しかし、地球連邦軍はコロニー統合軍壊滅へと動き出す。
二人は再び、戦場で敵対することになる。
「戦争犯罪人の処分も終わった。リョウマ少佐、君は」
「ゼンガーさん、ビアン博士の言葉を理解してくれたんでしょう?」
ゼンガーさん、ビアン博士とリョウマはオフの呼び方をする。
ゼンガーは理解した、今から起こる会話はリョウマの1個人としての、最後の会話になるかもしれないものだと。
「…父さんの目指した地球連邦軍はもう存在しない。ゼンガーさん、僕たちは何処で間違えたんですか?地球を護りたい、その信念で、でも……どうしても上手く行かなかった。ビアン博士も本当ならこんな事をしたくなかった」
泣いている、ゼンガーの前で見せた涙はカーウァイ大佐がロストしたあの時以来だ。
軍人ぜんとし、常に忠実に任務に望み、ATXチームでゲシュペンストの開発を行っていた姿ではない。
「足りなかったのだ。俺達が、上の世代がより動いていれば……」
「止めましょうよ、今できる事をする。それに……見つけたんです。ATXチーム、SRXチーム、奴等はきっと………きっとこれからの世界の礎になる」
ゼンガーはリョウマの姿が無き、カーウァイ大佐と重なって見えた。そして、この戦場で死を覚悟している様に、酷く悲しみを覚えてしまう。
「リョウマ、お前は次の作戦には後詰として司令部の直営に着いて貰いたい」
「戦うなと?」
「……そうだ」
「わかりました、ただ、死なないでください。僕は……もう、誰も失いたくない」
リョウマは少年だったあの時のように涙を流している。
ゼンガーは覚悟している、自信が未来への礎になることを。
だが、リョウマはそんな事は望んでいない。
「生きる、君とビアン博士の監督役もせねばならん。コーヒー風呂や季節外れのサンタクロースなど、以ての外だ」
微笑みを浮かべながら、ゼンガーはリョウマの頭を撫でる。
「子供じゃないですよ、ゼンガーさん」
「俺達(教導隊)にとってお前は弟だ。ならば、兄がやる行動に間違いあるまいて」
____ヒリュウ改
ヒリュウ改は資源衛星スーシンドッグにて補修作業後、地球軌道衛星へと復帰、更に地球連邦軍統合参謀本部より作戦指令書。携えたギリアム・イェーガー少佐と合流していた。
「ギリアム……俺は、俺はリョウマ君を止められなかった!俺が連邦軍に残っていれば……俺が」
「彼は既に軍に絶望していた。私達が残っていても無理だっただろう」
深い会話は無い、だが特殊戦技教導隊に居たのだ。
テンペストも、ギリアムもそれ以上の言葉を紡ごうとはしなかった。敵なのだ、場合によっては殺す事も視野に入れねばならない。其れ程の強者、パイロット、手を抜けば自分がやられる。
「…彼への引き金は私が引く」
「駄目……!」
そう、声を上げたのはレイラだ。
カーウァイ大佐の墓参りで初めて出会った少女がギリアムに声を上げていた。
「駄目です、殺すなら……殺すなら私が殺す!お父さんも、ギリアムさんも、他の人にはやらせない」
「何故だ、レイラ!お前が」
「嫌なの……皆、皆いい人だから。良い人を、お父さんを憎むなんてしたくない。だから、だから私に……私が…お兄ちゃんを」
ソレは本音だった、愛しているのだろう。
レイラにとって、その愛がどのような物かはまだわかっていないだろう。ギリアムもその顔を良く知っていた。苦しみ、悩み、抑え込む顔である。
「…にているな、瓜二つだ。」
「……ギリアム、俺は少し休む」
そして宇宙の運命は動いた。
___リョウマSide
「敵はブレイクフィールドを展開!まさか、特攻!?」
「オペレーター、落ち着け。戦争において最優先にされる事は生存だ。ヒリュウ改の者達はソレを理解している。恐らくは」
リョウマは叫ぶオペレーターを嗜め、コロニー統合軍司令官マイヤーに話しかける。
「うむ、だがどうであれ相手の策をそう安安と行わせはせん。リョウマ少佐、手筈は?」
「あの人は……ゼンガー・ゾンボルトはやります」
ゼンガーはグルンガスト零式のコックピットでGOサインを待っていた。命に関わる任務だ、ソレを現在司令官直鋭武隊の作戦参謀そして、副官としているリョウマから告げられた。
「生きて帰ってください。もし、死んだらカーウァイ大佐と模擬戦してもらいます」
「ソレは遠慮願おう、君がゲシュペンストで殴りかかって来かねない」
出撃前に話した内容、そして今相対するのはかつての仲間。
否、本来なら仲間なのだ。ビアン・ゾルダークの考えに賛同しただけではない、ゼンガーにとっての心残り。それは、部下ではない。自分にとっての弟分たる存在。心からの笑顔も、泣き顔も、既に失ってしまった弟分が戦っている。ならば、兄として、年長者として、最後まで共に居ても良いだろう。
「ゼンガーさん、お願いします」
「命令しろ、階級は」
「……命令じゃない。…ゼンガー兄さん、ありがとう」
通信が切られ、最後の言葉に何処か揺らぐ。
「ゼンガー兄さん…か」
ならばと、操縦桿に力が籠もる。
「我が名はゼンガー!ゼンガー・ゾンボルト!!義弟の為、己が信念のため、戦う剣なり!」
グルンガスト零式が加速する。
目的は一つ、ヒリュウ改のブレイクフィールドの破壊。
先端に存在しているジガンスクード。
それが展開するフィールド。ヒリュウ改、ハガネと続いている。
ならば、先端を破壊し足を止める。
「なんで零式が!でも、此処は通さな」
タスクの声が響く、しかし斬艦刀がだんだんフィールドを破壊していく。ヒリュウ改の中ではオペレーター達の叫び声が響いている。
「2号テスラ・ドライブに過負荷!」
「安全装置作動?!駄目です!出力が低下!」
「これでは、ブレイク・フィールドが維持できません!」
ジガンスクードが抑えているが、グルンガスト零式の出力の方が高いのか、だんだんと押されていく。
グルンガスト零式の戦闘を確認するリョウマはマイヤーに意見具申する。
「司令官、騎兵隊の出撃許可を」
「うむ」
「通信兵、ユーリア少佐を呼び出せ」
通信から現れるのは金髪の美女。ユーリア・ハインケル少佐である。25歳という若さで女性のみのエースパイロット部隊であるトロイエ隊を率いる女傑である。
「リョウマ少佐か」
「騎兵隊の出番です、トロイエ隊。発艦せよ」
「了解だ」
「待て、命令は3つだ。全機に繋げ」
「繋いだぞ。なんだ少佐」
「一つ、トロイエ隊全機の帰還を。二つ、生き残れ。三つ、勝利を我等に。頼むぞ、Valkyrie諸君」
「聞いたな、トロイエ隊全機。発艦。フルブラスト」
通信が途絶え、艦橋から出撃していくコスモリオン。そして隊長機たるガーリオン・カスタム。
「出たいか?」
「…正直言えば。私の戦場はコックピットの中ですので」
「そうか、ならば……」
戦場は混沌を極めていた。
コロニー統合軍対ヒリュウ改とハガネ。数で言えば勝ちは決まっているが、実際は違いすぎる。
ATXチームのPTが出現し、一気に戦況は混沌に変わった。
「トロイエ隊T2からT6は艦艇の護衛だ!T7、T8は私に続け」
「「「了解!!」」」
トロイエ隊を率いるユーリアはヒリュウにトリオを組んで攻撃を仕掛ける。ソニックブレイカーを起動し、ヒリュウの右舷装甲を削り切ろうとしたがジガンスクードが邪魔をする。
「うっうぉぉぉ!!俺とジガンならぁぁぁ!!!」
「ちぃ…忌々しいな。ジガンスクード!」
「……私の、邪魔をするな!」
「何?!ユーリア隊」
トロイエ隊が撃破された、今まで共に戦ってきた仲間が。
「貴様…」
「邪魔よ、私の狙いは唯一人!」
ソレは殺す覚悟、戦う覚悟を決めた少女レイラ・テンペスト,
そして、その少女に応えるために全力以上のパワーを出す愛機セリウスだった。
「速い!ありえん!ガーリオン以上の」
セリウスは加速する、戦場を無視し、敵艦のミサイルやビームすら最小限で回避する。そして、ソレを艦橋から見ている男。
「…司令官、申し訳ございません。」
「行け、戦士よ。その魂、ぶつけてみせろ」
「はっ!」
リョウマはレヴリアスのコックピットに飛び乗る。
パイロットスーツはない、もし何か有れば死ぬだろう。
だが、ソレも良いことだと感じている自分がいた。
「リョウマ・ラウ、レヴリアス!出撃する!!」
本来ならオレンジだったその機体は漆黒に染まり宇宙でのステルス性能に優れているはずだった。
しかし、そのメインカメラの光から見えるのは冷徹な視線。
対するは青緑と白い装甲の機体。
「……お兄ちゃん」
「生体反応が一つ、レイラ。お前だけなのか」
対となる機体が向かい合う。
ソレは、確かな定め。やるべきこと。
「貴方を……倒す」
「こい、レイラ」
レヴリアスとセリウスがブースターを吹かす。
レヴリアスが先行し、セリウスがソレを追うように戦場を飛び回る。
「くらえ!」
セリウスの両脚部ミサイルポッドから全てのミサイルが放たれ、ポッド自体もバージされる。より加速し、さらにレヴリアスへと迫る。だが、ミサイルはレヴリアスの胸部20mmバルカンに迎撃される。しかし、止まった瞬間にセリウスはインファイトを仕掛けた。
「ダガーは受け止められるさ」
「誰が二つも使うと?」
ステアード・ブレードがマドラー・ダガー一つで止められる。
もう一丁のマドラー・シューターがコックピットを狙っている。
「ごめんなさい」
「妹に兄を殺させはしないさ」
だが、レヴリアスの腕部ボックスタイプサーベルユニットが機動する。マドラー・シューターを狙うが、瞬間的にダガーにされ
破壊には至らない。
「レイラ、あまりソレを消耗品扱いするなよ。マドラー・システムの在庫はないんだぞ?ワンオフ機だしな」
「なら降伏しなさい!この戦いは連邦の勝利におわる!」
「どうかな?俺の義兄に等しい人の父親がいるんだ。弟として!あの人を守らなくちゃぁ、エルザムさんに顔向けできないんでね!」
そう言い、レヴリアスのグルーヴァイン・バスターが火を吹く。
狙いは簡単だ、トロイエ隊の邪魔をする憎き存在。
「ぐぁぁ!」
「そんな!狙撃だなんて」
「俺の数少ない特技の一つだ、さて、このままレイラを捕虜にしようか」
「させない!」
レヴリアスとセリウスの戦闘はより加速する。
現行機ではもう二機の戦闘に追いつくこともできない程の加速。
通常の人間ならばGで意識を失ってもおかしくはない、しかし二人にはG等は感じない。
「はぁぁぁぁぁ!!!!」
「あぁ……やっぱり、俺には撃てないな」
ソレは起こるべくして起こった事だった。
例えGに耐えられる肉体を所持していても、機体のバーニアは違う。オーバーヒートを起こしながらも、じっと耐え高機動戦闘を行っていたのだ。
「父さん、母さん……皆、すまない」
マドラーシステムでコックピット付近を貫かれた。
生きてはいるが、機体は地球の重力に引かれている。
「脱出して!私が…私が回収するから!」
「……次は地球だ。この雪辱、必ず晴らすぞ」
拒絶するように残ったミサイルをセリウスに直撃させる。俺と
しかし、その程度でセリウスの装甲は砕けない。
あくまでも、引き離すのが目的だ。
「地球で最終決戦だ、死ぬかも知れないが……その時はその時だな。レイラ、俺が言えた義理じゃない。でも……言わせて欲しい。生きていてくれて、ありがとう。ぁぁ…テンペストさん…ギリアムさん……すみませんでした」
ソレはオープンチャンネルで繋がった言葉。だからこそ、誰もが聞けたのだ。戦闘は一時的だが集結している。
名だたるパイロット達が倒れ、悲惨さを理解しているからだ。
「……ゼンガーさん、ごめんなさい。エルザムさん…俺は……護れなかった。必ず、必ず…ビアン総帥に勝利……」
通信が途絶えていく。レイラは火球とかしていくレヴリアスをただ見送る事しか出来なかった。
死んだと思うか?次も出るわ!
生存方法?セーフティシャッターで何とか。
レヴリアスは大気圏突入と離脱も想定している機体だからな!
問題ないんだよ!
ふざけんな!こっちは泣きそうなんたぞ!
…主人公がそう簡単に死ねるかよ
次回、ディバイン・クルセイダーズPart6
最終決戦
因みに後書きにあるだけだ、レイラは多分冒頭泣くぞ
うるさいなぁ!不定期投稿、次回も待っててね!
立ち上げれ、ゲシュペンストッ!