SAO―切り裂き姫ととある騎士   作:チキン ボーイ

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SAOⅡのシノンちゃん可愛すぎ!
色々な作者様方がヒロインにするのも納得の可愛さですわ。

と言うかSAOのヒロインは全員レベル高いですよね…死んでしまったサチも含めて


第2話 初めての死

 

 

ジリリリと目覚ましの音が聞こえ目を覚ました。

余り寝心地が良いとは言えない簡素なベッド……

高すぎない板張りの天井……

 

 

 

「……夢じゃない…か。」

 

 

 

アリウムさんと始まりの街を飛び出した後、連れていかれたのは《ホルンカ》という村だ。

着いたときには夜になっていてレベリングは明日になってからということになり、時間だけ決めてそれぞれ宿屋に部屋を取りその日は解散となった。

 

俺は緊張から解放されベッドに沈むように意識を手放した……目を覚ました時に現実に帰れていることを願いながら。

 

 

 

「……下に行かないと。」

 

 

 

アインクラッドの時間は現実の時間とリンクしている。

つまり、1日経っても帰れていないと言うことは……茅場晶彦の言葉が本当だということの動かぬ証拠足り得る。

 

 

 

「生きるには……戦うしかないのか。」

 

 

 

閉じ籠っていても恐らく助けは来ない、ならばこの世界で生きていくしかないのだ。

寝たきりというのも長くは持たないと聞いたことがあるしな。

 

部屋から出て階段を降りるとそこは小さな酒場のようになっていて、アリウムさんがいくつかあるテーブルの1つに座っているのが見える。

 

 

 

「おはようございますアリウムさん。」

 

「おはよう、ちゃんと眠れた?」

 

「ばっちりッス!」

 

 

 

ネガティブになっていきそうな思考を吹き飛ばすようにサムズアップして答えた。

 

 

 

「クスッ、そう、なら良いわ……そこに座って。」

 

 

 

アリウムさんの向かい側の椅子を指差され、言われたとおりに座った。

するとアリウムさんが何かを……パンとボトル?らしきものを取り出した。

 

 

 

「安物だけど食べて。」

 

「食べる意味あるんスか?食べなくたって死ぬ訳じゃ…」

 

「確かにこの世界はデータで作られただけの偽物……でも、私たちはこの世界で生きていく。

それはケイだってわかってるはず。」

 

「……そうッスね。」

 

「だからこそ、現実と同じようにするべきよ。

それが私たちを生かす活力になる。」

 

 

 

目の前にパンとボトルが置かれる。

これがアインクラッドでの初めての食事。

パンはパサパサで硬く、ボトルの中身は温い水だった。

旨い不味いで言うなら間違いなく不味い。

それに少しばかりしょっぱい気がする。

全部食べきり水で流し込んだ。

 

 

 

「それで、今日は何をするんスか?」

 

「今日は連携の練習、ケイの持ってる槍は次の村までは今のままで問題ないから。」

 

「確かスイッチってやつッスよね?」

 

「ん、ついでにちょっとした隠しクエストを受けてくよ

 

片手剣入手のクエストなんだけど、売ればお金になるから。」

 

「な~る、じゃさっそく行きましょう!」

 

 

 

槍の耐久値を確認、まだまだ余裕がある。

アイテムストレージをチェック、ポーションは持てるだけ持ってる。

 

 

 

「クエストはもう受けといたから後は……歩きながら話すよ。」

 

 

 

 

 

 

 

話を要約すると、植物系モンスターを狩るのだが目的は花付きで、実付きは叩くと大量の敵がポップする。

だから、倒すのは通常の奴か花付きのみ。

 

実付きをわざと倒して無理矢理敵をポップさせるというのも手段としてあるが、それはやめようということになった。

デスゲームという性質上危険は避けるべきだからだ。

 

 

 

「……あ、あのー、アリウムさん?あれが件のモンスターですか?」

 

 

 

うねうねと蔦を動かす気持ち悪いモンスターを指差して問いかける。

できれば外れていて欲しい、あんな気持ち悪いのと戦いたくないです、はい。

 

 

 

「そう、あれが[リトルネペント]の通常型よ。

 

私がタゲを取るからスイッチで止めをさして。」

 

「……了解ッス。」

 

 

 

アリウムさんが素早く[リトルネペント]の背後に接近、短剣二連斬撃《ツイン・スラッシュ》を叩き込んだ。

すると、突然の襲撃にリトルネペントは悲鳴らしきものをあげ、蔦を振り回し始める。

 

硬直が解けたアリウムさんはそれを難なく避けた。

 

短剣の特長は攻撃速読と硬直時間の短さだ。

素早く切り素早く離脱するのが短剣の戦いかた。

反面リーチが短く威力も低い。

ダメージは手数で稼がないといけない。

 

対比するように俺の槍はリーチが長く威力もそこそこある。

しかし取り回しがきかずスキル硬直も長めだ。

 

 

「スイッチ!」

 

「うっす!」

 

 

 

蔦を切り払い後ろに飛び退くアリウムさんの影から飛び出すように位置を入れ換える。

直ぐ目の前には蔦を切られのたうつ[リトルネペント]……

 

あの蔦で打ちのめされたり、若しくは食虫植物のような口で食いちぎられ俺のHPという数字が0になれば俺は死ぬ。

昨日は平然とモンスターを葬れたのに脚がすくむ、手に持つ槍が異様に重く感じる。

 

今のままで感じたことの無いほどの死が体を、頭を、心を絡めとり縛り付ける。

 

 

ふと何気なく槍を見れば刃にアリウムさんの姿が写った。

馬鹿か俺は……彼女とて俺と同じ死を感じてるはずだ。

男の俺がここで固まってる場合じゃねぇだろ!

 

 

 

「ッ…!せりゃぁ!!!」

 

 

 

止まりかけていた足を踏み出し、確りと踏みしめる。

大事なのは初動モーション、後はシステムが勝手に当ててくれる。

 

 

初級二連突《ツイン・スラスト》

青緑のライトエフェクトを纏った槍が[リトルネペント]にヒット、頭上に表示されていたHPバーを削り切る。

 

[リトルネペント]がポリゴンとなり砕け散ると同時に[フレンジーボア]を

倒した時より多い経験値が手に入った。

 

 

 

「……はぁ。」

 

 

 

だが俺からすればこんな数字より、死を遠ざけれたことの……生を掴みとったことの安心感の方が大きかった。

慣れるしかないのだろう、この世界で生き残る為に、現実に帰るために……

 

 

 

「……アリウムさん、次行きましょう。」

 

「うん、でもその前に……よく頑張ったね。」

 

 

 

アリウムさんの綺麗な指が頬を伝いもう片手で頭を撫でられた。そしてその顔を俺は一生忘れないだろう。

 

表情を変えることが少ない彼女の優しき笑みを。

 

 

彼女にはきっと俺の葛藤など見抜かれていたのだ。見抜いてなお俺が先に進めるように見守ってくれたのだ。その姿が小さい頃に喪った母親に見えて思わず涙が流れそうになり、手から抜け出し背を向け目をごしごしと擦る。

 

 

 

「さ、さぁ!スイッチの感覚も掴めたし忘れない内に次進むッスよ!」

 

「フフッ……えぇ、数十匹は狩らないといけないしね。」

 

「……帰っても良いッスか?」

 

「だーめ、ほら行くよ。」

 

 

 

うへぇ……あれを数十匹とか、軽くトラウマになるんじゃなかろうか?

 

 

 

 

 

 

 

「これで三桁なんスけどー!?」

 

 

 

朝から狩をすること4時間、花付きが出ることはなく実付きと通常種のみがポップするだけ。

実付きからはひたすら逃げ通常種をひたすら狩る。

お陰でレベルは3まで上がったよ。

 

ステータスはSTR優先型にすることになった。

当初はSTR=AGIのバランス型にするつもりだったのだがアリウムさんが必死に説得してくるものだからこっちになった。

 

そんな彼女はAGI一極の一撃離脱型、素早さで翻弄し、クリティカルポイントに的確に当て離脱が彼女の戦い方。

 

 

にしてもあの必死さは正直見間違いではと思うほどだった。

回避が苦手な槍を使ってるからとか生き残ることが優先だからと肩を掴みながら力説する彼女は少しばかり狂気染みていた……

 

ちらりと隣のアリウムさんの顔を伺う、今は当初から見慣れた無表情だ。

 

 

 

「ん?どうかした?」

 

「いや、何でもな……なんスかこの臭い?」

 

 

 

急に漂ってきた鼻を突くような刺激臭に思わず顔をしかめる。

嗅覚が再現されているとは聞いたが、できればもっと優しい香りで実感したかったぞ……

 

 

 

「ッ!?これは実付きの実が割れた臭い、誰か他のプレイヤーが実を割ったのね。」

 

「はぁ!?実を割ったってことは……」

 

 

 

言い終わる前に俺達の周りに[リトルネペント]が五匹ほどポップする。

遠目にも数匹ポップしたのが確認出来た。

誰だよこんな迷惑なことをした奴は!?

 

 

 

「囲まれるのは不味い!走るよ!」

 

「了解ッス!」

 

 

 

目の前の[リトルネペント]を弾き飛ばし走り出す。

AGIの差でアリウムさんの方が早いから彼女の後に必死についていく。

 

……あれは?

 

 

 

「アリウムさん!右奥に人影ッス!」

 

「……このままじゃ逃げきれそうに無いね、その人と合流して迎え撃つよ。」

 

 

 

逃げる方向を右に変更、その人影の近くに飛び出る。

人影は俺より幼い片手剣使いの少年だった。

少年は飛び出してきた俺達に驚いたが、後ろに着いてきている[リトルネペント]の群れを見て察したような顔をした。

 

 

 

「貴女が実を割ったの?」

 

「違う、割った奴は……」

 

「う、うわぁぁ!?何で!?何でこっちに来るんだよぉ!?」

 

「「「……ッ!?」」」

 

 

 

草むらから上がった絶叫に振り替えると誰も居ない所に[リトルネペント]が群がって要るのが確認出来た。

声はそこから聞こえている。

 

 

 

「誰も居ない?」

 

「いえ、あれは《隠蔽》(ハインディング)スキルよ。」

 

「《隠蔽》は視覚で敵を見つけるモンスターには効果があるけど、[リトルネペント]みたいに視覚以外で索敵するモンスターには効果が薄いんだ。」

 

「じゃ、あそこに要るのが実を?」

 

 

 

実を誤って割ってしまって隠れたのだろうか?

いや、恐らくこの二人も俺達のように協力してクエストを行っていたのだろう。

 

 

 

「MPKね。」

 

「……あぁ。」

 

 

 

MPK…モンスター・プレイヤー・キルの略称だったはず。

意図的にモンスターにPKさせる行為で悪質なことから殆どのオンラインゲームでは嫌われている。

おまけにこれはデスゲームである。

 

 

 

「うわぁぁ!…ぁぁ…」

 

 

 

カシャンッとガラスが砕けるような音がして今まで響いていた絶叫が途切れる。

すなわちそのプレイヤーが死んだということだ。

余りにもあっさりと、呆気なく1つの命がこのアインクラッドから、そして現実世界からも消失した。

 

 

 

「くっ……!あんたら巻き込んで申し訳ないが、ここを切り抜けるのに協力してくれ!」

 

「…えぇ、行くよケイ。」

 

「ッ!やってやる!やってやるッスよ!」

 

 

 

槍を引き抜き前に出る、この三人で一番防御に向いてるのは俺だ。

壁戦士(タンク)役として防御に徹する。

 

不幸中の幸は[リトルネペント]が余り早くない上に後ろに大きな木があり背後からの危険が少ないことだろう。

 

とりあえず近づいてきた二匹に初級範囲攻撃《ホリゾン・スイング》を当てると二匹が怯む。

そして間髪入れず後ろの二人が飛び出しそれぞれソードスキルを放ち[リトルネペント]をポリゴン片に変える。

 

後はそれを延々と思える程に繰り返し続けた……

 

 

 

 

「もう……いないッスよね?」

 

「…あぁ、俺の索敵スキルにも引っ掛からない。今ので最後だ。」

 

「……大丈夫?」

 

「ポーションが尽きたこと以外は問題ないッス。」

 

「そう、とりあえず飲んで。」

 

 

 

壁役をした俺と違ってアリウムさんは殆どの被弾をしていない、全てを紙一重で避けていたからだ。

片手剣の少年も俺に比べれば被弾は少なかった。

 

最後辺りはポーションも尽き、HPもイエローに差し掛かっていたがどうにか生き残れた。

アリウムさんからポーションを受け取り一気に飲み干す。

 

するとじわりじわりとHPが回復し始めた。

この世界のポーションは飲んで直ぐ回復ではなく、徐々に回復していくタイプで飲むタイミングも気にしないといけないのだ。

 

 

 

「改めて巻き込んで悪かった。俺はキリト、ソロだ。」

 

「……キリット君スか?」

 

「その呼び方……あのときの?」

 

「そうッス、俺はケイ。こっちはアリウムさんッス。」

 

「……一日ぶり。」

 

 

 

思わぬ再開を果たした俺達は、とりあえず宿に戻ってから詳しい話をすることになった。

先程の大群のなかには花付きも混じっていてクエストのアイテムも手に入っている。

 

キリトはクエストのアイテムを1つ先程のプレイヤーが死んだ場所にそっと置く、墓標の代わりだろう。

 

 

 

こうして俺はこの世界で初めて人が死ぬのをこの目で見て、尚更死ねないと心に刻んだのだった。

 




もうアリウムさんヒロインで良いんじゃないかな?
と思ってしまう。
いや、まだ決定じゃないですよ?
候補は絞り込めてはいるのですがなかなか決めきれないんですよね……
ちなみに候補はリーファ・シノン・ユウキ・アリウムです。

ホロウフラグメントができてればストレア?も入れたいんですけどねぇ
見た目がかなり好みなんで。
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