六女?いや違う、長男。   作:白井あおい

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まだまだ三音のターンだぁ!(楓夏達は次から書く予定)


紫雨とダンジョン

ザクリ。ザシュザシュ。

切り裂く音。人の悲鳴。照りつける太陽。全てを無視して彼は戦場を駆ける。否、一方的に蹂躙する。

 

「………!…!!」

 

何かをこちらに向かって喋る誰か。敵なので罵倒の類だろう。そう思いながら薙刀を振り回す彼。声はヘッドフォンに防がれ届かない。

彼が最愛の人からもらった唯一の防具だ。

 

彼はそのまま前に薙ぎ続ける。血飛沫が舞い、眼の前が鮮血に染まる。それだけの戦果を築き上げ、ようやく彼は満足した。ヘッドフォンを頭から外し、首にかける。

 

「お疲れ様!怪我はしてないよね?」

 

彼の耳にいの一番に入ったのは彼の最愛の妻の声。彼はそれに大丈夫だと口にした。

 

 

「……」

 

 

 

 

 

筈だった。

 

 

しかし、確かに言ったのに声が出ていない。彼は何度も発声しようと試みる。

 

「………!……!…!」

 

「あ、もしかして声出ないの?」

 

彼が口をパクパクさせて動かしているのを見て、妻はなんとなく察した。

笑みを浮かべて。

 

「あ、大丈夫。僕()()()()聞こえるから」

 

妻は彼に安心させるよう優しい声音で言いながら、笑みを深める。

 

「でもさ、そんな状態じゃ戦場になんか出られないよね。いくらなんでも君が強いとはいえね」

 

そういいながら一人でうんうんと頷く彼の妻。それで彼は気づいた。

 

「僕はね、君と僕が生きていられてそれで愛し合える。それだけで充分なんだ」

 

奪った犯人は自分の妻だと。

 

「だから、君から声を奪ったの」

 

「今までの君の動きが怖いんだよ。死ぬ寸前でも戦い続けて、金を稼ぎ続ける。そんなの僕が耐えられないんだ」

 

「君がヘッドフォンを受けとってくれて助かったよ。それ、所有者以外がつけると五感のどれか一つが使えなくなるんだけど…君は聴覚だったんだね。僕の声以外もう聞こえない。あ、これを知ったら更に強く呪われるって言う話なんだ。確か記憶も段々と失われるんだっけ?」

 

段々と彼の視界が歪んでいき、彼女以外何も見えなくなる。地を足で踏みしめる感覚も消えていく。嗅ぎ慣れていた血と煙の匂いが彼女の発する甘い匂いで埋め尽くされていく。

 

「あははっ、これの意味がわからない君じゃ無いだろう?」

 

彼の妻はさながら死刑を伝える処刑人のように宣告する。あるいは、初恋の人にようやくを伝える少女のようでもある。

 

()()()()()()()()()()()()()()()

 

「だって、君は僕の声以外聞こえないのにどうやって生きるつもりなんだい?…無理でしょ。だから…」

 

()()()()()()()()()()

 

更に彼女は、まるでセットにデザートをつけるような軽いノリで絶望を彼に与える。

 

「あ、そうそう。記憶も段々と失われるから、いずれ僕以外認識できなくなっちゃうし、そもそも君は誰とも会えなくなるから。あ、いいよお礼とかしなくて。君といられることが最大のお礼になるから。ね?」

 

彼女はその後、崩れ落ちた彼に抱きついて幸せに暮らしましたとさ。

めでたしめでたし(バットハッピーエンド)

 

エンドT 五感不満足。体満足。心不満足。

 


 

五つ子と紫雨は朝餉後、即ダンジョンに潜った。

彼には『戦力としても期待出来るから』と。

五つ子達の本音は

『『『『『腐れ女の役人を見せたくないから』』』』』である。

なんだかんだ言って役人達の一部はまだまともな人間性を持っているが、殆どが紫雨を見せたら誘拐しにくるようなゴミカスのような思考回路なのである。*1

そんな事情もあり、今はダンジョン地下八層。紫雨を見つける前の階層であり、麻痺毒持ちの蜥蜴が多いだけの砂漠の階層である。

 

 

「ねぇねぇ!ここって何が出てくるの?」

 

紫雨は質問をする。キラキラした目は砂漠の遠くを見据えているようだ。

 

「う〜ん…蜥蜴だね。噛まれないようにしなよ」

 

「は〜い!」

 

そういいながら紫雨は薙刀を作り、試しに振ってみる。予想以上に軽い体とそれ以上に軽量化された薙刀はしっかりと噛み合い、目の前にあった砂とそれに隠れていた蜥蜴を斬り殺した。

 

「凄いッスね、紫雨っち」

 

「えへへ、勝利の〜ブイ!」

 

紫雨は薙刀をしまうと、五つ子達に向かってピースサインをしながら笑いかけた。

 

しかし、仲間を殺された逆襲に蜥蜴は一気に紫雨に向かってやってくる。

 

「あらあら〜やってきたわ〜」

 

しかし、そんなものに動じる程五つ子達は弱くない。

 

「う〜ん…僕とは相性悪いから楓夏姉お願い」

 

「はぁ…余りやりたくないんだがしょうがない」

 

そういって楓夏は腰元から一瞬で抜刀し、周りに白刃が見える。

残像が残る量で振ったのだ。*2

 

「ふっ…」

 

「すごい!はやくて見えなかった!」

 

そういって紫雨は薙刀を投げ捨て楓夏に抱きつく。紫雨の体が楓夏の体に沈み込み、周りはごくりと生唾を飲み込む。

 

「!…紫雨、余り私達五人以外にそういうことやるなよ」

 

「?わかった〜!お姉ちゃん達以外にしない!」

 

念のため楓夏が釘を刺す。この世界では武装を放棄しながら抱きつき行為なんぞしたら『どうぞ襲ってください』と意思表示してるようなものである。夫婦間でも滅多にやらない危険行為なのだ。

尚、五つ子達にだけやらせるのは役得だったり独占欲だったりが混ざり合っている結果である。楓夏の注意に誰も反対してないのが証拠。

閑話休題(それはともかく)

紫雨は楓夏から離れて薙刀を拾った。

 

「紫雨、下に行く方法はわかる?」

 

「うん!ちょっと下がってて」

 

そういうなり紫雨は薙刀を大上段に構える。

 

「てりゃあ!」

 

幼い掛け声とは不釣り合いな威力は、地面を砕き、一つの小部屋の上を開ける。

 

「これでいいよね!」

 

「あらあら〜凄いわね〜…」

「でもこれだと一方通行じゃないっスか…」

「妾はどうすればよいのじゃ…」

「…突っ込むか」

 

五者五様の反応をを見せる五つ子達。

 

「ふうか姉ちゃん!?」

 

尚、ひらりと下に楓夏がいったことに驚いているのは紫雨だけの模様。常識的に考えればあれ如きしかめぼしいものがほぼない地下八層なんぞ危険はないのだ。

 

「三音、今宝箱は必要か?」

「いらないよ。だから開けてそのまま持ってきて」

「了解。紫雨、ロープを垂らしてくれ」

「………うん!」

 

紫雨は手からロープをしゅるしゅると出し楓夏の所まで下ろす。

楓夏はその最中に宝箱の中身を回収する。

 

「いくぞ」

「うん!」

 

そういって紫雨の作ったロープを一瞬で登る。

 

「おかえり〜!」

「うむ、帰ったぞ」

 

そういいながら手に握ったものを取り出す楓夏。

 

「鍵?」

「そうだね。ハズレの類だよ」

「触ってもいい?」

「うん、いいよ。そのまま渡すよ」

 

銀色の鍵。この世界では鍵そのものが使えないものだと判断されており、鋳潰すか飛び道具にするのが一般的であった。

 

「よっと!」

 

しかし、何を思ったのか知らないが紫雨は地面に突き刺してガチャリと回したのだ。

 

「あらあら〜何をやっているの〜?」

「?」

「とりあえず一度やらせておけ。それぐらいなら問題ないだろう……っ!?」

 

紫雨はとりあえずガチャガチャやり、それで何故か地面が輝く。

やがて光は収まり、空が黒くなった砂漠が現れた。

 

 

 


 

食べ終わった後、お姉ちゃん達と僕はダンジョンに行った。

 

「ねぇねぇ!ここって何が出てくるの?」

 

早速僕は尋ねる。多分僕を見つけたのはここより奥だろうし、知ってると思っての質問だ。

 

「う〜ん…蜥蜴だね。噛まれないようにしなよ」

 

どうやら出てくるのは蜥蜴のようだ。うーん…大きさとかが変に大きくなければ問題なさそう。

 

「は〜い!」

 

とりあえず元気に返事をして薙刀を作成する。ちょっと中を軽くして取り回しやすくしておいてる。どうせ体に合わなくなったら作り替えられるしね。とりあえず横薙ぎに振ってみると、砂と一緒に蜥蜴を斬った。切れ味抜群だ。

 

「凄いッスね、紫雨っち」

 

てんご姉ちゃんに褒められた。やったね!

 

「えへへ、勝利の〜ブイ!」

 

調子にのってくるりと一回転して三音姉ちゃん達の方を向いて薙刀を肩に背負ってピースサインをする。

 

「ふっ…」

 

そのポーズを止めたら、今度ほふうか姉ちゃんが凄い速く刀を振っていた。周りには白いのがちらほらと見える。

 

「すごい!はやくて見えなかった!」

 

僕はふうか姉ちゃんにそういいながら抱きつく。大人の体とかだったならまだしも子供の体だったらスキンシップした方が好意を示せると思うからね!

 

「!…紫雨、余り私達五人以外にそういうことやるなよ」

 

言っている意味がよくわからなかった。お姉ちゃん達以外にやってもいいんだったらここでそういうことを言う意味が無いと思うんだけど…

 

「?わかった〜!お姉ちゃん達以外にしない!」

 

とりあえずお姉ちゃん達に従ってたほうがいいよね!郷に入っては郷に従えって言うし!

とりあえずふうか姉ちゃんから離れて放り投げた薙刀を拾う。

 

「紫雨、下に行く方法はわかる?」

 

「うん!ちょっと下がってて」

 

そういうと僕は体から下に向けて音波を発して空洞を真下に見つける。

下に行くだけなら壊せばいいのだ。多分行き来できるようにしてほしいと思うから、階層丸ごとは壊さないけどね!

 

「てりゃあ!」

 

上手く声は出なかったけど、壊すことには成功した。

 

「これでいいよね!」

 

上の一部だけをしっかり壊したから、落とし穴みたいにはなってないよ!良かった〜…

 

「あらあら〜凄いわね〜…」

「でもこれだと一方通行じゃないっスか…」

「妾はどうすればよいのじゃ…」

「…突っ込むか」

 

「ふうか姉ちゃん!?」

 

僕は思わず叫んでしまう。さっきの行動をみたらそんな心配しなくてもいいのにね。

 

「三音、今宝箱は必要か?」

「いらないよ。だから開けてそのまま持ってきて」

「了解。紫雨、ロープを垂らしてくれ」

「………うん!」

 

とりあえず無事みたいだし、ロープを出さないとね。僕は手のひらからしゅるしゅるとロープを出す。手とロープは切り離さないでおく。

 

「いくぞ」

「うん!」

 

ふうか姉ちゃんの体はちょっと重く、離していたら手から離していたかも知れない。

ともあれ、役目を終えたロープは切り離しておく。

 

「おかえり〜!」

「うむ、帰ったぞ」

 

ふうか姉ちゃんが戻ってきた。手には鍵を持っているね。

 

「鍵?」

「そうだね。ハズレの類だよ」

「触ってもいい?」

「うん、いいよ。そのまま渡すよ」

 

鍵はお姉ちゃん達にとって特にいらなかったみたいだし、簡単に貰えた。

う〜ん…おそらく地面に突き刺して回せば何かしらおこるような代物なんだろうけど…よくわかんないや。

うん、とりあえず試してみよう!

 

「よっと!」

 

僕は思いっきり砕いてない地面の所に鍵を突き刺した。ガチャリと音がなった感じ、もしかしたらガチャガチャやればなんとかなるのかな?

 

「あらあら〜何をやっているの〜?」

「?」

「とりあえず一度やらせておけ。それぐらいなら問題ないだろう……っ!?」

 

とりあえずガチャガチャやっていると、頭の中にカチャリと音が聞こえた。お姉ちゃん達には聞こえてないみたいだね。もしかしたら鍵を持ってないと聞こえなかったのかな?

 

なんか地面がピカ〜って輝いてる。綺麗だな…

 

 

 

そしてきがついたらまっくろいのがあるさばくにきていました。

*1
これが持つものと持たざるものの格差…

*2
ここまでで約三秒




しばらく適当にヤンデレエンドが重くなりそうな気がする。
そして紫雨のチートの弱点!
使い過ぎると幼児退行!最低3歳になるよ!
一日経ったら元に戻るけどその間に関わった人に対して依存するよ!(四回すれば恋人ぐらいになる?)

エンドルートって…

  • 毎話毎の最初に書く。
  • 区切りの良い回で書く。
  • 作者の都合に合わせる。
  • そんなことより投稿しろ。
  • そもそもいらない。
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