……酷使し過ぎ?ワイトもそう思います。
「「「「一誠君頑張って〜♡」」」」
「おう!みんなの為に頑張るぜ!」
「……何なんですかアレ?」
兵藤一誠は全くと言って良い程モテない、顔面偏差値が平均を超えていても覗きの常習犯がモテる方がおかしいので当たり前ではあるのだが。そんな一誠を応援する美少女の一団という信じられない光景を目にして匙が困惑するのも仕方ないだろう。全員が悪魔の気配を伴っている事がより混乱を招いていた。
「上の用意したハニートラップ要員やね。今後の為に戦力確保は必須や、フリーの赤龍帝を見逃す理由はないんよ。……全員に手を出したのはちと想定外やったけど」
その疑問に答えたのはセラフォルーの眷属である八神はやてだ。茶髪のボブヘアーで幼くも整った容姿をしている。背丈は平均的な女性よりも低いが反する様に豊かな胸部を持っており街中ですれ違えば振り向く男は多いだろう……少なくとも赤龍帝の視線は一点に集中していた。
「女性相手に失礼とは思わないのかよ!」
「だってよお!こんなに美人で!小さいのに大きいんだぜ!目に焼き付けるっきゃないだろ?!」
「褒められとるのかセクハラされてんのか良く分からんなぁ」
人間基準なら9割9部セクハラではあるが悪魔社会での生活で感覚が麻痺しているはやては余り気にしていない。魔王の眷属だと知れ渡る前に実力行使や権力を盾に迫ってきた馬鹿に比べれば可愛い物だからだ、そもそも今の一誠が襲いかかったとしても簡単に制圧出来るので脅威と見ていないのもあった。
「ま、何にしても今日は模擬戦よろしゅうな。匙君と一誠君、ルーキー同士の力比し。双方得たばかりの力を存分に発揮してきばりや。……ああそうそう、一誠君は頑張り次第じゃソーナちゃんやリアスちゃんの眷属に推薦してあげるで」
「は、はぁ?!聞いて無いっすよ!はやてさん!」
「よっしゃあ!!!絶対に勝つ!!!」
やる気で燃える一誠を片目にはやては匙に耳打ちする。
(まあまあ、あくまでも
(そ、そりゃそうですけど……)
単純な一誠を乗せる為の戯言であると聞いて匙は安心する。あんな性欲の権化を主人が眷属にする事はまずあり得ないと考えていた。───そんな思考に一石が投じられる事になる。
(───でもまあ、眷属があんまりにも不甲斐ないと戦力強化したくなるかもなぁ。ソーナちゃん優しい子やしねぇ、一誠君の
ニヤニヤと笑っているはやてを見る限り発破をかけているに過ぎないのだろう。だが九死に一生を得た今、不甲斐ない自分達を守る為万が一、億が一の可能性はあるのではないかと疑念を生み出す。元より負ける気は無いとはいえ匙に覚悟を決めさせるには十分過ぎる発破だった。
「絶対に負けねぇ!!!」
「ハーレム王に俺はなる!!!」
双方モチベーションが天元突破した状態で戦いの火蓋が切って落とされた。
◇
『
『
赤龍帝ドライグと五大龍王の一角で邪龍でもあるヴリトラ、その力の一端でしかないとは言えその戦いは見る物を圧倒する物だ。赤が圧倒的な力で責め立てるのに対し、黒はその猛攻を凌ぎ力を削いでいく。一誠のハーレム達は一時応援する事すら忘れ固唾を飲んで戦いを見守っていた。
(
そんな中はやては熱を持つ事も無く予想を立てる。勝ち負けの分かっている戦い程つまらない物はない、当人にとってレベルの低い物なら尚更だ。傍目には一進一退に見える攻防に見えるが一誠の攻撃は素人の域を出ず匙は余裕を持って受け流している。持久戦になれば相手の力を吸い取れる匙の方が有利だ。
(覚醒の一つもせんと一撃当てる事も無理やろな……仮に出来たとしてやけども)
匙は堕天使の技術提供によって新たに複数の神器を取得している。一つ一つがヴリトラに関わる神器である事もあり強力な部類で匙は小器用に使いこなしている。その中でも最も強力で魔王クラスすら手を焼く神器に至っては発動すらしていないのだ。その予測は当然のものだった。
(まあ、そんな事は置いといて。厄介な仕事を押し付けられたもんやわ)
はやては一誠を応援するハーレム達に目を向ける。彼女達を一誠に差し向ける様に決めたのは魔王達だ、だがその人選もとい悪魔選は下に投げている。そうだから安心……とはいかないのが悪魔の実情だった。
(どうせ初代バアルの息のかかったのは幾らか紛れ込んどるやろうしなぁ。問題はそれ以上に
駒王町への襲撃、魁斗達の尽力で悪魔はほぼ無傷で乗り越える事が出来た……だから良かったとはならない。秘密裏に用意していた護衛は別の指令で町を離れ、交代要員もトラブルで遅れ、通信の不調は見落とされ、魔王達が動けないタイミングでの襲撃。これを偶然の一言で流せる愚者はそういない、調べ上げても全て偶発的に発生したとしか言えない結果で元凶の尻尾すら掴めずより一層警戒は引き上がった。
(流石に初代バアルはここまで実力行使する旨みがない、なら叛逆の兆しがある旧魔王達か……と言ってもこんな手口が使えるならもっと苦労しとる)
実行可能だろうが動機が薄い初代バアル、動機はあるが能力の足りない旧魔王、どちらでも無いというなら第三勢力が自分達の陣営にいる訳になるが候補の選定すら出来てないのが実情だ。はやてはその調査をしているのだがとても順調とは言えなかった。
(専門外もええ所や、その上何処から情報が漏れるか分からんから人手も増やせんときとる)
赤龍帝というエサに釣られた者達を調べようとするも、首輪代りの美人局には中級以下の替えの効く者しか送られなかった。中世レベルの文化水準の悪魔社会では経歴一つ追うのすら苦労する、経歴の改竄も考えれば何を信じればいいかすら分からなかった。
(まあ、これは努力目標やからまだええ、ええんやが……)
「……………………………」
はやてが隣に目を向けるとそこには複雑な表情で戦いを見守るソーナがいた。
───ソーナちゃんに嫌われたくないから良い感じに説明しといて☆
(自分で説明せぇや!そもそも話通さんかい!)
当人の了承を得たとはいえ自身の眷属へ安全か分かっていない神器移植を行うのは相応に怒りを買う行為だろう。技術の出所がつい先日襲って来た堕天使なら尚更だ。戦力強化は必須とはいえ眷属にそんな無理をさせてしまったソーナの心情は複雑だった。
「……私は不甲斐ない主人ですね」
「いやあ、そんな事は無いと思いますよ」
はやては当たり障り無い言葉でお茶を濁そうとするがソーナには全く響いていないのは明らかだ。匙が神器移植で強くなったのを見て他の眷属達もまたそれを望んでいるのは口に出さずとも分かる、匙の体調に問題が出てこない以上後追いする者を止めるのにも限度がある。……10年、100年たった時にあるかもしれないリスクは目の前の脅威より弱いのだ。
「私がもっと強ければあの子達にこんな事させなくても良いのに……」
「───それはちゃうで、ソーナちゃん」
自身の不甲斐なさに首を垂れ手に力を込めるソーナ、はやてはその不甲斐なさを否定する。それは優しさから来るものでは無かった。
「眷属は
「……つくづく私は甘やかされて育ったのですね」
ソーナもはぐれ悪魔の討伐は何度も行っている、だがそれは安全を十分に考慮されたものなのだろうとソーナは考える。自身の姉がそうしない訳がないからだ、そんな緩い環境では成長にも限度がある。襲撃が無ければその程度の事にも気づかない理想を夢見る愚かな少女のまま戦争が訪れたかもしれないと考えるとソーナは身震いした。
『ドラゴンショット』
『
「まあ、悪魔からしたらソーナちゃんは赤子も同然やからね。過保護になるのも仕方ないって……大切なのはこれからやろ?」
「……勿論です」
ソーナは練習試合に意識を向ける、例え歪な物とはいえ匙が新たな力を手にしたのは間違いない。主人としてソーナにはその力を十全に振るべく指揮を取る義務がある。……今のままでは匙のワンマンチームが最適だとしても眷属の成長を信じて計略を組み上げていた。
◇
「ク、クソォ!」
「へっ!タフネスだけは大したもんだったぜ」
「おっと、戦いはもう終わってもうたかな?」
互いに傷らしい傷は無いもののどちらが優勢かは明らかだ。一誠は息も絶え絶えで膝をつき鎧も一部消え掛かっている、対する匙は多少疲れた様子はあれど魔力を奪う事で戦闘開始時よりもコンディションは良いだろう。
───これ以上続ける意味も薄いと試合を止めようとはやてが動く前に別の声が会場に響いた。
「「「「「一誠君〜♡こっち見てぇ〜♡」」」」」
「?、一体何……ウッヒョォォォ!!!!!!」
「な、なんだぁ?!」
「……私は物理的に目が曇っているのでしょうか?」
「……いや、残念な事に正常やねぇ」
一誠が大興奮し他のメンバーが困惑を隠せない、その原因である一誠ハーレムの女達は様々な格好をしていた。ランジェリーや水着、学生服にバニー服etc、どれもが欲情を誘う様改造された服装で裸よりも恥ずかしい格好も紛れている。
「諦めないで一誠君!」
「勝ったら……いつもよりめいいっぱいご奉仕してア・ゲ・ル♡」
そんな彼女達を穴が開かん程見つめる一誠は生唾を飲み込……いや飲み込めず兜から溢れて地面にシミを作っていた。そんな一誠に見せつける様に彼女達は妖艶なポーズを取る、一誠は鼻血を吹いた。
「突いたりしても?」「感触比べてみる?」
「す、吸っても良いのか?」「まだ出ないけどいいよ♡」
「挟んで貰ったりとか?」「何人でやって欲しい?」
質問を終えて数秒後、一誠を中心に魔力の奔流が巻き上がる。模擬戦が始まった時より遥かに高い魔力で先程まで負けかけていた男と同一人物とは思えない。
「うおぉっぱい!!!戦いはまだまだこれからだぜ!!!」
「お前ついさっきまでヘロヘロだったよな!??」
(意味不明な状況に絶句している)
「……いやー方向性は違えど兄弟揃って才能あるなぁ」
神器は強い思いに応える様に大きな力を発揮する、その思いが性欲から来ても問題は無い……無いのだが一誠以外にはあり得ない奇跡?だろう。
大切な家族が命の危機に晒されるより恋人の乳を小さくされるという命の危機はない事の方が怒りを覚える精神性は唯一無二と言って良い。イカレ具合なら魁斗とどっこいだ……当の本人が聞けば機嫌が悪くなる事請け合いだが。
「ウオオリャァ!!!」
(何てパワーにスピードだ!変態の癖に!)
攻防は先程までと変わらず赤が攻めで黒が守りだ、だが攻勢の質は先程までの比ではない。比喩でも無く一誠のパワー、スピードが倍増し更に上がり続けている。匙が受け流せたのは最初の数撃、防御の解かれた無防備な腹部に拳がめり込んだ。
「ウララララッ!!!」
「は、早く転移を!!!」
一誠は力を持っているだけでまともに戦った事の無い素人だ。どこまでやれば倒せるか分からず加減できない、テンションが上がり冷静さの欠片もなく自力で止まるかも怪しい。レーティングゲーム同様に戦闘不能になれば安全圏に退避出来る様にしているが絶対というわけでは無いのだ。主人であるソーナが下僕の安全の為に動くのは当然だった。
「ん?……あー心配はありまへんよ?」
「な、何を悠長な!?」
そんなソーナに対してはやては全く焦りを見せていない。匙に傷一つ付く事すら無いと確信していた。
「───火力だけなら魔王級の爆裂娘ですら傷一つ入れられんかった……もしかするとサーゼクス様でもダメかもしれへんで?」
「……………はい?」
ソーナはセラフォルーの眷属と交流があるし、ある程度の戦闘力も把握している。そんな中で爆裂娘と呼ばれる眷属は単発火力は最強だ、少なくともソーナなら毛の一本も残らない。その一撃を匙が耐える等理解の外にある事象だった。
(あ、あれヤバくなったら転移するって話だったよな?……ま、まさか死んでる?!)
数十秒もラッシュを続けていれば湯だった頭も思考を取り戻す。その結果、最悪の考えが浮かび動きが鈍った一誠を匙は見逃さなかった。
「緩んだな?」
「なっ?!離しやがれ!」
匙はタックルする様に一誠にしがみつき神器を総動員して魔力を吸引する、一誠も不味いと殴りつけ蹴りを入れるがビクともせず血の一滴も流れない。禁じ手だと避けていた股間への蹴りすら苦しむ様子も無く抵抗する力を奪われていった。
「
多少時間はかかったものの模擬戦は匙の勝利で終わる事となった。
◇
「ハハハッ、やった!勝った!」
スペック面では圧倒的格上への勝利に匙は喜びガッツポーズを取る。
「この力さえあればソーナ会長を守れる!あんな奴に頼らなくてもいい!」
例え外付けの力による勝利だとしても使いこなす努力はしており、理不尽な覚醒が無ければ何事も無く勝てていたのだから当然の事ではある。
「あいつにだって俺は勝てる!勝てるんだ!」
さてそれはどうだろう?
「ソーナ会長見ていてくれましたか!!!俺!会長の為にもっともっと強くなります!!!」
ランドセルをロケットにしたり、地面から鏡を作る様な魔法にそんな常識が当てはまるとは思えないが。
ネタバレ:普通に破ってきます
絶対防御なんて破られてなんぼだからね仕方ないね。匙の神器は原作の奴以外だと後1、2個の予定。まだまだ強くなります。
一誠パワーアップし過ぎじゃね?とは思われるかもですがヤらせたら際限無く強くなりそうだと考えこんな事になりました。スペックはコカビエル戦の魁斗並のイメージ。
ドライグからの印象?性欲関係無い所でマイナス振り切ってるからノーカン。
次回もお楽しみに。