フラスコの世界を駆け抜ける   作:影後

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選択は常に作用する。
このフラスコの中で、この選択をした彼はどういう立場になる。
それを理解している物、そして起こる未来を知る者は居ない。


L5戦役 Part0選択

「ヴァルシオン着艦、緊急消火を!」

 

「ビアン総帥を運び出す!医務室!準備しておけよ!!」

 

アウドウネス島での最終決戦から1時間。

リョウマはテラの中にビアンとヴァルシオンを着艦させた。

そして、重い足取りでブリッジへと登る。

 

「少佐、クロガネより暗号通信です」

 

「モニターに出せ」

 

頭をかきながらモニターに映し出された人物と話す。

 

「よくもやってくれたな、リョウマ」

 

「いや…ビアン博士を助ける為で」

 

「そのためにクロガネをハッキングだと?

まったくお前と言う奴は本当に……」

 

説教が長くなりそうだと感じながら、

エルザムから言われる言葉を右から左に聞き流す。

 

「聞いているのか」

 

「命令違反は理解しています。

しかしビアン博士は必要です。これからの戦いの為にも」

 

「それは理解しよう、それで。テラは今何処だ」

 

「南太平洋を時速60ノットで航行中。

そこから、大西洋に入りジブラルタルを抜ける予定です」

 

「まて、何処に行くつもりだ?!」

 

エルザムの言葉は間違いではない。

60ノットという高速潜航だけでなく、ジブラルタル基地付近を

航行すると言うのだから。

 

「大佐を迎えに行きます。

モンペリエに向かう様これから連絡します。

仕方ないでしょ!博士がアードラーとか邪魔な奴を

生かしちゃったから!少なくとも、バン大佐は総帥派です。

味方なんですよ」

 

「お前…副総督を消そうとしてたのか?!」

 

「奴には、奴には野心しかない!

俺は強化人間兵士や『AC計画』を

利用するなんて間違っていた!所詮、ネームバリューを

利用したに過ぎない!」

 

エルザムは呆れながらどうしようかと悩む。

 

「それに……マイヤーさんまで喪った。

もう、これ以上俺は死んで欲しくないんだ。

エルザム兄さん」

 

「だからアレは……」

 

「わかってる。

それにバン大佐は俺がパイロットとして出撃した時、

このテラを任せられる人だ。このテラは、方舟であり、

地球の最終兵器。アースクレイドルやムーンクレイドル

とは違う、地球を護り敵を撃滅する方舟」

 

「……援護は必要か?」

 

「でしたら、バン大佐の援護を」

 

「了解した」

 

エルザムに敬礼を返すと、今度はバン大佐への通信を開く。

 

「ライノセラス、出ます」

 

通信オペレーターからの言葉に返事し、モニターを見る。

 

「……秘匿回線、ましてや総帥回線を繋ぐのは誰かと

思っていたが……君だったか。少佐」

 

「ハッ!バン大佐、我々は島での決戦に勝利。

しかしながら、地球軍の攻撃でビアン総帥が重傷を

負ってしまい、現在テラにて治療しています」

 

「……総帥の副官たる君の言葉を聞きたい」

 

「アードラー副総帥派はアースクレイドルへ退避、

現在総帥派はテラの乗組員、及びクロガネのみと

なっております」

 

「……合流せよと?」

 

「はい、アードラー副総督派にはテロリストも多く居ます。

バン大佐、我々の目的は地球圏を統一し一つの国家を築く

事でした。しかし、元テロリストを重用するなど以ての外です。

ましてや、アードラー副総督の強化人間など 自分は受け入れられません」

 

「………」

 

「バン大佐。

どうか…どうか、我々と合流しては頂けないでしょうか。

私は…いえ、俺はもう、尊敬する人を失いたくない」

 

「……わかった、若い世代に、若者にここまで言われるのだ。

合流地点を教えて欲しい。我々の部隊はそちらへ向かう」

 

「モンペリエに、ジブラルタル基地は我々が落とします」

 

「わかった、援護の必要は……いや、君がいるのだ。

我々の希望、ストームチームのリーダーが。

無問題だったな」

 

 

そこからはまさに雷撃戦だ。

ジブラルタル基地を襲撃し、機能停止に追い込み

バン大佐のライノセラス及びエルザムのクロガネと合流。

ライノセラスとクロガネはそのままテラに収容された。

伊達に1500m以上ある訳じゃない。

このテラはファクトリー艦という立場でもあり、

他の戦艦を整備可能でもあるのだ。

 

「……まさか、1週間もせずにモンペリエまで辿り着くとは」

 

「ライノセラスは、このままバラされ

テラの整備に使われます。バン大佐、申し訳ございません」

 

「かまわん、陸上戦艦と言えど水上では浮くのみ。

地球の7割は水で陸地は少ない。

飛べる、潜れる、その方が有用だ」

 

バン大佐と会話をしているリョウマ、

これからの方針を決める為にエルザムを

呼びに行こうとすると、ビアンを連れた

エルザムが姿を見せた。

2人は直ぐ様、敬礼をする。

 

「……おお、バン大佐」

 

「総帥、お元気でしたか」

 

「副官が死なせてくれなくてな。

若者に全てを任せると言うのも、先人と情けない」

 

「では、副官として。総帥、寝てください」

 

「1週間ベッドの上だぞ、暇なんだ」

 

「少佐は我々に死んで欲しくないと。

しかし、このままでは」

 

「……一度、テラのドッグへ向かうそうだ。

あの場所は私とテラの艦長たるラウ少佐しか知らん」

 

「私も、テラの事は知っていましたがここまで巨大だとは」

 

「エルザム、これでもテラは未完成なのだよ。

本来なら全長3000mを越え、全幅1000m、高さは500mと

超弩級戦艦になる予定であったのだ」

 

「はい、ですが開発に時間がかかるとしてテラとノアに

別れ武装能力をテラに。箱舟としての能力をノアに

与えています」

 

「……他にもあったのか」

 

「はい、ノアはその名の通りノアの方舟。

人類の為に必要な設備、種、遺伝子、全てが入っています。

私とビアン総帥が秘密裏に開発していました。因みに、

テラとノアかドッキングすると完全体のテラに。

完全体のテラは、最強のスペースノア級万能戦闘母艦です」

 

「……それで、テラのドッグとは」

 

「マリアナ海溝、ディープベースです」

 

 

ーマリアナ海溝・DC極秘基地ディープベース

「破棄したと思ったのだがな」

 

「勿体ないです、総帥。地球の7割は海であり、

地上に作るよりも海中に作った方が安全です」

 

「済まない、少佐。私とバン大佐にも説明して欲しいのだが」

 

「はっ、このディープベースはテラとノアを

開発するに当たり、DC設立前から私とビアン総帥。

そして、その関係者により作成されていました。

深海役1000メートルに存在テラとノアの開発可能な設備。

本来なら破棄される所を私の部下により秘密ドッグとして

活用していました。食料プラントも存在し、

今では海底都市アトランティスですよ」

 

「……私が言えた義理ではないが、君も大概狂った科学者だ」

 

「科学者とは狂っていないと意味がない、

理想と夢を持っているからこそです。

まぁ、クラーケンは今のところ見つけていませんがね」

 

リョウマはそう笑いながら静かに案内する。

深海特有の食材やら、人工的な酸素製造プラント。

これらを個人の派閥で作り上げ、兵士達はリョウマを

見つけると敬礼し、その後ビアンに気付くを繰り返す。

所属はDCだが、彼等の忠誠はリョウマに向けられていると

見えてしまうのだ。

 

「エルザム少佐、君はリョウマ少佐とは長いと」

 

「ロマンチストだったのは知っていますが……

バン大佐、少し意外というか……その」

 

「子供らしい笑顔だな、悪戯少年か……

子供が居れば、あれぐらいの歳だったかもしれん」

 

「気にし過ぎでしよう、私も子供が居ます。

それなのに、戻れて居ない……まったく」

 

「……恋人同士で殺し合うよりマシだ」

 

リョウマの姿を見るバンとエルザム。

方や、息子の様に思い、方やもう1人の弟だと思えている。

そして、会議室に通されるとヒアンは言葉を紡ぐ。

 

「我々は敗北した。

だが、彼等は示したのだ。己の力を。地球の未来を。

我々は表舞台から消える!しかし、活動を止めることはない!

彼等が出来ない事を我々が行う!光と影!我々は彼等の

影として、地球を陰ながら救う様に動こう!」

 

この放送はディープベースに居る全員に聞こえている。

モニターにはリョウマ、エルザム、バン、そしてビアンが

立ち並ぶ。

 

「我々はヒーローにはなれない。一度、世界に弓引いた者達。

しかし、それは覚悟の上である筈だ。

ならば、ヒーローの裏方として、時に協力し、時に暗躍し、

新たなる敵を討ち取ろう。

そのために、皆の力を貸してほしい。

私の為ではない、地球の未来の為に!」

 

兵士達は敬礼を続ける、時には感銘し涙する物も入る。

彼等の忠誠はリョウマに向けられているかもしれない。

だが、その理由は地球を護るためなのだ。

 

「此処に、ノイエDCの設立を宣言する!」

 

基地全土から歓声が上がる。

古きクルセイダーはもう居ない此処に入る者達は皆、

地球の、地球圏の未来の為に戦う新たなる戦士団が、

こうして誕生したのだ。

 




[リョウマ]
人類の新たなる希望
ノイエDCその発足は深海にて行われていた!
新たなる戦いと、新たなる敵。
地球が危機に陥るとき、最強の航宙母艦が戦線に
現れる!
次回! 宇宙戦艦テラ 始まりの戦い
楽しみに

[レイラ]
違う!私達はDCとの戦いの後傷付いた装備と身体を癒すため、
一時的な休日を楽しんでいた。
次回、L5戦役2 休日 
お楽しみに。
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