鉄 壁 メ ス ガ キ 系 ヒ ー ロ ー   作:守られる偽物

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虹色電車はゆるさん。それはそれとして投稿遅れてすみません。ニケが面白いのがいけないのです(責任転嫁)


神経逆撫で親子

轟と緑谷の試合は、今までとは比べ物にならないくらい1番痛々しい戦いだった。バクゴーと麗日の試合なんて全然かわいいほどに。轟の大規模な氷結攻撃を、緑谷が何度も『超パワー』を指先だけに発動させて吹き飛ばし、その度に使った指を紫に変色させる。

戦った後のことなんてどうでも良いと言わんばかりに、緑谷は自傷と氷の破壊を繰り返して、気がつけば緑谷は2本の指を残して満身創痍、轟は右半身に霜が降りて震えていた。互いに個性を大規模に使いすぎて身体に限界が来ている。

 

『震えてるよ、轟くん。“個性”だって身体機能の一つだ…君自身冷気に耐えられる限度があるんだろう…!? でも、それって左側の熱を使えば解決できるもんなんじゃないのか……? 皆…本気でやってるんだ!! 勝って…目標に近づく為に…っ! 一番になる為に! 半分の力で勝つ!? まだ僕は君に、傷一つつけられちゃいないぞ! 全力でかかって来い!!!』

 

『何のつもりだ。全力……? クソ親父に金でも握らされたか…? イラつくな……!』

 

緑谷の挑発とも取れる言葉に轟は更に苛立って、緑谷の左半身を床ごと氷結させる。でも、最初とは比べるまでもなく勢いも範囲も劣っている。すぐに緑谷の左側の指から衝撃波が発生して氷は簡単に吹き飛ぶ。それでも尚、轟は頑なに左側の炎を使わない。

 

『君の!! 力じゃないか……!!』

 

モニター越しに緑谷の叫びが聞こえる。その直後に轟はようやく左側の炎を使った。何故ここに来て使ったのかは分からない。確実な事があるとするのなら、これで緑谷の勝利は万に1つも無くなった事だ。炎を使って元通りな轟と、1発限りの氷を砕く衝撃波しか撃てない緑谷。この先の結果なんて分かりきっている。

轟の炎が広がると同時に凄まじい爆発が巻き起こる。多分あれは水蒸気爆発だ。極端な温度変化で規模を大きくしたそれは、セメントスが作った何枚もの防護壁をいとも簡単に融かしてなお高い威力のままリングを爆風で包む。リングを映すカメラも強い衝撃を受けて、画面にところどころノイズが走る。

煙が晴れた先に立っていたのは……やはり轟だった。

 

『緑谷君……場外! 轟君三回戦進出ー!!!』

 

私には分からない。緑谷の何があそこまでする? 体をぐちゃぐちゃに傷つけてまで戦おうとする意思の源は何なのだろう。……どれだけ考えても答えは見つかりそうにない。

いつかは緑谷の異常とさえ思えるあの行為も、私が理解できる時は来るのかもしれない。でも……それはかなりずっと先だと思う。

 

「……そろそろ行かないと」

 

しっかり気持ちを切り替えなきゃ。次は私と飯田の試合なんだ。他人を気にするあまり、自分の事を疎かにして負けたなど笑いものだ。考える時間なら後でいくらでも確保すればいい。

私は気を引き締めつつ控え室を出る。

 


 

『さぁさぁリングの補修も終えて次の試合! スピード文句なしの爆走メガネ!! 飯田 天哉!! ヴァーサスッ!!! 攻防一体のシールドファイター!! ノア!!』

 

「さぁ、どこからでも来ていいよ。飯田……いや、機関車ストーンヘッド?」

 

「今わざと悪意のある名前で言い直さなかったか!? それはそれとしていい試合にしよう!」

 

ちっ……薄々予想はしてたけど、挑発に乗らないか。真面目でお堅い飯田でこれなんだから、他の奴も冷静さを失わせるのは無理と考えた方がいいだろうね。

私は盾の操作方法をセミオートからマニュアルに変更して脳と密接にリンクさせる。意識外から来る攻撃への対応が不可能という弱点はあるとはいえ、こっちの方が小回りが利くし、マニュアルだからこそできる技だってある。負担は少し増えるけど想定の範囲内。これくらいの情報は余裕で処理できる。

 

『Ready……FIGHTッ!!』

 

(さぁ……飯田。お前はどう攻めるのかな?)

 

飯田の切り札であるあの超加速。レシプロバーストだったかな? それが正面からとはいえ私に見切られているのは、流石に飯田も分かってるだろうね……。実際、飯田は様子を見るように通常での加速に留めながら私の周りをグルグルと走り続けている。本来ならかなり燃費がいいらしいし、息切れは期待するだけムダだろう。さっきから近づいて手を伸ばしてくる時があるし、私の隙を狙っているのは明らかだ。倒すのは無理と判断して場外に投げ飛ばすのか、それとも速度を活かした特大の蹴りを食らわせるつもりなのか……どの道をタイミングうかがっているいるのには変わりない。

 

「彗星みたいに来ては離れて……鬱陶しい」

 

私は飯田が離脱する瞬間を狙ってエネルギー弾を撃つけど、エネルギー弾は飯田にかすりもせず、リングを壊すだけに留まる。

飯田の脹脛にある排気管から吹き出す排気熱の影響か、さっきから熱源探知によるロックオンが出来ない。軌道を予測して置き撃ちをしようにも、しっかりと不規則にカーブも織り交ぜることで対策している。このままじゃ、ジリ貧とまではいかなくても決着がつかない。この均衡を崩すにはどうすればいい? こうも自由に動き回られたら……自由に? ……そうか! あったじゃないか。勝利の糸口が。

 

『ノアの苛烈な攻撃を華麗に避けていくぅ!! こりゃワンチャンあるんじゃないのぉ!?』

 

私はエネルギー弾をとにかく撃った。全て飯田には当たらず、リングのコンクリートを抉るだけ。

マイクお兄ちゃんの飯田優勢と思わせる実況とは反対に、飯田の動きに焦りが混じりはじめた。狙い通りだ。飯田が的確に避けているんじゃない。だって、このエネルギー弾達は飯田を狙って撃っていないもの。

 

「列車ならレールに沿って走らなきゃダメだよ? もし外れたら転んじゃうかもね」

 

エネルギー弾で瓦礫と凸凹だらけの荒れ地同然になったリングの中央で、私は飯田の攻撃を完璧に捌く。ここで飯田も私に嵌められた事に気がついて、焦りも加速させた。

飯田の攻めを凌ごうと考えるあまり、完全に忘れていた。飯田は走る時、悪路を過剰なくらい避けようとする。騎馬戦の時もその傾向があったじゃないか。

進む方向が予測できないほど道が広いなら、できるように狭くすればいい。シンプルかつ効果的な方法だ。それと……

 

「そこ、危ないよ?」

 

罠は誘い込んで踏み込ませてこそ真価を発揮するそうだ。無傷に見えてしまう崩れる寸前の足場を強く踏んでしまった飯田は、思いっきりバランスを崩して倒れる。こう何度も策が通ると気持ちがいいね。私は今、それはそれは意地の悪い笑みを浮かべてるんだろう。

あの足場が崩れる事が分かったのは偶然とはいえ、それが分かっていればすぐに行動に移せる。攻めるなら今だ。

 

『おおーっと!! 飯田の踏み込んだ足場が崩れたっ!! ここに来て不幸が降り掛かってしまう!!!』

 

『いや……ありゃ偶然じゃねぇ。安全な道と思わせるノアが仕組んだ誘導だ。崩れる前からあいつは動いている』

 

『マジかよッ!!』

 

地に足がついてない飯田を怖がる必要なんて微塵もない。立て直される前に、暴れる飯田を俵担ぎで運んで、そのまま場外へ軽く投げた。これで私の勝利ね。

 

「飯田君場外! ノアさん準決勝進出!!」

 

「くっ……完敗だよノア君」

 

やっぱり飯田は真っ直ぐすぎるんだよね〜。正攻法ばかりじゃなくて、もっと意地悪い戦いをしてもいいと思うけどな。 ……まぁ、そこが飯田のいい所ではあるんだろうけど。……私もみんなみたいに道を選べたら、どうなってたのかな。

 

──────────

───────

 

「おぉ、ここにいたのか」

 

観客席に戻る途中、全身から炎を出しているヒーローと思わしき男に声をかけられた。どこかで見たような……あぁ、確かNo.2ヒーローの『エンデヴァー』だったかな? 何の用かは知らないけど、私を探していたみたいだ。

 

「試合を終わらせた面識もない選手に用があるなんて、No.2ヒーローってのは随分と暇を持て余してるんだね?」

 

「…なんとでも言いなさい。ノア君…だったかな? 君の活躍はこの目で見せてもらった。何者をも寄せ付けない、正に鉄壁の個性……そして、その守りに頼りすぎない柔軟な戦い方には目を見張るものがあった。是非ともウチの焦凍にも見習って欲しいくらいだ」

 

皮肉も込めて私は用件を聞くと、エンデヴァーは涼しい顔で皮肉を無視しつつ、私を指差して私への評価と遠回しに轟への愚痴を言った。というかこいつ、轟の親なのか……確かに、よく見れば所々似ている気もする。

 

「君なら"下らない反抗期"を終えた焦凍に相応しい相手だろう。焦凍には、オールマイトを超える義務がある。2度も焦凍に勝った君相手なら、焦凍も必ず本気を出してくるだろう。くれぐれも、みっともない試合はしないでくれ。……言いたいのはそれだけだ。失礼した」

 

エンデヴァーはそれだけ言って去っていく。

……ホント、言いたい放題だ。要は良い方向での評価も、期待しているみたいな言葉も、全部『轟の踏み台』として見た言葉なんだ。初めから舞台装置扱いも中々頭にくる。

あの2人の間に何があったのかは、知らない。 親がどういう存在なのかすらも忘れている私じゃ、事情を聞いたところで理解できないだろうしね。

……時々、分からなくなる。何が異常で、何が正常なのか。

 


 

『カァーウゥンタァァァ!!! 切島の猛攻になかなか手が出せない爆豪!!』

 

私が戻ってきた頃には、もう切島とバクゴーの試合になっていた。……まぁ、だいたいの予想はついている。常闇の黒影(ダークシャドウ)が強烈な光にめっぽう弱いのは、騎馬戦の時本人から伝えられている。だから、騎馬戦の時はなるべく常闇の死角に向けてエネルギー弾を撃っていたし、上鳴の電撃が来た時なるべく盾で光を防いでいた。

これに関しては相性が悪かったとしか言いようがない。上鳴が考え無しにぶっぱなして対応が間に合わなかったか、光対策に集中して電撃を食らったか……そんな所だろうね。

 

「お、耐えてるね。切島もやるじゃん」

 

バクゴーのいつも以上に苛烈な攻めにも、切島は『硬化』で怯まずカウンターを決めて……いや、バクゴーも致命的にならないようギリギリで避けてる。

2人とも高いタフネスが強みだから……この試合、先に息切れの来た方が負けるかな?

 

「いい加減倒れろぉぉぉ!!! あがっ!?」

 

『ああー!! 突然爆豪の攻撃が効いた!?』

 

「てめェ全身ガチガチに気張り続けてんだろ。その状態で速攻仕掛けてちゃ、いずれどっか綻ぶわ」

 

切島がトドメとなりそうな大ぶりの一撃を食らわせようとした瞬間、バクゴーが浴びせた爆破が切島の体勢を崩した。スタミナ切れ(時間切れ)が先に来たのは切島のようだね。バクゴーは怯んで無防備になった切島の腹目掛けて何度も爆風を浴びせる。

 

「死ねぇ!!!」

 

「切島君場外!! 爆豪君、準決勝進出!!!」

 

バクゴーのいつものセリフと同時に爆風で切島は吹っ飛び、場外に飛ばされそのままノックダウンした。まさに盾もを貫く苛烈な攻めだね。バクゴーと戦うのが俄然楽しみになってきた。最高峰の矛と盾……砕かれるのはどっちなんだろうね?

……っと、その前に轟との試合があったんだ。目には目を、歯には歯を……半分には半分を、ね。

きっと今の私は、また意地の悪い笑みを浮かべてることだろう。




5000文字いってないけどユルシテ....ユルシテ...
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