【完結】苺プロで働くしがない普通の事務員なのですが仕事に復帰したら某トップアイドルに「お母さんっ!!」と抱きつかれました 作:SUN'S
変態ガチ百合ストーカー女こと黒川あかねの脳内は「かなちゃんマジ天使すぎ」と有馬かなで埋め尽くされている。尚、有馬かなに実害はまだ出ていない
僕は星野アクア、かなの彼氏だ。
今日は『東京ブレイド』に参加する役者として挨拶回りをする予定だったけど。急遽、その予定を取り止めてフルマラソンをしている最中だ。
なんか後ろの方から「アクアくんっ!私と付き合って、そうすれば私もかなちゃんと付き合えるからさ!」だとか「また、かなちゃんとチューしたんでしょ!?今度こそ私とチューしよう!!だいじょーぶだから、かなちゃんには手を出さないから!ねっ!ねっ!いいでしょっ、聞いてるのかなアクアくん!?」だとか聞こえるけど。
兎に角、今日はフルマラソンだ。
「あーくん、あれなに?」
「タタリ神だろ」
かなの問いかけに答える。
実はフルマラソン(有馬かなお姫様だっこ中)だったりする。すごい役得どころか僕は幸せすぎて泣きそうになっている。いま、僕の腕の中に愛しのかながいるのだ。もはや、これは僕とかなの愛の逃避行なのではないだろうか。
「アクアくん!せめてっ、せめてかなちゃんに近づくことを許可してくれないかな!?さすがに台本の読み合わせとかあるし、ほらアクアくんも一緒に練習しようよ!!」
ちらりと少しだけ後ろに振り向く。
僕やルビー、母さんと違って『☆』じゃなくて『♥』が浮かんでいる。やべーっ、あれは女優のしていい目と顔じゃない。チラチラと助けを求めるように「劇団ララライ」の役者の人たちを見る。
なぜだ、誰も助けてくれない。
むしろ黒川あかねの新しい一面を見れて嬉しそうだ。それにしても、どうして父さんは姫川大輝を見ながらお腹を押さえてるんだろうか。
ひょっとしてまた母さんかルビーに蹴られてきたのか。そんなことを考えていると黒川あかねが僕の真横に並んできた。
こいつ、まだ加速するのか!?
「ずうっとアクアくんの動きを観察してきたんだよ?ルビーちゃんやヒカルさん、あの二人の動きはニンジャのそれなんだって気づいたの」
「あーくん、ニンジャなの?」
「僕はニンジャじゃないよ。僕はね」
たぶん、ルビーと父さんはニンジャだろうけど。僕は普通の高校生だ。そりゃあ、脚力は母さんに似てすごい強いけれども二人より普通のはずだ。
むしろ普通でいたい。
「はぁーっ、かなちゃんマジ天使すぎる♥」
「わかる、それな」
「アンタ達、敵なのか味方なのか分かんないわね。まあ、私の良さに気づいているのは褒めてあげるわ、あかね」
かながそう言った次の瞬間だ。黒川あかねは幸せそうな笑顔を浮かべながら床に倒れた。うん、鼻血が出てるけど。呼吸困難になる心配はない。
〈黒川あかね〉
天才女優。
有馬かな最推し厄介オタク。星野アクアと付き合えば有馬かなと付き合っているのと同義であると謎の超理論を展開している。あまりにも変態すぎるためアクアによって有馬かなと二人っきりで話すことは出来ない。だが、有馬かなの近くにいれるだけで黒川あかねは幸せそうだ。