イケメン霊媒師によるたった一つの冴えたやり方 作:O•Nホール
「……えー以上を持って五条家当主、五条悟の名の下に呪詛師夏油傑を呪術師としての復帰を認める。ので、おじいちゃん達承認よろしく!」
上層部を前にいつもの態度を改めることなく五条は契約書の写しをちらつかせながら報告する。
「わかった。……どうせお前の言う存在が関与しているのだろう。もう何も言うまい」
「然り。融合していたはずの呪物の除去に始まり。……宿儺の指の調伏。天元様の完成による全国の結界の増強。土地神、土着神の利用による呪霊被害の抑制。呪術界にこれだけの寄与を齎すならば、その者の行動は制限しない方がいい」
「聞けば今回夏油傑は水面下でとんでもない災害を企てていたとか。程度は違えど特級呪詛師の脅威を防いだのだ。もしことを起こされていたら……被害の規模とその対策は未知数なれど莫大な金と血が流れたに違いない」
五条は思う。最近の上層部の変わりようは正直気味が悪い。
善良には程遠くとも上層部の悪性は薄れている。それは腐ったみかんから表面にカビの生えたみかん程度の変わりようでしかないが、それでも。気味は悪くても殺してやりたいほどの憎たらしさが消えたおかげで僅かばかりだが付き合いやすい。
これもカムイのおかげかな、と五条は内心述懐する。
「最近のあんたたち物分かり良くて助かるよ。ついでにそろそろ呪術規定も含めた決まり事、見直さない? これからどんどん仕事の質も幅も変わってくるだろうし」
「貴様に言われなくとも天元様からの指示で草案を纏めているところだ。……それで、報告は以上か?」
諦め。悲しみ。そして期待。その一言にどうしてそんな感情が言葉に乗るのか五条は理解できないまでも、言われるままに何かあったかと記憶を探る。
「あー……そうそう! 呪胎九相図。あれ死んでるやつも含めて持ち出すから。迷惑かけたし彼への報酬ってことで」
「……。……良かろう。彼に調伏させるなら余さず報告するように」
「わーってるって。映像であげりゃいいんでしょ。言っとく言っとくー」
ひらひらと手を振りながら五条は出ていく。
「あ、あとこれから報告あると思うけどパンダが女の子になった件。あれも彼案件だからねー留意しといてー」
「は? 待てなんだそれは聞いてないぞ、おい!」
口笛の残響が部屋に残り、五条は姿を消した。
最強の担任が認める最強。そんなのいるわけないと疑い、訪ねたその存在の居場所。そしてそこから昼飯代と称され渡された1万円札をそれぞれ手に帰ってきた3人は注文したピザを囲む。
「痛かったって記憶だけあるんだが……私やっぱり殴られて気絶してたのか?」
「しゃけ……」
──イケメン霊媒師カムイ。存在Xの正体を知った時はいつか見た雑誌でそういやそんな霊能者が居たなという認識だった。
「そうか……でも一撃でっつうのも納得出来ねえんだけどな。で、棘は……おいパンダ、棘のやつは何された?」
「……ん? あ、ああ……呪言が跳ね返って逆に眠らされたよ。何だあれ。呪詛返しの術式ってわけでもないだろうし。無下限と違って殴ってる感触はあるんだがびくともしない。つか何だあれ。黒閃……黒い火花。あんな叱るみたいな挙動で見るなんて思いもしなかったぞ」
落ちてきた袈裟着たヘンテコ坊主には驚かされたが、カムイ自身の第一印象は根暗や曲者揃いの呪術師の中でも一際善良そのもの。
そのルックスと面倒見のいい性格からして、メディア受けするのは納得だったが、それでどうして五条悟より強いのか。また負けたその本人がどうして喧伝して回るのか。
手合わせをするまで全く理解できなかったが、終えた今否応なく理解した。
別格だ。壁あるいは地面を相手取るような感覚。孫悟空が釈迦の掌に挑むような無謀さを肌身で感じた。
「黒閃!? いや、それなら納得だわ。……んでパンダお前は? どうやって負けた」
「……いくら?」
「い、言いたくねえ……けど。戦闘時になって驚かれたら致命的だからな。お兄ちゃん核とお姉ちゃん核。どっちも使ったけど負けた……らしい」
「らしい? それが言いたくない理由じゃねーだろ?」
「……ああ。何て言ったらいいか……その、だな。お姉ちゃんのトリケラトプス核弄られて女体化するようになっちゃってさー! ほら! んで気がついたら私外に出されてた!」
ヤケクソ気味に明かされた現在の第3の呪核の姿。声も口調も見た目もガラリと変わったパンダに真希も棘も口を半開きにして固まって驚いた。その間にサラミの部分をパンダは掻っ攫っていった。
こんな一大事、報告しないわけにはいかない。
「正道。私こんな姿になっちゃったんだけど直せるかな」
「……パンダ、なのか? いやその姿は……お姉ちゃん、なのか」
自身の生みの親に知らせると抱きしめられ、泣かれ。そして喜ばれ。
「何でそんなに泣くんだよ。……お父さん」
女口調の自分と泣きつく親に何だかなあ、と思いつつ。パンダは元に戻してくれと下手人に言いに行き難くなった。
翌朝。兄と姉の魂の人格が励起し、夜蛾学長の元に駆け込んだ。
俺のシャツを羽織る玉藻の隣に座る。今は万とスクナが浴室を使っている。
「お疲れ様でした、ご主人様。夏油の一件、色々とご多忙でしたね」
「ああ。五条のせいで思わぬ来客もあった……だがこれで夏油は呪術師に返り咲き、その一派も不承不承だが夏油の説得と縛りによって呪術師として活動しなければならなくなった今……残る気掛かりは1つだ。羂索はまだ見つからないか?」
猿は嫌い。そうは言ってもその思想のかなめとなった理子にやめろと言われたのだ。俺との契約抜きにしてもやめざるをえない。
内心複雑でも自分の死を一度受け入れ、それでも生きたいと願った天内理子の方が夏油よりも余程大人だったということだ。
理子は今度ちゃんと褒めてやらないといけない。なんだかんだあの一撃は夏油に呪術師としての再起を決心させる決め手になった。
「ええ、まだ。……言い訳はしません。私の力及ばず。この駄狐をお叱りになりますか?」
「いやお前はよくやっている。その褒美はくれてやるつもり……だったがな。五条から聞いたぞ。夏油を亀甲縛りにしていたそうじゃないか」
「うっ……いやそれはその……つい出来心と言うかじゃな」
「大の男の目に余る姿が、理子の目についた。これは、お仕置きだな?」
「はひ、んっ……!」
お仕置きだと言うのに尻を叩かれ、露わにしている尾が喜びにくねる。本当に、いつまで経っても可愛がり甲斐のある駄狐だった。
……それから。
浴室で寛いでいた2人のところへ乱入し、今日のお礼と称して室内で一段と燃えて。仕事が終わった解放感はそれだけで飽き足らず、部屋でも呪物を一通り弄ぶ。
最近お気に入りの呪力が電気質の元男の呪物。いい塩梅の刺激をくれていつもより多めに出るので大変良い。確かカシ……マ? みたいな淫魔像っぽい名前名乗ってた気がするが、ちゃんと名乗る前に口塞いだからよくわからん。
まあ生オ◯ホにそんな大層なもの勿体無い。……イメージに引きづられてつい姿は似せたが。
X指定版は
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