イケメン霊媒師によるたった一つの冴えたやり方   作:O•Nホール

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設定と乳と尻と太腿は盛れるだけ盛ったらええ。
それを私はきのことメロンとトリに学んだ。伏黒さんとお呼び。
あと虎葬ちゃんはいないと言ったな、あれは嘘だ。生やします。
単眼猫先生がビジュアル出してくれたらいつぞやの調伏儀式()に加筆。


呪胎戴天肆

『さっさと起きろ小僧』

「……んん? あ、あれ、俺気絶して……ってなんでお前裸なんだよ!? 服着て服!」

『戯け、お前が一人投げ飛ばされたからだろう』

「あ、そっか……そうだったな」

 投げ飛ばされた。施設の外へと投げ出されたらしいが、骨も体も痛みはない。どうやってかは知らないが加減されていたようだ。

 同時に思い出したのは茨木童子と名乗った人か呪霊だかに恐れを抱いたこと。未だ持っていた屠坐魔の柄が、現実であったことを改めて実感する。

 目の毒なので視界に入らないよう宿儺の動きを制限させる。

 実体化している時はできないが今なら宿儺の意思に関係なく動かすことができる。能力チェックの時と違い今は宿儺も文句を言うことなく従ってくれた。

「俺びびった、のか」

『仕方あるまい。過去の俺にとっては俎上の魚程度のことだが、今の俺とお前にとってはそうでもない』

 事実の羅列だとしても少しだけ気遣いを感じられる。

 死にたくないと思った。それだけ恐怖を感じた。

「……知り合いなんだろ。知ってる風だったけど」

『一度(まみ)えた程度だ。それよりも早くしろ。初見ではわからなかったがあの呪霊の子、俺の指を持っている』

「マジ!? あ、ごめん!」

 冗談でそんなことを言う奴ではないと知ってはいたけど、聞き返さずにはいられない。つい振り向いて裸の姿を目にしてしまった。

 ……自分で視界に入らないようにしておいて何がしたいんだと冷え切った視線を感じる。

『……。奴の目的が赤子ならこのまま持っていかれるのは避けたい。結んだ縛りは覚えているな』

「覚えてるよ。指は俺が食えばいいんだろ? ……でもそれって、あの赤ん坊を殺さなきゃいけない、なんてことはないよな」

『アレは呪霊だ。お前のような例外でない限り、人であれば()に自我は飲まれるか死んでいる。故に人ではない』

 と、宿儺は言うが。その例外でない保証はどこにあるのか。

 見間違いでなければあの呪霊には愛情があった。

 俺も宿儺も知らない──母親の顔で子供を抱いていた。

「お前と結んだ縛りは、俺が指を喰うだけじゃなかったろ。だからお前も協力してくれ」

『……ふん』

 指のため。そんな理由で子供の命を奪うのは間違ってる。

 

 

 

 ──自我と人型。今や十種影法術に含まれる10種の式神にとって人に近い姿は行使して然るべき権利となった。

 それを普段、破壊が死を意味する獣の形に押し込め、運用しようとする伏黒は人型を使う時、普段の代償の精算を彼女らに求められた。

 その代償の内容は……一つ言えるとすれば命の危険を感じると言うことだけ。だがそれを理由に出し惜しみをして死ぬほど伏黒は愚かではない。なんせ死にはしない。あとで精算すれば良いだけのこと。

 いくらか踏み倒すことはできるが、その次は死にかける寸前まで追い詰められた。

 ついでに血の繋がらない姉に知られると無言の笑顔で詰められ、一晩中説教されるがそれも命あっての物種。

 仕方がない、仕方がないことなんだと、自分に言い訳して伏黒は顔を上げる。

 

 だから使うと決めた以上は全力で。

 

「十種影法術、拡張術式『鳥獣擬我』は人型の10種の式神を操る術式だ」

「へぇ、術式の開示! っとお!?」

「掴み損ねた」

 羽根で覆われた体躯と翼腕。発達した腿。鋭い鉤爪のついた脚で飛び蹴りをしてからの、空中での急制動。広いとは言えない室内ですら華麗に舞う。

「拡張術式『迦楼羅(カルラ)』。主な能力は電撃と飛行能力、鵺単体では本来人ひとり運んで飛ぶ力はないが、大蛇でその膂力を補っている」

 身を翻した迦楼羅はしかし、茨木童子の華奢な体躯へ向けて蛇の尾を鞭打つも避けられる。

「厄介、んな!? あっぶなあ!?」

「チィッ、捕まってたら当たってましたのに!」

 太く捻れ鋭い角が茨木童子の横を通り過ぎ、小柄ながら豊満に発達した肉体が壁へと着地した。

「そっちは貫牛と円鹿の拡張術式『宮毘羅(クビラ)』。貫牛の距離に応じて上がる速力膂力。本来貫牛は直線的動きしかできないが、円鹿の反転術式と機動性で複雑な動きをできるようにしている。攻撃にも転用したんだが、どうやら呪霊じゃないみたいだな」

「そりゃ呪霊じゃないもの! っ、その確認でツノに反転術式こめてるんだ? ッ、意味ない、けどっと」

 茨木童子が壁面の宮毘羅を視認できたのは一瞬のこと。再度室内を跳び回る宮毘羅の攻撃は2度3度と続く。

 しかし当たらない。ただ何処かでツノの一部が触れたようで切り傷ができた形跡が残る。

 呪霊であればそれだけで致命傷になったはずの反転術式による傷。しかしそうならなかった以上は人である筈だ。……それにしては濃い呪いの気配を携えている。

 遊撃撹乱を担当するサポートの迦楼羅。アタッカーである宮毘羅。ダメ押しに術式の開示まで行い、幾度となく攻撃を行うがヒラヒラと躱される。

「なんなんだお前」

 一度攻勢に出ていた2体を隣に控えさせる。後ろにいる対象の奪取が目的である以上守りも緩めるわけにはいかない。玉犬白黒と虎葬の拡張術式『真達羅(シンダラ)』に戦闘の余波から守らせているが、それも完璧ではない。

「自己紹介したでしょ。茨木童子だって。もしかして信じてない?」

「当たり前だ。そんなビッグネームを語れるほどお前を強いとは思えない」

「傷つくなあ。本当のことなのに」

 強くはない。だが弱くもない。

 術式は使ってきてないみたいだが呪力の扱いが上手く、直撃から逃れるか往なされている。

「腹立ってきた。ギア、上げていこうか」

「……!?」

 高まる呪力。咄嗟に腕を交差し受ける、と同時に強い衝撃。

主人(あるじ)様!?」

「旦那様!」

「ッづ、貴、様ァ!」

 真達羅の呼びかけに、宮毘羅と迦楼羅が動くも捉えることのできないほどに早く重い一撃。さらに追撃の横蹴りで蹴飛ばされた先の迦楼羅ごと、伏黒は拳と蹴りの乱打により後退させられる。

 一撃一撃が並みの術師では必死の一撃。しかし打撃、締め技の類いは適応を終えた魔虚羅の能力でダメージはない。

 しかし純粋な物理事象である慣性には適応しきれていない。従って攻撃でのノックバックは発生する。

「君人間のくせに頑丈すぎじゃない?」

「黒閃バカのおかげでな!」

 壁際まで詰められるも迦楼羅が伏黒を抱えて壁を蹴る。

「何その馬鹿げたっとお!? あっぶな。反転術式がこもってる剣? その感じだと、呪いじゃなくても一刀両断にされそうだ」

 服の袖、正確には影から伸びる剣が当たった、はずだった。

「……なんで避けれんだよ。当たっただろ」

「さあ、何でだろう、ね! っと。そろそろ飽きてきたよ君のソレ。直線的じゃないけど読みやすい」

「フゥーッ! フゥー! うっぜえですわねえお前!」

 不意を打っての宮毘羅の連続攻撃。最高速に達していないとはいえ、そう易々と避けられるものでもない。

 宮毘羅と迦楼羅の攻撃に再び、受けに回る茨木童子。

 一度や二度ならまだしも、こうも当たらないのは理由があるはずだ。

「疑問に思ってるみたいだね。じゃあ種明かしといこうか──」

 聞かないフリをしても遅かった。続けられる宮毘羅と迦楼羅の攻撃を踊るように躱しながら説明される、何のことはない既に使われていた術式の解説。

 逃げることに関して無類の効果を発揮する『逃避呪法』。

 逃げる避ける時にのみ発動する勘の冴えによる擬似的な未来予知。

 条件下での身体能力の向上。

 因果の捻じ曲げ。

 死の運命からも逃避する。逃げるためだけに発揮される異能の数々は使用者の意思すら捻じ曲げ──

「っていうのは順転しか使えなかった昔の話。反転を使えば攻撃にも使えることがわかってね。こんな風、に!」

 術式の開示。説明がより詳しく、伏黒と式神が理解するごとに一層攻撃の当たる気配がなくなっていく。

 しかし途端に茨木童子は避けることを止め、その場で高速回転し腕を振り回す。

「ッ!?」「がッ……!?」

 それだけ。たったそれだけで触れた宮毘羅と迦楼羅は体を腕に抉られダメージの許容を超過し影に戻された。

 ──鳥獣擬我の使用中は幾ら破壊されても完全な破壊に至らないとはいえ、ここまで容易くやられる筈はない。

 逃げが一転して攻めに変わる。それだけでここまで変わるものなのか。

「1000年。あの人を目の前で殺されて、この呪いみたいな術式に向き合ってきたんだ────簡単に届くと思うなよクソガキ」

 初めて明確に向けられた敵意に伏黒の背筋は粟立った。

 

 

 

X指定版は

  • いる(真顔)
  • 書いて♡ 書け(豹変)
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