イケメン霊媒師によるたった一つの冴えたやり方   作:O•Nホール

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前々回、最後あたりの続きから。

もう宿儺と聞いて朝◯先生の絵柄でしか想像できない体になってきた。
カタカナ表記で使い分けてたけどもうダメだ、おしまいだ……そういう人は原作読んで中和したらええよ。


月下の誓い

 呪符が張り巡らされた監房から場所を移し、椅子で足を組んだカムイを前に、形だけの手錠をつけさせられた虎杖が座る。

 そして女性モノの服を与えられた際パンツを嫌そうに摘み上げていたものの、今渋々履いているであろう宿儺が横に座る。鬱陶しいと髪の毛を二つ括りにして。

「本当であれば宿儺の指は俺が君から抜き出し、回収できるのが良かった。だがそれができない以上、君と宿儺はコレから一心同体。共に生きていかなければならなくなった」

「マジ?」

「大マジだ」

 こんな女の子と? と視線を向けると蹴りを入れられる。

「所在のわからない指の数は残り8本……いや、7本か。気づいていないようだが既に1本取り込んでいたようだな。今回食べた以外で何か覚えはあるか?」

「え、ええ!? ……拾い食いでもしたかなぁ俺」

「……。まあそういうこともあるかもしれない」

「あ、じゃあ俺何もしなくても呪力持ってたってこと!? 食って損してる!」

「いや、今まで呪霊を見たことなかった、呪力を持ってなかったんだ。封印された状態で取り込んでいたのだろう。今回食べたので解けてしまったようだが」

「……なんか釈然としない」

 呪力があれば、伏黒が俺を庇って怪我をすることはなかったかもしれない。先輩たちも怪我をすることはなかったかも。

「まあこれも巡り合わせという奴だ。気に病むな、と言っても無理だろうが気にするな。……さて改めて整理しよう。君は宿儺の指に耐え得る器だ。君と宿儺は一心同体。つまりは君が死ねば宿儺も死ぬ。……全ての指を取り込ませ、指を処分する。そんなクソみたいな理由で君が生かされる未来はあったかもしれないが、幸か不幸か何とかできる俺がいる。上層部の沙汰によってはすぐにでも殺されるかもしれない。それか俺の元に送られるやも。正直これが一番可能性は高いだろう。だがどうなるかはわからない。覚悟はしておいてほしい」

「……うん。あーでもやっぱ死にたくねー!」

「人間なら当然の感想だ。まあもし死刑が決まっても何とかしてやる。さて、できることの確認を続けよう。……そこで君に暴行している宿儺が鬱陶しければ幽体化させるといい。多分君の意思でできるはずだ」

「それ早く言って……何で服脱げんだよ! んでパンツ穿いてないじゃん! ちゃんと穿いてて!?」

 物質をすり抜けるらしく、中身はどうあれ見た目が女の子の裸は視界に悪いので実体化し直して、今度はパンツも着せた。くつくつと笑うカムイに腹を立て襲いかかるのを慌てて止めた。

 

 

 

「んで、術式だっけ? 呪力と一緒に俺が許可出さないとこいつは使えないし自由にも使えない。伏黒の式神みたいな感じらしい。あ、前みたいに幽体化させたら身体の主導権を渡すこともできるけど……まーまずやらないかな」

 授業を終えた後、隣室になった伏黒に呼ばれ経緯を説明。あれだけボコスカ殴られていたのが嘘のように平然としている。怪我もすぐ治ったらしいし、呪術師って回復技が使えるのかもしれない。

「ならひとまず安全は保証されたか。……その、カムイさんに変なことはされてないんだよな?」

「うん? されてないけど。どったの?」

「いや、いい。お前もそのうち知るだろうし黙っとく」

 カムイさん、ね。概ね良い人だった。けど呪術師はどこかイカれてないといけないらしいし、あの人も何かあるんだろうか。

「あ、でもなんか宿儺に話してたな。なに話されてたの?」

「……何故話さねばならん」

「大方脅されでもしたんだろ。あの人のおかげで現代復活の目は殆ど潰されてるようなものだからな」

 だからあの時は本当に焦ったぞとぼやくので、素直に謝っとく。

 でもこの気難しい宿儺を話しただけで脅せるって……本当に何を言われたのか。全然想像がつかない。意地になってるのか共有もしてくれない。

「聞きたいことはもういい。納得した。荷解きがあるんだろ? 手伝ってやるからさっさと休め」

「ああ。……あんまないんだけど。あんがとな伏黒」

「気にするな。五条先生のあの口ぶりからして明日迎えに行くだけじゃ終わらんだろうからな」

「どんな奴が来るんだろうなー?」

「知らん。あの人その辺適当だからな」

 

 虎杖と伏黒の無益な会話の横で宿儺は想起する。

 共有しないのではない。できなかったのだ。話せない、伝えられなかった。

『……虎杖悠仁を殺し、指1本分程度なら捨てれば良いと思ってるだろうが、その認識は改めるといい。その記憶の通り俺の持っている指はもう使い物にはならんだろう。精々この子と協力して生き足掻くんだな』

 一瞬で理解させられた他の指の所在と処遇を示す、見せられた男の持つ記憶。

 女に変えられ性的に食い荒らされ、人ですらない扱いをされている……男から見た、変わり果てた己の姿。

 馬鹿馬鹿しいどうせ偽物だと。……本来なら一笑に付すところだが。

 男の記憶を垣間見た今ならわかる。もしあの時。己と小僧の魂の繋がりを強めていなければ、同じ目に遭っていた。それほどの危機感が今の体になるあの瞬間に感じた。

 ……檻と称した小僧の体に、よもや護られることになるとはな。

 集めなければ。奴の手に渡る前に。幸い現状を打破する手段は目の前にある。

 人知れず宿儺は決意を新たにした。

 

 

 

「話がある」

「なに、眠いんだけど俺。足で起こすのやめてくんない?」

「お前が叩いても起きないからだろう木偶」

 夜更けにベッドの上に登ってきて足で蹴り起こされた。

「んで。何?」

「まあ聞け。俺の指に施された封印は解けかかっているのだろう? その上所在がわかっていないときている。お前の、先輩と言ったか? 奴らのように呪霊に殺される者は出てくる。正しい死を、などと戯言を吐くお前だ。防ぎたくはないか?」

「訂正しろ。先輩たちは死んでない」

「そうだな、運良く死んでいない。だが奴ら以外は死ぬことになる。お前と伏黒恵がその場に居合わせ、対処できただけにすぎない」

「……何が言いたい」

 綺麗に生え揃った並びのいい歯をのぞかせ笑う。

 

「指の在処は近づけばわかる。お前が条件を飲むなら指の回収を協力してやる」

 

「……一応聞くけど、その条件って?」

「見つけたら他人に委ねずお前が取り込め。それだけで……なんだったか、あまねく人に正しく死んでほしい、だったか? それに協力をしてやろうと言うのだ」

「いや取り込むのは良いけどさ。絶対なんか企んでるだろ?」

「そんなことはない。こんな身体で何を企む? 縛りぷれいにも程があるだろう」

「いやそれはなんか違う気するけど……そもそも俺に指取り込ませてどうするつもりだよ。どうせ復活は無理なんだろ? 集めても五条先生とかカムイさんに渡すよ俺」

 正直言うと飲み込みたくない。石鹸みたいな味するし。

 

「……。ならこの話は無かったことにする。……それだけの話だ」

 

 混乱する。理解が追いつかない。なんだよ。何でそんな顔すんだよ。お前謝るようなタマじゃないだろ。

 契約を持ちかけてくるだろうから気をつけろと言われたのを思い出す。でも、だけど、これは。

 流れ込んできた感情は焦りと恐れ――そして、

「待てって……わかった。いいよ、やる。本当はなんか企んでそうでヤなんだけど……取り込んでやるから力を貸してくれ。お前がどんなに悪いことしてたとしても、今は自分の為でも良いことしようって言ってるんだ。……それぐらいのお願いぐらいなら聞いてやるから。俺たちこれから一蓮托生、なんだろ。……だからそんな顔するなよ」

 ずるいぞ、と。そうぼやくと宿儺は目を丸くして固まっている。

「どうした? なんか俺変なこと言った……?」

「ああ、いや……」

 釈然としない様子の宿儺が口を噤んで敷かれた布団に潜り込む。

「……まあ、いいや。おやすみ!」

 眠っていたところを遥か未来の現代に叩き起こされたのだ。性転換もさせられた。ならこういうこともあるだろう。泣きそうになっていた宿儺の顔を思い出し、自分を納得させた。

 

 




カムイさん
釘刺すのはこれくらいで良いか。

虎杖
やっちまったかな……いや、でも断るの無理だろ。

宿儺
小僧が断らないだろうとは理解していた。……なんだこの感情は。流れ出るものは、なんだ。

X指定版は

  • いる(真顔)
  • 書いて♡ 書け(豹変)
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