ハイスクールDxDで掲示板もの   作:ねばねば納豆

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週一(以内)投下3話目となります。
ちょっと今回は毛色が違うかも。


へー、黒子の数でも知ってたのかしら?

「随分とモテてる様じゃないですか?」

 

「宝くじ当たって親戚増えるパターンじゃねーかな?」

 

 お見舞いに来たジャンヌに対し魁斗は辟易とした態度で返答する。曹操が置き忘れていったもう一冊の釣書を怖い物見たさで目を通してしまったせいだろう。三者三様の美女達から文字通り全てを捧げると言われるのはある種男の夢だ、だが今回はあくまでも復讐の為であり自身の事は全く見ていない。繊細な者がそんな相手と恋仲になっても心を病むだけだ、少なくとも魁斗はそうだった。

 

「それは良かった、散々アピールしてる相手を放っておいてそんなハニートラップに引っかかられたら…………私、何するか分かりませんよ?」

 

「…………………ハハハ」

 

 魁斗はジャンヌから視線を晒す、何処か責める様な楽しむ様なその目をまっすぐ見るのが憚られた。手も出しておらず貢がせている訳でもないがそう言われて浮かぶ顔が複数ある事に罪悪感を覚えたのは仕方のない事かもしれない、単純にジャンヌの報復が怖かったのかもしれない。

 

「あーその、なんだ。ジャンヌは怪我大丈夫だったか?滅びの力も喰らったって聞いたけど?」

 

「少なくとも心臓を失った誰かさんよりは大丈夫ですよ?とっくに完治済みです。───まあそんな事はいいじゃないですか、今日は貴方に用事があるんです」

 

「?いったい何───」

 

 魁斗は続きを口にできない、口は塞がれ視界はジャンヌの顔で埋め尽くされていた。それはほんの数秒かもっと長い時間か、頭を真っ白にされる。そんな魁斗を見てジャンヌはクスリと笑った。

 

「………………は、へ?」

 

 すぐそばに感じる息遣い、鼻腔をくすぐる甘い匂い、唇に残る柔らかな感触、それらの事象から何が起きたかは明白だ。だが魁斗は理解が追いつかない、作り物の心臓がやけに激しく鼓動を刻んでいるのを感じているだけだ。

 

「マーキングです。何処ぞの馬の骨に取られるのはしゃくなんですよ」

 

「いや、はあ?むぐっ?!」

 

 再度の接触は先程の優しい物とは違った。触覚と聴覚を通じて魁斗の理性が蹂躙されてゆく、与えられる刺激で抵抗する意思すら持てず為されるままだった。体温は上がり頭が茹つ、解放されても互いを繋ぐ糸をただ見つめる事しか出来なかった。

 

「あらあら可愛らしい事……素敵な思い出にしましょうね」

 

 服は脱ぎ捨てられ白い肌が顕になる、幾度か際どい格好を見た事はあるが今程艶かしく感じた事は無かった。理性は蕩け獣性は解放寸前、唯一二人を遮っていた掛け布団は剥がされた。女は男に跨りゆっくりともどかしさを感じさせる様に体を撫でながら一つ一つ上着のボタンを取っていく、お預けとも取れる時間が流れる中、男は明確な意思を持って女に手を伸ばし───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「─────誰だお前?」

 

 魁斗は目の前の()()の首に剣を当てる。これは()()()()()()()()と理解し、茹った頭は即座に冷え切った。十中八九敵、仮にそうで無くともまともな相手ではない。

 

「………へー、黒子の場所でも知ってたのかしら?それとも愛の力って奴〜?」

 

 ジャンヌの姿をした何かは首元に剣を突き立てられてあるというのに汗一つかかずニヤニヤと笑った。悪びれる様子も無く本当にただ興味深げに見つめてくる相手に魁斗は苛立ちを募らせ口を開く。

 

「俺の質問に答えろ。誰だお前?何が目的だ?」

 

「イヤン怖〜い♡ちょっと期待の新人を揶揄いに来ただけなんだけどな〜。そ・れ・と・も♡……他の姿の方が良かった?」

 

 魁斗の上で何かの姿が変わっていく、自身に懐いた怪獣娘、恋に恋する紅髪の姫、無知無垢に育てられたシスター、久方ぶりにあった元気娘、真面目そうな聖剣使い、それぞれの容姿は見比べても分からない程の再現がされている。ただその表情は等しく色気をおびていた。

 

「望むなら全員でも良いわよ?童貞君にはサー『ジー』おっと危ない!」

 

 反射的に魔法を使おうとした魁斗が実態を持った影に拘束される、魔法使うどころか魔力の生成すら阻害される状態だ。状況を改善しようと魁斗は何とか足掻くが拘束が解ける兆しはない、自身の命運を完全に握られてしまっていた。

 

「反抗する根性は認めるけどここまで接敵されたら攻撃より口を開いて情報取った方がいいわよ?素質は兎も角まだまだ経験不足ね。まあ怪我人は体を労りなさいな……流石に怪我を悪化させたら曹操に怒られるし」

 

「……せめて顔見せて名乗れ」

 

 ここまで完封されていながら危害は加えられていない以上敵ではないのだろうと魁斗は判断する、半ば諦めの入った物ではあるが。

 そんな魁斗を見て女は笑って自身の変身を解く、全身に纏っていた影が消え現れたその姿は桃色の長髪に子供の様な体格の少女だった。

 

「どーも初めまして!MBの汚れ仕事担当の嫌われ者!ルサルカ・シュヴェーゲリンでーす!気楽にルサルカちゃん♡って呼んでね♡」

 

「……ドーモ。ルサルカ=サン、ヒョウドウカイトデス」

 

「わーん!距離を感じる〜!」

 

 魁斗は白々しく嘘泣きをしている目の前の少女?について考える。

 

(……世の中自分を良い人間だと言う奴に碌な奴はいない、ならその逆は?)

 

 もしかしたら、辛うじて、天文学的可能性で、善良な人間なのだろうか?という疑問が生まれたが……性悪女であるのは間違いないだろうと思考を絶った。

 

「で?どうやって見分けたのか教えなさいよ〜!魔力感知もまともに出来てないでしょ?黒子?愛?所作?」

 

 嘘泣きに飽きたのかルサルカは好奇心を持って魁斗に迫る、変身の出来は完璧と言って良かったし本気で分からないのだろう。答え合わせをするとルサルカの予想は全てハズレだ。魁斗が知る限りジャンヌに黒子はないし、親愛の情こそあれどそれで見分けがつく程ファンタジーなレベルではない、所作も多少の差異があっても分かる自信は魁斗には無い。……魁斗の答えはそう特別な物ではないが何となく口にしない方がいい気がして口をつぐんでいた。

 

「───答えないとイタズラしちゃうぞ♡」

 

 そんな魁斗の気持ちを知ってか知らずかルサルカは口を割らせようと強行手段を取る。ゆっくりとただ確実に顔を近づけられていく状態に耐えられず魁斗は見分けた根拠を口走った。

 

「………ジャンヌより大分軽かったし」

 

「…………?……………???……ブホッ!!!」

 

 その答えを聞いてルサルカはキョトンとした顔をする、即座に言葉の意味が理解出来ずに素の状態で疑問符を浮かべていた。そしてその意味を理解した時、ルサルカの笑い声が病室に響き渡った。

 

「ちょ、待って!よりによって体重って?!普通身振りとか直感とかでしょう?!アハハハハ!!は、腹がよじ切れる!!笑い殺す気なのアナタ?!」

 

「いや見た目変わらないなら体重もそう変わらないだろ?」

 

「wwwwwww平均体重くらいは持たせてたわよ?!あーでもゴリラなインファイターだからもっと重ブフッ!!アーハッハッハ!!!」

 

 素朴な魁斗の意見がツボに入ったのかルサルカは地面を転げ回る、その衝撃は凄まじいものだったらしく魁斗を縛っていた拘束も解けてしまった。もはや戦うという雰囲気でもない、魁斗はルサルカが笑い終えるまでの間自身の体に何か仕込まれていないかの確認に費やした。

 

「───あー笑った笑った。曹操を振り回してるだけの事はあるわ。私、貴方の事気に入ったかも」

 

「……そりゃどうも、俺はあんた苦手だ」

 

「やん♡いけずぅ!まあお望み通り今日の所は撤収しましょうか。…………ああそうそう、()()()()頑張ってね♡」

 

「はい?」

 

 そう意味深に話してからルサルカは自身の影に溶ける様に姿を消す、置いてけぼりにされ疑問符を浮かべている魁斗はすぐに答えを知る事となった。

 

「……はーいどうも、重い女です」

 

 魁斗はゆっくりと声がした方へ首を向ける、それを見た者は皆ギギギと幻聴が聞こえた事だろう。そこにいたのは魁斗の予想通りの人物、つい先程偽物に騙されかけたというのに今度は間違いなく本物であるという確信があった。

 

「…………いや今のは違うんすよ」

 

 その後数十分に渡り情けない言い訳が垂れ流されたらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 

 

 ───ガリガリガリ

 

 薄暗い部屋の中、アカネは無心で手を動かし続ける。作業机の上には多種多様な怪獣達、以前曹操から依頼されたノルマ以上に作成しているというのにアカネは手を止める事はない。何かに取り憑かれた様に怪獣を生み出していた。

 

「ハロー!いつまで部屋に閉じこもってる気〜!」

 

「……………………」

 

 部屋に侵入したルサルカがアカネに声をかける。だが集中して自分の世界に入っているアカネにはその声は届かない。そんな様子にルサルカは溜め息を吐き、必ず届く話題を持ち出した。

 

「さっき貴方のヒーローに会ってきたわよ」

 

 ピクリと一瞬反応したがまたすぐに作業に戻る、まだ一押し必要だと考えルサルカは話続けた。

 

「悪しきを挫き正しきを為す、誰もが夢見るヒーロー。倫理だの人権だの甘ったれた価値観は嫌いだけどあんな傑物を生み出せる点は評価しないとね。()()()()()()()()()()()()()()()()、あんなの私が生きてきた時代じゃそう生まれない。曹操も随分なワイルドカードを手に入れたものだわ」

 

「…………魁斗は死なない、私が死なせない!」

 

 先程まで視線すら向けていなかったアカネとがルサルカと視線を交差させる。確固たる意思で、覚悟で話すアカネに対してルサルカは冷や水を浴びせた。

 

「無理ね。貴女はアレと愛を育む事は出来るかもしれない、でも背中を任せられる事はない」

 

「私が!私が最強の怪獣を作って「出来もしない事を言っても虚しいだけよ?」……ッ?!」

 

 卓上にある怪獣達は一つ残らずアカネが心血を注いで作製されている、その完成度や多彩な能力は並の上級悪魔を超えた戦力だ。だがそこ止まりでしかない、今のアカネが生み出せる怪獣は魁斗にとって便利な道具ではあっても頼もしい味方とは言えなかった。魁斗が命を散らす可能性のある戦場では肉壁にすらなれない程度の出力しか無いのだから。

 

「それが今の貴女の限界、素質に限って言えば貴女達にそう大きな差は無いけれど貴女は大幅に周回遅れしてるの。そしてこれからもその差は開き続けるわ、一度死線を超えた人間の成長は著しいもの。……ま、その分燃え尽きるのも早いけどね」

 

 どれだけ気概があろうともこれまで努力しなかった事実は揺るがない。人が変えられるのは未来だけだ、これまでも、これからも努力する相手へ追いつく事はほぼ不可能と言っていい。

 

「……でも、それでも!」

 

 それが分かってなお足掻こうとする少女を見て魔女は囁いた。

 

「───それでも諦めないなら私が力を貸してあげる。0を1に変える程度でしかなく成功するかは貴女次第。代償だって当然あるけど……どうする?」

 

 具体的な話もせず成否すら保証しない、そんな怪しさしかない提案は普通なら受け入れられない。

 

「私は今のままじゃいられない、いたくない!」

 

 だが少女は魔女へ向けて手を伸ばす、どんな結果になるとしても無力なままでいるよりマシだったからだ。

 

「それを聞きたかった」

 

 魔女は喜んでその手を取った。魔女に少女を陥れるつもりはないし、過剰に肩入れする気もない。ただどんな結果になるにしろ面白い結果になるだろうと考えている…………ただそれだけだった。




Q.何でこんなことするんですか?
A.楽しいから

 という訳で全く原作要素の残ってないコンラ枠、ルサルカです。コンラは犠牲になったのだ、一人くらいクソ女出したかった作者の願望の犠牲の犠牲にな。
 魁斗も年相応な面があると見せられて満足……切り替え早過ぎる?正直言って動かしにくい時ありますねww
 次回作作るならもっと弱点の多いキャラにしようと思います。
 次回も楽しみに。
 
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