俺は今から動き出す。
それが何を意味するかなんて関係ない。
俺が暴れたいから暴れる。
そんな事でもない。
俺の正義の為に、そして復讐心を満たす為だ。
リョウマは自身の設計した機体に搭乗していた。
自身の癖、腕、全てが個人の為に作られた機体である。連邦の高官が横領した資金を逆に掠め取り、地獄に叩き落としてきた彼が秘密裏に手にした資金である。
正確には横領分はリョウマの手腕により増やされ、元手があるべき場所に分配されるある種のロンダリングを行っているのだが、些細な問題だ。
「……グランゾン」
シュウ・シラカワ博士の対異星人戦闘用アーマードモジュール(以降AM)。
無人ではない、既に搭乗しているか。
「……ゲスト等と、屑の下に付くものよ。その命、貰い受ける!」
予定通り、グランゾンによる敵母艦の攻撃が始まった。敵母艦に損害を与えたグランゾンは優雅に、まるで誘うように佇んでいる。
「見ていないで仕事をすればどうですか、」
母艦から多数の機動兵器が発進しようとするが、まるで知っていたかの様に上空からビームが放たれた。
「AIだな、そういう動きだ」
「なっ!狙撃!?」
オープンチャンネルで聞き慣れた声がする。
的確にコアを狙撃し、誘爆を引き起こし、そしてグランゾンと共に母艦を沈める。
「シュウ・シラカワ博士、お迎えに上がりました」
「いえ、貴男の事とは思いませんでしたが」
オープンチャンネルだからこそ理解できた。
声を知らない人間の方が多いだろう。
「……御速く」
「えぇ、理解していますとも。」
「ふっ……」
シュウ・シラカワの不敵な笑いが聞こえる。
グランゾンにエネルギーが集中し、リョウマも何を狙っているのかすぐに理解できた。
「…この一撃が、新たな戦いの幕開けとなるのです」
「おっ…おのれ、シュウ・シラカワ」
シロガネはグランゾンの一撃を受け、轟沈していく。ソレを見ていた新兵が声を出す。
「う、うぁ……あぁ……」
「……所詮、屑の下についた馬鹿どもだ。軍人である以上に、一人の人間であれば良かった。そう思わないか、ライディース」
「やはり……やはり君か!リョウマ・ラウ少佐!何故だ!貴方は!リュウセイ!アヤ!気をしっかり」
「シュウ博士、どうしますか」
「…そうですね、リョウマ博士。お願いできますか?貴方のその機体にも興味がありますので」
リョウマはスロットルを踏み込み、ライフルからランサーとシールドに分離させる。そして、身動していない2機のPTを吹き飛ばす。
「AIではない、なるほど……新兵か。ライディース、君にとって足枷ではないのか?」
「黙れ、死んだと聞かされていた。君の事は心友だと思っていた!」
「ふっ…戦争では心友も殺し合う、君達は此方に来ないだろう?なら、ライディース、せめて俺の攻撃で死んでくれ」
銃口がライディースへと向けられた瞬間、空間に穴が開く。
ソレをリョウマは知っている。
頭痛と共に、見たことのない機体が現れる。
「なぜ……サイバスターが」
「…リョウマ・ラウ博士?」
サイバスターの出現により、リョウマの頭痛は激しさを増していく。
何か話しているサイバスターのパイロットとシュウ・シラカワ。
リョウマの乗るレヴリアスがグランゾンに引かれる。
「私はこれからビアン博士と会わなければなりませんので」
「そうだ……俺は………ぅあ……!」
頭痛を振り払い、変わらぬ表情に戻る。
「シュウ博士、此方です」
リョウマはグランゾンと共に北極から消え去った。
「少佐……リョウマ、何故だ」
ライディースは自身の心友にして、弟と考えていた青年の暴挙に只管に、無意味な無力感を感じるのみであった。
北極圏を抜けた先に、DCによる特殊戦闘艦が待機している。数多のゲシュペンストを待機させ、グランゾンすら格納できるスペースノア級万能戦闘母艦である。
この特殊戦闘艦の名は『TERRA』
ローマ神話における大地の女神にして、すべての母を守るために作られたビアン・ゾルダークとリョウマ・ラウによるDC最高機密である。
通常のスペースノア級の2倍。
全長1,560m。総重量は測りしれず、ヒリュウに搭載された物と同形のテスラ・ドライブを改良し、出力を80%も上昇させた物を2機。
ロケットエンジンを16機、現在、存在している地球製の戦闘艦でこれほどのものは存在しない。
そんな、テラの中でリョウマとシュウは会話をしていた。
「これほどのものとは」
「ICBM及びIRBMも搭載しています。無論、この2つの使用に関しては私かビアン総帥の許可がなければなりませんが」
「抑止力ですか」
「何か来てからでは遅い、敵が来ているならソレを倒すための武装を持つ必要がある」
「……つまり」
「コイツを知るものは少ない程良いのです。ここに居るメンバー全員が、真にビアン博士の意思を信じ、そして、私と同じように異星人に家族や友を奪われた者達ですから」
「連邦を変えるためですか」
「えぇ、旗艦にはなりません。クロガネがありますから」
「リョウマ隊長、ビアン総帥から命令です。日本伊豆基地への威力偵察を行えと」
リョウマがシュウと話している中でリョウマへの指示が飛ぶ。
「申し訳ありません、シュウ博士。グランゾンの整備は完了しております。最後まで共に行きたかったのですが、我々に任務が」
「わかりました、私は出発しましょう。貴方も、お元気で」
リョウマ達は一度テラを浮上させるとグランゾンを総員で見送った。
その後、再び潜行し伊豆基地へと向かったのだ。
「……カイさん」
自身に当てられている司令室にてリョウマは教導隊時代を思い出していた。
ゲシュペンストをボロボロにするゼンガー、カーウェイ、ソレを止める自分。
マニュピレーターと脚部が壊れると言うカイ。
「………レヴリアス、戦争だ」
そして、テラは日本近海に沈んでいる。
ステルスとなり、下部砲塔も内部に格納に完全な無音状態で伊豆基地を襲撃している部隊を見ていた。
「……隊長、俺達が行くか?」
「グリム・リーパーは先日ドーバーを落としたばかりだろう。まったく、仕事のし過ぎだ。無論、スプリガンもだぞ。ラングレーの制圧、見事だった。本来のミサイル攻撃よりも敵兵器を此方に確保できたんだからな」
「はっ!この、ミランダ、隊長の為とあらば」
「まったく、女ってやつは」
「なんだ、カレル」
「いんや」
グリム・リーパー隊長カレル・コースとスプリガン隊長のミランダ・カーは仲がよろしくない。
部隊連携は取れるが、オフではこれなのだ。
「ステルスは俺が得意だ、レヴリアスで出る」
リョウマは深海からステルスモードのレヴリアスで出撃を行った。
「……佐世保?」
攻撃部隊への不穏な気配を感じながら伊豆基地の偵察よりも優先度を上げる。
「……うわぁ」
リョウマが見たのはアームパンチを駆使し、DCの戦闘機を吹き飛ばす量産型ゲシュペンストMkⅡだ。
「…はぁ、アームパンチ当てられるって中々いないのに。開発者としては、嬉しいけどさ」
そうしている内に見覚えのある3機のPTが姿を見せる。北極で戦闘したチームだ。
「ライディース、まったく」
ライディース以外のメンバーは正直パイロットとしての腕は微妙であった。
一人は新兵の動きだとリョウマは笑いながら、静かに戦闘を見送る。
すると、DCの攻撃部隊が下がり始める。
「MAPWだと?」
通信から佐世保を消し飛ばすつもりだと理解できる。馬鹿だと、巫山戯ていると、思っていた。
リョウマとビアンの方針は極力民間人への被害を出さない事だ。
基地に勤めるのは軍人だけではない。
そして、MAPWの火力では周囲の集落にも被害が出かねない。
「見捨てられるか、馬鹿者が」
リョウマはステルスモードを解除し、レヴリアスが飛翔する。
「軍人なら、民間人は守れ!馬鹿者がぁ!」
同胞であっても、リョウマはそのMAPWの信管を的確にステアードシステムで斬り落とす。
「なっ…!リョウマ少佐!!」
「佐世保は降伏した、攻撃部隊総員。基地に入れ」
リョウマは民間人を見捨てて、軍人だけが逃げたことに憤りを隠せなかった。
激しい怒り、憎悪が再び湧き上がる。
「……守るために」
リョウマの行動を、ライディース達は見ていた。
「カイ少佐、あのアンノウンは」
10代ほどの少女ラトゥーニがカイに問う。
カイ自身も知っている、その機体が何なのか。
「レヴリアス、とある男がたった一人で設計した機体だ。だが、アレのパイロットは存在しない。既に」
「生きていました」
「君は」
「ライディースと言います、カイ少佐。彼は生きています」
カイはライディースの言葉に嬉しさ、そして納得してしまった。
「彼なら、DCに行って……いや、それこそDCの初期からのメンバーでもおかしくはない」
「あの、彼とは」
「機密事項だ、ライディース。君の事は思い出した、エルザムの」
「はい、」
「ならばだ、俺達はであった時戦うことになる。だが、彼は……彼の軍人としての信念を忘れてはいないだろう、でなければ……MAPWの信管など切り落としはしない」
リョウマの起こした行動で、戸惑いつつ笑っていたリュウセイを見ていたライディース。
根本にある考え方を人は変えられない。
「……伊豆基地は」
「わからん、どうなるかだな」
とうのリョウマは信頼できる指揮官に佐世保を任せ、本来の任務である伊豆基地の威力偵察を行おうとしていた。
PT部隊は貴重であるにも関わらず、新兵がゲシュペンストMkⅡに乗っているのは何処か、開発者として嬉しさを感じていた。
「…そうだ、次の世代から乗り換えることで、より広まる。カイ少佐、貴方の部下となる者たちならば」
そう考えていると、件の新兵がDCの兵士とオープンチャンネルで会話を始めた。
話している内にゲシュペンストMkⅡのパイロットはリュウセイ・ダテ。
こちらのリオンに乗っているのがテンザン・ナカジマと言うパイロットだと判る。
「…テンザン・ナカジマ。後で調べてみるか」
仲間と戦う敵にリョウマは何処か、美しい物を見ていた。真の軍人の一人が率いているためか、それとも、自分が美化し過ぎているだけか。
「今のところ、カイ少佐の部下以外に目立った部隊はいない。此方に賛同しない、まともな軍人はいないということか」
リョウマは何処か寂しさを感じながらレヴリアスと共に深海へと消えた。
よぉ、俺だ。
今回はテラの性能を紹介していくぞ
スペースノア級戦略万能戦闘母艦『TERRA』
全長1,560m 総重量不明
武装 対空レーザー砲多数
ライオニックミサイル×24
艦首魚雷×6
下部3連装レールガン×4
下部ビーム副砲塔×5
3連装レールガン×4
連装ビーム副砲×6
IRBM発射管×2 ICBM発射管×1
エネルギーシールド搭載
装甲材質 超抗力金属
修理システム 補給システム
次回は俺よりも大暴れする奴の話だ!
私を悪く言うな!という事で次回
ディバイン・クルセイダーズPart2セリウス
ぜひ読んでくださいね!