今後は間に合った週の金曜20時に投稿予定。
「僕はシャルロット・デュノア、イッセーの彼女です♪シャルお姉ちゃんって呼んでもいいよ♪」
リアスから逃走し教室にたどり着いた魁斗に待っていたのは一誠の彼女という信じがたい存在だった。シャルの愛称で呼ばれる金髪の少女は中性的な顔立ちとアンバランスな女性的膨らみを持つ。リアス達の様な絶世の美女を知っている魁斗を持ってしてもシャルは誰もが振り向く美少女と言っても過言では無い。一度微笑めば同性すらそのアメジストの様な瞳に引き込まれ目を離せなくなるだろう。到底一誠につり合う相手ではない。
「……ああ、また美人局か。お疲れ様です?」
「シャル達は夕麻ちゃんとは違ぇよ!」
過去の前例もあるが視界の隅にいる一誠が別格の成長を遂げていた故の反応だ。その実力は明らかにコカビエルを超えている。一勢力の幹部級の実力があれば美人局の一人や二人来るものだ。魁斗は短期間でここまで伸びるとかチートか?いやこいつ主人公だったわと内心毒付いた。人間は自分の事は棚に上げる物である。
「達て……じゃあそのエビデンスは?」
「毎晩ベットの上で確かめてるぜ!」
「もうっ!そういうのは夜になってから、ね♡」
蠱惑的な声を耳元で聞かされた一誠の顔はこれでもかと言う程崩れていた。視線は明後日を向き、鼻息は荒く、口内からヨダレが落ちる。自身と同じ顔でそんな表情をされた魁斗は心底嫌そうな顔をするのも致し方あるまい。
「ちっくしょ〜!何で一誠までこんなにモテるんだよ〜!」
「あんなにいるなら1人くらい俺に惚れてもいいじゃんかー!」
チンパンジー達が僻み根性を発揮しているのはいつもの事だが今回ばかりは周りの生徒達も内心で同意していた。魁斗は学力は上の下、運動に関しては(加減して)部活動生徒並みである。顔も悪くない、何なら恵まれている部類だ。兄というデバフが無ければモテる事に疑問はない。
「ハゲとメガネ置き風情が理由もなくモテるとか夢見すぎでは?」
「ハゲじゃねぇ!坊主だ!」
「メガネ
逆に一誠は学力も運動も並で日頃の行いは言わずもがな、モテる要素は顔くらいのものだろう。それが急にハーレムを築いているのだから驚くしかない。ダース単位の美少女が転校生として来た事への疑問は暗示で誤魔化せる、だがその転校生を根こそぎ持っていった一誠への顰蹙は消えなかった。
「やっぱ顔か〜?男は顔が全てだってのか?!」
「クソッ!双子で掛け算される奴らは格が違うぜ!」
「かけ……え?なんて?」
「おい、ハゲメガネ。書いてるバカが誰か教えろ」
「「フュージョンされてるッ?!」」
下手人はチャランポランな兄とオラオラ系の弟の絡みは王道な物である!表紙だけで判断するのは被害妄想!嘘だと思うなら原稿を読み込んだ上で反論しろ!そして感想を下さい!あわよくば目覚めて!と主張する
「───見つけたわよ魁斗!」
「ゲェッ!もう見つかっtブフォ!!!!」
声の方向を向いた魁斗は盛大に吹き出した。なお魁斗はマシな方で周囲の生徒の中には鼻から大量の鉄分を放出している者だっている。バスタオル一枚のみを羽織ったリアスとはそれだけ凶悪な存在だった。バスト99!ウエスト58!ヒップ90!成長期の暴力が布切れ一枚の下にある。濡れたタオルの下にはっきりと感じ取れる凹凸とシャワー後特有の艷やかな柔肌、たなびく紅の長髪が相まって学生とは思えない色気を漂わせていた。溢れ出る液体を気にせず視線を逸らさない生徒が多発するのも無理はない。
「リアス?!人前でなんつー格好してんだ!!さっさと服を着ろ!!!」
「私の体に恥る所なんて一つとしてないわ!!!」
「その態度を恥じてくれ!!!」『ジジル』
ポンッという音と共にリアスが煙に包まれる。煙が晴れるとリアスはタオル姿からいつもの学生服に戻っていた。ついでに天国の様な光景を形に残そうと構えられていたスマホやカメラの破損が同時多発的に発生したが不思議な事()もあるものである。
「なるほど、つまり初めては学生服が良いって事ね♡」
「ちゃうわいおバカ!!!」
悲劇は終わらず地獄の釜の底はまだまだ見通せない。リアスは周りの事など視界に入っていないかの様に魁斗へ求愛行動を続けた。リアスに告白し玉砕していった男は数知れず、女ですら両の手に収まらない。その場にいた敗北者達は勝者の証である求愛を拒む魁斗を前に血の涙を流し嘆きの重奏を紡ぎ出した。
「う、嘘だ、あのリアス先輩が?!」
「イヤァ!!!リアスお姉様が汚される!!!」
「これは夢だ、早く起きないと」
「最低最悪の気分なのに心臓の高鳴りが止まらないよぉ!」
「レティシアちゃんを口説くチャンスでは?」
「結婚するのか?俺以外の奴と?」
「魁斗きゅんがノンケな訳がない!」
「後で感想だけでも教えて!感触とか!」
「喧しいぞアホ供!全員黙ってろ!」
その阿鼻叫喚の地獄絵図は何もかんも面倒臭くなった魁斗によって沈静化された。この3分にも満たない時間の記憶処理は人体の悪影響はない、悲しい思い出も忘れてみんなハッピーだ。後日またリアスの熱愛報道からの脳破壊が繰り返されるがコラテラルダメージに過ぎない。
「リアスを回収しに来ました」
「ああ、お疲れ様です。もう大丈夫っぽいので後はお願いします」
「あぁん♡私を縛ってどうするつもりなの♡」
「
魁斗はガチガチに縛り上げ蓑虫にしたリアスは朱乃に引き渡した。朱乃からどうやったらこうなるんだ?という視線をぶつけられたがスルーする。正直言って一杯一杯だった、リビドーやら羞恥心やらが雪崩の様に押し寄せて処理し切れていないのである。リアスに関してはもう
「リアス先輩とあんなプレイをするなんて……羨ましくなくはないけど問題ないぜ!俺にはシャル達がいるからな!シャル!俺もああいうプレイしたい!」
「イッセーが望むなら喜んで♡」
「プレイじゃねぇ!!!」
口ではそう言おうと内心では否定出来なかったらしい。
◇
「───報告は以上です」
「…………
「一言一句間違ってません!」
シャルは上司に対して身の潔白を主張した。自分でも信じられない様な状況だが一誠もしっかり認識している。シャルは兎も角として堕天使幹部クラスの一誠すら騙す暗示はそう容易く使えるものではない。態々この一件の為に大規模な魔法陣でも用意するアホでも居なければ現実である。
「……まあ、リアス様は利発だが若く経験も浅い。人間を誑かすにも加減を間違える事もあるだろう。特に双子の兄を見た後ではな」
(アレが演技とは到底思えないけどなぁ)
シャルはその印象を説明する気は毛頭なかった。それは間者の類として主観的な情報を排除する……等と言った真面目な理由ではない。
「人間風情がッ!多少力を持った程度でリアス様からの関心を得よって!」
目の前の上司がリアスに対して
「しかもだ!リアス様直々に向けられた好意を無下にするなどッ!演技とはいえ万死に値する!リアス様に相応しいのは私の様な高貴な血統を持った悪魔なのだ!」
「ええ、貴方様の様な方こそリアス様に相応しい!」
(よしんばそうでも
中級・下級悪魔にとっておべっかは必須のスキルに当たる、特に美人局をやらされる下っ端なら尚更だ。悪魔の力の格差は激しい、命が惜しければ内心腸が煮えくりかえって悪態が止まらずとも笑顔を絶やさずにYESマンにならねばならないのである。
「フェニックスの青瓢箪との婚約を破棄させた事は褒めてやる!だが、リアス様に近寄る───」
(あーだっる、コイツ話が長いんだよなぁ……それにしても随分と聞いてた話と違うよねぇ)
罵詈雑言の嵐を聞き流しつつシャルは情報の整理を始める。上から下ろされていた情報では兵藤魁斗はリアス達にいい様に使われる人間に過ぎなかった。だが、実際の所そんな様子は欠片もない。リアスの誘惑に負けず性欲を理性で抑え込む常識的な倫理観を持つありふれた人間と言える。生死を彷徨う様な目に合ってもそのタガが外れない屈強な精神を持つという枕詞が付いていなければだが。
(恵まれた才能、血統、親族、眷属etc、そこまで持ってて運が尽きないなんて羨ましい話だ。是非とも分けて欲しいものだね)
リアスの万分の一でも運があればシャルは極々普通の生活を送っていただろう。比較する事すら烏滸がましい格差を前に嫉妬よりも先にため息が出る程だ。唯一
(
シャルの推察は凡そ正しい、シャルに限らず助けを求められて拒む可能性は限りなく低いだろう。美人局をやっている事がネックだが無理矢理やらされていたとでも泣きつけば話ぐらいは聞く、仮に裏を取られようと無理矢理な事は事実だと分かるので問題ない。確実に政治的な
(ま、もう少し様子見だね。男なんていつ地金が出るか何て分からない。乗り換えはそう何度も出来ないしね)
尤もそれは神の視点を持っていればの話、シャルにとって魁斗は自身をどうとでも出来る圧倒的な強者の1人に過ぎない、内面も分からないまま飛び込むのはリスキーだ。一誠が(悪魔基準で)優良物件なのもあってすぐに動き出す程に切迫している訳でもない。シャルにとって様子見がベターな選択だった。
(イッセーが想定以下だったなぁ。力はあるんだけどねぇ)
一方でシャルは一誠のハーレムの一人であり続けるつもりはない。一誠の力も伸びしろも認めた上で先がないと判断したからだ。匙との模擬戦で敗北したのはいい、アレはどう考えても相手の神器が強力過ぎただけなのだから。素人目にも総合的なスペックでは一誠が圧倒していたのは分かっている。シャルが憂慮しているのは内面的な問題だ。
(アレは
一誠には芯となるもの、有り体に言えば信念の類が感じられないのだ。それが必ずしも悪いという訳ではない、変に信念やら政治的思想を持っていれば不利に働く事もあるだろう。だが、一誠には後ろ盾がない。その上実力を担保しているのは神滅具である赤龍帝の籠手である。
(神器は譲渡が出来る様になった、それは神器が個人の資質ではなく
強力な神滅具も使い手が弱ければ意味がない。譲渡、いや取り外しが可能になってしまえばより強い者に渡そうとなるのは当然の事だ。一誠はまだ実力を示し続けているがそれが勝利に結びつくかは別問題、庇ってくれる後ろ盾もない状態では1ミスが致命傷になり得る。一誠の迂闊さを近くで見ていたシャルにとってその未来は限りなく絶対に近い未来だった。
「───サーゼクス様の博愛主義に影響を受け過ぎなのだ。大体───」
(うわっ、政権批判までしだしたよ。)
長考している間も続いていた上司の愚痴は終わる気配がない。酷い時は日が変わるまで続く物に付き合ってもいい事は何一つないと、シャルは愚痴の合間で気分を害さないだろうタイミングを見計らった。
「───様、態々自室まで来てくださったという事は重要な話があったのでは?」
無駄話を終わらせる為の質問だが実際疑問に思っていた事ではある。定期報告など直接聞き取る必要はない。何かしら追加任務でも来たのかと辟易とした感情を内心に秘めてそう聞いた。
「───ああ、そうだったな。欠陥品、いつもの
「………………………はい?」
お勤め、シャルはその隠語の意味は理解している。これまで幾度もなく繰り返してきたし、今後も続く周りから押し付けられた忌々しい事柄だ。だが、余りにもタイミングがおかしい。少なくとも美人局をしている中でする事ではなかった。
「あの、今私は任務中でして……万が一
その先を話す前にシャルの体は宙に浮いた。反応もできず、受け身もできず、壁に叩きつけられる。前後不覚の状態でも何が起こったかは経験則で分かった。目の前の上司に殴り飛ばされたのだ。或いは蹴り飛ばされたのかもしれないがそう変わるまい。
「貴様の無能を俺に押し付けるな。胎で悪魔の未来に貢献する事だけが貴様の生きる価値だろうが」
「がぁッ!!」
蹲るシャルに更なる追い討ちが入り再度宙に浮く、そのままベットにうつ伏せに叩きつけられた。運ぶ事すら面倒と思う者に相手を労わる心を求めるなど無駄な事、起き上がろうとするシャルは頭を押さえつけられ、
「全くもって憂鬱だ、欠陥を受け継ぐかもしれない子供が不憫で仕方ない」
そう宣う上司の顔はシャルからは見て取れない……だが、憂鬱な表情などしていない事だけは確信できた。
「───クソがよ」
数時間後、夜は明け朝日が昇る時間帯、シャルは嫌悪感に満たされていた。一誠の甘っちょろい物を下回る最悪な時間が悪夢で無かった事は五感のうち触覚に嗅覚、視覚、味覚が教えている。シャワーをいくら浴びても汚れが身体にこびりついた様な錯覚を拭う事が出来ない。
「負けないぞ、僕は負けない」
嫌悪感に挫けない様自らを励ます少女の本名はシャルロット・
「───僕は幸せになる。
その思いに間違いはなく折れそうな心を支えてきた。だが、同時に日々心を歪ませてシャルの中で幸せのハードルは上がり続けている。既に
初代バアル「人口(悪魔口?)対策の為の苦渋の決断です。皆さんにも私の苦しみを理解して欲しい」
為政者は時に苦渋の決断でも下さなければいけないので大変ですね。どの点が苦渋の決断だったか?HAHAHA!
一誠ハーレムのネームドはシャルだけの予定、シャルみたいな妾の子キャラっていいよね。腹黒さと反比例する綺麗な夢があるとなお良し。なお、IS未視聴のやる夫スレ知識で書いてる模様。
次回もお楽しみに。
魔法紹介
ジジル
ケーキ等の小物を無から生み出す雑にチートな魔法。部屋の飾り付けを変える上位互換らしき魔法もあるが十分有用である。