フラスコの世界を駆け抜ける   作:影後

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よう、俺だ。
今回の話はレイラ達の方だな。
ATXチームとSRXチーム、いつ出会うやら。


ディバイン・クルセイダーズPart2セリウス

「……お父さん!アレ!!」

 

「連邦のヒリュウ改か!行けるか、レイラ!!」

 

「…私だって、講習は受けてる!」

 

「その意気だ」

 

レイラとテンペストはセリウスを使いながら、ヒリュウ改のPT部隊を援護する。

 

「何処の所属だよ!」 

 

IFFの存在しない未確認機が出現したことで、部隊は一時荒れる。しかし、即座に慣れた対応をテンペストは行った。

 

「元特殊戦技教導隊所属テンペスト・ホーカー少佐だ!貴官らを援護する!」

 

「教導隊?ありがてぇ!」

 

ゲシュペンストMkⅡに乗りながらスラスターで滞空戦闘を行うチームに、テンペストは歓喜する様に笑う。

 

(ゲシュペンストであれ程の……大佐、リョウマ君、私達のゲシュペンストは成長しているぞ)

 

「良い腕だ!だが、推進剤の量は忘れるなよ!」

 

「了解です!少佐!!」

 

「お父さん、少し暴れるよ!」

 

「火器管制システムは任せろ、お前は好きなように」

 

「わかったよ!」

 

「まてそれは」

 

セリウスはまるでレイラの手足の様に動く。

空を自由に、まるで鳥のように飛びながら、狩人の如く、バグズ達を仕留めていく。

ステアードシステムを使いながら、初めての戦闘であるにも関わらずだ。

バグズの弾幕の中に飛び込み、被弾は最小限に抑えている。

 

(天才だ、まさか……リョウマ君は知っていたのか………)

 

「お父さん!」

 

「迎撃システムしか使えないのはつまらんな!」

 

そう言いながらも、テンペストは迫るミサイルやバグズの機体を撃破する。さらには火器管制システムを一人でやりくりしているのだ。

レイラだけではここまでの行動は起こせなかった。レイラとテンペスト二人が揃っているからこそなのだ。

殲滅し、ヒリュウ改へと一時的に協力者という立場で参加することになった矢先、再びスクランブルが起こった。

しかし、それは小規模の物でセリウスが出撃するよりも速く、ヒリュウ改を支援するために来たATXチームにより、殲滅されたのだ。

 

「……テンペスト」

 

「ゼンガー……貴様!」

 

テンペストは出会い頭のゼンガーの頬を本気で殴り、吹き飛ばす。

 

「お父さん!」

 

「お前が居ながら…!何故だ!何故リョウマ君は死んだ!お前は!!」

 

「あのぉ……チーフのお知り合い?」

 

「俺の息子だ……ゼンガー」

 

「……済まなかった」

 

テンペストはゼンガーの胸に拳を当て、年甲斐もなく泣いてしまう。

レイラは既に覚えていない、だが、テンペストにとって、リョウマは最大の恩人であるのだ。

もし、あの事件でレイラまで喪っていればテンペストはきっと堕ちていた。

自分を拾い上げ、剰え目標としてくれた。

恩師の息子であり、自分のもう一人の家族。

 

「……俺が、俺が連邦に残ってさえいれば」

 

テンペストは涙が止まらない、ゼンガーも、誰もがそれを止められない。

止めるすべを持っては居ない。

 

「チーフ、あんな家族が居たのね」

 

「……えぇ、リョウマ少佐は厳しくて、歳下なのに軍人ぜんとしていて………本当に」

 

エクセレンとブリッドの会話をキョウスケも聞いていた。しかし、すぐ座アラートと館内放送が響いた。モニターには爆炎に沈む、コーツランド基地が映り込む。その中央にはグランゾンが鎮座している。

 

「……」

 

そして流れるディバイン・クルセイダースを紡ぐビアン・ゾルダークの言葉。

顔と、人心を知る身からすれば驚かずにはいられなかった。

 

「……お父さん」

 

「どうした」

 

「私達、宇宙に戻るの?」

 

「…あぁ」

 

ラングレー基地からの命令により、ヒリュウ改は宇宙に上がり、戦闘することが決められた。

しかし、

 

「ねぇ……殺すの」

 

「………そうなる」

 

戦争だ、戦争では人が死ぬ。

レイラはそれがひたすらに怖いのだ、自分が殺すことになると理解している。

テンペストも成長だと感じたいが、その理由がリョウマの死であるのは明白なのだ。

 

「だが、セリウスはお前じゃないと」

 

「判ってる、セリウスは私の機体だもん。私が……私がお兄ちゃんから」

 

ぎゅっと贈られた鍵のアクセサリーを握りしめるレイラにテンペストは言葉を失う。

 

「不味いな……」

 

死人に引き摺られている、それはどんな人間にとっても苦しい事なのだ。

死人に引き摺られた人間は死人に近付き、死を受け入れようともする。

テンペストはどうにかレイラを留めておきたい。

 

「レイラ、お前が死んだら誰がリョウマ君を記憶する。俺か?ゼンガーか?彼奴等か?」

 

「…」

 

「日常で、お前以上にリョウマ君と過ごしたやつは居ないんだ。レイラ、忘れるな。お前が死ねば、リョウマ君は忘れられる。お前に見せた、彼の笑顔が消えるんだ」

 

「………ごめん、お父さん」

 

レイラはテンペストから離れると何処かへと走り去る。

 

「年頃の娘は気難しいですかね?」

 

「ウェブリー副長」

 

「どうです、スコッチですが」

 

テンペストは出されたグラスに注がれたスコッチを受け取ると近くのベンチに座り、宇宙を眺めた。

 

「特殊戦技教導隊の件は……残念でした」

 

「いえ、オクトパス小隊ですか……荒削りですが、彼等の動きを見ていると私達が行ったのが無駄ではないと理解でき、感慨深い物がある」

 

「……」

 

「ですが、そんな教導隊も解散し、…カーウェイ大佐は亡くなり、リョウマ技術大佐も、」

 

「戦友だった」

 

「二人は…私にとって家族でしたよ。リョウマ技術大佐に関しては、自分の息子にも等しい」

 

「……私は妻も子供も居ませんが、今守りたいと思える上官と部下達がいますよ。……若い者から死んで行く、それが何れ程苦しいか」

 

「……死んで欲しくなどなかった」

 

グラスに残ったスコッチを飲み干し、テンペストはウェブリーに感謝を述べる。

 

「ありがとうございます、ウェブリー副長」

 

「悩みなら、先人である私が聞きましょう」

 

敬礼をし、その場から立ち去る。

残るのはスコッチを再びグラス注ぐウェブリー。

 

「…この宇宙に散った命、そしてこれから死ぬ命に」

 

立ち上がり、宇宙に向かいグラスを掲げる。

そして、ゆっくりと飲み干した。

 

 

 

 

「……お兄ちゃん」

 

レイラはセリウスの前で泣いていた。

テンペストから言われた言葉が頭の中を駆け巡り、何度も繰り返される。

 

「あら…あの子」

 

「どうした、エクセレン」

 

「大丈夫?」

 

「あっ…」

 

レイラはその顔を知っていた。

リョウマが所属する部隊のメンバーの一人だったと。

 

「お兄ちゃんの部下の」

 

「お兄ちゃん?嘘?!ボスの妹なの?!」

 

「違う、彼女はレイラ・テンペストだ。紹介があったろう」

 

「冗談よ、チーフの写真の妹さんでしょ?知ってるわよ、チーフったら私に「妹の誕生日に贈るプレゼントはどうしたら良いだろうか……エクセレン少尉」なんて、世界の終わりみたいな顔で聞いてくるんだもん、笑っちゃったわ」

 

「…お兄ちゃん、そんなに考えて選んでくれたんだ」

 

「…少佐か、俺はあまり話したことはなかった。いや、小言を言われるのは多かったか」

 

「えぇ、覚えてるわ。「マニュピレーターで殴るな!プラズマソードを使え!」だったり」

 

「「機動兵器で機動しないお前は馬鹿だ、雑魚だ、死にたいのか、ノロマ!」なんて大声で言われましたよ、無理ですって、チーフレベルの操縦技術を持ってる人はいません」

 

「…だか、俺には負けた。だが…シミュレーターのデータでわかる。アレは……本気じゃなかった」

 

「そうなのよねぇ…正直、なんで彼処で止めたのかわかんないのよ。チーフならそれこそ、キョウスケの意識が」

 

「オホン!エクセレン少尉」

 

「あらら……失言」

 

レイラは身近なリョウマなら知っているが、軍人のリョウマを知らない。

だからこそ、聞きたくなった。

 

「もっと、教えてくれませんか?お兄ちゃんのこと」

 

「彼は世間から疎まれ、上層部から嫌われ、何度も嫌がらせを受けていた」

 

それを話すのはゼンガーだった。何時からいたのか、だが……その話す姿は優しく、楽しそうだ。

 

「だが、彼は全てを跳ね除けた。証拠を抑え、軍法会議を起こし、上官だらうと噛みつき、汚職の証拠をばら撒く。嫌われていた…が、考えれば真っ当な軍人だったのだ。そして……彼の部屋には常に君達の写真があった。軍人だが、家族を捨てたことはない、忘れる事は決してなかった」

 

「……ありがとう、ございます」

 

レイラは涙を隠すことなく、リョウマを思い、泣きじゃくった。

 

 




次回、俺のレヴリアスが再び出撃。
『TERRA』のキャプテンなのに最前線かよ、まったく……
まぁ、慣れてるからな。

現れる心友、そして新たな戦艦。
宇宙から来たる戦士に青年の心が揺らぐ

次回 ディバイン・クルセイダーズ part3目的

私の出番は?

ないと思う

なら、これだけ!
戦え、レヴリアス
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