フラスコの世界を駆け抜ける   作:影後

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リョウマ・ラウ指揮下の部隊とハガネが戦闘が終了して数日。 
宇宙ではヒリュウ改がムーンクレイドルにてとある機体と合流せんとしていた。此処につくまでにゼンガー・ゾンボルト少佐が戦闘中にMIAとなるなど、戦争の辛さを思い知らされたが、ヒリュウ改のメンバーは戦争を止めるために動くのだ。


ディバイン・クルセイダーズpart4宇宙から

「ふざけるな!これを…ジガンスクードを使うだと!」

 

そう叫んだのはテンペスト・ホーカー少佐だ。

ジガンスクード、それに纏わる人間はここには二人いた。

 

「………お父さん、なんでこの機体が駄目なの?」

 

「レイラ、お前が知る必要はない!」

 

それはコロニーに居た者なら誰もが知っている呪われた機体である。

ホープ事件、コロニーで起きた爆発はジガンスクードが行った隔壁への攻撃が原因であった。幸いにも一部の軍人が即座にそれらを抑えた事により、コロニーの被害は大量だったものの、壊滅は免れた。

そして、妻であるアンナ・ホーカーと友人であるジェシカ・ラウを殺し、息子に等しいリョウマ・ラウに大火傷を負わせた機体である。

もし、このジガンスクードが出てきたとすればコロニー統合軍は全力でヒリュウ改を、リョウマは地球連邦軍を壊滅させるだろう。

 

「……ごめんなさい」

 

レイラはあまりにひどい顔をするテンペストに謝罪するしかできなかった。

テンペストはメンバーに謝罪すると、一人、与えられた自室へと入る。

 

「……盗聴器は無しか」

 

テンペストは盗聴器や隠しカメラが無いことを確認し、電話を取る。

本来、この様な行為を行えば罪に問われ自身は牢獄へと向かうだろう。

だが、赦せなかった。

自分たちの運命を、幸せを破壊したアレ『ジガンスクード』を。

リョウマを炎に苦しめたあれ『ジガンスクード』を。

 

「リョウマ君か」

 

「テンペストさん、何故……俺に連絡を?」

 

変わらず、優しい声でリョウマはテンペストに答えた。

 

「私は今、ヒリュウ改に乗艦している。だが……だが……許せないのだ。連邦は再びジガンスクードを使っている」

 

「…………テンペストさん、俺は宇宙に上がります。敵としての再会です。どうか、生き残ってください。俺の……俺と父さんが信じた世界の為に」

 

テンペストは涙を流してしまう。息子に等しい存在は生命を掛けている。

そして、死んだら自分に後を託したのだ。

何故、自分はコロニー統合軍に居なかったのか。

何故、リョウマと袂を分けてしまったのか。

何が正義で、何が正しいのか、もうわからないほど心はグチャグチャになっている。

 

「……すまなかった」

 

テンペストは謝罪しかできなかった。10分ほど、泣き続け通話を切った。

たとえ、裏切り者と罵られようと、娘に何と言われようと、恩人であり、恩師の忘れ形見の意志を無駄にはできなかった。

戦場ではテンペストは願った。接敵しないことを。

だが、その望みは最悪な形で裏切られた。

 

3隻のペレグリン級運用母艦。その1隻のエンジンが撃ち抜かれた。

動くことが叶わず、宙を無様に漂っている。

 

「なんだ!」

 

「そんな……あの機体は」

 

「コロニー統合軍、地球連邦軍、両軍に次ぐ。民間人を即座に開放し、この中域から離脱せよ。さもなくば撃滅す。繰り返す、民間人を即座に開放し、この中域から離脱せよ」

 

それは地球連邦軍側ヒリュウ改にとって、驚きの声。

 

「リョウマ技術大佐」

 

「チーフ」

 

「エクセレン少尉、ブリット…ATXチームか。こうしての再会、悲しいとしか言えん。だが、私は軍人だ」

 

「黙れ!貴様は……貴様は何をしたのか!我々を、仲間を撃ったのだぞ!」

 

「ジガンスクード、呪われた機体。それを操る地球連邦軍、判る。私はホープ事件の生存者だ。大人に救われながら、連邦の軍人に銃さえ突き付けられた。憎いだろう、だが……お前達は何をしているか!あろう事か守るべき者である民間人を盾にしている。コロニー統合軍、お前達の正義はなんだ!民間人を殺しててても勝ち取る勝利か?答えろ!」

 

戦場のど真ん中で、普段ならあり得ない事だった。

たが、飲まれてしまいそうな声。そして、コロニー統合軍の兵士達もこの作戦がどの様な物か理解している。

 

「俺達は……こんな事をする為に軍人になったんじゃない!」

 

「そうよ、私は……私は家族を……家族を守る為に」

 

「黙れ!エルピスの英雄だか、知らんが貴様が………貴様さえ居なければ」

 

初老の男が額に血管を浮き出させながら通信に出た。

 

「……兵士達よ、罪人は誰だ!お前達の指揮官だ!お前達はなんの為に戦う!お前達は!」

 

「黙れれぇぇ」

 

「チーフ時間稼ぎありがとう!お陰でガスの注入プラグは破壊できたわん!」

 

「そうか、ならば……コロニー統合軍の諸君。我に続け」

 

リョウマの機体、レヴリアスが加速する。

ヒリュウ改と接敵する寸前、その加速に唯一追いつけた機体が居た。

 

「流石だな、キョウスケ・ナンブ中尉。そしてゲシュペンストMkⅢ。いや、アルトアイゼンか」

 

「…何故、仲間を攻撃する!」

 

「愚問だな、俺の所属はDC。お前たちの敵さ!」

 

リョウマはまるで怒り狂った獣のようにステアード・ランサーを振り、アルトアイゼンを押し込む。

 

「エルピスの英雄に続け!」

 

復活したコロニー統合軍の兵士達がさらなる攻撃を開始する。

士気が上がり、自分達の正義を信じて戦う戦士たちが目覚めたのだ。

 

「ランサーも使い勝手が良いな」

 

「くっ…」

 

「どうした?キョウスケ・ナンブ中尉!機動兵器は機動してこそなんぼだ!」

 

アルトアイゼン以上の機動をしながら、ステアード・ランサーを自在に振り回す。被弾しそうになればステアード・シールドで即座に防ぐ。

 

「キョウスケ!」

 

「エクセレン少尉か、生憎だが……その程度の射撃で俺を落とせるとは思わないことだ!」

 

瞬時に距離を取ると、ロングステアードシステムのステアード・スナイパーへと変形させる。そして、エクセレンへの牽制射撃を行った。

 

「お兄ちゃん!」

 

「レイラか!やはり…レヴリアスを倒せる機体を!セリウスをお前に渡したのは正解だったようだな!」

 

その時だ、あり得ない機体が現れた。リョウマのレヴリアスに迫ろうとするアルトアイゼンを吹き飛ばし、アルトアイゼンと同等の加速を見せた機体。

 

(お前はソチラに……くそ、俺は)

 

テンペストはすぐに持ち直し、火器管制を行う。

 

「お兄ちゃんはなんでこんな……なんでこんな事をするの!もう…私わかんないよ!」

 

「レイラ、判ってくれとは言わないさ」

 

レイラはマドラー・ダガーで斬りかかるがリョウマはステアード・ブレードでそれを防ぐ。

 

「まだだ!」

 

マドラー・シューターの超連射。しかし、それはステアード・シールドで防がれる。

 

「火器管制のテンペストさんが居るにも関わらず、動きが鈍いぞ?」

 

「お父さん!接近するからミサイル!あと、機銃を!」

 

「あっ!あぁ!!」

 

両脚部のミサイル・ポッドから発射され、その中をすり抜けるようにセリウスは迫る。レヴリアスは胸部バルカンで撃ち落とそうとした瞬間、ミサイルが爆ぜた。

 

「陽動?!…テンペストさんじゃない。レイラか、やはり」

 

「なんで黙ってた!答えろ!!」

 

レイラは怒りに任せ機体を動かす、リョウマはそんなレイラを見ながら頬笑み、通信を繋げた。

 

「やぁ、レイラ」

 

しかし、微笑みながらもレヴリアスはステアード・シューターからビームを放つ。レイラも放たれたビームを回避しながらマドラー・シューターで攻撃を行う。バレットサークルを描きながら常人には耐えられない程の加速をし、的確な射撃戦が行われる。

 

「……弾幕の形成能力はセリウスが上か」

 

「そのビームシールド、出力がおかしいんじゃなくて?!」

 

ステアード・シューターとマドラー・シューターでは出力が前者が上、しかし、連射性能では後者が上だ。

レヴリアスはステアード・シールドでマドラー・シューターの攻撃を受け、セリウスは機体の軽さを利用し、最低限の動きでステアード・シューターを回避する。

 

「…そろそろ、お遊びは終わりにするか」

 

ATXチームに攻撃を行う機体、その正体を知っている。

共に戦っているという事だけで、リョウマは自然と笑が浮かんできてしまう。

 

「やはり、ヒリュウ改は落とすべきか……」

 

「!」

 

リョウマはレヴリアスを最大加速させる。

ゲシュペンストですらスラスターが爆発してもおかしくないほどの加速。

セリウスと違い、レヴリアスはリョウマの意志でこの手のリミッターが切られている。

 

「さて……ヒリュウ改。さよならだ」

 

「!」

 

「グルーヴァイン・バスター。照射」

 

「やめろぉぉぉぉ」

 

ジガンスクードがヒリュウ改の艦橋を防ぐようにグルーヴァイン・バスターの攻撃を受けた。

装甲は溶解し、コックピットは丸出しだ。奇跡、ミラクルだろう。

本来レヴリアスのグルーヴァイン・バスターはジガンスクードの装甲すらも撃ち抜くほどのビーム砲である。

しかし、今回の戦闘でリョウマはビーム照射砲という使い方をした。

セリウスとの戦闘、地球からの単独大気圏離脱という機体自体への過負荷によりグルーヴァイン・バスターの砲身が耐えられず融解したのだ。

 

「殺り損ねるか!…自分自身が機体の限界を見極められんとは!」

 

「リョウマ少佐!貴方はっ‼️」

 

「ラックフィールド少尉。ゲシュペンストMkⅡの乗り心地はどうかな?

まぁ、ウェアラブル・アーマーも、アームパンチも使い熟せていない君に聞くのは間違い…いや、お門違いと言うべきか」

 

そう言いながらレヴリアスはゲシュペンストMkⅡをステアード・ブレードで斬りつける。プラズマカッターで防ごうにも、出力が違い過ぎた。

 

「!」

 

ブリット自身、死を覚悟しただろう。しかし、彼方から3色の光が上がった。

 

「殺さないんですか!俺に……俺に情けをかけたって言いたいんですか!」

 

「違う、ラックフィールド少尉。勝敗が決した戦場で無用な血を流したくはない。さて、ヒリュウ改の諸君、見逃してやる。俺は戦争犯罪人の処罰があるのでな。さて、また戦場で」

 

レヴリアスはヒリュウ改に向け、敬礼をした後スラスターを最大で吹かし、宙域から離脱した。

たった1人の参戦により状況は混乱し、さらに敗北という苦渋を飲まされたヒリュウ改のメンバーはじっとレヴリアスのさった方向を睨んでいた。

 

 

 

 

 

 

 




遂に出会った俺とレイラ。だが、敵同士

……なんで、なんでこうなっちゃうの!お兄ちゃん!

正義の為、目的のため俺はもう止まらない。

次回、一つの戦いの終わり

死なせないさ、駆けろ!レヴリアスッ!! 

止めてみせる。羽撃け、セリウスッ!!!
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