【完結】苺プロで働くしがない普通の事務員なのですが仕事に復帰したら某トップアイドルに「お母さんっ!!」と抱きつかれました 作:SUN'S
私は黒川あかね、「今ガチ」演者です。
かなちゃんと婚約しているアクアくんと付き合えば私もかなちゃんと付き合っていることになるのでは?と思ったことを呟いたらスタッフも引っ括めて、ドン引きさせてしまった。
しかし、よく考えてほしいのだ。私はかなちゃんと若手トップを争っているし、それなりにお仕事の場所で一緒になることが多い。
私もかなちゃんと付き合えば幸せになれるということだ。なぜかゆきちゃんたちに「それはやめなさい」と怒られた。どうしてだろうか?やっぱり、みんなもかなちゃんが好きなのかな?
「アクアくんアクアくん」
「………今度はなんだ?」
「私と付き合おうよ」
「なぜ、そうなったのかは聞かない。が、僕と黒川が付き合ったからといって、お前とかなが付き合っていることにはならないぞ」
「大丈夫だよ。愛があるから」
「今日もトバしてるな、黒川」
なにも飛ばしてないけど?と私はアクアくんに聞き返すと「そういうことじゃないけど。まあ、黒川らしいっちゃらしいからいいよ、それで」と適当にあしらわれてしまった。
「………ところでさ」
「なんだ?」
「アクアくんは中学生だよね」
「そうだな」
「なんだか感慨深いねえ……」
かなちゃんと共演するアクアくん。
ずうっと二人を見てきたからなんとなく分かる。ほんとにアクアくんは役者としても男の子としても大きく成長している。
昔はかなちゃんと一緒で可愛かったけど。今じゃ私より身長も高くて、ずいぶんと見違えちゃったよ。ウ~ン、なんだかおばさんっぽいかも?
「黒川、お前ってあれだな」
「なにかな?アクアくん」
「メンヘラっぽい」
「えーっ、そんなことないよ?メンヘラは束縛したり身辺調査したりGPSや盗聴器なんかをくっつけたりする子のことだよ?」
「ほとんどあってるじゃねえか」
「そこまでじゃないよ?ちなみにアクアくんにはGPSをつけてるから安心してね!」
そう言うとアクアくんは「ふう、やれやれ」とだけ呟き、読んでいた文庫本に栞を差し込み。いつも私と話しているベンチを立ち上がり、ゆっくりとクラウチングスタートの姿勢になったその時だった。
今日も彼は走った。
アクアくんはげんきだなあ………。
私はソッと用意していたトラップを起動する。アクアくんの逃走ルートなんて二回も逃げるところを見れば簡単にわかるんだよ?なんて言ったら物凄い顔でジーーーッと見られている
ウ~ン、それにしてもだ。
こうも頻繁に逃げられるのは悲しい。よし、とりあえず身ぐるみを剥ぎ取るつもりで、かなちゃんとの幸せな生活について聞かないと。
〈トンでるね、あかねさん〉
黒川あかねの考察。
もはや人間性の欠落しているとしか例えようのない黒川あかねの推しに対する執着心は凄まじく、最近は「今ガチ」の定義を勘違いしている黒川あかねは、とても面白いのだ。