───フフフ、元気に生まれるのですよ。
悪魔に取って子宝に恵まれる以上の幸運はない。それが魔王に訪れたなら尚の事である。四大魔王の一角、レヴィアタンが子宝に恵まれた事を冥界全土が祝っていた。偉大な血を引いた子は悪魔に更なる繁栄を齎すだろうと。
───これが……こんなものが私の子だと?
現実はそんな希望を呆気なく打ち砕いた。死産でもなく、異形児でもない、唯々生まれた赤子は弱かったのである。魔王の胎から生まれたとは思えぬ程弱々しい、そこらの上級悪魔程の素質すら感じられない赤子だった。
───我が子を攫った愚者を見つけ出すのです!
直近生まれていたルシファーの子は魔王の血統に相応しいどころか超越した逸材であった故にその絶望はより深い。必ずしも子が親の素質を受け継ぐとは限らないとはいえ格差が大き過ぎる。現実を受け入れられずに錯乱するのも仕方のない事だった。
───鍛え上げましょう、素質はある……ある筈なのだ。
だが魔王に、悪魔を導く者にそう長く現実逃避していられる余裕はない。今は弱くとも将来的に魔王に相応しい力を得ていれば良いと心を切り替えた。悪魔の寿命は一万年、自身の寿命もまだまだ残っている。千年でも二千年でも魔王としてあろうと。
───何故……何故この程度の事も出来ないのです!
そんな覚悟も百年程度でヒビが入った。時間経過による成長では想像以下の力しか手に入らず、魔王が求める水準の鍛錬に体が耐えられない。冥界中から指導者を探しても高い能力を更に引き上げる事を得意とする者しかいなかった。苦渋の決断で招集した人間は実力を数段飛ばして引き上げる優秀さを発揮したがその程度では到底足りない。我が子にこれっぽっちも素質が無かったのだと認めるしかなかった。
───もういい、もういいのですよ。
更に百年たった頃には踏ん切りが付いていた。幸か不幸か同時期に生まれた魔王の子供がルシファーを除いて貧弱な者しかいなかったのである。恵まれなかったのは自分だけではないと分かれば言い訳もつく。魔王である自身を目指す健気な我が子がこれ以上傷つく姿を見たくないという親心が魔王の矜持を上回ったのである。
───待ってお母様!私はまだやれます!やります!
とは言えその愛が伝わるとは限らない。当人にとって過酷な鍛錬の日々は全て無駄だったと、後を継がせないと宣告されたのだ。いくら優しく抱擁されようが愛してると囁かれようが絶望は拭えない。寧ろその奥底にあった失望という鈍い輝きだけが目に翳りついていた。
───必ず、必ず私は魔王として君臨してみせる!
母である魔王の死も、クーデターでありながら丁寧に命を保証された屈辱も目の曇りを晴らす事はない。力も頭脳も全く足りない分不相応な野望こそがカテレア・レヴィアタンの全てだった。
◇
『アーハッハハッハ!!やってやった!やってやったわ!自身の力で朽ちる、人間風情にはお似合いな最後ね!』
渾身の一撃が跳ね返されるという事態は極まった強者でもそう易々と反応出来る物ではない。まして事前情報すらなく経験の少ないニュービーなら尚更だ。魁斗は跳ね返ってきた槍を迎撃する事も出来ず咄嗟に盾を構えたのを最後に砂埃に包まれる。その破壊力は龍王クラスとして申し分なく、反射したファリーナの厄介さを物語っていた。
『そう!魔王として最も重要なのは多くを率いる統率力!腕っ節だけの偽物共よりも私の方が優れているのよ!』
戯言を吐きながらカテレアは魁斗の死、或いは瀕死を確信を持って歓喜した。この世界において戦う者は攻撃偏重になりがちだからだろう。一部の例外を除けば自身の必殺技を耐えられる者はいない。低脳で浅はかではあるが理屈無く勝ち誇っている訳では無かった。
「◾️◾️◾️◾️◾️◾️」
『……チッ、たった一度で朽ち果てるとは。まあ、良いでしょう。次までに改良させれば良いだけの事だ』
内蔵していた魔力を使い果たし朽ちていくファリーナを見ながらカテレアはそうぼやく、多少知能のある方なら分かるが勿論そんな訳はない。技術的に可能なのと量産出来るかは別問題だ。下からの意見を汲み上げ考えを改めるなら問題ないが望みは薄いだろう。
『さて、肉片ぐらいは残っているでしょうか?精々無様な姿を晒し我が無聊を慰めなさい』
真なる愚者は自身の愚かさを理解する事も出来ない。失敗に自身の落ち度を認めず、成功は全て自分の手柄だと妄信する。そんな思考ルーチンは権力や幸運に恵まれようとも必ず破綻が繰り返されるのは誰にだって分かるだろう。
「───油断、いやリソースの振り分けミスだな。横槍を気にし過ぎて肝心な目の前の相手への警戒が疎かになってた」
カテレアにとっての今日もまたその破綻がくる日だった。砂埃が晴れた先で魁斗は健在、いやそも傷らしい傷もなくそこに立っている。多少疲れた声色であるがそんな物はカテレアの慰めにはならない。
「バ、バカなッ!たかが人間が龍王クラスの攻撃に耐えられる筈がない!貴様ッ!一体何をした!!」
「手品の種を明かす程仲良くなった覚えはない」「ピポポ」
その場にいたとして何か分かった訳では無いだろうが通信越しで限られた情報しか得られない事はよりカテレアの恐怖を掻き立てる。激情に任せて誅罰を与えようとした相手が想像以上の化け物だったのだ。その報復が如何なる物になるかと背筋を凍らせたのである。
『ッ!まだです!戦力は幾らでもあるッ!貴様が死ぬまで───』
その恐怖を取り除こうと新たな戦力を投入しようとした瞬間、カテレアの
◇
555:名無しの転生者
唐突なガチャ切りで草
556:名無しの転生者
通信機蹴り飛ばしちゃったのかな?
557:名無しの転生者
掛け直してこない辺り部下に止められたんでない?
これ以上戦力を浪費するのは価値薄いし恥晒すだけじゃん
558:名無しの転生者
恥はもう手遅れじゃないかw
559:名無しの転生者
例え赤点でも0と1は違うんやで
560:名無しの転生者
マイナスまでいってそうなんだよなぁ
561:実況
「ファルビウムの魔法……いや、正確にはグラシャラボラス家の魔法か。使えるのは兎も角として龍王クラスの攻撃を反射などファルビウム以外に出来るだろうか?」
「オリジナルに色々と混ぜた単発式の紛いもんだがな。随分と彼方此方で蒐集してたらしい……こりゃあ思った以上に深刻だぜ。多方面に喧嘩を売ってやがる」
「最早神話同士の戦争などしていい時代では無いというのに。古い価値観に囚われる者達は厄介ですね」
562:名無しの転生者
反射って白龍皇の技ちゃうん?
563:名無しの転生者
実はファルビウムも使えるんすよ
564:名無しの転生者
ネット民の記憶力は貧弱なんや
ネームドモブの技とか覚えてられるか
565:名無しの転生者
最強シスコン、便利枠発明家、ウワキツシスコン
他の魔王はキャラが濃過ぎるのもある
566:名無しの転生者
なんでシスコンで被るんですかね?
567:名無しの転生者
ハーレムラノベ故の犠牲の犠牲じゃ
女率高いからブラコンよりシスコンが増える
568:名無しの転生者
つーか天使長がブーメラン発言してない?
自分達の繁栄は周りを押し除けた結果でしょ?
569:名無しの転生者
だって俺は嫌な思いしてないし
(償う気はないけど)これからは仲良くしようぜ!
570:名無しの転生者
イジメっ子は覚えてない理論
イジメられっ子側は以下略
571:名無しの転生者
悪魔以外の現トップは当事者の筈なんですがねぇ
堕天使は規模小さい分被害も小さいかもだが
572:名無しの転生者
正しい教えを広める為の致し方ない犠牲です
所で悪魔や堕天使と仲良くしていいんすか?
573:名無しの転生者
憎しみを乗り越え手を取るのが間違ってるとでも?
あっ、勿論周りにも同じ事求めるでやんす
574:名無しの転生者
憎しみを振り撒く側だったよね?
これは正しくどのツラフレンズ
575:実況
「ふむ、これで打ち止めかな?なら次は俺の番だな」
「待て待て待てヴァーリ!想定外の事が多過ぎる。一旦情報を集めるまで待て!」
「その情報を集めるのが俺の役割だろう?」
576:名無しの転生者
ん?なんだなんだ?
577:名無しの転生者
ヴァーリまで意味深な事言い出したな
578:名無しの転生者
情報収集をヴァーリが?
どう考えてもミスキャストじゃね?
579:名無しの転生者
脳内の記憶を半減で回収するじゃない?
580:名無しの転生者
言ったもん勝ちなのやめーや
原作でもそんな事してなかったろ
581:名無しの転生者
問答無用のエネルギー半減も大概クソ技だし
空間がいけるなら記憶もいけるかもよ
582:名無しの転生者
10秒毎に記憶を半分奪う新技かぁ
エネルギー半減よりヤバない?
583:名無しの転生者
戦闘力は半減では済まないと思われる
歩き方とか盗られたらガメオベラ
584:名無しの転生者
出来ても性格的に戦闘では使わんだろう、タブンネ
585:実況
「と言う訳で戦闘狂的なサムシングで向こうについてスパイやるからよろしく」
「どう言う訳で???つーか初手からスパイ公言する奴が役に立つのか???」
「あの大戦力を見逃した諜報担当よりは上手くやるさ」
586:名無しの転生者
草
587:名無しの転生者
お前の様なスパイがいるかよw
588:名無しの転生者
こんなデータ知らな……いや原作通りか?
589:名無しの転生者
ほうそのエビデンスは?
590:名無しの転生者
スパイかは兎も角利敵行為は大量ですね
591:名無しの転生者
敵対行動の方が少ないまである
592:名無しの転生者
一誠が仲間を失わなかったのは割とヴァーリのおかげじゃないか?!
593:名無しの転生者
それはそう
594:名無しの転生者
全てなら異論ありだが割とならまあはい
595:名無しの転生者
ヴァーリいないと多分リアス眷属が半壊する
596:名無しの転生者
でもコイツはオッパイを半減しようとしてたよ?
何度も助けられたから許すが
597:名無しの転生者
おはイッセー
598:実況
「とはいえ何もせずに寝返ると疑われるし多少暴れないといけないな。一先ず赤龍帝の可愛がり、九割九部殺しは確定としてもう少しやるか」
「九割九部殺しが確定ッ?!というか死ぬ!命一部とか峠を転げ落ちてるじゃねぇか?!!」
「覚醒すればいいだろう?俺の宿敵となるならそれくらいはしてもらわないとな」
599:名無しの転生者
www
600:名無しの転生者
イッセー死す!デュエルスタンバイ!
601:名無しの転生者
いい奴……とは言い切れんがおかしい奴を無くしたな
602:名無しの転生者
原作でも寿命99%消し飛ぶから誤差だよ誤差
603:名無しの転生者
というかヴァーリそんな加減出来る?
勢い余って殺さない?
604:名無しの転生者
でもイッセーだよ?
605:名無しの転生者
その疑問はどういう意味合い?
606:名無しの転生者
1.何とか生き延びる
2.何や感や復活する
3.ヴァーリをTSメス堕ちさせる
607:名無しの転生者
なんかおかしいの混ざってますね
608:名無しの転生者
1と2はまあいいよ
3は原作すらやって無かったよね?
609:名無しの転生者
木場ならワンチャン以上あると思われる
610:名無しの転生者
友情を全て恋愛にカウントするのは悪いオタク癖
看病の為にTSしてナース服着てくれるのは友情だろ?
611:名無しの転生者
友情の定義が壊れちゃ〜う
612:名無しの転生者
友情は変質済みだと思われるが
613:名無しの転生者
襲われても受け入れる奴やん
614:名無しの転生者
今回だけだよって言うんでしょ?
そして今回を何度も繰り返すんだ
615:名無しの転生者
このホモ共め
616:名無しの転生者
TSとホモは違うって言ってるだろ!
617:実況
「ハハハ、ウケル。骨は拾って原子一つ残らない様に完全消滅させてやるよ」
「だが先に戦うのはお前だ、兵藤魁斗。十二割で行くぞ」
「それはもしかして殺し方の話だったりする???」
618:名無しの転生者
ウィード生えるw
619:名無しの転生者
唐突な飛び火がイッチを襲う!
620:名無しの転生者
人を呪わばってかw
621:名無しの転生者
つーか十割超えてるですけどw
二割どこから来たwww
622:名無しの転生者
波動砲だって120%いくんだよ?
命ぐらい何よ!
623:名無しの転生者
唐突なヴァーリリアリティショック!
……普通に過去最大の命の危機じゃんね
624:名無しの転生者
今までも主人公の活躍を奪ってきたろ?
負けイベの消化もやらなきゃ釣り合いとれんて
625:名無しの転生者
ざんねん!イッチの冒険はここで終わってしまった!
◇
「待て待て待て待て待て!!!!俺とお前は今日が初対面だろうが!!因縁なんぞ欠片も無いぞ!!!」
「いいや、俺とお前には決して譲る事の出来ない因縁がある。今さっき思い至った」
「今さっきの思いつきが因縁なんて上等なもんな訳ねぇだろうがぁ!!!」
圧倒的な理不尽を前に魁斗は全力でキレた。命懸けの戦いに身を投じる以上それなりの覚悟はあったが思いつきで死にたいとは思っていない。ましてそれが二天龍の二割増しの物であると言われて沸点を飛び越えていた。
「まあ、思いつき抜きでもお前と戦う理由はある。想定より高い戦闘力で昂っているし、最後に一瞬現れた気配の正体も気になる。後、この場で殺しても一番政治的な問題にならないから伸び伸びと戦えるな」
「戦う理由が完全にお前の欲求じゃねぇか!!!」
「……だが、それらがどうでも良くなる事がある。俺は今無性にお前を殺したいぞ、兵藤魁斗!!!」
「ッ!!!」
だが人の怒り如きに龍が阿る訳がない。身勝手気ままに自分の意見を押し通すのだ。溢れ出す怒りと殺気を前に魁斗の思考はすっと冷却される。どれだけふざけた理不尽であろうとこの先は動き一つで命に関わる死地だと理解せざるを得なかったからだ。
「……俺の何が気に障ったのかくらい言えや」
「良いだろう、罪も知らずに朽ち果てる等許せないからな。お前、あの槍捌きは曹操から学んだ物だろう?」
「だったらなんだ?」
魁斗は時間稼ぎをしながら体内で魔力を練り上げる。絶望的な状況だが敵地に一人という訳ではない。数秒時間を稼ぐだけでも周りからの横槍が期待出来る……いや三大勢力に期待はしてないが助かる宛てはある。ならば諦める理由はないと心を奮い立たせた。
「俺の女とそんな親密な男を許せる訳無いだろうがッ!!!!俺は会っても即逃げられるのにお前程度の力でそこまで優遇されるだとッ!羨ましい!!!お前を殺してその立場を頂く!!!」
「黙れクソストーカー!!!顔が良けりゃ何でも許されると思うなよ!!!」
でも残念、この世界ってハイスクールD×Dなの。真面目な人が割を食う理不尽で溢れかえってるの。まあ、リアルも似た様な物だからモーマンタイ!頑張って生き残ろう!
オシゴトタノチイタノチイ。
お久しぶりです。ヴァーリファンの人はごめんね……カテレアファン?そんな人存在する訳ないじゃないですか。
次回は執筆当初はラスボス想定だったヴァーリ戦です。クソゲーギミックの半減対策は元から考えてたけど女体化はプロットにありませんでしたw何とか今月中に終わらせたい。
次回もお楽しみに。