なのでケイのステ振りはSTR優先型、アリウムはAGI一極と変更いたしました。
私の不勉強にて誤ったことを読ませてしまったことを深くお詫び申し上げますm(__)m
「ーーそこでスイッチをしてだな。」
「スイッチって?」
「スイッチを知らないのか?スイッチってのはーー」
目の前でキリトはアスナにレイドでの戦い方やパーティーでの戦術等を教えている。
軽くアスナの戦闘を見たが、ビギナーとは思えぬ剣速だった。その分オーバーキルが目立つ。
確かにソードスキルを使えばモンスターのHPを大幅に削れるが、隙が生じてしまう。この低層ならまだしも、上層になればその隙が命取りになりえる。
なので残りHPが少ない場合は通常の攻撃で倒した方が良いのだ。
まぁ俺もアリーに教えてもらはなかったら同じようにしてただろうけど……
「この一ヶ月ずっと一人で戦ってきたんスね……」
「アスナのこと?」
「そうッス。聞いたッスか、あの子のポーションとNPCが売ってる
いったい何が彼女をそこまで駆り立てるのか、声や袖から見える手を見るに俺と余り年の差は無いと思うんだよなぁ。
「負けたくないんだって。」
「ん?」
「モンスターに殺されることになっても、この世界に負けて腐るような生活をしたくない。……そう言ってた。」
一ヶ月がたった今でも始まりの街では多くのプレイヤーが宿に引きこもっていると聴く。
……茅場昌彦は彼女のような人間を望んでいたのではないだろうか?
茅場はこの世界を観察するために作ったと言っていた。恐らくそれは街でひたすら助けを待つ人々ではなく、彼女のような戦い続ける強き人を見たいのでは……いや、流石に考えすぎか。
「ならパーティーを組んでる間くらい、あの子が死なないように壁役をキッチリ勤ないとッスね。」
「ケイ、分かってると思うけど……」
「いざとなったら自分の命を優先ッスよね。」
「……うん、どうか死なないで。」
迷宮区の最奥、一際大きな部屋の前に俺達は46人のプレイヤーは誰一人欠けることなくたどり着いた。
レイド全体に緊張した空気が漂ってるのを感じる。
念のために盾と鎧の耐久値を確認、問題なし。
ポーションの個数…減っていないな。
パーティーメンバーのHP、全員問題なし。
「いいか3人とも、俺達の役割はセンチネルを本隊の邪魔にならないように排除することだ。」
パーティーリーダーであるキリトが作戦の確認を行う。
俺達の相手は取り巻きであるセンチネルで、コボルトロードはディアベル達本隊が相手をするとのことだ。
パーティーがフルメンバー揃ってないのだから仕方ないと言えば仕方ないのだが、厄介払いされてる感が否めない。
「ここまで来て長々と話すつもりはない!
この日の攻略が街で待つ人達の希望になるはずだ……勝とうぜ!」
ディアベルの言葉にその場に居合わせたプレイヤー全てが頷く。
そしてボス部屋の扉が開かれ、慎重にその中を進んで行く。
レイドが全員入りきると部屋の中央にボスが現れた。
ずんぐりとした図体に片手斧と円盾、頭上にはErefang the cobold roadと表示されている。
『グゥオォォ!!』
コボルトロードの遠吠えと共にセンチネルがポップした。戦闘の始まりだ。
「戦闘開始!!」
「キリット君スイッチいくッスよ!!」
「おぅ!」
センチネルの持つ棍のソードスキルを防ぎきりそのまま横にずれる、キリトはその開いたスペースに入り片手剣初級《バーチカル》を放ちセンチネルの体制を崩した。
「今だ!アスナ!アリウム!」
今度はキリトが飛び退き、アスナとアリーが視覚出来ないほどの速さの刺突と斬撃を放った。
細剣初級《リニアー》と短剣初級《アーマー・ピアス》
だが、ボスの取り巻きというだけあってそれだけじゃ倒しきれない。
今も体制を立て直し、アスナに向かって棍を振り下ろそうとしている。
「ま、やらせるわけないんスけどねッ!」
『グギャッ!?』
アスナとセンチネルの間に入り込み盾でパリィをし、槍初級《スラスト》を叩き込むとセンチネルは短い悲鳴と共にその体をポリゴンに変えた。
「これで四体目ッスけど……」
「いくらなんでもこれは……」
俺とキリトがいぶかしむ訳……
それは押し付けられるセンチネルの数だ。
センチネルは一定時間でリポップするらしい。俺達はいち早く倒して本隊の援護に回ろうとしたのだが、あのキバオウと言うプレイヤーが自分達の戦っているセンチネルを押し付けて来るのだ。
そしてそのセンチネルを倒し終えると先に倒していたセンチネルがリポップしてるのでそれを相手取り。そしてまた押し付けられる。
俺が言った四体目とは押し付けられた数だ。
つまり合計八体ものセンチネルを倒していることになる。
そろそろ盾の耐久値が半分を切りそうなのだが、本隊はどうなっているのだろうか?
『ガァァァ!!』
突如ボスが唸りを挙げた!見てみると片手斧と円盾を投げ捨て、腰にある武器を取り出そうとしているのだが……
「曲……刀……?」
曲刀とはキリトが持っている片手直剣とは違い、大きく曲線を描いた刃を持つ剣のことを指している。
だがコボルトロードが引き抜こうとしているのは些か曲線が緩い、あれはまるで……
「下がれ!俺達が前に出る!」
ディアベルが今までボスを囲んでいたパーティーを下げ自ら前に出た。
おかしい、敵の体力域は赤だ。
安全に行くならそのまま囲んで攻めた方が良いはず。
「駄目だディアベル!攻撃姿勢を取るなぁ!!」
俺と同じように現場を見ていたキリトが叫ぶが、ディアベルは聞こえてないらしくソードスキルを発動させた。
それと同時にボスの武器が完全に引き抜かれた。
それは綺麗な緩い曲線で刃には波紋のような模様……テレビで見たことのある刀そのものだった。
ディアベルのソードスキルが直撃する寸前で跳躍、その図体に似合わぬスピードで柱を飛び移る。
ソードスキルが不発に終わったらディアベルはその動きを目で追うことしかできず、そのまま刀に切り飛ばされる。
そして俺は走っていた。
何故なら俺より速く駆ける銀髪を視界にとらえたからだ。
邪魔になったであろうフード付きのマントは脱ぎ捨て、アリーは今出せる最大のスピードで追撃をされようとしているディアベルを庇い、その背に刀を受けた。
視界の端にあるアリーのHPがイエローまで落ちる。
アリーとディアベルはそのまま地面に倒れるが、まだ驚異は去っていない。
コボルトロードは倒れた二人に狙いを定め、迫る。
「殺らせねぇ、絶対殺らせねぇぞくそ豚が!!」
間一髪でボスの前に割り込めた俺はその筋力値をフルに使いボスの刀を盾で弾くことに成功した。
弾かれたボスは再度上段から刀を振るうが、それも盾で受け止める。
しかしあろうことかボスはそのまま刀を二本の腕で握り押し潰そうとしてきた。
同時に俺のHPが徐々に削られていく。
「グッッ!?畜生が!!」
今俺が避ければ後ろにある二つの命が消えてしまうだろう。
……いや、正直に言えばアリーの命が救えればそれで良いのだ。
酷な話だが、ディアベルは赤の他人だ。
しかも勝手に突っ込んで勝手に自爆したような奴を守る義理は無い。
恐らくアリーが助けに動かなければ俺はきっと動かなかったはずだ。
「「ハァァ!!」」
ガキンッという音と共に俺にかかっていた剣圧が無くなり、HPの現象も止まる。
見るとキリトとアスナが刀を弾いてくれたらしい。
「ふた…三人とも速く回復して!」
「時間は俺達が稼ぐ!行くぞ!」
キリトとアスナがコボルトロードに攻撃を仕掛ける。
周りのプレイヤーは急な展開に状況の把握が出来ておらず棒立ち状態だ。
そんな彼らに舌打ちしつつポーションを取りだし振り替える。
するとすぐそこにポーションを持ったアリーが立っている。
ちょうど良い。
俺はポーションの栓を抜くとその飲み口をアリーの口に突っ込んだ……が。
アリーも同じように俺の口にポーションを突っ込んでいた。
「
「|あなふぁこそづぶんのいにょちゆうしぇんっていっちゃはず《貴方こそ自分の命を優先って言ったはず》!!」
ポーションを口に突っ込みあっていると言う間抜けな風景だが、後ろでまだ戦闘が続いていると言うことを忘れたわけではない。
互いにポーションを飲み干すのと一緒に説教を飲み込みボスに向き直る。
今はあのエギルと名乗ったナイスガイがキリト達とスイッチして回復時間を稼いでくれている。
その間にキリト達と合流しよう。
「二人とも無事ッスか?」
「ケイか、あぁエギル達のお陰でな。」
「次の攻撃で最後になりそうね。」
「……終わったらケイは説教。」
「それはこっちの台詞ッスよ……」
アスナのフードは既に破けたのかなんなのかで消失している。その顔はアリーに負けず劣らずの美人だった。
四人のHPはほぼ同時に回復しきるだろう、そしてディアベル達本隊は動ける状態ではない、動ける俺達がやらないとならないだろうな。
「スイッチだ!!」
エギルが刀を弾き合図を出した。
同時に俺達は走り出す。ボスのHPはあと四~五発で倒せそうなところまで来ている。
「手順はセンチネルと同じだ、ケイ!」
「任せるッス!!」
この日の為に特訓した技能、助走により作り出された運動エネルギーを無駄にしないようにボスの手前で右足を軸に回転、左手にある盾の重さで遠心力が上がり、裏拳の要領で刀を弾き飛ばす!
欠点として俺の体制は崩れてしまうが、その分の仕事はなされる。
刀を握ったままの腕は後ろ手になるまで弾かれ、防御を完全に崩した。
そこにアリーとアスナがそれぞれソードスキルを叩き込み、キリトが《バーチカル・アーク》で止めをさした。
『Congratulations』
勝利を告げるウィンドと共にプレイヤーに大量の経験値とコルが与えられた。
俺はそれを確認してその場に座り込んだ。
「ふぅ……」
「お疲れ様ケイ。」
「本当ッスよ、一時はどうなることかと……」
ジト目でアリーを見返すと申し訳なさそうに目をそらしたが、直ぐに真っ直ぐ見返してくる。
「ん、あの時はありがとう。」
そう言って俺の横にちょこんと座るアリー。
なにこれ可愛い、お持ち帰りはありですか?
「Congratulations今回の勝利はお前達四人のものだ。」
「エギルだっけ?あんた達がタンクをしてくれたからだよ。助かった。」
互いが互いに称えあい無事に攻略は終わった。
「おい!お前らβテスターやろ!」
無事に終わらせろよ腐れサボテン!
「なんのことだ?」
「とぼけるなや!お前らボスの武器がタルワールから変わっていたことを知っとたやないか!
お前らが始めから忠告しておけばディアベルはんが「死にかけることもなかったってか?」そうや!」
「と言ってるけど、どう思うッスか
ディアベルの先走った行動や
「実は数日前からキリトに変な話が持ちかけられてたッス。
それはキリトの武器を高値で買い取るって話、別にそれだけなら何処にでも有るような話なんスけど……値段が異常だったんすよ。
それこそ無強化の同じものを買って自分で強化すれば同じものができる程に。
だから俺らは情報屋を通してその事を伝え、持っていた無強化ものを安値で取引しようとしたんスけど、相手はどうしてもキリトのじゃないと駄目と言った。気になった俺は情報屋にコルを積んで相手の名前を確認したんスよ。
それが、お前だキバオウ。」
「そ、それがどうしたんや!」
「おかしいッスね……あんたが持ってるもの、しっかり強化されたアーニルブレードッスよね?
何でキリトの持つものがほしかったんスか?」
俺の言葉にキバオウは言葉をつまらせ……その視線をディアベルに移した。
「ディアベルさんに唆された……ってことか。
おおかたLAの話でも聞かされて有力候補のキリトの戦力ダウンを習ったんでしょうが、見誤って死にかけたんじゃいみねぇなぁ、βテスターディアベル。」
キリトはβテストの時にLAを奪っていくことで有名だったらしい。
LAとはラストアタックボーナスのことだ。
そのことは勿論βテスターしか知らない。
「…………」
「黙りッスか……」
「ディアベルはん……なんでや!」
ディアベルは俺から目をそらし何も喋らない、それはβテスターであることの肯定だ。
キバオウも自分が信じていた人間がβテスターだったのが信じられないのかディアベルの胸ぐらを掴み問い詰めだした。
「ケイ、行こう。」
「行くってどこにッスか?」
「ボス部屋の奥に次の階層に繋がる門がある、そこをアクティベートすれば二層が解放されるんだ。」
キリトが指差す方には確かに扉がある。
あの先に二層へと続く門があるのだろう。俺が立ち上がるとアリーも同時に立ち上がる。
後ろでは未だキバオウが問い詰める声とディアベルの仲間達がそれを抑える言い争いが聞こえたが、それは無視して進もう。
扉を開き中にあった螺旋階段を上り始めたときに、誰かが駆け寄ってくる音が聞こえた。
「ちょっと、パーティーメンバーを置いてくなんて酷いんじゃない?」
走ってきたのはアスナだった。
「アスナ……君とはここで別れよう。
俺とアリウムは気づいての通りβテスターだ。一緒に居れば君も蔑まれることになる。」
「……それはケイ君だって同じなんじゃない?」
ごもっとも、キリトめ俺もβテスターと言っておけば良かったものの……
「それに、私はβテスターとか関係無く君達と行きたいの。
同じ女の子もいることだしね。」
「……俺たちは他のプレイヤーみたいに甘くないぞ。
」
「あら、私がそんな脅しで退く女に見えるかしら?」
気付けはキリトの眼前にはライトエフェクトを纏った細剣が寸土止めされている。
それを見てキリトは冷や汗を流し両手を挙げて降参、その姿に思わず笑ってしまいキリトに睨まれた。
そんなこんなで二層はアクティベートがなされ、アインクラッドの攻略は加速していくのであった。
戦闘シーンのせいか思っていたより長くなってしまった……
おまけにディアベルが何故か悪役に
どうしてこうなった、どうしてこうなった
そしてタグにもありますがキリトはソロではありません。
アスナとも当分パーティーを組んでいきます。