鉄 壁 メ ス ガ キ 系 ヒ ー ロ ー 作:守られる偽物
「やっば……さすがに筋肉ダルマ2人はこの私でも攻めてられないかも」
流石の私でも、筋肉ダルマ2人相手では守りで精一杯だ。多分体格的に金髪の方も黒い方と同じかそれ以上の力があるはず。
黒い方の筋肉ダルマはまだいい。あくびが出そうなほど攻撃が単調だもの。
躊躇いは無いけど、それだけ。他2人の横槍も油断しなければ完封出来るレベル。
だけど2人同時に殴られたら、攻撃も盾を冷却させる暇も無くなる。一応私自身もそれなりに頑丈だけど、盾に比べたら全然脆い。関節とかの比較的強度が低い部分もあるしね。
危険を犯して損傷するくらいなら、相手が疲れるまでひたすら耐えていればいい。殴るのはそれから。
そんな事を考えていたら、金髪ダルマが黒ダルマの方へ拳をぶつけた。
「見たところ君が生徒達を助けてくれたのだな!? ならば私も加勢しよう!」
「……は?」
思わず変な声が出ちゃった。……で、何を言ってるの? この金髪筋肉ダルマは。 加勢? 無敵の守りを持つこの私に? ……まぁいいや。黒ダルマと一緒に殴られるよりはずっといい。
いつも1人で生きていたから連携なんてした事無いけど、せめて誤射はしないように盾をオート射撃からマニュアル射撃に切り替える。ありえないとは思うけど、迎撃機能が金髪ダルマに反応しても私が困るからね。
「……ほら、貸してあげる」
私は片方の盾を金髪ダルマの周辺に付き添わせて、もう片方の盾でさっきから横槍を入れる2人に向かってエネルギー弾を放つ。
「素晴らしい盾だな! 心強いよ!」
私の盾は金髪ダルマの攻撃の後隙だけをカバーして、黒ダルマの攻撃だけを防ぐ。
でも、私の時はあっさり腕が吹き飛んだはずなのに、金髪ダルマの攻撃が黒ダルマに効いた様子がない。
見たところ威力なら同じどころか、エネルギー弾より金髪ダルマの方が上のはずなのに。
「マジで効かないなオイ! 私の攻撃をここまで耐えるとは!」
「ショック吸収。お前をメタる為に搭載されたサンドバッグにおあつらえ向きな個性! ダメージを与えたいならゆぅっっ…くり肉を抉るといいぜ? まぁ、それが出来たらの話だけどな」
「ふーん。なら焼き切っちゃえばいいよね」
いい事を聞けた。私の攻撃手段はエネルギー弾だから、ショック吸収がどうとかは関係ない。私は狙いを2人から黒ダルマに変えて、そのまま片腕を撃ち抜いた。
「なっ!?」
間髪入れず金髪ダルマに付き添わせていた盾からもエネルギー弾を発射して、残った方の腕も撃ち抜く。
金髪ダルマが驚いていたけど、追い打ちに私は両足を撃ち抜く。これで本当の意味でダルマが完成……しなかった。
一気に撃ち抜けばいけると思ってたけど、普通に再生してきた。
「チッ、やっぱり再生するか……」
私はその無駄に高い再生能力に舌打ちをして、盾の冷却をする。
少し撃ちすぎたけど、これくらいなら冷却は間に合いそう。
「……わぁ、まさか無理矢理ぶっ飛ばすとはね」
冷却を終えた頃には、金髪ダルマが凄まじいスピードでラッシュをかけて黒ダルマを吹き飛ばした。ショック吸収を上回る勢いでぶっ飛ばしたみたい。いくらなんでもやり方が脳筋すぎない?
「クソッ!ゲームオーバーだ黒霧。帰るぞ!」
「逃がすわけ…ッ!」
逃げようとする2人組に照準を合わせようとした瞬間、金髪ダルマが来た扉の方から弾丸が飛んできた。それを盾が自動で防いでしまい、狙いが逸れてしまった。
「撃たないでくれスナイプ君! 彼女は味方だ!」
「……は? 私はお前の味方になった覚えは無いんだけど。私は弱いものいじめをしてたやつを倒そうとしただけ。そっちが勝手に勘違いして加勢したんでしょ?」
私からすれば、1人で出来た事にいらない手助けを貰った気分だ。
だけど、金髪ダルマ(オールマイトって言う名前らしい)は謙遜するなと言わんばかりに勘違いを加速させていく。
「ところで、君の名前は?」
「私? 私の名前は……………………」
オールマイトに名前を聞かれて、私は困ってしまう。
自分の名前なんて覚えてない。使う必要が無かったものなど、とうの昔に忘れてしまった。
ふと、交換した部品にあった文字を思い出す。
「……ノア。私の名前はノアよ」
「ノアか! いい名前だね!」
今日から私の名前は……ノアだ。
オールマイトに名前を褒められた。……悪くは、ない。