フラスコの世界を駆け抜ける   作:影後

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懲りずにスパロボ作品挙げます。
詰まるかなぁ…
ルートは決まってるんで何とかなるかなぁ……


プロローグ

それは青年にとって辛い過去だった。

 

「お願い……リョウマ君、レイラを連れて……逃げて」

 

「嫌だよ……おばさんも……行こうよ……ママも…………ママは……」

 

当時、力ない少年だったリョウマは新西暦172年に起きたホープ事件に巻き込まれた。

軍人である父親カーウェイ・ラウ大尉の部下であり後輩でもあるテンペスト・ホーカー少尉とは家族ぐるみの付き合いだった。

特に旦那を軍人に持つジェシカ・カーウェイと

アンナ・ホーカーの仲は良く、よく母子同士の旅行を楽しんでいるのだ。

今回も、そんな母子同士の旅行だった。

ホテルに泊まり、雑談をして通常なら眠るはずの時間。

だが、ここでホープ事件が起きた。

 

「リョウマ!」

 

「ママ!!」

 

突然の爆発だった。まだ幼いリョウマを母親であるジェシカが庇い、爆風に巻き込まれそのまま倒れる。

 

「リョウマ……良かっ………」

 

「ママ?ママ!!」

 

揺らしても起きない、信じたくない。涙が止まらない。

リョウマは理解した、それが死なんだと。

 

「お願い……レイラだけは……お願い」

 

脚から先が潰れているアンナの姿。

リョウマは理解したのだ。

 

「ごめんなさい……ごめんなさい……」

 

「テンペストに……これを」

 

それはペンダントだった。家族の写真、テンペストがアンナに渡したプレゼントだ。

 

「絶対、テンペストさんに渡すから……絶対…」

 

「……あり……が……」

 

リョウマはレイラを抱き締めるとゆっくりとあるきだす。

 

「レイラちゃんだけは……レイラちゃんだけは………」

 

リョウマは瓦礫と火災、ガスが充満する通路を歩く。外に出なければいけない、助けを求めなければいけない。

 

「……誰か……誰か居ませんか!お願い……誰か……誰か………」

 

弱々しく叫ぶリョウマの遥か後ろでより強い爆発が起こった。

爆風など、最初の比ではない。

全てを巻き込む炎が上がったのだ。

 

 

 

 

 

 

「………」

 

「君……大丈夫かい?」

 

「…………」

 

「おい……君」

 

煤け、ボロボロになりながら歩くリョウマは後に救助隊に保護される。

 

 

 

 

「それで……その息子は」

 

「……PTSDであり、まともに話せる状況ではありません。しかも、未だに少女を離そうとしていないんです。あれではまともに治療もできない」

 

「まて……少女だと」

 

「テンペスト少尉をお呼びしたのはその為です」

 

カーウェイとテンペストが通された部屋には数多くの被災市民がいた。

地球連邦軍の杜撰な作戦でボロボロとなった彼等はその真相は知らされない。

 

「……ここです」

 

「大丈夫…大丈夫だから」

 

「ふぅ……ふぅ……」

 

そこには一人の少女をじっと抱えながらナイフを持っているリョウマがいる。

その前で連邦軍人が拳銃を抜こうとしている。

 

「何をしている!」

 

その軍人をテンペストが吹き飛ばした。そして、カーウェイが即座に拘束する。

 

「巫山戯んな!ガキが仲間を刺したんだよ!今病院だ!こんな危険分子を」

 

だが、言葉は続かない。軍人はテンペストに顔面に蹴りを入れられ、更に踏みつけられる。

 

「巫山戯るのは……貴様等だ!子供に銃を向けるな!」

 

「テンペスト……よせ」

 

カーウェイとテンペストに縛り上げられた軍人はそのまま部屋から離された。

 

「……リョウマ君……」

 

「リョウマ……パパだぞ、テンペストもいる」

 

「パパ……テンペスト……おじ……さん」

 

「そうだ……テンペストおじさんだ。リョウマ君、もう」

 

「ごめんなさい……ごめんなさい……ごめんなさい……ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

 

「大丈夫だ、大丈夫、大丈夫だか、ら」

 

そして…テンペストは気付いた。

 

「……レイラ」

 

「……………」

 

「………その傷は」

 

リョウマの背中や腕には激しい火傷があった。

だが、テンペストの娘であるレイラはほぼ無傷。

大爆発が起こったにも関わらず、レイラは火傷が一つ負わず、軽い傷がある程度だ。

 

「リョウマ、守ったのか」

 

「……(こくり)」

 

カーウェイの言葉に頷く「治療もできない」

カーウェイは最初、リョウマが抱く少女の話だと思っていた。だが違う、リョウマ自身が重傷であったのだ。

 

「……これ………おばさんが」

 

「あっ……あぁ………ありがとう………ありがとう………アンナ……すまない………」

 

「パパ?」

 

「レイラ!」

 

目を覚ましたレイラはリョウマがゆっくりと下ろすとテンペストに抱き締められる。

 

「すまない……必ず……必ず俺が守る」

 

「ママは………」

 

「大尉……すみません………すみません」

 

 

テンペストは泣きながら部屋を後にした。

 

「……守れなかった」

 

「お母さんをか?」

 

「おばさんも」

 

「……辛いか」

 

「うん」

 

「父さんもだ、でもな……お母さんはどうやって」

 

「ママは僕を助けて」

 

「そうだ……お前はお母さんに救われた。もし、お前が居なかったらレイラちゃんは死んでいた」

 

「………」

 

「……お母さんはお前に未来を託したんだ。謝るな」

 

「でも…パパ」

 

「……強くなった。そして……生きていてくれて……ありがとう」

 

リョウマはそれ以降の事を覚えていない。

だが、リョウマはここから1年もの間、入院生活を送ることになった。

火傷の治療と皮膚の再生治療、幼い身でありながら大人、訓練された軍人すら悲鳴を上げる怪我をし、一睡もせずレイラを守り続けたリョウマは眠らされた。

 

「僕は………」

 

眠らされた中で数多の知識が頭の中に浮かんでくる。知らないはずの機体、知らないはずの設計図。知らないはずの歴史。

 

「……テンペストさんも…皆を……守るんだ」

 

それは誓いだった。

託された、繋がれた、救われた命。

光に導かれる様にリョウマの意識は深層から浮上した。

 

「……パパ」

 

「リョウマ、起きたのか?」

 

「お仕事は良いの?」

 

長い夢を見ていた気がするが、リョウマは夢の内容は思い出せなかった。

ただ、長い夢だったと深い印象だけが残る。

 

「なぁ、リョウマ。父さんは軍を」

 

「パパ………僕ね、パパやテンペストおじさんみたいになりたい。もう……ママやおばさんみたいな人が………」

 

リョウマの目から涙が溢れた。

思い出される惨劇、託された命。

 

「………ママ、会いたいよ」

 

「………私が……私が付いていれば」

 

「………僕ね、……頑張る、皆の為に」

 

「そうか」

 

カーウェイはリョウマを抱き締めるとそのまま寝かせる。目覚めたばかりなのに、泣き疲れていると理解したからだ。

 

「おやすみ……リョウマ」

 

リョウマはカーウェイに撫でられるとすぐに寝息を上げる。

 

「……カーウェイ大尉」

 

病室から出た先には花束とお菓子を携えたテンペストが立っていた。

リョウマとの話を聞いていたのか、気不味そうにしている。

 

「テンペスト、私は……息子が憧れる軍人でいたい。あの子に誇れる軍人で」

 

「……お供します。自分はリョウマ君に娘を、そして、妻の心を届けて貰いました。自分が傷付いても、レイラを守り続けてくれました」

 

「………レイラちゃんはどうしてる」

 

「元気です、この一ヶ月泣いてばかりいますが」

 

「………テンペスト、お前は」

 

「軍を辞める訳には行きません。俺は……今の軍を許せない、妻は連邦軍に殺された。娘も……殺されかけた。ソレを……たった6歳の子供が助けてくれたんですよ。俺は決めました、中から必ず変えると。それに……何時か娘の恩人の上官になるのも良いかと思いまして」

 

「……譲らんぞ、リョウマは私の部隊に入れるんだからな」

 

カーウェイとテンペストは握手をし合うとそのまま別れた。

 

7ヶ月後、リョウマは晴れて退院することができた。

 

「お兄ちゃん!」「レイラちゃん!」

 

リョウマはPTSDの治療を並行して行われ、長い時間をかけて笑えるようになったのだ。

 

「仲が良いな」

 

「うん!お兄ちゃんはお友達!!」

 

満天の笑みを浮かべ、レイラはテンペストに抱きつく。テンペストの中でもこうしてレイラが笑ってくれるのは安らぎだった。

仲の良い幼馴染みは入院し、父親であるテンペストは軍人である。

基地内に託児所を作るなどできるはずもなく、テンペストは実家から両親を呼び、地球でしかも自分が務める基地の付近に家まで作った。

娘のメンタルケアの為だった。

それに協力したのはカーウェイである、コロニーの病院では、当時同じ地球の基地に勤務していた都合上、会いに行くのは難しい。

其の為、リハビリと残りの治療を基地付近で最先端技術が配備された病院に送った。

それが光明となった。

 

「……お葬式」

 

そう、リョウマが退院してすぐカーウェイとリョウマだけのジェシカの葬式が執り行われる。

死体もなく、ただ墓石に名前が刻まれただけの墓であるが、リョウマは墓石に抱き着いた。

 

「ママ……ママ…………」

 

誰も、その下では眠っていない。

だが、リョウマには確かな温もりが感じられた。

あるはずのない暖かさ、あるはずのない優しさが、確かにそこにはあったのだ。

 

「リョウマ、行こうか」

 

「うん」

 

カーウェイに手を引かれ、リョウマは墓地を後にした。だが、何度も立ち止まり墓石を眺める。

 

『頑張りなさいね』

 

一瞬だが、リョウマには何時ものにこやかな母親の姿が見えたような気がした。

 

「うん……僕、頑張るから」

 

瞬きをすれば、その場には誰も居なかった。

だが、ソレを幻覚だとは思わない。

大好きな母親が背中を押してくれたのだと。

ずっと見ていてくれるのだと。

リョウマがマイナスに考えることはない。

 

「ジェシカ」

 

ソレをカーウェイも見ていた。

息子に声をかける妻の、ジェシカの姿を。

だが、カーウェイはそれで終わらなかった。

 

『ごめんなさい、先に…逝ってしまって』

 

「リョウマを守ってくれて、ありがとう」

 

消して「すまない」とは言わない。

ジェシカがソレを望まないと知っているから。

カーウェイは必死に涙を抑え込む。

 

『愛しているわ、ずっと………ずっと、カーウェイ。貴方とリョウマの隣に居るわ』

 

「……ハハッ…これでは浮気など……」

 

冗談が溢れるが、それどころではない。

 

『大好きなカーウェイ、リョウマを……この子をお願いね』

 

まるで時が止まっている様だった。

二人だけの世界で、二人だけの時間の様だった。

リョウマも止まっているが、ジェシカはそんなリョウマも抱き締める。

 

「愛してるわ……カーウェイ」

 

「私もだ……ジェシカ」

 

二人は口付けを交わすと現実に戻る。

灰色の世界には色が灯り、涙を抑え込む自分と息子がいる。

 

「……リョウマ、母さんに会えたよ」

 

「僕も……頑張りなさいって……」

 

「二人で、頑張ろう」

 

「うん……僕が…僕がパパを支えるんだ」

 

カーウェイ・ラウとリョウマ・ラウの歩みはここから始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




リョウマ・ラウは成長し、当時異例の速度で地球連邦軍に所属となった。そして、配属された部隊とは

次回第一話特殊戦技教導隊結成

私の物語の始まりだ

私とか……向いてないよ、お兄ちゃん

やめてくれ
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