フラスコの世界を駆け抜ける   作:影後

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運命は一度、休み別人の運命を刻む。
それは、俺がけして望めない運命の始まりだ。


レイラ・テンペストPart1

(お兄ちゃん……お父さん)

 

これはレイラ、レイラ・ホーカーが軍人を目指すきっかけとなった事件。

新西暦184年、レイラはハイスクールの修学旅行でコロニーのエルピスを訪れていた。

レイラの通うハイスクールの修学旅行は遊びメインではなく、世界を知ることがメインなっている。コロニーエルピスを訪れたのもコロニー独立を経験、そして現状を体験してみるという物だ。

レイラ自身、父親がコロニー統合軍の少佐であるし、知り合いに何かと軍人が居るのもあり、なんとなくコロニーの独立も理解していた。

そして、父親であるテンペスト・ホーカーから何度もそれこそ、耳に蛸ができるほど聞いた最悪のシナリオ。

 

「独立は成功したが、こちらを邪魔に思う勢力がテロをしないかという問題だ。俺は……俺は」

 

「大丈夫だよ、何か有ればエルザムさんやお父さんが何とかしてくれるでしょ」

 

「まぁ……」

 

「それに、私に何か有ればお兄ちゃんが嫌でも飛んでくるよ?」

 

「……そうだな」

 

レイラの中には、リョウマに抱かれて炎の中を歩いた記憶はない。

だが、テンペストから何度も聞かされたリョウマがその身を犠牲にしてまで、自分を守り抜いたことを。

 

「……あぁ、リョウマ君ならな」

 

この時のテンペストにとって、リョウマの名前は聴きたくない、忘れたい物であった。

カーウェイがなくなり、心身ともに疲弊していたリョウマに何か言う事もなく、地球連邦軍を内側から変えるという誓いを果たすこともできず、おめおめと宇宙に帰ってきてのだから。

テンペストは己の事を、裏切り者だと内心、卑下していた。

そんな矢先に事件は起こった、快楽型テロリストであるアーチボルド・グリムズが毒ガスを利用し、コロニーエルピスの一部を占拠したのだ。

 

「エルザム!作戦はどうなっている!」

 

「テンペスト、何故ここに」

 

「娘がテロリストの人質何だぞ!何故俺が呼ばれない!」

 

テンペストはエルザムに怒鳴るが、エルザム自身は苦虫を噛んだ様な顔をする。

 

「指示だ、お前は斬り捨てられない」

 

その言葉を聞いたテンペストは絶望したような顔をする。

 

「巫山戯……るな……娘を……娘を見殺しにしろというのか!」

 

「…大勢を救うには少数の犠牲が必要だ!」

 

「お前には大切なものがないんだろう!」

 

「妻がいる!人質の中に……俺の……カトライアが……」

 

エルザムは自身のデスクにバンと拳を叩きつけた。

 

「……すまん」

 

エルザムの目尻には涙の後が滲んでいた。

テンペストは親友の葛藤が理解できる。

 

「まて…貴様、何を考えている!ここはコロニー統合軍の」

 

「カーウェイ・ラウの息子だ。といえば判るか?」

 

「………」

 

扉の外からドスの聞いた声が聞こえてくる。

それはテンペストとエルザムにとって聞きたいものではなかった。

 

「……エルザム少佐、テンペスト少佐、残念だな。最後まで手を尽くさないとは」

 

「……リョウマ……君なのか」

 

「君付けされるほど、親しかったかな?少佐」

 

リョウマからの拒絶の言葉にテンペストは黙り込む。ソレを一瞥するとリョウマはコロニー統合軍のメンバーに言葉を綴った。

 

「今回の作戦は俺達のストームチームが行う」

 

「まて、連邦軍の支援は」

 

「ストームチームは連邦軍ではない。テスラ・ライヒ研究所所属部隊だ。連邦軍と同じにするな」

 

怒りが見え隠れしているが、リョウマの話は続く。

 

「ビアン・ゾルダーク博士主導の下に、とある新兵器が開発された。換気扇だ」

 

「ふざけているのか」

 

「いいや違う、正式名称はair purification system。空気の浄化をコロニー内部でなら1機で30分で可能だ」

 

「間に合わない」

 

「誰が一つと言った。60機だ、既に運び込んである」

 

「……知っていたのか」

 

「連邦軍の一派に不穏な空気があった。奴等を尋問したら簡単に吐いた。だから来た、それに元々これはコロニー送るはずの機械だ。この様な作戦利用を目的としてはいなかったが……妻と娘を見殺しにしたい様だったからな。ビアン博士は望まんが、軍事利用させてもらう」

 

「待ってくれ…これは」

 

「コロニー建設で、場合によっては毒ガスが発生することもありえる。そのために、ビアン博士が開発した」

 

「………ありがとう」

 

エルザムは振り向かないリョウマに理解した。

リョウマと向き合っている兵士は気不味そうな顔をしている。さらに言えば、地面には無色の液体が垂れている。

 

「ストームチーム、民間人を救うぞ」

 

「「ウーラー!!」」

 

4機のゲシュペンストは輸送戦艦から大量のコンテナをコロニー内に配置する。

 

「俺の家族を狙ったんだ……生きて帰れると思うなよ。クズめ」

 

リョウマは怒りとそして、民間人を救うという軍人としての使命と共に作戦を開始した。

そして、時はすぎる。

レイラは囚われの身でありながら、けして希望を捨ててはいなかった。

自身の周りには同級生がいる。

テロリストは人質をだいた40人程のグループに分けて監視していた。

人質達は口にガムテープをつけられ、目隠しをされている。

 

(……どうにかして逃げれないかな)

 

レイラはガムテープを舐めてずらし、既に剥がせる所まで来ている。

 

「交代だ」

 

(……これなら、ありがとうお兄ちゃん)

 

レイラはリョウマにとって長い間合うことのなかった妹分であり、溺愛と言うかとある約束を守る為に色々と渡していた。

その一つが腕時計内臓のナイフである。

刃が飛び出るタイプの危険なアイテムであるが、リョウマはソレを説明書と共にレイラのハイスクール進学祝いとして、金一封と共に贈った。

役立つ事はないとレイラ自身考えていたが、どうやら使うことになった様だ。

 

「外れた」

 

レイラは目隠しを外すと一人ずつ拘束具を外して行く。

 

「皆、大丈夫?」

 

「ありがとう、レイラ」

 

「何でもいい、武器を持つの。私が監視を呼ぶから入った瞬間、頭を殴って!」

 

レイラの指示でそこら辺に落ちている物を何でも使う。流石に武器になるものはないが、身につけていた物で、ネックレスを持っていた生徒が首を締めることを提案した。

 

「おい、交代だ」

 

「あ」

 

ドサリとドアに隠れる様に立っていたレイラに何かが聞こえた。

 

「……ここが人じ」 

 

レイラは入ってきたテロリストを蹴り飛ばすと生徒たちが抑え込む。そして、ネックレスを持った生徒が首を

 

「!!!」

 

暴れる兵士は何かをするように手を伸ばす。

すると手のあたりからワイヤーが飛び、生徒の一人を傷つけた。

 

「何が」

 

その生徒が物凄い勢いで引っぱられ、抑えていた生徒を吹き飛ばす。

 

「まずい」 

 

テロリストはそのまま生徒達の足を瞬時に撃ち抜くと拳銃をレイラに向けた。

だが、レイラは不審に思う。撃たれた生徒からは血が一切流れていなかった。

 

「……助けに来てやれば殺す気か?お前それでも……」

 

「まさか…お兄ちゃんなの?!」

 

「お前らに殺されかけたがな!」

 

割とキレているようで、よく見れば見た目もテロリストとは違う。

 

「もうすぐテンペストさんやエルザムさんが救出に来る。お前、銃は撃てるか?」

 

「無理!」

 

「なら、コレを使ってテンペストさんと連絡を取れ、俺は残りを排除してくる」

 

「頑張って!お兄ちゃん!!」

 

「自分の父親は間違えるなよ」

 

リョウマはそう笑うとそのまま駆け出した。

テロリストを殲滅するためだ。

レイラはソレを見送ると受け取った通信機から連絡する。

 

「テンペスト・ホーカーの娘のレイラ・ホーカーです!誰か、誰か居ませんか!」

 

「レイラなのか」

 

「お父さん?!今、お兄ちゃんがテロリストを殲滅するって……私に救出部隊を頼めって」

 

「エルザム!」

 

「総員、対人制圧装備だ!一人残らず確保しろ」

 

「「イエッサー!!!」」

 

コロニー統合軍の救出部隊はそのまま作戦行動を行った。人質に被害はなく、更にコレが地球連邦政府のコロニー独立反対派による攻撃だと発表される。各マスコミには何故か情報がばらまかれ、火消しを行うこともできなかった。

その記事が書かれた新聞を、をビアン・ゾルダークは読んでいた。

 

「随分と派手にやったようだね」

 

紅茶を飲みながら、優雅な午後を過ごしているのはリョウマだ。ビアンはこの頃のリョウマの趣味が分からなくなっている。カーウェイが亡くなった日から、何かを埋めるように色々な事に手を出しているのだ。

 

「やるからには徹底的に、それに……テロリストを援護する奴らは入りませんよ」

 

「……だが、実行の主犯は逃走している」

 

「アーチボルド、次は仕留めます」

 

「ウム……所で恋人はいるのかね?」

 

リョウマはビアンの言葉に驚き、持っていた紅茶を溢してしまった。

 

「熱っ?!」

 

「大丈夫かね!」

 

「こっ…恋人なんて………妹分が居たんです。それに、宇宙ならエルザムさんやテンペストさんに会えると思ったので」

 

きついことを言いつつも、リョウマにとって教導隊のメンバーは家族だったのだ。ビアンもソレを知っている。

 

「しかし、君の考えは良いものだな。マオ・インダストリー社に権利を売り付けたのもだ」

 

「マオ・インダストリーは理解してくれましたよ。空気の大切さをね。地球の人も理解してほしい物です」

 

「有るものは理解できず、無いものこそ理解ができるとは。……まったく」

 

「人間なんて、そんな物です」

 

ビアンは何処か達観しているリョウマを息子の様に思えていた。何故か、自身に息子が居ればこんな感じなのかと思わせられるのだ。

 

「ビアン博士、見てもらえませんか?」

 

「これは……できるのか」

 

「えぇ……俺の専用機がもうすぐ」

 

 

という地上では不穏な空気が流れていたにも関わらず、コロニーでは平和な日が流れていた。

 

「ねぇ……パーパー」

 

「むっ」

 

テンペストは知っている、娘であるレイラがパパと呼ぶ日に限って言えば面倒事のお願い事だと。

 

「まったく……何を」

 

「お墓参り、お母さんと、おばさんと、おじさんの!あと、テスラ・ライヒ研究所見たい!」

 

テンペストは頭を抱える、レイラがあのエルピス事件から軍人になりたいと言っていたのは知っているが、その憧れている相手というのがリョウマだと理解できる。

テンペストはリョウマを棄てたと思われているのだ、いくら見学ができても出くわす可能性のある場所にはいけない。

だが、アンナの墓はコロニーたがカーウェイとジェシカの墓は地球な上にリョウマも共に行きたいというのはテンペストの中にもある。リョウマの知らないテンペストの事を話してあげたい、その気持ちも確かにある。

 

「だがな、俺はリョウマ君に嫌われて」

 

「でも、人質だった時に話したけどそんな雰囲気は無かったよ。殺しかけちゃったけど」

 

「殺しかけたって……あぁ…」

 

報告にあった話だとテンペストは呆れる。

仕方のないことだが、リョウマが不憫でならない。

 

「お兄ちゃん、お父さんの事、変わらずテンペストさんって呼んでたよ。ねぇ、聞かせてよ。何があったの?」

 

「………そうだな」

 

テンペストは観念し、レイラにあったことをすべて話した。途中から呆れる様な溜息がレイラの口から出てくる。

 

「もう……お父さん!お兄ちゃんはね!そんな事でへこたれないの!それに、お兄ちゃんは約束も守る、でも、破っちゃう事もあるよ。でも、必ず謝ってくれる。お父さんは謝ることもできないの?」

 

「それは……」

 

「それに、お父さんは家族を選んだ。お兄ちゃんがソレに文句言うわけ無いよ」

 

「そうだと……思うか?」

 

「大丈夫、お兄ちゃん。お父さんの事も大好きだから、それこそ、褒めれば赤くなるかもよ」

 

「……この娘は」

 

テンペストはレイラの頭を撫でると直ぐ様エルザムに連絡を取る。

 

「どうした、テンペスト」

 

「リョウマ君にあってくる、2週間ほど休暇を取れないか?」

 

「その理由なら俺は断われん。お前の仕事の代行はする。俺いや、ブランシュタイン家からも感謝を伝えてくれ」

 

「なら、手紙ぐらい書け」

 

「だな、後でお前に渡す。便等は此方で用意する、頼んだぞ」

 

電話が着られると、テンペストは天井を見上げる。

 

「カーウェイ大佐、何が好きだったかな」

 

「取れた?」

 

「あぁ、チケットはエルザムが用意してくれる」

 

「エルザムさん、太っ腹だね!」

 

「妻を救われたんだ、来年にはご懐妊かもな」

 

「なら、その時はパーティだね!」

 

テンペストはレイラを撫でながら、ここに居ないリョウマを思う。

 

「あぁ、そうだな」

 

ここに、カーウェイとリョウマが居ればどれ程良かっただろうと、テンペストは考えずにはいられなかった。

 

 

 

 

 

 

 




原作との違いだぞ。
エルピス事件は独立後に起こっている。
小さな差異だ。これはここ特有だと思ってくれ。

私が16歳の事です。次はお墓参りと私とお兄ちゃんのデートの話!

……お目付け役となっただけだ

少しは色気見せろ!この………くっ…色男なのに、何故こうなって!!!
次回、レイラ・テンペストPart2
てか、なんでレイラ・ホーカーじゃくて、レイラ・テンペストなの?!

作者が間違えたのもあるが、レイラとテンペストさんの描写を個人的にメインにしたいかららしい。

なら、ホーカー家でいいのに!!



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