ハイスクールDxDで掲示板もの   作:ねばねば納豆

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殺し愛の〆にアカネ君といちゃつかせようと思ったのですが危うく嫉妬で筆を折りそうになりましたw
口直しに匙をイジメます、ちょっと先の話です。


無敵 VS 万能 その1

 匙は複数の神器をその身に宿す事で圧倒的な力を手に入れた。異形の巣食う世界に足を踏み入れて数ヶ月とは思えぬ程の力量と言っていい。並の神器使いは愚か神滅具の赤龍帝の籠手を禁手までさせた兵藤一誠すら倒せる程の実力となれば最上級悪魔やその眷属に匹敵する。

 

「おい、あの時の鎧は着なくていいのかよ?」

 

 だがそれでも匙はまだまだ経験不足の若者である。一誠に勝てたのも一誠個人の未熟さと無敵の体による優位性があっての事、実戦に出すには不安が残る。特に直近に迫る三大勢力の会談は不足の事態が起こり得る特殊な環境だ。確かにソーナの夢を叶える為に功績を上げる場としては上等だが足を引っ張る可能性が高いとソーナは匙を護衛には出さないつもりだった。

 

「ん?アパテーなら改修中だ。そもそもアレがあったら加減が出来ん」

 

 それを不満に思った匙は当然反論する。自分ならば大丈夫だという説得の体だがどこか傲慢さを感じ取れる物だった。当然そんな精神状態の下僕を送り出す程ソーナは博打を打てない。だが匙の実力はソーナを遥かに上回る、将来的には兎も角現状圧倒的弱者であるソーナの言葉は匙に届く気配がない。

 

「舐めやがってッ!後悔させてやるよ!」

 

 そんな状況を見かねてはやてから一つの提案が出された。何の事はない、実際に会談に参加する実力者と戦って実力を試せば良いと言うものだ。その相手を聞いてソーナと匙の反応は真逆だった。片や恩義がありながら迷惑をかけた相手にこれ以上負荷をかけるのかと反対し、片や目にもの見せたい相手への挑戦する機会が来たと賛成した。

 

「ああ、そうそう戦う前に───」

 

 堂々巡りな口論も結局は当人の意思が重要だろうと魁斗に確認すると快く了承された。その返答にソーナは頭を抱え、匙はドロついた執念とも言える何かを煮えたぎらせる。その他の眷属達は匙なら必ず勝つと慰めるがソーナの悩みの種はそこでは無い。いや勝敗も悩ましい問題だが何よりも魁斗が関わると斜め上の結果になるとソーナは確信していたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()()()。俺は兵藤魁斗、今日はよろしくな。あんたの名前はなんて言うんだ?」

 

 悪意は無い、強いて言うなら頭が悪い。なんの気無しに放たれた挑発的な(無関心な)言動はソーナの嫌な予感が的中していた事を示していた。嵐の前の静けさを前にしてソーナは両手で自らの顔を抑える。これは絶対に碌な事にならないぞと。

 

「──────ブッ殺す!」

 

 戦いの火蓋が切って落とされた。

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

「ハハハ、こりゃ笑うっきゃねーや!でもあの沸点の低さは減点かなー」

 

「そりゃ怒るでしょ。私なら爆裂魔法ぶち込みますね」

 

「…………天然?」

 

「いや、流石に挑発目的の軽口でしょう……ですよね?」

 

 思い思いの感想を述べる護衛に囲まれたソーナは両手で顔を包んだまま身じろぎもしない。何もかも見無かった事にしてベットに潜り込みたかった。どう考えてもこの模擬戦は碌な結果になりはしないと分かってしまうからだ。匙が敗北すればより一層拗らせるか心をへし折られるだろう、勝利すれば傲慢さに拍車がかかるのは目に見えている。主人として下僕のケアは義務と言っていいがこんな複雑骨折じみた状況を上手くまとめられる経験がソーナには無いのだ。

 

「ソーナちゃん?色々面倒毎が思い浮かぶのはしょうがないけど模擬戦はちゃんと見とこう?な?」

 

「………………はい」

 

 近い思考をしているだろうはやてに促されて手を離し目を開ける。どの道避けられないのだから逃げても意味は無い、そもそもシトリー家の次期党首であるソーナは今後も面倒な人間関係もとい悪魔関係に頭を痛める機会はいくらでもある。自分の下僕すら統制出来ずにどうするというのか。

 

『単純に硬いって訳じゃ無さそうだ。ノックバックはあるし概念的な防御でまず間違いないかな?』

 

「おっかしーな?大怪我したばっかにしては元気過ぎじゃない?」

 

 ソーナが目を開けた先で行われていたのは戦いでは無かった。圧倒的実力差による蹂躙ともまた違う無慈悲な()()だ。攻撃が効かない無敵の体、大火力による攻撃や全身の凡ゆる部位への攻撃など物ともしない。その戦意を挫くには充分過ぎる状況に魁斗は多少驚きこそすれそんな傾向は無かった。打撃、斬撃、火、水、土、雷、風etcと手を変え品を変え、一つ一つ虱潰しに試していく。当然匙も反撃をするが意にも介さず、いや何なら自身の攻撃による自爆という検証に利用されてしまっていた。

 

「おーおー、やりたい放題やってんねー。でもちょっと前のめり過ぎないかな?」

 

「下手に小手先の技に頼るからそうなるんです。やはり爆裂!が1番ですよ!」

 

「私ならそもそもあのレベルで魔法を行使出来ません……分野が違うとはいえ妬ましい限りです」

 

 その魁斗の戦いぶりに対して護衛達はやや否定的な意見に寄っていた。多種多様な魔法を使いこなしている技量は大したものだとは思っている。だが戦いは手札が多ければ勝てるとは限らないのだ。確かに匙の様な特殊な敵を前にして様々な方法を試す必要はあるが些か細かく試し過ぎだ。経験不足から来るペース配分ミスだと考えるのも無理は無いだろう。

 

「ちゃうちゃう、ペース配分は間違っとらん。魔力が全く減ってない、アレで全く本気出しとらんで」

 

「……いやいや、そんなの表面上だけでしょ?あんな無茶な戦い方してたら私でも長く持たないよ?」

 

 常識的な範囲の話であればその判断は正しいし、魁斗がペース配分を考えていないのは事実だ。だがそれは()()()()()()()()()()()()()()()()という条件下であるからこそである。本来自然回復などあってない様な物を想定しろという方が酷だろう。というかドン引きする事態である。

 

『ペース上げていくぞ!』

 

「……うっわ、何あの馬鹿魔力。龍王クラス、いや下手したら魔王クラスかも」

 

「??!!!!!!彼には爆裂の才能があります!布教しなきゃ!」

 

「「「「「おい、やめろ馬鹿!!!」」」」」

 

 背景で馬鹿が揉みくちゃにされる中でも戦いは進んでいく。地形操作によって地面に囚われ圧力に晒される、地上は不利だと空を飛べば聖水の雨が降り注ぐ嵐を生み出して叩き落とされる。その後地面から飛び出した根っこで縛り上げてからは文字通り手も足も出せていない。

 

『う〜ん?なんか魔力吸えてない?いや吸収しあって競り負けてんのか?』

 

『グオオオ!!!』

 

 魁斗が戦闘中とは思えない程リラックスしている中、匙は全身全霊を込めて抗っていた。邪龍の鱗(ワンダー・スケイル)といえども魔力切れになってしまえば何の効果もない、それ故に匙が必死になるのも当然だ。だがその姿は必死というよりも無様と呼称するべきだろう。客観的には無敵の体を手に入れて強くなったと調子に乗った愚者が成す術なくやられているのだから。最終的に勝てば払拭可能ではあるが……何処までも皮算用でしかなかった。

 

 

『……………あっ!すまんこれじゃあんたの訓練にならないよな。攻守交代だ、今度はそっちから攻めていいぜ?』

 

『………………………は?』

 

「…………天然にしろ恣意的にしろ、いい性格してますね、彼」

 

 魁斗は匙の拘束をあっさりと解除し、ファイティングポーズで出方を待っていた。それはある種の誠実さによる物だが匙はそう取れない、短時間で抉り尽くされたプライドにトドメを刺された様な物だ。どう好意的に受け取ろうと格下だと思われている事実は揺るがない。匙は青筋を浮かべ歯軋りをする、目にもの見せてやると音速を超えて魁斗に突貫した。

 

『振りかぶった右ストレートと見せかけて鞭?を使った薙ぎ払い』

 

『何だとッ?!』

 

「魔法使いの癖に近接弱点じゃないんかーい!」

 

「魔法少女(成人済)で近接主体の女には言われたく無いと思いますけど?」

 

「年の話はヤメロッ!!!まだBBA扱いされる年じゃないやい!」

 

 魁斗の言う通り匙は殴りかかると見せかけて神器で範囲攻撃するはずだった。回避される可能性は幾らでもあるとは思っていたが攻撃を予言されて回避されるのは想定外だ。匙が一瞬呆気に取られる間魁斗は特に反撃する事なく一定の距離を取って待機していた。その余裕ぶった態度に匙は苛立ちながらも再度動き出した。

 

『上下左左地中上上右左足払い上左上上後ろ右右───』

 

「ワーオ、完全に読み切ってんじゃん。あんなの相手したくないなー」

 

「やはり小手先の技等使わず爆裂が1番良いのでは?」

 

 四方八方からの攻撃が魁斗に襲い掛かるが掠り一つせずにステップだけで避けている。予知しているのも驚きだが体捌きも魔法使いとは思えない水準だ。匙がどれだけ猛攻を続けても意にも介していない、途中から目を閉じて避けていた。

 

「……誰か魁斗君に勝てる自信ある子おる?私は遠距離なら余裕やねー。近距離に持ち込まれたらキッツイけど」

 

「近距離ならいけっかなー、仕留め損ねたら引き撃ちで何もさせて貰えなさそうだけど」

 

「……術が効けば?」

 

「ゼロ距離爆裂で相打ち行けます!!!」

 

「後方支援担当に無茶言わないで下さい」

 

 はやての質問に各々が答えるが完全に有利だと言い切る者はいなかった。魔王の眷属としては弱気な発言であるが同時に適切に戦力を見れている事の表れだ。元々セラフォルーの眷属は魔王特権で魔力の底上げをする特性の僧侶(ビショップ)で統一された軍勢とも呼べる数を誇る集団なのである。その反面趣味(魔法少女)で選んだ結果特殊な能力はあるが戦闘力は低い者も多い。それもあって今の魁斗に有利を取れるのは少数派なのだ。

 

「……あの、負けなかっただけで終わりそうな匙にどう声をかけたらいいか一緒に考えて貰って良いですか?」

 

「「「…………………………………」」」

 

 自身の眷属がフルボッコにされる姿に声を出せなかったソーナがようやく口を開いた。沈痛過ぎる内容で皆応えてあげたい気持ちもあったが誰もが口を噤み視線を晒した。だって精々調子に乗ってるガキンチョの鼻をへし折られる程度で終わると思っていたんだもの。ノーノー(白星無し)染みた圧殺をされる程実力差に開きがあるとは誰も考えていなかったのだ。普通心臓失ったら弱体化するだろ?何でまた強くなってんだよ?!いや、生きてる時点で可笑しいんだけど!

 

『ゴホッ!……テメェ何を飲ませやがった?!』

 

『体外がダメなら体内ってだけだ……無理ならギブアップしてくれよ?』

 

「あっ!なんかあったみたいやで!」

 

「そ、そうですよ。ちゃんと匙くんを応援して上げないと」

 

「匙っちファイトー!まだまだ戦いはこれからだぞー!」

 

「ファ、ファイトー」

 

「(眷属に慰められながらサメザメと泣いている)」

 

 誰もが思案を避ける様に模擬戦の方へ視線をやった。状況は誰も見ていなかった為分からないが言動からして匙に何かを飲み込ませたのが分かる。散々攻撃してダメだったのだ、外からダメなら内からという発想は普通の事だろう。事前準備も無いのに試す事が出来るのは可笑しいが今更という物だ。

 

『体内だからどうした!毒食おうが爆弾食おうが無傷だったんだよ!』

 

「その通ーり!くるみ特性の毒をたらふく飲ませてもピンピンしてたんだから余裕余裕!」

 

「そのくせ体に良い薬は普通に効くんですよね。過剰摂取しても悪影響だけ弾かれますし」

 

「貴女達???人の眷属に何してるんですか?!」

 

 だがそれは既に攻略法とはなり得ないと分かっている事だった。無敵の英雄が毒殺される事等ありふれた話、その可能性は早い段階で考えている。試せる範囲ではノーダメージ、当人の神器を考えれば寧ろチャンスだった。そう匙の神器は凡ゆる力を奪い取る事が出来る。かつて魁斗の魔力を全く吸い取る事が出来なかったがここまでの模擬戦では出来ていた。その魔力量は匙にとって凄まじいもので先日一誠から吸い上げた量の数倍だ。

 

(これだけ魔力があればヴリトラの力を最大限出せるかも知れねぇ!)

 

 神器に眠るヴリトラの力を引き出す龍王変化(ヴリトラ・プロモーション)。今の匙では到底不可能な領域だが魁斗の膨大な魔力を吸収した匙は後少しで可能であると本能で理解していた。湧き上がる高揚感を抑えて体内の異物から魔力を吸い上げる、その結果自身の目標としていた魔力量を手に入れると同時に───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「───ボヘァッ!!!」

 

 ───魁斗の()()()が炸裂した。

 

 

 




蹂躙描写は楽しいZOY!

……はい、創作意欲はあるんですが大分スランプってます。もうちっとだけこの手の話でリハビリさせて下さい(震え声)。会談までは駆け抜けたいんですけどねぇ。
次回もお楽しみに。
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