フラスコの世界を駆け抜ける   作:影後

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やぁ、俺だ。
既に道は分たれた。
俺は俺の正義を貫き、ただ歩みを進めるのみ。
この道を歩いて死ぬのなら、俺はその程度だったという事さ。


ATXチームPart3転換点

レイラ・ホーカーは自分宛ての荷物に驚きを隠せなかった。

 

「お父さん、小包来たんだけど」

 

「どうした?」

 

自分の記憶のない小包、大きくはないが小さくもない。靴が入る程度の大きさでレイラは宅配を忘れたのかなと、内心思っていた。

 

「地球連邦軍のタグだな……開けてもいいか?」

 

「うん」

 

テンペストが妖しみつつ、小包を開くと中からメッセージと箱が出てくる。

メッセージカードにはレイラが尊敬する兄からのメッセージが綴られていた。

 

 

《レイラへ

元気で居るだろうか、テンペストさんの言葉を聞いているか?ちゃんと寝ているか?

まったく、君は昔からやんちゃ娘だったからな。

すまない、無駄話だ。

誕生日プレゼントを送った。

気に入ってくれるか判らないが……

ペンダントだ。俺からのお守りだ。絶対に外すなよ?》

 

 

入っていたのは鍵を模した鍵を模したペンダントだった。

ゴテゴテしているわけでもなく、シンプルな物。

そして、革の手袋だ。

 

 

《これは、お前がバイクに乗るかもと思って送った。格好いいだろ?》

 

 

「うん、格好いい」

 

「リョウマ君……駄目だぞ?バイクは事故ったら大変だからな」 

 

「車で使うよ!目指せ!レーシングカー!!」

 

「まったく……」

 

テンペストは娘の無邪気な笑顔を見て、壁に飾ってある集合写真を見る。

幼い日に、カーウェイ家とホーカー家とが共に撮った写真である。

 

「……」

 

今現在、自身は妻を失い、尊敬する上官の子は全てを失っている。

娘が助かったのは、リョウマが今だに残り続ける程の火傷を変わって負ってくれたからだ。

妻との約束を守り、娘を命を掛けて守り抜いてくれたからである。

 

(俺は、リョウマ君に恩返しはできていない。距離を取り、ましてや………)

 

「お父さん、大丈夫?」

 

「ん?大丈夫だよ、レイラ」 

 

逃げた自分への怒りと、娘への愛情の間でテンペストは何度も苦しんでいた。

自分以上に苦しい思いをしている、それこそもう一人の息子と言える青年を見捨てた。

 

「……レイラ、明日バイクを見に行くか?」

 

「良いの?」

 

「お前が秘密にしてる免許、俺は全部知ってる。まったく、保護者は誰なんだ?」

 

「お兄ちゃん」

 

「……レイラを甘やかし過ぎたぞ。リョウマ君」

 

先程とは違う意味でもう一人の息子に対して頭痛を覚えたのだった。

 

 

 

 

時刻はリョウマが襲撃された時刻に戻る。

地球連邦軍ラングレー基地にてリョウマ・ラウ技術少佐の死亡報告がなされていた。

リョウマの指揮下のストーム中隊。

コールサインストーム2、通称大尉指揮下の小隊が所属不明機の襲撃に会い連絡要因としてラングレー基地に飛んできたのだ。

その報告を受けたATXチームが到着した頃にはゲシュペンスト達の残骸、そして、何よりも多く被弾したゲシュペンスト・ヴァーディクトが鎮座している。コックピットが爆発し、死体も残っていないだろう。

 

「少佐は一番足が速い俺達に増援を頼めと言われた。ゼンガー少佐にと、ジャミングを受け、それでも戦っていた………」

 

知っている大尉は演技とは思えないほど悔しさが滲み出た表情、そして、怒りを浮かべている。

 

「通信はできなかったの?大尉」

 

「ジャマーだ、広域的のな。ラングレーに戻るまでまるで……」

 

「チーフって色んな所に敵いるわね」

 

場を和ませようという気持ちの現われだが、ゼンガーすらその顔に驚愕を浮かべている。

死ぬはずがないと何処かで感じていたのだろう。

 

「エクセレン、今はよせ」

 

「…ごめんなさい」

 

エクセレンの気持ちは誰もが理解できる。

そして、一番辛いはずのゼンガーが声を上げる。

 

「敬礼!!」

 

ボロボロのゲシュペンスト達にATXチーム、ストーム2小隊が即座に敬礼を行う。

それはここで散った仲間たちへの手向けであった。

そして、数日後。リョウマ死亡の知らせがゼンガーからテンペストへと発せられる。

 

 

 

 

「まったく、リョウマ君はレイラを甘やかし過ぎだ」

 

「良いじゃん、お兄ちゃんに無理言ったの私だし!お兄ちゃんね!私がお願いすると悩むけど、悩んで、条件付きで許してくれるの!」

 

その条件を知りたいと思うが、悪いものではないだろう。

 

「事故を起こさない、安全運転、他には……」

 

どれか一つぐらい破っていてもおかしくはないが、レイラは家族との約束を大事にしている。それに、テンペストは知っている。

レイラが好いている相手に嫌われる事はしないだろう。

その好いているの物によってはいくら、リョウマとは言え一度話さなくてはと感じるが。

 

「はい!今日も元気なレイラ・ホーカーです」

 

電話を取った娘の反応に驚きが隠せない。

 

『…すまない、テンペストのご家族の』

 

「娘です」

 

『ゼンガー・ゾンボルトだ、テンペストを出してくれないか』

 

「わかりました!お父さん、ゼンガーさんって方が」

 

「わかった、すぐに変わる」

 

ソファから立ち上がり、レイラから受話器を受け取るテンペスト。

そこからは仲の良かった旧友の声が聞こえてくる。

 

『久しぶりだな、テンペスト』

 

「あぁ、半年振りか?新しい実験部隊の指揮官らしいな。やはり忙しいか」

 

『……』

 

軽口を言ったのは電話越しでもゼンガーの重苦しい空気が感じ取れたからである。

何処か嫌な予感を感じながら、言葉を繋ぐゼンガーに耳を傾ける。

 

『良く聞け、数日前リョウマ・ラウ技術大佐』

 

「大佐?なんだ、異例の出」

 

『もとい、リョウマ・ラウ元技術少佐は正式にKIAとなり、二階級特進した』

 

淡々とそう述べるゼンガーにテンペストは言葉を失う。

 

〈Killed in action〉通称KIA。

軍人であればその意味を知らないものはいない。

戦死だ。

 

「KIAだと?MIA(Missing in action 行方不明)ではないのか、冗談だろう……ゼンガー」

 

テンペストのその風貌にただ事でないと理解するレイラ。彼女の胸にも不安がよぎる。

 

『リョウマ・ラウ技術大佐の荷物をお前の方に送った。遺言だ、リョウマは常に遺言を常備していた。部屋から発見されたよ。彼の資産はホーカー家に、データ類は懇意にしていたビアン・ゾルダーク氏に渡される』

 

「それは」

 

『わかっている、連邦の上層にもデータ類の検閲は許さん。遺言状が有るうえの、これだからな』

 

「お父さん、お兄ちゃんに何か」

 

『テンペスト、伝えるなら速くだ』

 

「……リョウマ君は戦死した。明日にも彼の遺品が」

 

レイラは手に持っていた荷物を床に落とす。

テンペストは理解している、自分の娘がリョウマにどれ程懐いていたかを。

 

「嘘だよ……ね?お兄ちゃんが………」

 

「ゼンガー、切るぞ」

 

返信を待たず、テンペストはレイラを抱きしめる。だが、その会話が続くことはない。

 

「失礼する」

 

「エルザム、何を」

 

「……お前達に伝える必要がある。俺達は連邦に対し武装蜂起する予定だ」

 

「何を」

 

「聞かせろ、此方に付くか……それとも敵となるか」

 

「巫山戯るな!今、リョウマ君が」

 

「死んでなどいない。その心はそこにある」

 

エルザムはレイラが抱える鍵のペンダント。

 

「来てもらうぞ、二人共」

 

エルザムに連れられ車に乗れば待っていたのは赤子を抱いたカトライア・F・ブランシュタイン。

 

「ごめんなさい、レイラさん」

 

「カトライアさん、その子は」

 

「娘よ、名前はアルティシア」

 

アルティシアを撫で、少し落ち着いたレイラ。

生移動する車の中でエルザムとテンペストは話を続ける。

 

「何処へ連れて行くつもりだ」

 

「お前達への切り札だ、お前たち自身を守るためのな」

 

エルザムは二人をコロニーの外壁部付近に連れてきた。その中では見たことのないPTが鎮座している。いや、テンペストは知っている、それが何なのか。

 

「カーウェイ大佐の事もある、俺はこれ以上連邦に与することを是とはしない。俺は戦う」

 

「エルザム、なら」

 

「これはお前達へ、リョウマが託した物だ。それがどいう言う意味か理解しているな」

 

「……俺に、昔のように連邦に戻れと?しかし」

 

「お前は何とかなるだろう、それに……お前の娘は乗り気だぞ」

 

「……エルザムさん、これは私の力なんですか?」

 

レイラはテンペストが触るよりも速く、PTいや、セリウスに触れていた。

 

「お前達のだ、だが……メインパイロットはレイラ。君らしい」

 

エルザムの言葉が紡ぐようにセリウスはシステムが起動する。

そして、音声が流れ始めた。

 

〘まず、エルザムさんに謝罪します。

そして、テンペストさんとレイラには何故これを送ったかだ。

もうすぐ、世界を二分する争いが起こる。

レイラ、お前の事だ。お前は自分の正義を信じるために力がいるだろう。

セリウスはお前とテンペストさんが乗れる。だが、メインパイロットはお前だ、レイラ。この力をどう使うかは、お前次第だ〙

 

レイラは悩まなかった。

 

「二人乗り」

 

『生体認証システム起動

メインパイロット レイラ・ホーカー

サブパイロット  テンペスト・ホーカー』

 

「レイラ!」

 

まだテンペストは乗っていない、しかし動かすだけならできる。

 

「……お父さん、地球に行こう」

 

「……エルザム、お前は」

 

「ここからは敵同士になる、理解しろ。戦争が始まるんだからな」

 

テンペストは後部座席に乗り込む。

火器管制システム等サポートをメインにするものだが、後部座席でも操縦は可能となっていた。

 

「……家は守るさ」

 

「すまない、エルザム」

 

エルザム達が立ち去るとセリウスが格納されていた空間から空気が抜かれ、真空となる。

 

「ゼンガーの元へだ、行くぞレイラ」

 

「セリウス、発進」

 

運命は動き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




やぁ、俺だ。
レイラは今回セリウスを操縦してるからいないぞ。
次回は不味い、ついに南極事件が起こる。
そして、俺達はついに邂逅する。

次回 
ディバイン・クルセイダーズPart1レヴリアス

題名出したからわかるよな?読んでくれよ!!
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