お前がTSするんかい   作:語部創太

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説明する気はないんかい

 『早起きは三文の徳』ということわざを知っているだろうか。

 

 朝早く起きれば些細な良いことがある。

 ということわざだが、この格言を実践する友人に、ボクは一言物申したい。

 

「やぁ、おはよう優李! あまりにも快晴すぎて身体が焼け焦げそうだ!」

「……今、何時だと思う?」

「朝の5時だな!」

 

 だからといって早く起きすぎなんだよ馬鹿野郎。

 

 

 

---

 

 

 

「というか、キミ誰?」

 

 インターホン連打釘パンチという騒音によって最悪な朝を迎えた昨日の明日。つまり今日。

 あくびを噛み殺しながら玄関のドアを開けたボクを出迎えたのは、見ず知らずの女の子だった。

 

 腰まで伸びた長い髪は、発泡スチロールのように真っ白。

 大きく真ん丸な瞳は、自転車の反射板のように赤く煌めいている。

 

 あと背が小さい。

 たぶん虎徹の半分くらい。

 ……ごめん、言いすぎた。

 彼女の身長は日本の男子高校生平均身長ど真ん中であるボクの胸辺りまでしかない。

 

 たぶん妹よりも小さい。

 胸も小さい。

 もはや崖。

 断崖絶壁を彷彿とさせる直角な胸部は、きっと虎徹が見れば涙を流して崇め奉ること間違いないだろう。

 

 ……日本人、だよね?

 明らかに髪と瞳の色が日本人のそれではない少女。

 顔だけ見ればどこぞの外国人と思うところだっただろう。

 でもめっちゃ日本語しゃべってたし。

 

 コミュニケーションが取れるか心配するボクを他所に、素性も国籍も何もかもが怪しい女の子は流暢な日本語で会話してくる。

 

「俺だよ俺!」

「オレオレ詐欺は間に合ってます」

「そんな日常的に詐欺られてるのか? じゃあここに5本セット110円で買ったボールペンがあるんだが……」

 

 元値を言ったらもう詐欺じゃないんだよ。

 ニコニコ笑顔で安物のボールペンを取り出す女の子。

 うん。見れば分かる。アホの子だ。

 

「これが今ならたったの1万円!」

「いや22円でしょ」

「バカな!? なぜ分かった!?」

「自分で値段言ってたでしょうが」

 

 愕然とする女の子は、まだ諦められないらしく、背負っていたクソでかリュックサックからノートやら消しゴムやら漫画やらを取り出す。ドラえもんかな?

 というか、うん。

 彼女が取り出すモノ全てに見覚えがある。

 ボクの悪友というか腐れ縁というかバカというか親友が持っていたモノと瓜二つ。

 

『2年B組 緑葉虎徹』

 

 というか思いっきり名前書いてあるし。

 

「じゃあコレ! 新500円玉が今ならたったの1万円!」

「等価交換って知ってる?」

 

 その提案に誰が乗るというのか。

 なんならボクも新500円玉持ってるし。

 

「クソゥ……ッ、クソゥ……ッ!」

 

 ガックリとうなだれ嗚咽を漏らすアホの子。

 小さい両手がアスファルトにグッサリだ。

 

「────で、誰?」

「俺だよ俺!」

「オレオレ詐欺は間に合ってます」

「そんな日常的に詐欺られてるのか? じゃあここに……」

 

 何これデジャヴ?

 

「……たぶんだけど、虎徹だよね?」

「イエッサー!」

「キミはいつからボクの部下になったんだい?」

 

 ビシッと敬礼──某艦船擬人化ゲームの影響で海軍式──した友人は、エヘンと胸を張る。

 しかし断崖絶壁だ。

 

「じゃあ、その姿形はどうしたの? 骨を縮める手術にでも成功した?」

「うむ。よく聞いてくれたな、心の友よ」

 

 キミはジャイアンなのかい?

 とにもかくにも、筋肉モリモリ高身長だった虎徹が小さい女の子になった理由が知りたい。

 得意満面なドヤ顔を見せつけた虎徹は、自信満々に昨夜からの経緯を説明する。

 

「どういうわけだか背が縮んでチンコがなくなった!」

 

 OK、分かった。

 キミに聞こうとしたボクがバカだった。

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