SAO―切り裂き姫ととある騎士   作:チキン ボーイ

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今回でプロローグに繋がります。
そして今回はなんと言うかイチャイチャするだけの回です。

なので興味ねぇよ!……て方は我慢してください(笑)



第6話 休息

 

 

 

只今二十五層にある洒落たカフェテリアの一角に異様とも言える風景が広まっていた。

まず、全身黒色の服の女顔の少年とそれと対比するように白を基調とする制服に身を包んだ少女がそれぞれドリンクを傾けており、その二人の間にはいかつい顔をした黒人が呆れたような顔で座っていた。

 

そして俺は鎧を脱ぎ(強制された)タイルの上にて正座をさせられており、目の前には無表情ながらも瞳に絶対零度の光を宿したアリーことアリウムさんが立っていらっしゃる。

 

 

ことの発端は、アリーが用事でおらず暇をもて余していた時に、可愛い職人クラスの子が困っているのを見つけて、その依頼を勝手に受け、ソロでダンジョンに潜り二時間もの間連絡を絶っていたことだ。

 

一応ダッシュで職人の子に依頼の品を渡し、報酬も受け取らずにここまで来たのだが、待っていたのは仁王立ちのパートナーだった。

 

 

 

「あ、あのアリー?そろそろ足が痺れて来たんスけど……」

 

「そう、それで?」

 

「いや、そろそろ正座を止めたいのですが……」

 

「止めたら?……止めたらボス戦に連れていかないけど。」

 

 

 

それは困る、ただでさえ今度の攻略は苦戦が予想されているのだ。二十五層のボス[ツヴァイヘッド・ザ・ウォーリアー]双頭の戦士

 

人の十倍はあるであろう巨体、名の通り頭が二つあり死角はほぼ無く、手に持つ直剣と槍の威力は今までのボスの中でももっとも高いと予測されている。

 

そんな危険な場所にアリーだけ行かせるわけにはいかない。

 

なのでこの足の痺れは我慢しよう。

 

 

 

「……にしてもキリット君はともかくアスナんやギルがいるのは予想外ッスね。」

 

 

 

とりあえず話を変えるために呑気にドリンクを飲んでいる三人を見る。

アリーが諦めたように溜め息を吐いていたが、恐らく俺がボス戦から退く気はないということを悟ったからだろう。

 

あ、因みにアスナんはアスナのあだ名で、ギルがエギルのあだ名だ。

うん、言わなくても分かるよな。

 

エギルはこの時間なら普段通り商人として活動をしているはずで、アスナは少し前に入った血盟騎士団とかいうギルドの副団長を勤めているので最近会うことは少なかった。

キリトも基本的にはパーティーを組んでいるが、重度のレベルホリックの真っ黒黒助は時々パーティーを抜けてレベリングをしているのだ。

 

 

アリー?俺のHPバーの下からaliumの文字が消えたことは一度たりとありませんよ。

 

最近、アリーは気を許しすぎで宿の部屋も二人部屋を取ろうとしたりするようになったり勘違いされそうな言動をしたりするようになった。

半年も一緒にいるのだからそりゃ、ある程度信頼されてるのだろうが……

 

俺も男ですからね、気の迷いで手を出してしまう可能性もなきにしもあらずな訳ですよ。

心の拠り所にされているのは嬉しいし、こんな世界なのだからそういうのも必要だし、強く言えないのが現状だ。

 

 

 

「今度のボス戦の打ち合わせ……というか説得よ。」

 

「クォーターポイントのボスが異様に強いことが予想されてるのは知ってるよな?」

 

 

 

エギルの言葉に無言で頷く、現在フロアボス攻略は《軍》と呼ばれるギルドが主体となって動いている。

軍の戦略はいたって簡単で、数の暴力でごり押しというものだ。

 

普通フロアボスに挑むのは49人のレイドなのだが、軍はそれを2レイドでスイッチをするように挑み犠牲を減らすというやり方だ。

 

確かに犠牲は出ていないし、攻略は加速した。

が、その分レイド平均レベルは安全マージンにとどいて無い。

いつかこのやり方も限界が来るだろう。

 

そんな軍だが、二十五層のボスの調査隊が破壊的ダメージを負い命からがら逃げ帰ってきたそうだ。

調査隊はそれなりレベルが高いプレイヤーが集まっていたはずだが、分かった情報はHPバーの本数や容姿、異常な攻撃力くらいだ。

 

さて、ここでアスナの説得という言葉だが、これは大体予想がつく。

 

 

 

「ボスの異常な攻撃力に対して私達は高レベル壁戦士(タンク)部隊を結成し、それを主体に攻略をすることに決まりました。

 

そこでケイ君の実力とレベルを買ってそのタンク部隊に入って貰いたいの。」

 

 

 

ですよねー、俺のレベルは安全マージンを余裕にクリアしてるし、ボス戦もほぼ全て参加している。

持っている盾は二十二層のボスLAでかなりの性能を持っており、盾スキルの熟練度も500を越えてタンクとしては結構上位に位置している。

 

これでここにエギルがいるのも納得がいった、エギルも高レベルタンクだからな。

 

 

 

「毎度のこと実力を買ってくれるのは嬉しいんスけど……そういうのはパーティーリーダーを通して貰わないと。」

 

 

 

そう言ってアリーを見る。

 

 

 

「……………」

 

 

 

ものスッゴい無表情。

実はこのようにアスナが言っていくるのは初めてではない。

アスナが副団長になり攻略会議で指揮を勤めるようになってから何度か同じ話を持ちかけられるのだが、俺がタンク部隊に入ると必然的に攻撃特化(ダメージディーラー)のアリーとはパーティーを解消しなければならない。

 

それについてのアリーの一言は

 

『ケイとパーティーを解消しないといけないと言うのなら、私は今後ボス攻略には参加しない。』

 

 

と言うものだった。

しかもこれをボス攻略会議で多くのプレイヤーがいる目の前で言い放ち、なおかつ俺の腕に抱き着いてきたものだから俺の頭の中は真っ白だった。

 

一緒に参加していたキリト曰、約40人の妬みの視線が突き刺さっていたらしいが……

 

でもって、アリーはアスナと二人して攻略組のアイドルとなっており、居るだけで士気の向上に直結しているのだ。

そのアリーがボス攻略に参加しなくなるのは攻略組全体として望むことではないので俺は今までアリーと同じパーティーで居られた。

 

 

 

「あのねアリウム、今回ばかりは仕方でしょ?

軍のタンクは安全マージンにが取れてないし、私達血盟騎士団と聖龍連合の合同でも足りないのよ。

 

それにケイ君は二十二層での実績とあの盾もあるし。」

 

 

 

二十二層での実績とは[ロック・ザ・ライノー]というボス相手に五分間一人で持ちこたえたというものだ。

あの時は軍のタンクが貧弱過ぎてボスの突進を止めきれず戦闘がぐだぐだになり下手をすれば被害者が出ようとしていた。

おまけに軍のタンク部隊はびびって動きがぎこちなくなってしまった。

なので俺はその穴埋めとして一人で抑えることになったのだ。

加速されないように常に張り付き、常にサイのような角と盾をぶつけ合うという今までに無い激闘を繰り広げ。

ボスは腹以外が石のような物で包まれており、中々攻撃が通らず、アリーとキリトが腹に何発もソードスキルを放ち、俺が顔面で唯一攻撃が通る目にソードスキルを放つことでようやく倒せたというボスだ。

その時のLAが今装備している、ライノガードっていう盾だ。

LAでの盾、その性能は破格の物で。

 

まず、物理攻撃に対してのカウンター。

これは突進してくるモンスターや突進系の体術スキルに盾から飛び出ている角を当てると相手にもダメージを与えるという物だ。

 

さらには装備者のSTRとVITに補正をかけ、盾自体もかなりの耐久値を誇る。

 

難点としては盾が壁盾と分類されるもので取り回しが効かず、盾自体で視界が遮られる。

だが視界に関しては探敵スキルでどうにか補助できるのが救いか。

このドロップは勿論俺も喜んだが、俺以上に喜んだのがアリーだ。

 

それはもう、話した時には満面の笑みでおめでとうと言ってくる程だからな。

 

 

閑話休題(それはさておき)

 

 

アスナが無言のアリーに必死に説得を試みているのを尻目にエギルを見る。

 

 

 

「商売は好調ッスか?」

 

「ぼちぼちだな、最近はどっかの真っ黒黒助が沢山買っていってくれるからな。」

 

「全く阿漕な商売だよ。」

 

「あはは、相変わらずみたいッスね。」

 

 

 

アリーは未だに無言を貫いてるな。

まぁ、あれがアスナじゃなく聖龍のディアベルや軍のキバオウ、騎士団の団長ヒースクリフなら話も聞かずに立ち去っているのだよなぁ。

 

 

 

「ケイ君も何とか言ってよぉ……」

 

「諦めて、この案件に関してはアリーは俺の言葉も聞かないッスから。

 

粘って粘って妥協案を貰うしか無いッスね。」

 

「ってことだけど、アリウム妥協案は無いの?」

 

「……1つだけ。」

 

「ふぁ!?」

 

 

 

俺が十層位の時に言っても聞く耳すら持たなかったのに妥協案があるのか?

 

やっぱり同じ女性じゃないと頼めないこととかあるのだろうな。

 

 

 

「ケイが今日一緒に寝てくれるなら考える。」

 

「よし、ケイ君一緒に寝てあげなさい!」

 

「ちょっと待てぇぇ!!!」

 

 

 

何で!?何で俺が一緒に寝ればいいの?

叫んだよ座りながらも叫びましたよ!我ながらよく立ち上がらなかったと誉めたくなる。

 

 

 

「待つッスよアスナん、アリーは考えるとは言っても容認するとは言ってないッスよ!

 

アリーもそう言う洒落にならない冗談は止めろと……っ痛!?」

 

 

 

アリーに無言で足を踏まれた。そこ今痺れてるんだよ!

ナーブギアめこんなところまで再現する必要あるのか!?

 

 

 

「痛いッス!俺には踏まれて興奮するような趣味は無いッスよ!

 

痛い痛い!ちょっ力強まってる!?

 

三人とも見てないで助けて!!」

 

「「「……はぁ」」」

 

 

 

三人に呆れた顔で溜め息を吐かれた。

アリーの目にも若干の呆れが目に見える。

どうせオーバーリアクションとか思っているのだろう。

だが、この痺れた足を踏まれたときの痛みは当事者にしか分かるまい!

 

 

 

「分かった!分かったッス!言う通りにするッス!、」

 

「……本当?」

 

「はいッス……ただし、攻略組がいない下層の宿ッスよ。

 

見つかれば面倒なことになるッスから。」

 

 

 

先も言ったがアリーは攻略組のアイドル的存在になっており、そのファンも多い。

常にギルドへの勧誘が絶えず、パーティーも誘われるのだが本人は何処のギルドにも所属する気もなく、俺やキリト、アスナやエギルなど気を許した相手としかパーティーを組もうとしない。

 

流石にフロアボス戦の時は他のソロプレイヤーとパーティーを組むが。

 

まぁそんなアリーといつも一緒にいる俺はそれはそれは妬まれている。

が、直接的な被害は今のところ出ていない。

と言うのも一度聖龍の一人がいちゃもんをつけてきたのだが……

 

アリーがデュエルで容赦なく叩き潰したんですよ。

そのあとの笑みが怖いのなんの……

それ以降攻略組で俺に手出を出すやつは出てきていない。

 

 

 

「じゃ二人とも後で連絡頂戴ね。ほら君も行くよ。」

 

「え?俺は二人を誘ってレベリングにでもグヘッ!?」

 

 

 

アスナの右手がライトエフェクトを纏い、レベルホリックの隙だらけの腹に叩き込まれキリトは潰されたカエルのような声を出し、ぐったりとなったところをアスナに連れていかれた。

何だったのだろうか?

 

 

 

「やれやれ、俺も商売に戻るとするか。

 

二人とも今度は何か買いに来てくれよな。」

 

 

 

エギルも立ち上がるとアスナ達と同じ方向に去っていった。

 

 

 

「フフッ……何処の宿にする?」

 

 

 

乗せていた足を退け、俺を立たせながら聞いてくるアリーの声音には嬉しさが滲み出ている。

 

 

 

「ん?あぁ二十二層がいいっすね。

 

あそこはモンスターが出ないから攻略組も来ないはず。

それにアリーに見せたい景色があるんスよ。」

 

 

 

痺れた足を解しながら立ち上がりアスナ達とは反対の方向に歩き出す。アリーは俺の数歩横を歩き転移門を目指した





はい、自分でも急展開であることは自覚しております。
それも次の話で繋がるように考えているので次話をお待ちください。

本当はクォーターポイントの戦いを書こうかと思ったのですが、二話連続ボス戦を書くのもなぁ、と思いこの話になりました。


そしてついにホロウ・フラグメントを購入しました!
これを投稿したらプレイするんだグヘヘ
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