魔王を倒したのにウマ娘世界に転生しちゃったカズマさん 作:はははのは
―筆記試験が終了してから1週間がたった。
一次試験の合格者発表は今日の昼の12時だ。俺はすぐに結果を見れるよう、自室のパソコンの前で待機していた。
「はぁー、あと一分か、緊張する、っていうか怖すぎだろ、この時間。」
いや、本当にね?何この時間。ここまで怖いのは初めてだぞ。魔王より怖いわ。
「……あっ、来たっ!結果は……?」
12時になり、ページに更新が入る。
自分の受験番号を入力し、結果を恐る恐る開くと、
「っしゃあ!合格っ!」
どうやら、無事合格できたようだ。正直受かっているかは自信がなかったので、かなり嬉しい。
というかマジでよかった。10年間の頑張りが無駄になったとか言ったら泣くぞ。
ま、まだ二次試験が残っているけど。
そう言えば、二次試験はいつだったのだろうか。
合格通知を下にスクロールしていくと―
「えー、なになに……二次試験の面接・その他の開催日時は、一週間後となっております。時間、場所等お間違いの無いように……」
場所は筆記試験と同じくトレセン学園の中だ。
時間は朝の10時。そこまで早いわけでもないので、前日ホテルに泊まる、なんてこともしなくてよさそうだ。
あと『その他』って何なんだろう。いまだに何もわからない。まさか体力テスト、なんてこともないだろうし。
さて、面接の対策をしなくては。実は面接には重大な問題がある。
どうやらトレーナー試験の面接では、超高性能なセンサー機器によって対象の精神状態等を観測し、嘘をついているか、やる気があるのか、といったことをはかられるらしい。
そして、その観測される内容に『性的興奮をしているか』が含まれているという。要は、レースか何かのウマ娘たちの画像を見せられ、それに対して性的興奮をしているかを見られるという物らしい。なんて恐ろしい物なんだ。
当然これに引っかかったら最後、合格・採用は絶望的だろう。いくらテストの点が良くて、トレーナーの才能があるといっても、相手にするウマ娘は思春期の少女たちだ。そんな奴を担当に任せられるわけがない。
ここで、俺は『トレーナーになって年上の担当ウマ娘といい感じになる計画』を叶えるために試験を受ける。もし見せられたウマ娘が中学生とかのロリガキだった場合余裕で耐えられるが、高校生でお胸とかもおっきかったらもう詰みだ。その時点で終わりである。
そこで!今回俺が使うのは!『淫夢』というサキュバスのスキルだ!
……実はスキルポイント上げの時コッソリとっておいたんだよねー。なに?仲間が大変なとき何をしているんだって?いやいや、スキルポイントだって余っていたらもったいないだろう?やっぱり使ってこそのスキルポイント。そのほうがスキルポイントだって幸せなはずさ。多分。
……まあ、ともかく?試験前夜はこのスキルを自分に使って?翌朝賢者タイムで試験会場にgoだ!
べ、別に自分がいい夢を見たいからじゃねーし?
え?スキルレベルがなんか高いって?
……あっ。
う、うるせぇよ!なんだよ、ただ夢を見てるだけなんだからいいだろ!母さんだって「夢を見ることはいいことだ」って言ってくれたし!
うん。多分こっちの世界に来てからは一番使ってるスキルな気がする。
ま、まあ、とりあえずこの『淫夢』のおかげで超高性能センサーとやらについては大丈夫だと思う。面接の受け答えとかも、何年間もかけて対策してきたし、きっといけるだろう。
やっぱり一番の問題は『その他』だよなぁ。
ま、頑張るしかないか。どうせ一週間後には受けるんだしな。
……面接対策、やるかぁー。
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―トレセン学園、理事長室にて。
「さて、たづなよ。」
「はい、なんですか理事長?」
「ああ。今年は例年よりも多く筆記試験を突破した者がいたな。非常に喜ばしいことである!
……まあ、それでも我々からするともう少し多ければ、とは思うのだが…」
やはり、トレセン学園の人手不足は深刻なもののようである。
「ええ、そうですね。
ですが理事長、筆記試験を合格した方が多くても、二次試験を突破しないと意味がないですからね。
一次試験を合格した方たちには、是非とも頑張ってほしいです。」
「うむ。そうだ、そういえばたづな、最近『トレセン学園の面接では、最新鋭の超高性能センサーを使って受験者の内面をはかる』などといった噂が流れているらしいが、何故だろうか?そんなわけあるまいに。」
どうやらカズマ少年、取り越し苦労だったようである。
面接対策とやらは、ただのお楽しみタイムとなってしまったようだ。
「そうなんですよねぇ。そんなことしていないのに。
……その噂を怖がって受験者数が減っている、なんてこともあったりするのでしょうか?」
「もしそんなことがあれば、こちらとしては大問題だな。
今度正式に学園から発表したほうが良いのではないか?」
「確かにそうですね。それについても検討しておきましょう。」
「了解ッ!……さて、例の彼については……」
ここでカズマ少年が話題に上がったようである。
「はい。どうやら筆記試験は突破したようですね。それもかなり高得点で。」
「どれどれ……おお、上から二番目の点数じゃないか。
ふむ。一番は桐生院葵、か。さすがは桐生院家の跡取り娘だ。大いに期待したいところである。」
「ええ。……少しでも人手不足を解消してくれるとよいのですけど。」
「ああ、少し話がそれてしまったな。彼については、私が面接をするということだったな?」
「はい。それについてはよろしくお願いしますね。……何かある気がするんですよね、彼。
何もなければ良いのですが。
それで……その、理事長、今年も本当にやるんですね?その他……いえ、地獄の健康診断を」
地獄の健康診断。随分と物騒な名前である。
「もちろんだぞ、たづな。というか地獄、とは失礼だな。これからトレーナーになるかもしれない若者たちに対して、トレセン学園に伝わる健康術や整体を行う、といった粋な計らいではないか。一体なぜ地獄、などと呼ばれているのか。……確かに少し痛いかもしれんが。」
「いや、あれは少し痛い、なんてものじゃないですよ。確かに効果があることは認めますけど、あんなのウマ娘の力で体を引き延ばしてるだけじゃ―」
「ま、まあ体に良いことは確かだ。当然、今年も行うぞ。」
「はあ、……あれ、自分の前に受けた人たちの叫び声のせいで、後ろの人たちが怖がってしまうんですよ。」
「ふっふっふ。その点についても、対策済みである!
今回は防音の部屋で行うことになっている!だから大丈夫だ!多分!」
「それだと根本的な解決になっていないんですけどね……」
「さあ!面接結果を楽しみに待とうではないか!」
感想が来ていたことに気づいていなかった大バ鹿者は私です。お許しください。
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