ハイスクールDxDで掲示板もの   作:ねばねば納豆

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書ける時はすぐ書けるんですよね。
自分の事が一番よく分からないです。


(自称)か弱い乙女の戦い

「朱乃大丈夫?最低限止血はしたけど」

 

「問題が無いとは言いませんが耐えられます。……最後まで余所者任せになってしまいましたね」

 

「……今は私達の実力不足を受け入れましょう。次は誰も傷つけさせたりしないわ」

 

(本当に?それはいったい何時になるの?)

 

 旧校舎の保健室、朱乃と魁斗の体をベットで休ませ、治療薬を探しながらリアスは思考する。リアス自身はあの領域に至る事は可能であると考えている。魔王で兄程では無いにしろリアスは才覚に恵まれているし、その気になれば優れた指導者を招く事で確実に強くなれるだろう……数年単位の時間をかければであるが。

 

(そんな悠長な時間がある?その時敵はもっと強くなっているかもしれないのに?)

 

 原作においてリアスには言い訳出来る余地があった。貴重なエクスカリバーの使い手、地獄の番犬ケルベロス、太古の時代から存在する堕天使コカビエル、才気に溢れていようと若輩者のリアスでは勝てない選ばれた強者達しか居なかった事だ。だがこの世界線においてリアス達を追い詰めたのは選ばれし者ではない、レイナーレや聖魔剣と明らかに量産可能な兵力と兵器だった。

 

(仮にあの女堕天使が一人で聖魔剣を持って現れたら私達だけで対処できた?)

 

 可能か不可能で語るならば可能だったろう。レイナーレ自体は剣の素人であり力に溺れる典型的な愚か者。犠牲者は出るだろうが勝ち目のない相手では無い、問題はそれが雑兵であるという事だ。アレが比喩でも何でもなく軍勢で存在する、或いは今後量産される事に疑いはない。後から来たコカビエルに至っては滅びの力すら使用していた、リアスが人間界に来てからの数年で力を再現されてしまっているという事だ。一万年の寿命を持つ悪魔にとって驚異的な速度である、寿命が100年に満たない人間換算でたったの1〜2週間だ。会社秘伝の技術をそんな期間で再現かつ量産性を向上させてきたのだ、そんな事をされれば世の技術者は発狂するだろう。

 

(もし……もしもよ、私だけではなく他の悪魔、いえ他の神話に対しても同じ事をしていたとしたら)

 

 リアスはあらゆる種族の能力を組み合わせた軍勢を想像し背筋が凍る、与太話と切って捨てるには今日目にした物のインパクトがあり過ぎた。もちろん強力な軍勢を率いた程度では悪魔は滅びない、超越者サーゼクスを筆頭に一騎当千の猛者が多数いるのが悪魔だ。だが仮に戦争となれば多くの悪魔が軍勢と会敵する。現時点のリアスより強い悪魔は最上級や上級と呼ばれる者やその眷属が大半だ、それより弱い中級以下の悪魔はまともな抵抗も出来ず散る事等目に見えていた。

 

(私の手には負えないわね、事が済んだらお兄様達に相談しないと……後魁斗の為に悪魔の駒も必要ね)

 

 リアスは暗い思考を打ち切り、戦いが終わった後に関して考える。魁斗が貫かれた直後は取り乱したが人間の蘇生はそれほど難しい事ではない、ジャンヌが勝利する事が前提だがこの場を凌げばどうとでもなるとリアスを安心させていた。悪魔の駒は稀少な素材を利用しているがリアスとソーナを守り戦った魁斗の蘇生の為なら魔王の半数から賛成を得られる、敵対派閥から横槍が入っても戦力強化と言い訳も効くだろう。魁斗の蘇生へのハードルは殆ど無かった。

 

「あったわ、これね」

 

 リアスは目当ての薬を見つける、魁斗の様に命に関わる傷ではないにしろ朱乃の傷も十分重症だ。応急処置しか出来ないにしろ迅速な対応が必要だった。リアスは薬を手に取り朱乃の方へ振り向こうとした時……視界外から何かが飛び出してきた。

 

「なっ!?」

 

 リアスは咄嗟に防御体勢を取った、だがその何かはリアスを意に返さずすり抜けていく。その向かう先を見てリアスは全身から血の気が引くのを感じた。

 

「魁斗ッ!!!」

 

 光沢を放つ何かは勢いを落とさず魁斗へ飛びかかった。

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 

 

「何だ貴様その格好は?まるで痴女だぞ?」

 

「やられる前にやれば防御なんて不要なんですよ」

 

 禁手斬裂の魔女(ジャンヌ・ザ・リッパー)は防御を一切考慮していない、見た目上は体中をライン状のインナーが巡っているだけの服装で肌面積の方が広い。聖剣を生み出す神器でありながら聖剣の要素を見出す事ができない、コカビエルの感想も間違ってはいなかった。

 

「そもそも貴方程度に私が捉えられるとでも?」

 

「人間風情が調子に乗るな!」

 

 コカビエルがエクスカリバーをかざすと周囲の剣群が……コカビエルの全身に突き刺さった。本来血飛沫が飛び交うべき状況だが血の一滴も出ない、突き刺さった剣は徐々にコカビエルへと取り込まれていく。

 

「先程までの私と同じとおm「シャオ!」カビャ!」

 

 音を置き去りにしてジャンヌがコカビエルに肉薄し……コカビエルの肉体が爆散した。即座に再生の炎が燃え上がり肉体が再構築されるがジャンヌは構わず手を動かし続ける、手を振るう度に肉体が切断されていくがコカビエルは抵抗できずされるがままに再生を余儀なくされた。もはや欠損した部位がなくなる程全身を細かくミンチにしてもなお再生が途切れないのを見てジャンヌは悟り距離を取る、これは無駄な労力であると。

 

「治癒阻害の聖剣は効果なし、再生の中心となる核もなし、ミンチにしても再生する。大火力で消し飛ばすのも試したいんですが私そういうの苦手なんですよね」

 

「!?!?…………貴様一体何をした!!!」

 

 声帯が再生してようやくコカビエルは声を出す、目を潰されていた為自分がどんな手段で破壊されていたか分かっていない。いや客観視していたとしても理解できなかっただろう、ただ撫でるように指を這わせただけで肉体が切断されていくスプラッタな光景を見る事になるのだから。

 

「私を知ってて神器も把握してないんです?聖剣を生み出し切り刻む、その程度のありふれた方法ですよ?」

 

 ジャンヌはケラケラと笑い自身の手を見せつける、そこには小さな刃があった。全身に巡らせた黒いラインは聖剣を生み出す工房、全身から刃を生み出し敵を切り刻むそれがジャンヌの禁手の正体だ。殺傷に不要な部分を削り生産速度と質の向上に全力を注いだ結果できた禁手、1cmにも満たない刃でも技量とパワーで必殺に引き上げる最強の脳筋戦法だ。

 

「そ、そんな玩具のような聖剣で俺を傷つけただと!?」

 

「カラスを切り刻むのに大層な名剣は不要ですよ。……ああ失礼な言い方でしたね、謝りますよ……カラスに」

 

 ジャンヌの慇懃無礼な態度にコカビエルは青筋を浮かべる。歴戦の堕天使が20年も生きていない小娘に良いようにされている、全身に改造を施し強化してもなお驚異とすら思われていない。こんな屈辱を受けたのは初めてだ……いやかつて一度似たような事が―――

 

 ―――放って置け、あれは名のある堕天使ではあるまい。

 

 ジャンヌとかつて自身を手酷く痛めつけ見逃された男の姿が重なった。

 

「許さん!許さんぞ!ストラーダ!またしても俺の前に立ちはだかるのか!!!」

 

「そりゃあ精神異常の1つや2つありますよね……うら若き乙女をあんなジジィと見間違いますか普通!?」

 

 コカビエルは雄叫びを上げる、雄叫びから発生られる魔力は戦闘開始時よりも大きくなっていた。軽く10体分以上の肉体を再生して魔力が消費されていない訳が無い、その上で魔力が増大するなど感情による高ぶりの範囲を超えている。どう考えても絡繰があるとジャンヌは察した。最初に自身へ突き刺した剣群、或いは7本束ね完全体となったエクスカリバー、リソース足り得る要素はその2つ。本来聖なる力は堕天使にとって毒であるがここまで改造された相手にそんな常識を当てはまらないだろう。

 

(今後こんなのが出てくるのなんて……比較的弱いと思われる堕天使でこれなら魔王はどうなる事やら)

 

「俺の力はこんなものではない!もっと!もっと寄越せ!エクスカリバー!!!」

 

「……あー馬鹿の考えなんとやらともいいますし?出来る事からやりますか!」

 

 エクスカリバーを掲げるコカビエルへジャンヌは駆け出す、剣の雨が降り注ぐがジャンヌの速度に追いつけない。何の苦もなくコカビエルへ辿り着いたジャンヌは拳を打ち込み……エクスカリバーで防がれた。

 

「先程までと同じと思うなよ?すぐに貴様以上のパワーで蹴散らしてくれるわ!!」

 

「か弱い乙女相手に勝って力自慢になると思ってるんですか?堕天使の考える事は分かりませんね」

 

 ―――世のか弱い乙女に謝れ!!

 

 どこからか声が聞こえた気がするが気のせいだろう。よしんば気の所為では無くても一人の男が殴り飛ばされるだけなので特に問題はない。

 両手でエクスカリバーを持つコカビエルと片手のジャンヌ、その状況でなお優勢なのはジャンヌだ。だが先程まで反応すら出来ていなかったのだから破格の成長率だ、このまま続ければジャンヌに追いつく未来もあるかもしれない。

 

「それを許す程甘くはありませんがね」

 

「ガァッ!!」

 

 空いた手で殴られコカビエルが吹っ飛ぶ、そしてそれ以上の速度でジャンヌが吹っ飛ばされる先に回り込み迎撃の体勢を整えた。

 

「なめるなぁ!!」

 

 コカビエルは翼を広げ減速と方向の転換を行う、体にかかるGに耐えつつ何とか空中でホバリングする事に成功した。そして雷をジャンヌに放とうとして―――

 

「だからなんです?」

 

「グヴァッ!!」

 

 ジャンプしたジャンヌが踵落としをコカビエルの頭に叩き込む、そのまま凄まじい勢いで地面に叩きつけられた。コカビエルは即座に立ち上がる事が出来ない、頭蓋が陥没し脳がまともに機能していないからだ。体を改造し尽くされたコカビエルでも脳を増やす事はしていない、強さへの渇望はあれど生き汚さが足りていなかった。

 その状態を見てジャンヌはニタリと笑う、その笑みは堕落の魔女の忌み名に相応しい魔性の魅力に溢れていた。

 

「―――やっぱり頭が無いと思考は出来ないんですね」

 

 グチャリと、いとも容易く体液が周辺に散らばる、もちろん再生が始まるが終わりきる前に再度踏みつけが行われ続けた。そしてこの状態を維持しようなどと控えめな判断をする程魔女は甘くない、頑なにエクスカリバーを離さない手を切断と同時に蹴り飛ばした。本体側は何の問題も無く新しい腕が生えてくるがこれで聖剣を操る事も更にエネルギーを得る事もない、少なくとも支障はあるはずでその間に止めを指せれば終わりだ。

 

「故事に習うとしますかね」

 

「ゴッボッ!……かぁ!」

 

 ギュィィィィンンン!!!!!!!

 

 ジャンヌはコカビエルは頭部の破壊を止め、持ち上げ背後から首の締め上げを実行する。かつて大英雄ヘラクレスが武器で傷一つつかないネメアの獅子を絞め殺した事の再現だ、最もヘラクレスは体に聖剣製のチェーンソー等巻き付けていなかったが。疑似チェーンソーは内蔵まで届く刃を生成し体内すらズタズタにしている、窒息で止めをさせなくても再生で魔力は消費させようという策だった。

 

「これでダメなら次はどうしまs―――――――――は?」

 

 突如発生した背後の殺気に対して咄嗟に締め上げていたコカビエルを投げつける、切り裂かれたコカビエルの体の間から見えた殺気の正体にジャンヌは驚愕する。追撃の()()()()()()()の斬撃を弾いて反撃ではなく距離を開ける事を選んでしまう程に。

 

「……貴方本物?それとも最初から2()()いましたか?」

 

「―――いや?偶然の産物だよ、まさか()()()()()()()()から再生できるとはな。実験ではこんな事は無かったはずだが……まあ私が選ばれた者という事だろうよ」

 

 ()()()()()が不敵に笑みを浮かべそこに立っていた。偶然で復活したなどとコカビエルは考えていない、ここ一番で起きる都合のいい偶然は奇跡そのものだ。一度奇跡を引き込んだ者が次を引き起こせる事を長く生きてきたコカビエルは知っている、三大勢力間の戦争を目指すコカビエルにとってこれ以上の福音はない。切り裂かれたコカビエルも復活しジャンヌと相対した。

 

「「では戦いを続けようか。先程までと同じと思うなよ!!」」

 

「プラナリアかお前は!!!」

 

 ジャンヌの絶叫が鳴り響いた。




 というわけでジャンヌのスプラッタな戦闘風景でした。戦闘スタイルは大体南○聖拳プラスαと考えてもらっていいです。まだまだ余力も手札もありますがコカビエルのしつこさには大分辟易してます。
 ちなみにジャンヌは剣の腕は下手っぴです。彼女の戦いの才能は殴る蹴るに特化しています。
 次回もお楽しみに。
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