フラスコの世界を駆け抜ける   作:影後

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遂に来ちまった。
もう、後戻りは不可能だ。
俺は進む、それが正しい道だと信じてな。
だから………


ATXチームPart1編成

「ふぅ……」

 

格納庫、リョウマはゲシュペンストを使いながら愛用のライフルを整備していた。

これは自身の訓練でもある、ゲシュペンストを操作し、より細かい作業を行えるかという。

 

「ATXチームに新人がくる、洗礼を頼むぞ」

 

「了解」

 

リョウマはライフルを折り畳むと静かに格納庫から出るのだ。PTとは思えない程小さい音、今、狩人の銃口は彼に向いている。

そして、数刻後一人のパイロットが降り立った。

名はキョウスケ・ナンブ少尉。

地球連邦軍極東方面伊豆基地に所属するパイロットであったが、試作機を墜落させてしまい降格。

そして、ラングレー基地に配属されたという経歴がある。

 

「……いきなり演習とはな、エクセレン少尉」

 

「いやん、階級で呼び合うなんで野暮はよさない?可愛げのない上官を連想しちゃうわん」

 

(可愛げのない上官?)

「……了解した、エクセレン。これで良いか?」

 

謎は残りつつも、キョウスケはエクセレンの要望に答える。

 

「わお♡案外……」

 

「準備は良いようだな、新人」

 

ゲシュペンストMkⅡに重厚感のある通信が届く。

 

「あっ…ちょっと待ってボス!まだ説明が」

 

「ボス?」

 

先程の可愛げのない上官がこのボスなのかとも思ったが、キョウスケに思考させるつもりは相手にはない。

 

「状況開始!!」

 

仮想敵として存在している無人戦車から実弾が放たれる。キョウスケはゲシュペンストMkⅡを駆り、障害物に身を隠す。

 

「あのね、キョウスケ。この人がゼンガー・ゾンボルト少佐で……」

 

エクセレンの声が響くよりも、ゼンガーの重い声が響く。

 

「標的には実弾も装填してある。死にたくなければ全機破壊しろ」

 

障害物が弾け飛び、ゲシュペンストMkⅡが土煙の中から姿を表す。

 

「うわぁ…ごめんキョウスケ、今の」

 

「こういうのは嫌いじゃない」

 

シンプルだ、試験であり、あの声存在。

ゼンガー・ゾンボルトは自身の上官であると。

キョウスケは淡々と話す。

 

「こういうのは、嫌いじゃない。ゲシュペンストも、ああいう男もな」

 

キョウスケはアサルトライフルを放つ。

だが、弾が命中することはなく、逆に距離を取らざる得なくなる。

 

(圧倒的に射程の部が悪い。)

(その上、これだけ前方投影面積に差がある戦車と正面から撃ち合うのはただの馬鹿か)

 

キョウスケは戦車の砲弾が着弾し、起きた爆炎を利用し回避行動を取る。スラスターがけたたましい音を立てながらゲシュペンストが走る。

 

「標的七一式バルドングがベースか」

 

七一式バルドング。

それは、連邦軍で使用される主力戦車である。

採用前の主力兵器だったが既に旧式化している。

しかし、現在のゲシュペンストMk-IIと比較して、側面・正面装甲の強度は勝っており、主砲の威力も一撃でゲシュペンストの装甲を撃ち抜く威力があるため、決して侮れる戦力ではない。

 

「レンジ内に2台、接近中も含めて8台…」

 

本来なら、死すら感じるこの状況でもキョウスケは冷静だった。

レーダーに映った2台、キョウスケはゲシュペンストのフットペダルを踏み締める。

演習場に作られたドームを踏台とし、ゲシュペンストが駆ける。

環境を破壊しながら、バンドルグ達の頭を取った。戦車の射角外からの一撃で1台が爆破する。

そして、ロックオンアラートが響く中でキョウスケは破壊したバンドルグの破片で防ぐ。

そして、正面の1台にゲシュペンストは左腕から激しいパンチを繰り出した。だが、それだけでは終わらない。左腕に3本装備されたメガ・プラズマカッターからまるで杭のように刃が瞬時に現れては消えていく。

そこからはキョウスケの土壇場であった。

瞬く間にスクラップに姿を変えていく七一式バルドング達。

ソレを双眼鏡から覗いていたエクセレンは冷や汗をかく。

 

「……あー……あれ、誰が片付けるんだろう」

 

まだ見ぬ者達を可哀想だと思いながら、思考をキョウスケへとかえる。

 

「……まぁ…ボスと気が合いそうで良かったわ。でも、チーフは結局来なかったわね」

 

エクセレンは車を出すとゼンガーを呼びに行く。

そして、全ての目標を破壊したキョウスケの前に車を止めた。

 

「…良かろう、合格だ。キョウスケ・ナンブ少尉。だが、お前にはもう一つの試験がある、これを受けるかはお前次第だ」

 

「……是非とも」

 

「ボス、もう一つって?」

 

「少佐の機体データの回収だ」

 

キョウスケは再びゲシュペンストMkⅡに乗ると、直ぐ様補給がされた。

 

「何が来る」

 

同じ場所での演習、しかしそこは既に狩り場へと変わっていた。

 

「熱源補足…下方修正2度、左修正1度」

 

不気味な静けさが立ち込める、そしてキョウスケは気付いた。

 

「…頭が回るのは嫌いじゃないぞ」

 

キョウスケのゲシュペンストMkⅡにアラートが走る。遠距離から飛翔体が命中したのだ。

今回の射撃物はペイントボールであり、左腕が撃たれた事を意味する。

 

「スナイパー……はやりか。そして、腕は一流」

 

移動がもう少し遅ければコックピット部を的確に撃ち抜かれていただろう。演習の為に撃たれた左腕も使えるが、それでは評価が下がるのみだ。

 

「……スナイパーだけじゃないぞ」

 

キョウスケは静かになった周囲をレーダーで確認する。熱源、音、その全てが今必要だ。だが、何処にも違和感は無かった。地上には何も写っていない。

 

「……水中か」

 

キョウスケは水中に向けてライフルを撃つが、そこから上がるのは水飛沫。

 

「流石だな、キョウスケ少尉。良く気付いた」

 

「陸上から来るというのは先入観だ、いくら演習でも実弾から変わっても、実戦とほぼ同じだと考えた」

 

「……ゼンガー少佐の元に戻るぞ」

 

キョウスケがゲシュペンストから降りるとゼンガーはじっともう1機のゲシュペンストを見ていた。

 

「何故手を抜いた、少佐」

 

「……実力は理解できました。それに、ATXチームのNo.2も認めたんです。それ以上続けるのは無価値だと思いましたから」

 

「そうか」

 

「……少佐?」

 

キョウスケは自分よりも歳下としか思えない青年を見て興味を覚えた。

 

「リョウマ・ラウ少佐だ。お前の駆るゲシュペンストを開発したメンバーの一人でもある」

 

「動かしていたのは父や、ゼンガー少佐達です。私がしていたのはシステム面の構築だけですよ」

 

「……わぉ、チーフってやっぱり凄いのね」

 

「可愛げのない上官で何よりですね、エクセレン・ブロウニング少尉」

 

「あら…聞いていらして?」

 

エクセレンがまた冷や汗を書きながらリョウマの方を見ている。それだけでキョウスケはリョウマがかなりの立場に居ることを理解した。

 

「キョウスケ・ナンブ少尉、貴方に与えられるゲシュペンストMkⅡのカスタマイズを行います。何か要望があれば後ほど送られるメッセージに記載して返信してください」

 

「参加したばかりで専用機を?」

 

「ATXチームはエリートです。それに、近いうちにトライアルもある。ゲシュペンストが……バニシング・トルーパー如きに負けるわけがない」

 

「リョウマ少佐!」

 

ゼンガーが重苦しい声で叫ぶ、誰もが恐怖を覚えるがリョウマはそこで意識を戻した。

 

「お気になさらず、では」

 

リョウマはゲシュペンストに戻ると一人格納庫に戻った。

 

「…ゼンガー少佐、バニシング・トルーパーとは……ヒュッケバインの」

 

「あのパイロットは我々二人の知人の弟でな、仲良くしていたのだが……方腕を失った。それ以来だな……技術者はパイロットを護らねばならない。それができない技術者はゴミだとな」

 

「仲が良かったのですね」

 

「親友だろうな、エルザムの実の弟と、エルザムを兄のように慕う者。話もあっていた、残念な事だ」

 

リョウマは自身のゲシュペンストのデータを見ていた。隠密作戦用の特殊機体

 

ゲシュペンスト・ヴァーデェクト

隠密に特化していながら、正面戦闘もこなせる特殊機体だ。

水中、空中、地上、その全てを網羅し、水中ではソナーを打消す特殊音波を出し、地上、空中ではレーダーに映らない完全な亡霊となる。

熱源探知と目視以外敵がいないというリョウマが自分の為に設計、改良したゲシュペンストである。そして、この中では通信が漏れることはない。

 

「……お久しぶりです。ビアン博士」

 

「あぁ、リョウマ君。此方は予定通りに進んでいる、ゼンガー少佐の方は」

 

「まだ、話す段階ではないでしょう。気付かれてはおりません、しかし」

 

「……リョウマ君、私達は地獄に落ちるぞ」

 

リョウマはその言葉を聞き、最愛の二人が入ったペンダントを握りしめる。

 

「ビアン博士、俺は……父さんと母さんに恥じない軍人でありたい、そう思っています。だからこそ、俺は立ち向かうのです。世界には、強さが必要だ」

 

「……では何故、テンペスト君が入らないと思う」

 

「…簡単です、ビアン博士よりも長くあの人と居ました。テンペスト少佐は内部から変えたい、戦争なんてするはずがない。そして、それはレイラも同じこと」

 

「だからこそ、力を与えるのか」

 

「はい、私達が勝てば私達が地球を護る。でも、カイ少佐やヒリュウ改のメンバー等は決して仲間にはならないでしょう。ビアン博士、もし負けても自分達と同じ様に真に未来を信じる者達が居ると考えれば、託すのもありでは?」

 

「…まったく、それではまるで我々が負けるかのようだな」

 

「負けませんよ、俺が護ります」

 

「ふむ、信じられる仲間というのは良いものだな」

 

「……では、セリウスはテンペスト少佐に届けます。彼なら、レイラを乗せます。守る為に」

 

「レヴリアスと対になる機体」

 

「レヴリアスの開発も」

 

「11月のお披露目には間に合う」

 

「では、総帥」

 

「うむ、」

 

リョウマはゲシュペンストの通信を閉じると機体から降りる。

 

「リョウマ少佐、またシステム面ですか?」

 

「えぇ、注水弁と排水弁の速度が1秒遅い。本格的な整備をしなくては」

 

「まったく、酷使しすぎですよ!」

 

「何物も、試験が大事ですからね」

 

整備班とは同じ技術者という事でかなりの信頼関係をリョウマは気付いている。

だがその関係ももうすぐで終わることとなる。

 

「……キョウスケ・ナンブ、俺の夢の通りなら………やってみせろ。ATXチーム、ストームを潰せるのならな」

 

「隊長、任務だ」

 

「俺達死神の出番か?」

 

「お前は……隊長、スプリガンは何時でもいけます」

 

「よし、大尉。任務の内容は!」

 

「環境テロリスト〘ブルー・アース〙がカナダのバンクーバーを占拠、敵武装はタンク40、戦艦6、空母2」

 

「まったく、俺達を殺しに来たな」

 

「だな、だが俺達は戦士だ」

 

「私達が負ければ市民が危ない」

 

「ストームチーム、生きて戻るぞ」

 

「「「「ウーラー!!!」」」」」

 

大尉、グリムリーパー、スプリガンの隊員たちが吼える。

 

「人質は特殊部隊が救う、俺たちは大暴れだ!気合入れろ!」

 

リョウマの戦いの場は常に動いている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




よぉ……俺だ。
名前的に俺がATXチームだと思ったか?
残念だが、俺の所属はストーム中隊所属の中隊長でコールサインはストーム1だ。

へぇ……沢山部隊があるんだね。
でも、ストームチームの兵器とか出さないの?

だしたらつまらんだろう。
といっても、元ネタ敵にバレていると思われるがな。
後、この世界線だと色んな兵器が量産されたりしているからな。
原作に近くて遠い世界だ、俺とお前がいる時点でな。

そうなんだ……それで、お兄ちゃんはどうするの?

さぁな、俺の運命は俺が決めた。
次回、ATXチームPart2遭遇

次は私も出るかも!

さぁな、でれると良いな

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