鉄 壁 メ ス ガ キ 系 ヒ ー ロ ー 作:守られる偽物
1位 緑谷チーム(緑谷、常闇、ノア、麗日)
2位 爆豪チーム(爆豪、瀬呂、切島、芦戸)
3位 轟チーム(轟、八百万、上鳴、飯田)
4位 心操チーム(心操、尾白、庄田、発目)
ノアの装備の硬さ
体育祭時点での硬化した切島or通常出力バリア<<<越えられない壁<最大出力バリア<<ボディアーマー<<<<盾本体
第2種目も終わり、昼休憩の間に私は仮眠室で盾のメンテナンスをしていた。普段なら数週間しなくてもいいけど、今回は短時間に色んな機能を使用している。特にバリアフィールドを最大出力で広範囲を守るように発生させたのは不味かった。安全装置が作動したおかげで発生装置はオーバーヒートしなかったけど、最大出力時での通常の放熱では全然間に合わない事が発覚した。ログにも、この前搭載した強制排熱機能が作動した記録が残っている。
「………よし、メンテ終わりっと」
メンテナンスも終わり、専用配線を盾から引き抜き、蓋をネジで閉める。私は購買で確保しておいた2つのおにぎりに手をつけて頬張る。
中身はそれぞれ梅干しとシーチキンマヨネーズだった。本当にお米は何にでも合うから凄いものだ。ちなみに、今まで食べたおにぎりの中でなら、1番の当たり具材は紅鮭だったかな。塩味のバランスが私好みで非常に良かった。
私が控え室に入ると、何故か女子のみんなが変な格好をしていた。へそ出し袖なし薄い生地と、随分と防御力に欠ける装い。普段していない格好だからなのか何なのか、何人かは少し恥ずかしそうにしている。嫌なら着なきゃいいのに、どうして着るのさ。
「ノアちゃんどこ行ってたの!? 探してたんだよ?」
「どこって、仮眠室だけど。……ていうか、何その格好?」
「ケロ。レクリエーションの間、女子は全員チアの格好で応援しないといけないらしいのよ。相澤先生も伝え忘れてたみたいね。峰田ちゃんと上鳴ちゃんが伝えてくれなかったら、危うく私達だけジャージで行ってしまうところだったわ」
服装だけ浮いてる……のではなく、ただ全身が透明な葉隠がどこにいたのか問い詰めてきて、私はそれに正直に答えた。別に、今はからかうタイミングでもないからね。私は理由なく煽ったりはしない。そして、付け加えるように梅雨ちゃんがこんな格好をしている訳を教えてくれた。へぇ、相澤も伝達ミスするんだ。なんだか意外。
にしても…話を聞く限り、チアの格好ってこういう露出の多い装いの事なんだよね? これ着るのか……ん? でもさ、さっき私……
「ここに来るまで、会場に向かってるB組の女子の何人かすれ違ったけど……みんな普通の格好だったよ?」
「「「「「「え?」」」」」」
私がそう言うと、全員が目を丸くした。葉隠も意外そうな雰囲気出してるし、みんな本当に知らなかったみたいだ。
それにしても、B組の女子達はジャージだったけど、A組の女子だけこの格好……妙だね?
「えぇぇ!? じゃ、じゃあ峰田くんと上鳴くんの言ってた事って……」
「嘘になるよね……」
「最低ですわ!!」
「あいつら……ぶっ飛ばす!」
どうやら峰田と上鳴が嘘をついていたみたいで、葉隠と麗日は困惑し、八百万や耳郎はここにいない2人を非難している。……私は、あの2人がこの格好をさせたがる理由はよく分からないけど、これだけは分かる。……あの二人はとんでもないバカだって。
『最終種目発表の前に予選落ちの皆へ朗報だ! これはあくまで体育祭! ちゃんと全員参加のレクリエーション種目も用意してんのさ! 本場アメリカからチアリーダーも呼んで、一層盛り上げていくぜーーー!!!』
マイクお兄ちゃんの声により、多くの生徒たちが喜びの声を上げる。へぇ、峰田達はあれをさせるために私を呼んだんだぁ……へぇ……。
私は女子達に非難されている峰田と上鳴に近づき、思いっきり煽ってやる。
「ねぇねぇ、今どんな気持ちか聞かせてよ? あ、悔しい? 応援して貰えなくて悔しい? あ、 言葉も出ないくらい悔しいんだぁ ……渾身の作戦、失敗しちゃったね? ……ざぁ〜こ。弱っちい〜」
((こ、これがメスガキの破壊力ッ!!??))
私が2人の耳元で罵倒すると、何故かこいつらは一瞬だけゾクリと身を震わせた。うわ、キモっ……罵倒されてちょっとでも喜ぶなんて、バカでもしないんじゃないの?
この後、2人は耳郎のイヤホンジャックを刺され心臓の爆音をしばらく聞かされていた。他の男子に助けを求めてる2人だったけど、完全に無視されていたね。……うん、こういうのを自業自得って言うんだ。
──────────
────────
『さぁさぁ!皆楽しく競えよレクリエーション!それが終われば最終種目、進出4チーム総勢16名からなるトーナメント形式!!一対一のガチバトルだ!!』
「トーナメントか…! 遂に俺、毎年テレビで見てた舞台に立つんだな…!」
どうやら一対一の対戦をするようだ。切島はいつも以上に興奮しているし、ほかのメンバーも興奮を抑えられていない。爆豪もいつも以上に好戦的な笑みを浮かべてるし、私が知らなかっただけで、雄英体育祭が如何に大きなイベントなのかを思い知らされる。
「去年もトーナメントだったっけ?」
「形式は違ったりするけど、毎年最後はサシで競ってるよ。たしか去年はスポーツチャンバラだったかな?」
芦戸の疑問に瀬呂が詳しく教えてくれるのを、私が聞き耳を立てて盗み聞きする。ふーん、どうやら本当に最終種目のようだ。雄英ならここで『実はこれ、最終種目じゃありませーん!』……ってやりそうだし。
まぁとにかく、情報は力だ。守りにおいても、それがあるとないとでは大きな差が生まれる。だから、新しく頭部に搭載させたアンテナは高性能に仕上げている。多少の電波阻害などはものともしない。……ま、アンテナは鎧の一部扱いだから今はつけてないけどね。
「それじゃあ組み合わせ決めのくじ引きしちゃうわよ。組が決まったらレクリエーションを挟んで開始になります! レクに関しては進出者16人は参加するもしないも個人の判断に任せるわ。息抜きしたい人も温存したい人も居るしね。それじゃ、1位のチームから順にくじを引いて頂戴!」
「あの…すいません。俺達、辞退します」
くじの入った箱を用意するミッドナイトに待ったをかけたのは、クラスメイトの尾白とB組の庄田だった。周りがざわめく中、2人は辞退の理由を告げる。
なんでもこの2人は騎馬戦の時だけすっぽり記憶が抜けていて、気付いた頃には競技は終わり、この最終種目に進出していたらしい。んで、それで得た結果は己の意思でも実力でも無いのに、ここで選出されるのは体育祭の趣旨と相反しちゃってるだろうし、自分達は相応しくないんじゃないか……って事らしいね。
「そういう青臭い話はさァ…好み!! 2人の棄権を認めます!! 余った枠は主審権限で直前まで4位だった鉄哲チームから2名出場してもらいましょう!」
ミッドナイトは意外にもOKを出した。こういうのってスケジュールとか記録とかが面倒になるから棄権は禁止してきそうなものだけどね。……って、個人の好み入ってる判断かこれ。それじゃミッドナイトの自己責任だね。
再びミッドナイトが壇上にくじの入った箱を置き、緑谷チーム、爆豪チーム、轟チーム、普通科の心操のチーム、塩崎、鉄哲の順にくじを引いていく。2番目に引いた私だけど、誰と当たるのかな? まぁ、誰が来ようと負ける気はしないけどね。
Aブロック
第一試合 緑谷 VS 心操
第二試合 轟 VS 瀬呂
第三試合 飯田 VS 発目
第四試合 塩崎 VS ノア
Bブロック
第五試合 芦戸 VS 上鳴
第六試合 常闇 VS 八百万
第七試合 鉄哲 VS 切島
第八試合 麗日 VS 爆豪
「…緑谷、か」
「心操って確か…」
「……意外と早かったな(来いよ緑谷、右だけでお前を倒してやる)」
「あ? 麗日?」
(ひぃぃぃ!!)
「……へぇ、まずは塩崎って奴を倒せばいいんだね?」
私がわざと周囲に聞こえやすいようぽつりと呟けば、緑色の茨みたいな髪の奴がこっちを見てきた。なるほど、こいつが塩崎か。どんな個性かはまだ分からないけど、そこまで攻めに強い個性では無さそうだ。少なくとも強烈な攻撃は無理じゃない? だって、それが出来るのなら正面から私に挑むだろうし。
「飯田ってあなたですか!?」
「ム?いかにも俺は飯田だ!」
「うひょーー!!実はですね…!」
そういえば飯田が発目って奴とヒソヒソ話していたけど、何だったんだろう? ……あぁ、そういう事ね。……ま、いいや。あれなら飯田が勝つだろうし。
『よーしそれじゃあトーナメントはひとまず置いといてイッツ束の間!楽しく遊ぶぞレクリエーション!』
マイクお兄ちゃんがそう言って、残りの種目の準備へと取り掛かる。残りの競技は和気藹々と盛り上がり、その時間はあっという間に過ぎていく。私は温存の為にレクリエーションは全て出場せずに観戦した。体育祭中に盾の強化は禁止されているからかなり暇だった……だから代わりにバクゴーをからかってやった。
借り物競走で緑谷を引っ張ってたけど、お題は何だったんだろうね?
「オッケー、もうほぼ完成だよ」
『サンキューセメントス! ヘイガイズ! アーユーレディ!? 色々やってきましたが!! シメはこれだぜガチンコ勝負!! 頼れるのは己のみ! ヒーローでなくともそんな場面ばっかりだし分かるよな!! 心・技・体に知恵知識!! あるもの全て総動員して駆け上がれ!!』
セメントスが自身の個性『セメント』を使ってフィールドにリングを作り出して、マイクお兄ちゃんがノリノリで実況をする。前に1度だけ使っているのを見た事があるけど、相変わらず凄まじい精度だ。完璧なまでにリングが四角い。
『一回戦!!成績の割に何だその顔!ヒーロー科緑谷出久!!VSッ! 影は薄いけど着実に勝ち上がってきた普通科、心操人使! ルールは簡単! 相手を場外に落とすか行動不能にする、後は『参った』とか言わせても勝ちのガチンコ勝負だ!! ちょっとやそっとの怪我上等!! こちとら我らが医療教師! リカバリーガールが待機してっから!! 道徳倫理は一旦捨てとけ!! だがまぁ勿論命に関わるよーなのはクソだぜ!! 即アウト! ヒーローはヴィランを殺さず捕まえる為に拳を振るうのだ!』
マイクお兄ちゃんのノリも最高潮になったまま、いよいよ第1試合が始まる。
2人は何やら話していて…緑谷が怒鳴ろうとした瞬間、何故か動きが止まった。心操が何か短い言葉を言うと、今度ど緑谷が後ろを向いて場外へ歩いていく。まるでハッキングで操られたみたいに。
『あーー!! 緑谷ジュージュン!!』
緑谷はなんの抵抗も出来ずに場外へ足を……踏み込もうとした瞬間、いきなり緑谷の指から衝撃波が飛んだ。やるね。方法までは分からないけど、これで
「心操君場外!! 緑谷君、二回戦進出!!」
『緑谷出久が二回戦進出だーーー!!』
ミッドナイトとマイクお兄ちゃんが緑谷の勝利を宣言して、会場から歓声が巻き起こる。私は緑谷に向けて拍手する。心操への拍手は……まだ、する時じゃない。もし、私があいつに向けて拍手するとしたら、あいつが這い上がって来た時だ。
そして、すぐに2試合目が始まる。ここまでスムーズなのは、特にリングが大きく破損した訳でもないからかな? まぁ長々と試合を続けられて待たされるよりはいい。
『お待たせしました!! 続きましては〜、こいつらだ! 優秀!!…優秀なのに拭い切れぬその地味さは何だ!ヒーロー科瀬呂範太!!』
かなり酷い言い草だね。まぁ事実だけど。それにしても、瀬呂のテープは便利そうだよねぇ。私が思いつくだけでも敵の捕縛、命綱、グラップリングフックもどき……とにかく色々と応用が効きそうだ。絵面が地味なだけで、かなり器用な事をやっている。
『VS! 3位続きと、何だかんだで好成績を残しているがあと少しが足りない! 同じくヒーロー科、轟 焦凍!!Ready……FIGHT!!』
「まぁーーー…、勝てる気はしねーんだけど…つっても負ける気はねーーー!!」
『場外狙いの早技!!この選択はコレ最善じゃねぇか!? 下克上なるか瀬呂ーー!!!』
合図が響くと同時に、瀬呂は肘からテープを伸ばして、轟に素早く巻き付けるとそのまま場外に向けて引っ張り投げ飛ばそうとする。……ダメだ、速さが全然足りない。それじゃ轟に……
「悪ィな…!」
瞬間、轟の半身から巨大な氷塊が生成される。瀬呂の選択自体は悪くなかったと思うよ? ただ、とにかく速さが足りない。テープの射出、投げ飛ばしへの移行のふたつが遅すぎたんだ。単純に積んできた努力の差が……あ。
「そうか、そうなんだ……あー、やっと分かった……!!」
やっとモヤモヤの正体が掴めた。……轟のやつ、手を抜いている。バカじゃないの?
モヤモヤの正体が分かった途端、今度は怒りが込み上げてくる。今までこいつは、私を前にして全力を尽くさなかった。何が1番ムカつくかって、それで私に勝てると少しでも思ってること。
……よし、決めた。轟が全力を出すまで、私も絶対に全力を出さない。この全力を示す戦いで半分の力だけで戦う奴に全力を出してあげるなんて、私のプライドが許さない。
たとえ誰が非難しようと、これを曲げるつもりは無いね。
ちなみにレクリエーションの借り物競走で爆豪が引いたお題は『ヒーローオタク』です。もし引いたお題が『ライバル』だったらノアだったかも……?