イケメン霊媒師によるたった一つの冴えたやり方 作:O•Nホール
呪術がどうのこうの、猿がうんたらかんたら。
変な前髪の袈裟を着た妙なお坊さんが昼間、高校生たちがいない間やってきてそんなことを宣う。本当に坊さんならそのパンクな髪型は止したほうがいい。茶を啜りながら聞き流す。
「どうだろう、私の意志に。否、大義に。賛同してはくれないか? 是非私達の仲間になって欲しい」
どうも俺の評判を聞いてスカウトに来たらしいが、言ってることの半分ぐらいしか分からない。なんだ呪術って。俺はそんな物騒な名前のモノ使った覚えはないが。
お坊さんへのスカウトなのか。それとも宗教の勧誘か。なんにせよそんなに大小様々な異形を連れてちゃ坊主の名が泣くだろうと思ってこっそり回収した。
最近幽体離脱ができるようになって、その影響か直に触らずとも小さくして回収することならできるようになった。身体の中にも巣食っていたようなのでそれもごっそり取り除いてやる。……里香には劣るがヤバいのが憑いてやがった。イカ娘以上のえらい美少女あるいは美女になる気がするので楽しみだ。
「なるほどな。少し考えさせてくれ」
「色良い返事を期待しているよ」
そう言って立ち上がり、連絡先を渡してきた後相談所から出ていったが……返事することは、まあ無いだろう。こういう手合いは真面目にわかったフリして頷いておかないとしつこい。
精々が人間のことを猿呼ばわりしていたのだけは理解した。
……そういやあの坊さんは呪霊がどうのと言っていたが、もしや異形のメジャーな呼び方か? この世界も業界もまだ入って日が浅いから何とも言えないが、外ではそれに倣っておくほうが無難だろう。わかったフリを今後どこかでするにも、固有名称を知らないからとにわか扱いされるのは不都合を被りそうだ。
在野の強力な術師との邂逅。名を上げてきた霊媒師が本物の呪術師で、計画始動の前に知り、出会えたことはこの上ない幸運だった。
「は? ……おいおいおいっ――嘘だろッ!?」
相談所の妙な臭いの為か。はたまた、反転術式による膨大な正の呪力と濯ぎきれぬ特級呪霊相当の残穢が入り混じってた為か。
相談所から離れ、人通りのない場所で帰るための移動手段を呼び出そうとして夏油傑は手持ちの呪霊の一切合切が消えたことにやっと気がついた。
百鬼夜行。その計画は振り出しに戻った。
坊さんが帰ったあと仲睦まじいカップルが出勤してきた。シヅカが帰ってくる前だったので2人に聞く。
「里香、もしかしなくとも憂太とヤってるな」
「ちょ、カムイさん!?」
「いやー……バレちゃしょうがないよね」
「ちょっと、里香!? バレちゃったじゃないよぉ……」
憂太が情けない声をあげているが、否定しないあたり事実だろう。この手の話は男より女の方が実はオープンだったりする。最近色気があると思っていた。
それに至った経緯も聞かない。若者の青春について根掘り葉掘り聞くつもりはない。
ただまあ、俺の除霊にあてられてハッスルしたのは察せる。幽霊と生者でも盛りたい年のカップル。これが普通のカップルなら若さゆえの過ち・甘酸っぱい思い出で話は終わりなのだが。
「まあ座れ。真面目な話だ。……感覚的な話になるが里香、お前の存在が補強されている」
「どういう……」
「よくは分からない。だが仮に異形達、幽霊達が死に近い存在なら里香はその身の負のエネルギーで彼らを滅し、俺は膨大な正のエネルギーを与えて祓っている」
「……っ」
赤面する2人。当事者以外からすればとんでもない量出ていたあの様は嫌悪を超えて恥じらいが生まれるのだろう。
2人の反応はもっともだ。アレがおかしいのは俺も知っている。チラチラ股の間を見るんじゃない。見せるぞ。
「もしアレに除霊をする力があったとしても、憂太と里香の行為は里香を祓うことになっていない。アレが俺の特異能力だからなのか、そのつもりがなかったからか。何にせよ2人の場合は祓うどころか里香の力が増している」
「確かに、ちょっと強くなった……かも?」
「里香が正のエネルギーを転化できる体質か、それとも憂太が憑いている否、契約している相手という前提があるからか。何にせよ、俺としては前例のないことだ。少し気にするといい」
「……わかりました」
照れを隠して神妙に頷く憂太。
「もしかすると子供ができるかもしれないから、避妊は人並みにしろよ」
一応大人として注意はする。してなかった2人は恥じらいからか俯いた。
「ただいま帰りましたー……あの2人は何でこんな深刻な顔してるんですか?」
ちょうどいい時に帰ってきた、疲れた表情で蝿頭をくっつけたシヅカにはまだ早い話だった。
ポケットに押し込めた異形どもを久々に家に帰って開放……しようとしたがあまりに多いので一番強そうな奴に、幽霊が元になった奴以外の弱そうな奴らは吸収させた。
一際強かった奴。元は市松人形みたいな異形だったが、自我を得て自分のことを玉藻前だのと言うからそのように変化させてやった。
舌舐めずりしながら雄々しく硬くなった魔羅を前にビビり、全裸のまま土下座して許しを乞うものだから祓わないつもりで腹が膨れるほどして、家での炊事掃除を任せることにした。祓わなかったら憂太と里香と話したとおり存在が補強された。玉藻にぶちまけた排出物は残ったが本人がゆっくりと吸収して消えた。
「人間の子なぞ孕みとうない!!」
そんなことを行為中も気持ち良さそうな鳴き声と一緒に言ってたが、孕むわけが……いや孕まそうと思えば孕みそうな気がする。
床を拭く裸の玉藻が尻尾を逆立てて震えた。
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