魔王を倒したのにウマ娘世界に転生しちゃったカズマさん 作:はははのは
俺の名前は佐藤和真。こっちの世界でも同じ名前になった。自分の名前が変わるっていうのもなんか拒否感があるし、これについてはよかったと思う。
まず転生してから初めに試したのは、スキルが使えるかどうか。
結果だけ言ってしまうとYesだ。スキルは使える。ただ、この幼い体だと魔力量が本当に少ないからほとんど使えないが。
そしてテレポート。これは使ってみようとしたものの、全く使えなかった。別の世界にいると発動できないのだと思う。
……ただ俺の魔力量が少なすぎるだけかもしれないが、発動の兆しすらなかったことを考えると、それも違うのだと思う。
ちなみに使えるスキルは初級魔法とか窃盗スキルぐらいだ。正直あんまり役に立たない。
こうなると俺にできることとか全くないので、エリス様たちがなんとかしてくれるのを待つしかない。
……決してめんどくさいからじゃないよ? ホントダヨ? あいつらのことも心配だしね?
さて、この世界について。エリス様が俺が元居た世界の並行世界と言っていたが、ほとんど同じ世界だと思う。
ただし、決定的に違う部分がある。それは……
「シンボリが先頭に立った! シンボリが先頭に立った! 大歓声だ! 大歓声だ京都レース場! 赤い大輪が薄曇りの京都レース場に大きく咲いた!! 3冠馬8戦8勝! 史上初! 無敗の三冠達成! シンボリルドルフです!」
……この世界には、ウマ娘がいるということだ!
そう、ウマ娘。元の世界で大人気で社会現象まで引き起こしたあのコンテンツ。あの競走馬を美少女化したやつ。
そしてウマ娘がレースを走っている。つまりトレーナーという職業も存在しているのだろう。
そう、トレーナー。担当のウマ娘とキャッキャウフフできる、しかも社会的ステータスや給料も高い、「将来なりたい職業ランキング」で毎年上位に入ってくるやつだ。最高の職業である。今の俺の将来の夢だ。ただ、トレーナーになるにはトレーナー試験というものに合格する必要があり、その試験が東大入試並みに難しい、狭き門だそうだ。
そしてトレーナーが(極めて邪な理由から)将来の夢になってからの俺の行動は早かった。
まずトレーナーになるためには基本的に専門の学校に入って勉強をする必要がある。ただ、俺には転生者という大きなアドバンテージがあるのだ。いくら元ヒキニートとはいえ、中学の勉強範囲くらいはできる。トレーナ試験というものは、一応15歳から受けられるらしいので、中学卒業の年に受けることもできなくはない、らしい。
そこで、小学校に入ってからは市の図書館で毎日のようにトレーナーになるための勉強をしていた。そのせいでクラスで話す相手すらいない悲しきボッチになってしまったのだが。いやそのせいだけじゃないな。間違えて窃盗スキルで女子のパンツ盗んじゃったしなー。
え?わざとだろって?いやいやまさか。小学生のパンツとか興味ねーし?……おいそこロリマって呼ぶのやめろよ!
……小学校での時間もトレーナーの勉強時間にあてていたのでやることがなかったわけではないが、学校で話す相手がいないことはここまで辛いことだったとは。今ならゆんゆんに優しくできるぞ俺。
あと両親なんだけど、毎日図書館に通い詰めているボッチ息子(5歳)を見ても、
「カズ君は自分の夢に向かって頑張れて偉いねえ。私たちはいつでもカズ君のことを応援しているからね。」
といって教材を買ってくれたり、レース映像を見れるようにパソコンまで買ってくれた。優しすぎだろ。こんなに素敵な夫婦の子供がこんな心が汚れ切った邪な考えの転生者でなんか申し訳なくなってくる。マジで。
まあいい、とにかくそれで10年間の努力を示すテストが明日に迫っているのである。正直今までこんなに努力したことなんてなかったし、これでダメだったら……と思うとめちゃくちゃ怖くなってくる。だが、俺の『トレーナーになって年上の担当のウマ娘といい感じになる計画』のためには、ここで頑張るしかない。
試験内容は一次試験が筆記、二次試験が面接その他である。その他ってなんだよ。どんだけ調べても情報が出てこないし。まあ何とかするしかないか。
すべては『トレーナーになって年上の担当ウマ娘といい感じになる計画』のために!
夢に向かって!頑張れカズマ!