イケメン霊媒師によるたった一つの冴えたやり方   作:O•Nホール

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メロンパンナちゃんのオリチャー発動!
それに伴ってカムイさんとこの彼女らが呪術ナイズドされてる。
カムイさん側の設定未出既出問わず色々盛ってるのは許してちょ。


呪胎戴天参

 那須某所。

 其処は火山性のガスが滞留する常人を寄り付かせない濃い瘴気あふれる場所。

 足を踏み入れるだけで周辺の生気を吸い取り、人を死に至らしめる大岩が野晒しにされていた。

 その岩に付けられた名は殺生石。

 白面金毛九尾の狐。

 時の権力者に取り入り誑かし傾国を目論んだとされる者がなれ果て、別たれた三つのうちの残された一つがここにある。

 その岩に恐れ多くも腰掛け足を揺らす童女が1人。

「羂索。貴様の目的がなんであれ、儂らは貴様に協力する……それでよいのじゃな」

 実体のない幼い体躯。死溢れるその場所で、しかし彼女に関しては無用の心配であった。

 常人にはない獣の耳、9本の尾は伝承そのもの。彼女こそ殺生石に変じられ封じられたその人である。

 だがこの場にいるのは九尾の狐だけではない。

「代わりに私は君たち4人の宿願を叶えるのに協力する。間違いはないね」

 この場でただ1人常人に見える女。

「ぽ」

 2メートルを軽く超える長身の白い服の女。

「ですがわかりません。アナタは確か数多くの呪霊、術師と契約をすでに交わしていたはず。協力関係を結ぶに相応しい相手は他にもいたでしょうに。何故わざわざ封印されている私たちに声をかけたのですか」

 蛇の下半身、3対の腕、目が縫い合わされ視界を封じられた女。

 実体のない異形の3人。この場から動けない玉藻のため2人をここへと呼び出したのは他でもない、ただの若い女である──だがその額には手術の痕と思わしき縫い目があった。

「実は1000年前からあっためてた計画が頓挫しちゃってさ、いやぁ、参ったよー」

 たはー、と掌を額に当てなんでもないかのように言う女は羂索。このただの女に見えるこの者こそ、この場にいる誰よりも長い時を生きている。

「ぶっ! わはっはっは! よからぬ事を企むからじゃ! ざまあないのお!」

 この場にいる者たちは形は違えどこの羂索と兼ねてより親交……否因縁があった。

 今から900と余年前の彼を知る九尾の狐は呵呵大笑とする反面、実情をやっと聞かされた2人は大きすぎるスケールの話に付いてはいけない。

 生きた年月で言えば最年少は大きい女であり、次いで最も異形らしい蛇の女が若い。

「ホント、禿げそうだったよね。呪物は軒並み奪われて、残ったのは気紛れな宿儺の指6本だけ。その宿儺すら使い所を選ばなければならない相手だ。正直、五条悟よりもタチが悪い」

 勃ちは良いのかな、などと品性のない洒落がこの場の全員の頭をよぎったが口にはしなかった。

「すまほ、とやらで見せられたあの映像。あれはまことか?」

「そう、そうなんだよ。面白いけど、わけがわからない。……日本国民総呪霊化、面白そうだったんだけどなぁ……ひょっとこみたいな顔してたら爆笑ものだったのに」

「くだらん。悪因悪果。斯様なこと、邪魔されるに決まっておろう」

「うん。いい反省になった」

 1000年の計画が潰えたにしては朗らかに微笑む姿に蛇の女は改めてゾッとした。

 だが。このまま歓談されては敵わない。年寄りの話が長くなるのではと危ぶみ蛇の女が口を挟む。

「それで。そろそろ教えてもらえませんか、貴方の目的を。そこをはっきりさせてもらわないと手伝いようがない」

「ぽ」

「おお、そうじゃな。どうせもう動いているのであろう。次のお前の企みはなんじゃ」

「そうだね。私が兼ねてより望んだ結果はもう得られない。だけど今の時流が行き着く先には興味が湧いている。その流れを早める手伝いをするんだ」

「ほうか。して、この場にいない協力者とは何者じゃ」

 この場にいない4人目。それを聞き逃す九尾の狐ではない。

「茨木童子。彼……いや彼女にまずは一つ目の成果を取りに行ってもらったよ」

 

 

 

 茨木童子。

 鬼と称するに足る双角と生え揃った歯を持って生まれた美丈夫。

 しかし成長が早く華奢な体でありながら、呪力を生まれつき扱え、妙なものが見えると気味悪がられて捨て子となった。その名が広く知れ渡るようになったのは酒呑童子に拾われてからだ。

 時の権力者から疎まれる、呪術を使う異形の人種たち。

 彼らをまとめる酒呑童子と同じ、異形でありながら男女問わず魅了する見目の良さで時に屋敷に忍び込み、女どもを侍らせ享楽に耽ることもあった。

 しかし特筆すべきは逃げ足の良さ。

 茨木童子は逃げることに関して他の追随を許さなかった。

 無制御に無自覚に行使されるが故に強力な能力。命の危険に陥った際には必ず行使される術式は、彼を生かすために本人の意思、因果さえねじ曲げる。

 だがその術式対象は本人のみ。

 目の前で愛する者が殺された時、茨木童子は逃げ出した。

 仇を討とうと奇襲をかけても、腕を落とされて相手に敵わないと知り逃げ出した。

 それでも諦めきれず、()()となった腕を取り返そうとするも、殺す発想にまでは至らず逃げ出した。

 その切られた腕を持ち帰る際に襲われ、命の危険を冒してまで取り返した呪物となった腕を捨ててまで逃げ出した。

 術式は死の運命からもその肉体を逃れさせ、常人の数倍の時間を逃げ続けてきた千年間。

 時に体が呪霊と同じ組成に成り果てようと。

 時に呪物と化した体を人に取り込ませ体を乗り換えて。

 茨木童子は逃げ続けた。

 愛した男が今際の際に残した「生きろ」という呪い。長い時を経てもその呪いは解けることなく、今なお唯一自死と言う名の逃避だけは選べなかった。

 

 

 

 呪具(屠坐魔)を折られ、片膝をついて怖気付く虎杖を他所に宿儺は嘲るように嗤う。

「なんだ、久しいな臆病者。まだ生きていたのか? 呪物になって、モドキと成り果て、ついには女の体になってまで。あの酒呑みの情夫は辞めさせられたか。さぞいい学びになったろう。うまい話なぞを信じるからだ」

 心配はない。あの程度、虎杖は痛みも感じてないのが宿儺には自分のことのようにわかる。戻ってくるのに梃子摺っているようだ。

「腹立つなぁ、一つになっても減らない口。やっぱりお前、宿儺なんだね。事前に聞いてないとわかんなかったや。女子供食べすぎて罰か呪いでも貰ったんじゃない?」

 神妙な顔をする宿儺。

「否定できん……だが、そうか。奴と手を組んだな? 相変わらず気色の悪いことを考える」

「彼を生き返らせてくれるって言うからね。恨みはあれ、大事の前の小事だよ」

「生き返らせる、か。一人逃げたお前が、随分と殊勝なことだな」

 茨木童子の顔から笑みが消える。掴んでいた虎杖を天井から外へと投げ飛ばし、宿儺もそれに伴い服を残して消えた。

「さて、減らず口も消えたし……時間稼ぎに付き合うのはやめやめ。そろそろ目的を果たさないとヤバそうだし。そこの学生くん。その子供、私にくれない?」

「──明らかに何か企んでるのがわかっててやるわけないだろ!」

 方陣を頭上に浮かべた伏黒は、影から複数体の式神を顕現させていた。

 白黒混じる毛色の人狼の美女。

 長い蛇の尾を生やしたセイレーンの如き美女。

 捻れ曲がり、鋭利で巨大な鹿と牛が合わさった角を生やした小柄で豊満な美少女。

 意気軒昂。自分たちの仕える主人の本気を感じ取り、彼女たちも闘志を滾らせる。

 あとで貰えるであろうご褒美の存在を信じて。

 

 

 

 

X指定版は

  • いる(真顔)
  • 書いて♡ 書け(豹変)
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