イケメン霊媒師によるたった一つの冴えたやり方 作:O•Nホール
夏油と天内+
感想評価報告あざます。
有明の女王と化した鹿紫雲さんちゃん。音量上げろ! 生前葬だ! アンアンキシムサウンドに沈め!
向かい合う天内理子と夏油傑。五条悟は壁に寄りかかり足を崩して座っている。
2人がする思い出し笑いを怪訝に思いつつ夏油は聞いた。理子がなぜここにいるかを。誰によってその人格を保ち、生前の姿でいるかを。
故に納得する。カムイがなぜあそこまで呪詛師をやめるよう手を回したか。なぜ親身になってくれたのか。
──全ては理子の為。
「夏油に一緒に帰ろうって言ってもらった時……私本当に嬉しくて。あの時生きてていいんだってやっと思えたんだ。友達と家族と離れ離れにならなくても良いって……でも衝撃と痛みを感じて、目が覚めたら10年経ってた」
カムイに出会い、天元様に会って。文句を言って謝って。感謝した。
友達ができた。黒井のように、我儘言っても甘えても良い父や母のような大人に恵まれた。五条はこんなだけど、昔の自分を少しでも知る誰かは居てくれる。
真面目な話をしているうちに写真に納めた目の前の人の情けない姿は思考から抜け落ち、苦笑いしながら頬を掻く理子。それでも生き返ってからのことを嬉しそうに語る彼女が夏油には眩しい。
これが本人だと聞かされても、わかっていても否定したい。似た誰かであって欲しい。
もう1度会えて嬉しいのに、話せて嬉しいのに。そう思うそれは夏油自身、自覚している罪の意識からくる逃避に他ならない。
「理子ちゃん私は」
「自分が殺されたことで夏油のことは怒ってないよ。ううん。私、今誰のことも恨んでないし憎んでないんだ。黒井を殺した人は……死んだって聞いてる。許せないし悔しいけど、それだけ。むしろ夏油の目の前で死んでごめんね。手を取れなくて、ごめん」
困惑。
「なんで君が謝るんだよ……君を守れなかった私に非がある。あの時悟に君を託され、黒井さんに託され。そして君を守れなかった私のせいで君は死んでしまった。……私のことを怒っていい。君は恨んでいいんだ」
遠回しにアイツに殺されかけた僕のこと責めてない? そう言いたげな五条の視線は鬱陶しいが口にはしてない。視線に留めるだけで話の腰を折るつもりはなかった。
「1番悪いのは私を殺した人、でしょ。殺すよう言った人もだけど。……聞いたよ、私が死んでからのこと。夏油は人の悪いところを見て、思い詰めて。防ぎようのない災害のせいで気が滅入るほどまっずい呪霊を沢山取り込んで。後輩の男の子が死んで……他にも色々辛いこと沢山あったんだろうけど。でも私の死が非術師のことを嫌いに……夏油が呪詛師になる切欠になったと思ったから。だから、ごめんなさい」
「……話したのか悟」
「故人が自分の死んだ後のこと知っちゃいけない? 他でもない理子が知りたいって言ったんだ。僕とカムイは教えただけだよ。……もうさっさと本題入っちゃいなよ。こいつ昔っからすぐ正論で殴ってくるから。相変わらず辛気臭くて嫌になるね」
「もう五条はすぐそういうこと言う──ね、夏油」
「……何かな理子ちゃん」
五条の明け透けな物言いにちょっと笑い……俯き。目に涙を溜めた理子は言う。
「頑張ったのはわかるよ。疲れちゃったのも。でももう……もうね、人殺しちゃ駄目だよ。絶対駄目。非術師のこと猿って呼ぶのもよくない。あの人たちも人間だよ……人間なんだよ。私の同級生や先生たちと一緒なんだ。夏油の言う猿には黒井と同じくらい大事な人たちが含まれてる。私が天元様になっても守りたかった人たちなんだ。……だから呪詛師はもうやめてよ……私、夏油のこと嫌いになりたくない」
頬を伝って落ちる涙から目が離せない。
「ごめん理子ちゃん……」
「夏油の馬鹿ぁ……っどうしてそんなことしたのぉ……!」
抱擁。触れるように。壊れないよう抱きしめて、その体の温かさを知る。
非術師を害せないカムイと結んだ縛り。それを知ってか知らずか。縋るように啜り泣く理子に謝りながら幾度目かになる父と母に。そして殺してきた名前も忘れた誰かに対してこの日初めて赦しを請うた。
「今度私の家族を紹介するよ。良い子たちなんだ」
そう言って夏油は呪霊に乗って帰っていく。晴れやかな笑みが少し憎い。理子は大きく手を振り、またねーと声を張った。
「なーんか傑と僕の時とで対応違くない? アレも十分セクハラでしょ」
「それはアレじゃ。アレ。……あの時は急に抱きしめられて……恥ずかしかったのじゃ。今回は前回の反省が生きただけ。あ、あと夏油は五条みたいに勢い任せじゃなかったからのー。……それがわからんとは、ほんっと乙女心がわからんやつよなー五条は!」
照れ隠しなのは見え見えの煽り。しかし許せない。
「はーなんっだそれ! 腹立つー! のじゃのじゃまた言ってるし! 知ってるか、厨二病ってやつだよそれ。まー14ならしょうがないかー! 中2か中3で人生止まってるもんなー」
「言っちゃいけないこと言ったなバカ目隠し! 夏油を吹っ飛ばした妾のパンチ、そんなに喰らいたいなら食らわせてくれる!」
「お好きにどうぞー、無下限で止めれるから──いっで!?」
身長差から生まれる抉り込むようなボディブロー。
「あ、あれ……?」
黒閃と領域展延の同時発動。痛みに堪え無下限呪術でその場に止まったものの、カムイ並みの理外の一撃で五条はお腹を抱えた。
なお当人は冗談でやったまさか当たるとは思わなかった。反省している。反省してるから全身雑巾絞りはやめるのじゃーなどと申しており……。
──ということを背中に隠れる理子が報告してくる。
「五条、大人気ないぞ。理子も喧嘩売ったらダメだろ」
特に五条子供相手にムキになるなよ。ガキじゃないんだから。
「はあ。わかったよ、僕が悪かった。ごめんね天内」
「…………うん。……ごめん」
あといい加減ひっつき虫やめろ……反応しちゃうだろ。
夏油→理子
助けられなかった。けど生き返ってて殴られた。夢かと思ったけど夢じゃなかった。嬉しい反面自分のしてきたことが理子のためにはならないどころか悲しませると知った。目を合わせてくれないのが気になる。
理子→夏油
恩人1号。闇堕ちしたと聞いて許せなかったし、死んだ自分も一因と聞いて気が気じゃなくなった。夏油の両親と見知らぬ誰かに代わってキツイの一発入れたかった。入れた。募り募ったクソデカ感情の一部は発散できた。笑いそう。
X指定版は
-
いる(真顔)
-
書いて♡ 書け(豹変)