俺にとっての日常は……どうだろうな。
レイラ・ホーカーとテンペスト・ホーカーは、
エルザム・V・ブランシュタインに呼ばれ、ブランシュタイン邸に赴いていた。
「エルザム、どうしたんだ?」
レイラではなく、テンペストだけがエルザムの部屋に通される。そして、エルザムの部下と思える兵士が扉を塞いだ。
「良い報告と悪い報告がある。どちらから聞きたい」
「悪いのは聞きたくない、良い報告から頼む」
「地球への便が取れた、1週間後だ。それに付随して、お前達の旅行の為の休暇も取らせる。準備を怠るなよ」
エルザムから伝わった言葉に感謝の意を返すが、まだ悪い報告が残っているというのが気落ちさせる。
「悪い報告とは何だ、エルザム」
「……カーウェイ大佐のゲシュペンストタイプSの残骸らしきものが発見された」
テンペスト顔に手を当て、目を覆う。
「コロニー統合軍となってから、マイヤー総司令と俺はゲシュペンストタイプSの捜索をしていた。………その成果だ。」
「……何処のパーツだ」
「腕部だ、最後まで抵抗したようでマニピュレーターが拉げていた。残っている方がおかしいレベルだな」
エルザムとしても伝えたく無い情報だ、だからテンペストに頼んでいるのだ。
「続くんだろ」
「俺からの手紙と共にゲシュペンストタイプSの残骸を渡してほしい」
エルザムから渡されたのはゲシュペンストタイプSの破片である。いくら立場上手に入ると言ってもソレを持っていくのは気が引けた。
「リョウマ少佐には……形見が必要だ。コックピットなら良かったが、あったのは腕部だけ。せめて、その装甲だけは渡してやってほしい」
「……エルザム、お前は」
テンペストだからこその役目であるが、それはある意味体の良い押し付けである。
コレがゼンガー・ゾンボルトなら喜んで引き受けただろう。事実、ゼンガーは変わらず地球連邦軍。しかも、グルンガストの関係でテスラ・ライヒ研究所に出向している身なので、関係は変わらっていない。
「……ゼンガーに任せちゃ駄目か?」
「ゼンガーは今、テスラ研だ。リョウマ少佐と出会う方が確率として高いぞ」
「なら、事前に呼べば」
「グルンガスト開発チームの一員だぞ、そう安安と動かせない。機体開発が以下に難しいか、俺達が知らないはずがないだろう」
「そうなんだよなぁ……」
テンペストは知っている。
自身の乗っている、
ゲシュペンスト・ストライカー
この機体は自身の専用機としてリョウマが寝る間を押しんで設計した機体である。
追加装甲だけでなく、テンペスト・ホーカー専用機として、事細やかに再設計し、カスタマイズした機体なのだ。
「……お前だって」
「タイプRのカスタム機だ。だが、俺達の意向を組んで追加スラスターの増設や装甲の増加、武装の追加。全てがリョウマ少佐によるものだったろう」
「……コーヒー風呂を始めた時は何をしてるんだと思った」
「……アレは俺もだ。皮膚からも接種すればより、覚醒できるはずですと真顔で言った挙げ句、そのままコーヒーの風呂に沈んで溺れる姿は笑えなかった」
「あぁ………」
懐かしむ様に笑う、それが数ヶ月前の出来事だとは思えない。
「わかった、やる。やってやる、だが……カーウェイ大佐の墓参りには一緒に来い。良いな」
「約束しよう」
テンペストが戻ってくるとカトライア・F・ブランシュタインと会話をしているレイラが目に入る。
「じゃあ、カトライアさん愛されてるんですねぇ!良いなぁ……私もそんな人が欲しい」
「まだ16歳でしょ、彼氏何て連れてきたらテンペストさん倒れちゃうわよ」
「……彼氏」
レイラの頬が赤くなるのを見たテンペストは何故か無償な怒りが込み上げてくる。
「あっ!お父さん!お話おわったの?」
「……終わった、所で彼氏とは誰の」
「いないよ?居たら紹介するし」
真顔でそう答えるレイラに、まるで心臓を抉られる様な気持になってしまったテンペスト。
カトライアはそんなテンペストをみて微笑んでいる。
「誰しも恋の一つや2つはしますよ」
「カトライア夫人、だが……レイラはレイラ……」
「無い、無い、うちのハイスクールの男子は子供ばっかですし……格好良いって感じた人は……今、お父さんが一番会いたくないって言ってましたし」
「レイラ、俺を虐めて楽しいのか?」
「だって、変な勘違いするんだもん。でも……私も、エルザムさんとカトライアさん、お父さんとお母さん、カーウェイさんとジェシカおばさんみたいに……良い人と出会いたいって思うのは女の子の特権だと思うけどね。……だって、お父さん達はお似合いだったって、お兄ちゃん言ってたもん。他の人が羨む程にって。私、見てみたかったな」
「………そうだな」
レイラは覚えていない、いや思い出したくないのだろう。レイラはリョウマに救われた事は覚えているが、母親であるアンナ・ホーカーとリョウマの母親であるジェシカ・ラウの記憶は無かった。
精神を守る為に封印したのだ。
「……だから、カトライアさんは駄目ですよ。子供ができたら一緒に居てあげてください。想像でしか出会えないのは……苦しい事だから」
「えぇ」
カトライアはレイラを抱きしめ、言葉を紡いだ。
「私は母親はできないわ、でも……同じ女として話を聞くことはできるから。何か有れば、何時でもいらしてね」
「……ありがとう……ございました」
「レイラ、行こう」
何処かしんみりとしてしまった。テンペストは家に帰ると旅行の準備を始める。
「テスラ研にもよるし、連絡は必須だな。他にも」
テンペストは荷物整理を行いながら今までかけられなかった番号に連絡をする。
「はい、リョウマ・ラウです………エルピス事件以来ですね、テンペスト少佐」
テンペストさん、その呼び名が無いだけで何処か壁を感じてしまう。
オフならさん付けでの会話をしていた関係なのに、苦しさが出てしまう。
「聞いて欲しい、今は……リョウマ君の友人であるテンペスト・ホーカーとして話している。返答はしなくて良い、……ゲシュペンストタイプSの腕部が見つかった。せめて、その破片を形見として届けたい。エルザムと……マイヤー総司令が秘密裏に捜索をしていたから発見できたんだ。それに……レイラがカーウェイ大佐とジェシカさんのお参りをしたいと言ってる。エルザムは統合軍の関係のゴタゴタで来れないが、カイ、ギリアム、ゼンガーとも、連絡を取りたいんだ。頼む」
「………わかりました。テンペストさん、地球に来る予定は教えてください。その時に」
「リョウマ君……」
「………コーヒー………」
「まて、リョウマ君。今何をしているんだ」
「………へへへ……コーヒー」
「……まぁ、予定だと1週間後の水曜だな」
「迎えに行きますよ……あぁ……コーヒー美味い」
「……大丈夫か?」
「大丈夫ですよ、ただ……グルンガストが楽しくて…ゲシュペンストでレヴリアスを合体させたいだけです」
「何を言ってるのかわからんぞ」
「まぁ……きりますね、斬機刀が斬り付けて、ゲシュペンストで、レヴリアスしなくちゃ」
「……休んでくれ」
テンペストは電話を切ると、すぐにゼンガーに連絡を取った。
「テンペストか、何が」
「ゼンガーか、来週から地球に行く。詳しいことはリョウマ君に話したんだが、グルンガストがゲシュペンストが斬機刀がと訳がわからない話をしているんだ。見てやってくれないか」
「………ビアン博士や開発チームが1週間籠もっているが……まさか、不味いな医療班と共に突入するとしよう。感謝するぞ」
「コーヒー美味いとか言っていた……もしかしたら」
「またか、お前が来るまでには万全になるようにしておく、安心しろ。生きているだろう」
「それが不安なんだが」
テンペストとゼンガーは電話越しながらため息をつく。リョウマの現状が理解できてしまうのだ。
「兎に角、カーウェイ大佐の墓参りだ。カイとギリアムも呼んでみる」
「まて、大佐の墓参りとはいった」
「じゃあな」
電話をきり、そのままカイへと連絡する。
「カイ、今良いか?」
「なんだ、テンペスト」
「来週水曜、地球に行くんだ。その時にカーウェイ大佐の墓参りに行きたい。来れないか?」
「……いきなりだが………なんとかする。家族も連れて行くが、文句は言うなよ」
「当たり前だろう」
続いてギリアムへ
「ギリアム、来週の水曜暇か?」
「急だな、という事は前後もだな」
「カーウェイ大佐の墓参りをしたい」
「……わかった、休みは取る。リョウマ少佐は頼むぞ」
そして、テスラ研の一室でゼンガーは部下を率いて制圧を開始しようとしていた。
「ゼンガー少佐、駄目です。完璧に塞がれています!でも、中からは発狂した声が………」
「ココの技術者は馬鹿しか居らんのか。バーナーで焼き切れ」
「は!」
部下に命じ、塞がれた扉を開けるとそこは地獄だった。
「……全員、衛生兵を連れてこい」
「う………まだ……まだ……やれる」
「フハハハ!!!!良いぞ!!!良いぞぉぉぉ!!!もうすぐクリスマスだぁぁぁ」
「コーヒー……コーヒーコーヒーお風呂、紅茶も良いけどコーヒーお風呂、ガボボボボ」
「ゲシュペンストがぁ………ゲシュペンスト画が来るニャァァァァ」
「まだだ!まだ終わってない!!」
「設計図はまだこんなにもある!」
ビアン指揮下の技術者達には変人しか居ないという噂があったが、兵士達も今の現状をみたらそう思わざる得ない。
リョウマはコーヒーの風呂に溺れ、ビアンは季節外れのサンタクロース。
ゲシュペンストの設計図をばらまき、エナジードリンクを片手に目がキマっていながら何かを書き続ける者もいる。
「ここは……地獄だ」
「……みぃぃたぁぁぁぁなぁぁぁぁぁ」
「ひっ!」
ビアンは目にも止まらぬ速さで怯えた兵士を捕まえると、サンタクロースへと変貌させる。
「お前達もサンタクロースになるんだよ」
「くっ…お前達、研究員を制圧しろ!寝かせるんだ!!」
「眠る?巫山戯るなぁぁ、まだ終わってないんだよぉぉぉ」
兵士からスタンガンを奪った研究員が兵士を逆に制圧する。
彼等の動きは既に人間のそれでは無い。
「こいつ等……人間じゃねぇ!」
「撃て!撃って眠らせろ!徹夜のし過ぎだ!」
「当たらない……ただの研究員のはずだろ!」
「シェア!」
「皆も………コーヒー………飲もうよぉぉお」
「エナドリもだぁぁぁ」
この日、テスラ・ライヒ研究所は地獄となった。
季節外れのクリスマス、コーヒーに溺れる者、エナジードリンクの天国を見る者、そしてそれ等全てを制圧したゼンガー・ゾンボルト指揮下の部隊は英雄と呼ばれた。
更にビアン・ゾルダーク指揮のチームには絶対の睡眠を約束されたのだ。
これは場合によっては麻酔銃もじさないという規約すら生まれる。
「……ふぁ………良く寝た。おいおい、どうしたんだよ、皆コーヒー好きだな」
「ふむ、季節外れのクリスマスか。楽しそうだな」
「「巫山戯んな!!!!」」
この日の出来事は皆のトラウマとなった。
そして、約束の日。リョウマは宇宙から来たテンペストとレイラを迎えに空港に出向いた。
「あっ、お兄ちゃん!」
「レイラ、テンペストさん、時間はバッチリでしたね」
「あっ……うん、そうだな」
ゼンガーから先の事件を聞いていた身としては色々と不安が残るがリョウマの運転でテスラ研に戻る。そこにはカイとその妻子、ゼンガー、ビアン、ギリアム、そして見知らぬ少女が立っていた。
「…お父さん、なんで私まで」
「お前と同年代の子もいるのだ。この際、友達も増やしなさい!」
「……はぁ、リューネ・ゾルダークだ。14歳、よろしく」
「リューネちゃんね、私はレイラ・ホーカー。16歳だけど仲良くしてね」
「私も!!私も14だよ!ミナ・キタムラだよ!」
「……あんたらも、親父が家に居ないの?」
「まぁ……お父さん、軍人だし。でも、仕事が終われば帰ってきてくれるよ」
「私は気にしてないよ!誕生日も帰ってこなくて、クリスマスの約束も破られても」
「カイ……お前」
「……あなた、ミナに誤ったの?去年の事よ」
「………忘れてた」
「お馬鹿」
娘のミナにボロ雑巾の様に悪口を言われるカイ。酷いのは仲間にソレを知られていることだ。
「休みぐらい取れよ」
「……父さんも、俺の誕生日と母さんの命日には帰ってきてくれましたよ」
「やめてくれ、ミナ……あの、俺が」
「うん!気にしてないよ!」
カイは何処か悲壮感漂わせながら戻る。
「では、関係者以外はテスラ研の来賓室でお待ち下さい」
「…お父さん?」
「私も良いか、カーウェイ大佐には私自身も話がある」
「………ねぇ、お父さん。私も行くよ」
「…ミナ」
「良いでしょう、バスに乗ってください。そんな遠くない」
リョウマの運転で墓地へと向かう。
地球のラングレー基地付近に遺体のない二人が埋葬された墓地がある。
ジェシカ・ラウ
カーウェイ・ラウ ここに眠る
リョウマは涙を怺える事ができなかった。
ポツポツと地面に雫が垂れていく。
「……リョウマ君、コレが大佐のゲシュペンストの破片だ」
リョウマはテンペストからゲシュペンストの破片を受け取ると墓地の前に置く。
「……総員、カーウェイ大佐に敬礼!」
テンペストの号令の下、軍人、知人問わずそれぞれの敬礼を行う。
何処か啜り泣く様な声も聞こえてくる。
「直れ」
「ここで、再びの誓いをここに立てる。
この俺、リョウマ・ラウは父カーウェイ・ラウと母ジェシカ・ラウに恥じない存在となる事をここに誓う。今、この場に立っている全員がその証人となって欲しい」
リョウマはこの日、誓いを立て直した。
それはけして破られない誓い、その誓いが自身のこれからの運命を定めたのだ。
コーヒー風呂………気持ちいい!
ほらぁ!みんなで浴びようよ!コーヒーを!!!
お兄ちゃんが壊れてますので、また私が言うよ。
次回はついに原作開始かな!
ATXチームが編成されるよ!でも、裏で色々とお兄ちゃんが暗躍してるみたいだね!
ATXチームPart1編成
楽しんでね!
コーヒー!!!
う・る・せ・え