田舎農家のオッサン、最強ドラゴンを倒す様子を配信し伝説の配信者へと成り上がる   作:コネリカ

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第14話 S級ダンジョン攻略配信スタート

 

「それじゃあ配信開始、と」

 

 場所はS級ダンジョン《青水晶の洞窟》の入口付近。

 ゴーシュは微精霊に向けて念じ、動画配信を始めることにした。

 

 さすが最上級の危険度を誇るS級ダンジョンの攻略と銘打った配信、というところか。

 瞬く間に同接数が増え、ゴーシュとミズリーの周囲を数多くのコメントが埋め尽くしていく。

 

【こんにちはー!】

【おおお、本当に《青水晶の洞窟》じゃん!】

【S級ダンジョン攻略、マジでやるんか】

【待っていましたわ!】

【期待。きっと大剣オジサンならやってくれる】

 

【大剣オジサンのお手並み拝見でござる】

【クックック、そのダンジョンをそう簡単に攻略できるかな?】

【ミズリーちゃんが今日も可愛い】

【ミズリーちゃんも行くんか。大丈夫? 無理しないでね?】

【大剣オジサンの戦闘が見られる!】

 

【同時接続数:5990】

【同時接続数:10288】

【同時接続数:19099】

 

「皆さん、今日も見に来てくれてありがとう。今日は事前にお伝えしていた通り、このS級ダンジョン《青水晶の洞窟》を攻略していこうと思います」

「ふっふっふ、今日は期待してもらって良いですよ。きっとゴーシュさんの強さにメロメロになると思いますから」

「お、おい、ミズリー」

 

【今日も得意げなミズリーちゃんが可愛い】

【僕はミズリーちゃんにメロメロです】

【ミズリーちゃん、まっすぐでええ子や】

 

【さすがに大剣オジサンでもS級ダンジョンはキツいんじゃないか? ってコメが流れると予想】

【さすがに大剣オジサンでもS級ダンジョンはキツいんじゃないか?】

【↑↑エスパーかよw】

 

【ゴーシュさん、オレ期待してます!】

【戦闘配信マニアです。楽しみです】

【大剣オジサンの剣を振るう姿が見たい!】

【S級ダンジョンの魔物にどこまでやれるか……】

 

 今日のゴーシュとミズリーの配信の目的はインパクト重視。立ち上げ間もない配信ギルドとして注目を集めることだ。

 

 同接数は既に2万を超えており、そういう意味では上々すぎるほどの立ち上がりである。

 

 しかし、楽観はできない。

 高難易度のダンジョン攻略配信と言えば確かにインパクトはあるが、遭遇した魔物に配信する姿を晒すことになればリスナーからは期待外れと称されてもおかしくないのだ。

 

 だからこそゴーシュは、ミズリーが提案してくれたこの企画を成功させようと決意を新たにする。

 

「ちなみに攻略の定義ですが、この《青水晶の洞窟》の最深部まで進んだらということにしようと思っています。途中魔物が出てきたら極力討伐していけるよう頑張ります」

「それでは、S級ダンジョン《青水晶の洞窟》の攻略配信、スタートですっ!」

 

 ミズリーが元気よく言って、ゴーシュたちのS級ダンジョン攻略配信は開始されることになった。

 

   ***

 

「む、早速魔物が現れたな。数は……5体か」

 

【おいおい、いきなりアイツかよ】

【5体はヤバくね?】

【僕、この前1体相手に歯が立ちませんでした】

 

 入り口から進んで間もなく、ゴーシュたちの前には複数体の魔物が現れる。

 鋭い牙と爪を持つ、黒い狼型の魔物――ブラッドウルフ。

 

 その赤い瞳が血の色を連想させることから命名され、冒険者協会が危険度B級に指定する魔物である。

 

 個体としての等級は先日ゴーシュが駆除したフレイムドラゴンには劣るものの、群れをなして出現した場合は危険度A級、もしくはそれ以上と評されるほどの強敵だ。

 

 ブラッドウルフの群れとの遭遇にリスナーたちは恐れおののくコメントを打ち込んだが、ゴーシュは大剣を眼前に構えて対峙した。

 

「ミズリー、俺が前方の敵を対処する。もし討ち漏らしたら対処を頼めるか?」

「はい、ゴーシュさん」

 

 配信を常に見続けてきたミズリーは、ゴーシュが何をしようとしているかを瞬時に理解する。

 

(もし討ち漏らしたら、ですか……)

 

 ゴーシュが言ったその言葉は違いなく杞憂に終わるだろうと、ミズリーは心の中で苦笑した。

 そして、大剣を構えたゴーシュの背中をじっと見つめる。

 

 ――その時、ミズリーの心の内を占めていたのは、歓喜の感情だった。

 

 憧れ、一途に追い求めてきたゴーシュの背中。

 それが今目の前にある。

 

 配信の画面を通してではない。

 世界中の誰よりも近い場所で、ゴーシュが剣を振るうその姿を見られるのだ。

 

 そして同時に、ミズリーはこれから繰り出されるゴーシュの攻撃が喝采を浴びることになるだろうと確信していた。

 

「グルルルルル――」

「……」

 

 ゴーシュは深く、細く息を吐く。

 眼前の敵を見据え、大剣を引いて構える。

 

 《炎天の大蛇》で誰にも認められることなく、ただ一方的に解雇を告げられ、笑いものにされて……。

 そんな境遇だったからか、ゴーシュは未だ明確な自信を持てずにいた。

 

 しかし、自分を信じてくれる存在に報いたいとも思っていた。

 

 ――ゴーシュさんと一緒に動画配信をしていけたら、きっと楽しいだろうなって、そう思うんです。

 

 思い出したのは、初めて出会った時にミズリーから言われた言葉。

 その純粋無垢な言葉はゴーシュの心の中に、とても自然な形でストンと落ちてきた。

 

「グルガァアアア!」

 

四神圓源流(ししんえんげんりゅう)、《紫電一閃(しでんいっせん)》――」

 

 ゴーシュが静かに呟き、構えていた大剣を横薙ぎに払う。

 

 その剣閃が目で追えた者はごく一部だっただろう。

 しかし、その結果は明らかだった。

 

「やった! やりました、ゴーシュさんっ!」

 

 ゴーシュが大剣を振るった後には、5体全てのブラッドウルフが地に倒れ込んでいた。

 

【おぉおおおおお!?】

【5体同時!?】

【マジか! マジか!】

【何したんだ?】

【今のってもしかして世界樹を斬った時の剣技?】

 

【クックック、なるほどな。見えなかった……】

【↑見えなかったんかいw】

【大剣オジサン、本物】

【カッコよすぎですわ!】

 

【ゴーシュさん、アンタすげぇよ……】

【なあ、大剣オジサンが剣振る前に言ってたのって何かの流派?】

【だろうな。でも俺は知らん】

【あれ、もしかしておじいちゃんの……】

【あれはやはり、拙者がかつて習得できなかった古代武術の……】

 

【無邪気に喜ぶミズリーちゃん可愛い】

【この前まで田舎で農家やってたんですよこの人】

【初見です。弟子にしてください】

【これだよ、俺たちが見たかったのは!】

 

【同時接続数:58979】

 

 ゴーシュが剣を振るった後、喝采を浴びることになるだろう。

 

 ミズリーのその考えは、やはり間違ってはいなかった。

 

 

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