屋根とシートベルトがついており、もしもの時のために四輪目のタイヤが後部に格納されている。