【完結】苺プロで働くしがない普通の事務員なのですが仕事に復帰したら某トップアイドルに「お母さんっ!!」と抱きつかれました   作:SUN'S

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いつもの帰り道で私と一番星に「私がアイの母親よ!」とソレは狂ったように叫んだ。やっぱりと言うべきなのか、人生は都合の良いものばかりではない。

アイの15歳の誕生日をお祝いする。

 

そのために彼女と一緒にケーキを選んだ帰り道。それは突如として私達の目の前に現れた。ボサボサの紫がかった黒髪、焦点の合っていない目、たったそれだけのパーツを見ただけで理解した。

 

私はアイの前に立って出来るだけ彼女を直視させないようにしながら「アイは逃げて、ケーキも後で私が買い直すから」と伝える。どこか不安そうに私を見上げるアイの頭を優しく撫でる。

 

本当は斎藤社長かミヤコ副社長のところで匿ってもらえると助かるけど。さすがに事務所の場所は知られてるだろうし、アイを匿ってもあんまり事務所に長居は出来ないわよね。

 

ふぅーーーっ、よし。

 

「なにかご用ですか?」

 

「アイ、アイは、アイを、私のアイで?」

 

「あの子は私の娘です。決して貴女の様な不審者の娘なんかじゃありません!」

 

「うそよ、私のだ。私の可愛いアイよ、そうよ、そうに、そうだわ、そうでしょ?」

 

彼女はどれだけ身勝手な事を言ってるのか自分でも分かっていないのかと困惑しながら「貴女の娘じゃない」と言い続け、ようやく理解してくれたのかと思ったその時だった。

 

「アイの母親は私よ!!」

 

「ふざけるな、アイの母親は私だっ!!」

 

そう言って突進してきた女の襟首と右腕を掴み、突進力と遠心力を利用して電柱に叩きつける。ガゴォンッ!!という鈍い音が響き、ものの見事に鼻のへし折れた女を見下ろす。

 

……わりと似てるかな?

 

私はペタペタと自分の顔を触りながら自称「アイの母親」を名乗る不審者を取り押さえることに成功した。えと、まずは警察で良いのよね? 

 

そんなことを考えながらベルトで不審者の両足を縛り、海老反りになるようにスーツで両手も縛り、しっかりとベルトと結びつける。……ついでにハンカチも口の中に詰めておこう。

 

「………ママ?」

 

ああ、戻ってきちゃったのね。と、ケーキを入れた箱を抱えているアイに駆け寄る。あの悪い人はやっつけたから大丈夫だから怖くないわ。

 

私の腕の中で震えているアイに言い聞かせる。どうして彼女が私達の暮らすマンションを特定できたのかは分からないけど。

 

アイのためにも静かで安らげる場所は必要だった。それなのに本当に余計なことをしやがって………おっといけない。私は優しくておっとりとしたアイの母親なんだから乱暴な言葉遣いはダメだった。

 

「怪我してないよね?へーきだよね?」

 

「えぇ、なんにも問題ないわよ。だから泣かないで、私の可愛い可愛い一番星、貴女に泣かれると私も悲しくなってしまうわ」

 

「…私の娘だって言ってくれて……ありがと…」

 

そこも聞いてたのね。と、自分の迂闊さに呆れながらやって来たパトカーのサイレンを聞きつつ、アイを抱き寄せる。

 

ようやく私も決心できた。

 

当然よ、アイは私の娘だもの(私は貴女の本当の母親になるわ)

 

そう言ってアイを更に強く抱き締める。

 

 




〈星野ママ〉

覚悟完了系ママ。

ようやく本当の母親になると決心した。たとえ偽物だろうと関係無い。この子のためなら何だってやってみせるという覚悟を決めてしまった。その愛はひとつ残らずすべてが彼女に捧げられる。
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