すいません、リハビリがてら書きかけで止まってたIF話でお茶を濁します。
本編は書きたい欲求はあるので少々お待ち下さい。
生徒会室、駒王学園におけるそれは選ばれし者しか入れない場所である。ソーナ・シトリー、悪魔が誇る四大魔王の一角セラフォルーの妹とその眷属の活動拠点として使われているからだ。ソーナは悪魔の社会への挑戦とも取れる自らの夢を叶える為、今日も人間社会を学習する。
「しゃあっ!サ・ン・タ・テ!やっぱりデブリューは最強だぜ!」
「か、完全に読み勝ったと言うのに」
ただし方法はゲームで。某有名ゲームの対戦には想像されるよりも多くの知性が必要となる、使うモンスターや持ち物、技の選択や能力値の振り分け、対戦前の選出や戦闘時の判断。それらの要素を短い時間で網羅している才女に対して対戦する少年は大雑把にしか把握していない。そんな状況で少年が勝つには運の要素以外考えられないが実態はそうでは無かった。
「積みが完全に決まってもフラインゴ以下の種族値でバランス配分じゃあ無理があるでしょ?いやデブリューが耐えたのはびっくりしましたけど」
「で、ですがこのモンスターはあらゆる状況で活躍出来る素質はある筈なんです!こんなに技幅だって広いのに……」
それは才女のある種の拘りによるものだ。少年が強いモンスターをガンガン使う側で才女は中堅以下……いや環境外の所謂雑魚と呼べるモンスターを使用しているのだ。しかも幅広い状況に対応出来る様な育成をされた上でだ。それはよく知らない人間からすると一見賢い選択に見えるだろう、だが経験者からすれば頭を抱える選択だ。
「全員がアタッカーもサポーターも出来る変幻自在さを持てるならそりゃ厄介ですよ?でもね、何でも出来る事を活かせるのは素のスペックが高い奴だけで弱い奴は器用貧乏にしかならないんです」
一つの事しか出来ないよりも色々と出来る方がいいのは誰だって分かる。だが向き不向きやリソースを考えた上で実際に出来るかは別問題だ。ソーナ自身数値的にかなり厳しい事は骨身に染みていた。何をするか分からないという情報アドバンテージがあって尚スペック差で押し切られたのだから。
「……それでも、だとしても」
たかがゲームの話ではあるが今まで無意識に目を逸らしてきた事実を突き付けられている。現実はゲーム程数値に支配されてはいない、思いの力を筆頭に計算狂わせる物で溢れている。その上で
「そもそもソーナって何で人間界に来たんですか?教育システムを学ぶなら貴方自身が来る必要なんてありませんよね?社交界とかで協力者増やす方が有意義でしょう。逆に婚約破棄する必要とかありました?自由に行動させて貰う程度で良いのに何で交友関係破壊してるんです?」
「それは……」
ソーナはその先の言葉を紡げない、一つ一つ自身の行動を客観視させられると無意味通り越して害悪のオンパレードだ。これでは本気で夢を追いかけているなどとは思われないだろう。適当な大義名分を掲げて遊び呆けたいか姉の政治的都合に巻き込まれているという方が余程現実的だ。
「というかソーナって弱者救済って本当に考えてます?捻くれ者の身としてはそういうのって大概嘘臭く感じるというか……ソーナって内心でレーティングゲームが脳筋ばっかで面白くないとか考えてません?それらしい事言って自分の考える賢い駆け引きを広げたいだ「いい加減にしやがれ!!!」……ん?」
魁斗の言葉は同室にいた一人の少年により阻止される。匙元士郎、ソーナの眷属であり眷属として以上の思いを抱いている少年だ。そんな少年が思い人への罵倒を見逃せる訳もなく口を挟んだのだった。
「……さっきから黙って聞いてりゃ好き放題言いやがって!たかがゲームで勝った負けたでソーナ会長の夢を否定するんじゃねぇ!」
正しく正論というものだろう、ゲームに夢を測る力なく匙の言う事は正しい。問題はゲームをしてるだけでも分かる事実に気付いていなかった事だ。ゲームを話題にしたのはただの趣味であり余りにも夢から遠ざかっていた事を伝えているに過ぎない。
他ならぬソーナ自身からダメ出しを頼まれているからこんな事をしているのであって楽しいからというだけでは無いのだ。
「チョリッース!最近グングン実力を伸ばしている匙君じゃないか!君だって才能持ってる側何だけど自覚ない?」
人は他人を否定するのが好きな生き物である、他人の意見を否定し自分の意見を通す事で優越感を得る事が出来るからだ。何かの間違いでそれを合法的に出来る環境にいる魁斗は存分にその快楽を貪っている、自分から来た新たな獲物を前に何を話そうかと悪巧みをしていた。
「俺の努力をそんな安い言葉で片付けるんじゃねぇ!日々の鍛錬で心が挫けそうになっても歯を食いしばって頑張ってきたからこそ強くなれたんだ!才能なんてやる気や根性で乗り越えられるんだよ!」
「なるほどなるほど、実に素晴らしい!感動的だな!だが無意味だ!ああ、君のガッツが大したものである事に異論はないぜ。俺みたいに才能におんぶに抱っこな奴にはとても真似出来ない事だ」
仰々しく身振り手振りをする魁斗に対しソーナは嫌な予感がした。かつて自身の夢を懇切丁寧に否定した時もそうであったし、魁斗の顔は嫌らしく歪み瞳には悪意に満ちていたからだ。止めるべきか匙を信じるべきか悩んでいる間に魁斗の口が開かれた。
「つまり
その中身はソーナの予想を超え頭を抱える事になった、理論の皮を被った極論による周りの眷属達への飛び火である。怒りを我慢していた眷属達も一瞬理解が遅れたが部屋が殺意の混じった怒気に支配されるのにそう時間はかからなかった。
「はぁ?!そんな事あるはずないだろう!みんなの思いも努力も俺が1番良く知ってんだ!手を抜いてる事なんて絶対にねぇ!テメェみたいなカス野郎が分かった様な口を聞くんじゃねぇよ!」
匙の言葉に眷属達も同意し魁斗の意見を否定する……心に引っかかるしこりには気づいていない様に振る舞って。努力を続ければいつの日か消える物と自身を騙し棚上げにするが落ちてきた時のダメージはより大きくなるだろう。
「じゃあ何すか、やる気も根性も変わらないのに匙君は周りより成果が出てるって事っすか?いやー君達の一体何が違うのかな?才能かな?いやでも匙君は才能なんて大した問題じゃないって言ってるしなー。頭の悪い僕じゃよく分かんないなー」
「このっ!クソ野郎が!!!」
更なる口撃に匙は最早我慢できぬと神器を実体化させ魔力を迸らせる、魁斗はそんな匙を前にゲラゲラと笑いながらおいでおいでと手招きした。一触即発の雰囲気にソーナが止めに入ろうとした瞬間、生徒会室の扉が勢いよく開いた。
「〇〇魁斗はいるかしら?!」
紅の髪をたなびかせた少女はお目当ての少年を見つけ太陽の様な笑みを浮かべる。平時なら見惚れる様なその笑顔に薄寒い物を感じた少年は打てば響くおもちゃで遊んでいた高揚感をすら失い凄く嫌な顔をした。
◇
「お断りします」
「な、なんで?!報酬なら出来る限り出すわ!」
婚約破棄をかけたレーティングゲームへの助っ人参戦、ライザーは強力な再生力を持つフェニックス家の血を引いているが素の力はリアスと比較出来る程度である。魁斗は自身の力なら問題無く倒せる範疇だと判断するも頭に過ったそれ以上のデメリットを前に参加を断念した。
「あの……自分はただでさえクソ面倒臭いシスコンに目を付けられてるんです。その上グレモリー先輩の許嫁になれる様な格のある家の恨みなんて買ったら……それを利用してシスコンに何されるか分からないんですよ。それともなんですか?貴方はあのシスコン魔王を止められるんですか?」
「……………………ごめんなさい、無理よ」
ある意味自身の婚約破棄以上の難題を前にはそう答えるしかない。下手すれば自身の兄ですら不可能な偉業である。リアスは縋る様にソーナへ視線を向けるが目を瞑って顔を横に振るだけだった。
「というわけです……まあハーレム作ってる事を盾に色々要求したらどうです?色男をケツに敷ければ意外と楽しい結婚生活になるかもしれませんよ?」
魁斗の気休めの言葉にリアスは項垂れる事しか出来ない、兄夫婦の様な恋をしたいと願っても彼女にはその方法が無かった。
「落ち込まないで下さい部長!助っ人なんかいなくたって俺が焼き鳥野郎をぶっ飛ばしてやりますよ!」
そんなリアスを励ますのは最近彼女の眷属となった兵藤一誠だ。かわいい下僕の励ましにリアスは心癒される。何か解決した訳ではないが望まなぬ結婚が遠ざかった気がした。
「一誠、お前そこまで強くなった様には見えないんだが何か秘策でもあんのか?」
「応!ゲームが始まるまで修行して強くなって見せるぜ!」
自信満々だが根拠は全く無い、つい最近ライザーの眷属に軽く一蹴された事など頭の中から消えてしまった様だ。淡い希望があっさりと消滅したリアスはガックリと肩を落とした。
「いや意気込みじゃ無くて策を聞いてるんだけど?……グレモリー先輩は何か作戦とかあるんです?」
「いえ、その……」
最もリアスも有効な作戦がある訳ではない、ある意味一兵卒として自身を高めようとしている一誠より無責任だろう。そんな反応を見て魁斗はどうにもならない未来を幻視した。
「───では我々が作戦を考えるというのは如何でしょう?」
「…………はい?」
そんな魁斗に対して声をかけたのはソーナだった。気の抜けた返事も聞こえていないのかどこからとも無く資料やテレビを取り出し何かの準備をしていた。
「ライザー・フェニックス、不死鳥の不死性を生かしたタフネスを活かした戦法を取る。眷属達は自爆特攻も辞さず敵の数を減らす主人への忠誠心に溢れているが特筆して強力だと言われるのは妹のレイヴェルのみ。ただ彼女の性格上今回のゲームには参加する可能性は───」
「もしもーし?ソーナさ〜ん?」
魁斗が声をかけても届いた様子は無かった。ライザーやその眷属の戦闘記録に関する資料を値踏みしつつあーでもないこーでもないと知恵を絞っている。
「魁斗も知恵を出して下さい!限られた戦力で強敵を打ち倒すには常識的な考えだけではどうにもなりません。貴方の捻じ曲がった心から出る悪辣な意見が必要です!」
「……………うっす、えあっす」
"ソーナが魁斗を庇護する代わりに知恵を貸す"それが2人の間で取り交わされた契約である。それ故にこの場から魁斗が逃げる事は叶わない、日頃悪用しているのだから尚更だ。どれ程拘束されるだろうかと辟易としつつも魁斗は目の前の資料を手に取った。
◇
「───持久戦は無理ですね。短期決戦しか勝機はありません」
「でしょうね、フェニックスの涙でしたっけ?貴重品でも生産元なら持てるだけ持ってるでしょう、歯とかに仕込んでたら使ってる隙をつく事もままならない」
「やはり赤龍帝の籠手で倍化した最大火力をぶつけるしか───」
(ソーナ楽しそうね……もしかして彼が貴女の恋なのかしら?)
リアスは親友の何処か楽しげな姿を見て微笑む。自身が望んでいる恋程熱くも無く激しくも無い、友情に近い物だが美しい青春である事に違いはない。少しばかり羨望を抱きつつも親友の幸せを内心で祝っていた。
(……でも、眷属の子達には少し同情するわね)
そんな光景を拳を握り締め歯を食いしばって見る男が一人、匙の事をよく知らないリアスすらどういう感情を抱いているかが丸わかりだ。更にその匙の姿を見て同じ感情を持つ眷属がいるときている。その関係性は複雑でも何でも無く一直線にしかなっていないのが尚悲しい現実だった。
「……よし!ソーナ達が作戦を考えている間に特訓よ!」
「「「「「了解です!!」」」」」
リアスは雑念を払い自身に出来る事をやろうと動き出す。ソーナの人間関係を軽く見ている訳では無いが猶予はいくらでもある。自身の結婚を回避して落ち着いてから話せば良いと。
───後日、リアスはその判断を悔やむ事になった。
続かない……はず、ソーナ周りが書きやすいからそこでリハビリしていくかもしれない。
意欲は残ってるのでちょっと話読み直して書いていけたらいいな。