ハイスクールDxDで掲示板もの   作:ねばねば納豆

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流石に2ヶ月放置は嫌だったので投下です。
後数話で戦闘が終わる予定なので一息に終わらせたいんですが気持ちに体が追いつかないですね。
何でコカビエルごときにこんなに話数かけてるんだろうか?



Q.何で復活出来たの? A.愛じゃよ。

 ―――ちゃんと魁斗を守るんだぞ、アパテー

 

 時は少し遡る、創造主アカネの祈りで動き出したアパテーは魁斗の肉体に取り付いた。魁斗の肉体はある種の仮死状態にある、本能的に魔力で肉体を保護して心臓だけでなく肺など周囲にまで欠損している肉体を必死で維持していた。

 

 アパテーはその状況を完全に把握出来ている訳ではない、どこまでいっても姿形を自由に変える液体金属でしかないのだから。だがアカネが丹精込めて作ったアパテーには半ばアカネの分身でありほんの少し知識すら刷り込まれていた。

 

 ―――心臓の代わりになればいいじゃん

 

 素人でも心臓が無ければ生存は不可能な事ぐらいは分かる、安易な考えではあるがそれを実行する能力がアパテーにはあった。アパテーは即座に魁斗の肉体に侵入する、残った血管を繋ぎ自身をポンプとして動き出した結果……魁斗の肉体が飛び跳ねた。

 

「???!!!???!!!」

 

 アカネに心臓に必要とされる圧力など分からぬ、思いっきり容赦なく常人であれば爆散するレベルの勢いで動いていた。ついでに言うなら動脈と静脈すら間違えている。試行錯誤を繰り返し心臓が妥協出来るレベルになるまで肉体が持ったのはちょっとした奇跡だった……毛細血管の犠牲は必要経費としようそうしよう。

 

 その間アパテーを引き剥がそうとしたリアス達と一悶着あったが結果として魁斗は前線に復帰した。

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっと?!貴方本当に大丈夫でしょうね?!」

 

 大丈夫かどうかで言えば大丈夫ではない、アパテーが心臓代わりになってはいるが肺は片方しか機能しておらず血を大量に失っている。()()に張り巡らせたアパテーで立っている事すら厳しい肉体を無理矢理動かしているに過ぎない。もって数分程度、今崩れ落ちてもおかしくなかった。

 

「……できるだけ暴れるから後は頼んだ!」

 

 ジャンヌの返答を待たず、魁斗はコカビエルへ向けて駆け出す。複数のコカビエルが存在する中で狙うのは異形の姿をした巨大な個体、通常の個体を盾で殴り、剣で切り裂く、止まる事なく蹴散らしながら突き進んだ。

 

『死にぞこない風情が!貴様如き今更驚異でも何でもないわ!!』

 

 ガリレイの言葉に連動する様にコカビエルの肉体が変質を始める、腕を複数生やしそれらが統合され身の丈を超える巨腕となった。生み出された圧倒的質量に雷光を乗せた必殺の一撃、音を置き去りにする速度で魁斗に振り下ろされる。瞬きすらする間もなく届く攻撃を前に魁斗は迎撃を選択した。

 

()()()()()()()()!」

 

 魁斗は体力の続く限り勇気を魔力に変換する事ができる、それは戦闘で消費する量を遥かに超えた生産速度だ。魁斗はそれを()()()()と考えていた、大量の水があるのにそれを取り出す蛇口が小さ過ぎるのだと。日々順調に成長し蛇口は大きくなり続けてはいる、だが同時に生産量も上がっているのでいつ釣り合いが取れるか分からなかった。

 

 ――――――なら蛇口を増やせばいい

 

 血管系、神経系、リンパ系を魔力を流す経路に代用、各経路に満ちた魔力を全身に巡らせたアパテーが回収する。本来の用途とは異なる使われ方をした肉体は悲鳴を上げ全身を裂くような痛みが襲うが……そこは気合いで我慢すればいい。リスクは戦闘時間の制限と戦闘後まともに動けなくなる事……本来魔力の枯渇もあるはずだが魁斗には関係なかった。

 

『ザザード』『マジ・マジュナ』

 

 重なる様に発せる呪文により盾から冷気を帯びたビームが解き放たれる。呪文の二重詠唱、有り余る程生み出した魔力に物を言わせた通常時では使えない大技だ。溢れ出る冷気はコカビエルの束ねられた腕を氷漬けにする、魁斗はその氷塊を盾で殴りとばした。

 

『そんな馬鹿な!!』

 

「まだまだぁ!!」

 

 氷漬けになり脆くなった腕は粉々に砕け散る、即座に再生が始まるが魁斗は更に呪文を唱えた。

 

『ジー・マジカ』『ドーザ・ウル・ウジュラ』

 

 地中より飛び出した木の根がコカビエルを縛り上げる。拘束から逃れようと雷光で木の根を焼き切ろうとするが……それは表面を焦がす程度に止まりそれ以上の効果は無かった。それはコカビエルのスペック不足が原因では無い、全身を拘束する木の根から魔力を奪われ十分な威力を確保できなかったからだ。

 

「どれだけ再生力があってもエネルギー切れになったら関係無いだろう?ちなみに魔力吸収では無く放出だ、キャパオーバーで自滅なんざしねぇぞ」

 

 魁斗の頭に浮かんでいたのは先程打ちのめした女堕天使、恐らくコカビエルはその発展版だろうと考えていた。半死半生の自分相手に押される敵がジャンヌ相手に長時間生き残れる訳がない、少なくとも魁斗自身はまともにかち合えば30秒持たせる自信は無かった。ジャンヌに文字通り細切れレベルで切り裂かれても尚再生できる敵に正攻法など無駄だろうと今の戦法を選んだのだ。

 

(……だがジャンヌに相応のダメージを与えるのはどうやった?自爆でもした訳じゃ無さそうだし)

 

『切り裂け!エクスカリバー!!』

 

 コカビエルの全身から刃が飛び出した、その刃は拘束を切り裂きコカビエルを解放するが巻き添えに四肢を欠損させ再生していた。再生力にものを言わせたゴリ押しに魁斗は絶句すると同時に納得する、不意打ちにうってつけなこの隠し芸がその理由なのだろうと。

 

「……随分体張ってんな?ピエロなんかが天職じゃないか?」

 

『ピエロか、ある意味正解だな。この自尊心の塊をモルモットにするのは容易だった。多少気を使う必要はあったが今では手足の様なものだよ』

 

「……お前さっきのおっさんかよ?!」

 

 ここに来てようやく魁斗は目の前の敵に意識がない事を理解する。仮にも章ボスだと聞いていた相手が操り人形と化しているのだからその驚きも大きい。そして警戒度がグッと跳ね上がった、知能の足りない戦闘狂と倫理観の無いマッドなら後者の方が恐ろしい。

 

『……つくづく貴様はイレギュラーだな。ここまでの力を隠し持っているとは……だが最初から使わなかった以上リスクがあるのだろう?少なくともそう長くは戦えまい』

 

「さてどうだか?少なくとも手品の種が割れた相手に時間をかける気はねぇな」

 

 憎まれ口を叩きつつも魁斗の体は神経系が焼け感覚が無くなり始めている、戦士ではないガリレイでも気づく程度には体幹が安定していない。心臓を失い体内を自身の魔力で焦がしながら動いている相手を前にガリレイはとる選択肢は決まっていた。

 

『おお怖い怖いでは時間を稼ぐとしよう、幸い兵隊は大勢作れているからな』

 

 ガリレイの声に反応して通常個体のコカビエル達が襲い掛かり、巨大な個体は魁斗から距離を取った。切り捨てようが叩き潰そうが復活する不死身の軍勢による時間稼ぎ、魁斗に傷つける事すら出来ずほんの少し進行を遅らせる事しか出来ない。だが一手また一手と行動を費やさされているのは事実だ、平時なら問題なくとも今はその僅かな疲労が致命的だった。

 

「ゲフッ!ゴフッ!」

 

『おいおい随分と限界が来るのが早いんじゃないか?もっとやれるだろう?』

 

 1分にも満たない攻防で咳き込む魁斗を見てガリレイは嘲笑する、すかさず殺到する雷光を盾に吸収させ跳ね返すが焼石に水だ。攻勢が途切れる事は無く、魁斗の反撃も精細さを欠いていた。意識が朦朧とし遅れる思考を補う大技の使用、それはその場凌ぎであり貴重な体力を無為に消耗している。倒れるのが近いのは誰の目にも明らかだった。

 

(……時間がない……せめて数を減らさないと……どの呪文がいい?……火力は足りない……魔力吸収は邪魔された……他には……他には)

 

 魁斗は逆転の一手を考えようとする、だが薄れる意識と襲いかかってくる敵の処理で集中が続かない。そんな中処理が遅れ数体のコカビエルに取りつかれた、それらは自身の身が傷つく事にも構わず全力で雷光を放出する。ゼロ距離からの攻撃はスーツで遮断されダメージを追う事はなくすぐに引き剥がされる、だが凄まじい光は魁斗の視界を白く染めた。

 

(取った!!)

 

 意図的に生み出した一瞬の隙、それをガリレイは逃さない。魁斗へ急接近しエクスカリバーを振りかぶる、2度目は無いと首を狙っていた。魁斗は伝説の聖剣を防ぐ術を持たずそもそも気づいてすらいない、回避不能防御不能の絶命の一撃を前にして……魁斗の姿が消えた。

 

『……ちっ、まだ貴様がいたか。大人しく逃げればいいものを』

 

「………………」

 

 その理由は何の事も無い、今この場にいるもう一人の戦力ジャンヌが魁斗を体ごと避けさせただけだ。ガリレイは苛立ちはすれど焦らない、ジャンヌの殺傷力は脅威であっても再生力を突破出来る程の力は無いのだから。繰り返し繰り返し戦力を送り込み削り切れる相手でしかなかった。

 

「た、助かった。……いや待てその怪我で動いて大丈夫か?」

 

「貴方にだけは言われたくないですよ?」

 

 ジャンヌは魁斗に一瞬呆れるがすぐに気を引き締める、敵は自分達より弱くとも力尽きるのはこちらが先だ。自身より火力の高い魁斗でも敵の再生力は突破出来ていない。この状況で取れる選択肢は限られている。

 

「撤退しますよ、私達ではこいつらを倒しきれません」

 

「…………え?」

 

 勝てない敵に立ち向かわなければいけない時もあるだろう、だが少なくともジャンヌは今がその時だとは考えていない。明らかに情報を持ち帰って対策を立てる方が有用だ。

 

「あのレベルの再生力をなんとかするなら伝承的な弱点をつくか()()()、あるいは細胞の蒸発、いえ()()レベルの火力が必要です。私達にその手段がない以上戦う意味がありません」

 

 ジャンヌは敵の攻勢から魁斗を庇いつつ説明する、魁斗は正義漢であっても理屈が分からない男ではない事を知っているからだ。具体的な手段がないと分かれば撤退も選べると考えていた。……あえてリアス達に関しては話さない、現状ですら撤退には遅すぎるぐらいで余計なリスクを背負う気はなかった。

 

「元より狙いはあの子達、十二分に義理は果たしたでしょう。二手に別れていた方が逃げ切れる可能性は高いですしね」

 

「………………」

 

 それはある意味自身に言い聞かせる為の言葉だろう。現実として単体のコカビエル相手にすら手も足も出ない集団が逃げ切れる可能性などほぼ0に等しい。そしてその結末が悲惨で残酷である事など分かりきっていた。それは余計な考えだとジャンヌは撤退の段取りを考える。魁斗に大技を打たせ混乱を誘うべきか、いや閃光弾の様に目と耳を潰させるべきだろうか。そんな思考にふける中動きの無かった魁斗が口を開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……いやある」『ジルマ・マジ・マジーロ』

 

 魁斗が呪文を唱えると周囲のコカビエル達に光の粒子を浴びせられる、それらに物理的な破壊力は無い。だが今日使ったあらゆる魔法よりも有効だった、ポトリポトリとコカビエル達が地に落ちる。それらは四肢も羽も折り畳まれている……具体的に言うとボール状に形状を歪められていた。

 

「…………は?」

 

「これで雑魚は何とかなったな、後はデカ物相手だ。あれを消し飛ばせるかもしれない魔法はある……闇雲に逃げるより倒した方が確実だろ?」

 

 マスク越しで表情は分からない、だが不適な笑みを浮かべている事は分かる。ジャンヌは色々と口から出そうになる言葉を飲み込み……そして吹き出すように笑った。

 

「フフフ、アハハハハ!!全く貴方には驚かされてばかりですね。いいでしょう!打算は捨てて貴方に全賭けです!しっかり元は取らせてくださいね?」

 

 ジャンヌ自身バカな賭けだとは思っている、半死半生の仲間と底が分からない敵に立ち向かうなど普通はしない。今回は女の勘と言う奴だ、この男になら死に損ねた命を賭けても悔いは残らないと。そして何よりも犠牲は少ないに越した事はないのだから。

 

「ああ、損はさせない。でもサポートはお願いな?!」

 

 二人は拳を合わせ意識を合わせる、そして怒り狂う敵へ向けて走り出した。

 




今回MVPはアカネなんだが影薄いな。
まあ戦いが終わった後に出番あるからええやろ。

ウルザード化はプリヤのツヴァイフォームからパク……オマージュしてます。死ぬほど痛い(で済む)ぞの精神で今後も使っていくでしょう。

次回はお盆までには投稿……の気持ちで頑張ります。
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