魔王を倒したのにウマ娘世界に転生しちゃったカズマさん   作:はははのは

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後始末

カズマが転生させられてからすぐ、天界にて。

 

「コルセアさん!」

 

「はい……」

 

「あなた、自分が何をしたのか、分かっていますか?」

 

「えっとぉー、間違えて本来生き返らせるはずだった人の魂を、転生させちゃいましたぁ……」

 

はぁ、とため息をつくエリス。

 

「で、でもなんとか記憶を残すことはできました!」

 

「それについては、出来てなかったら手遅れだったんですからね!

全くもう、本当に危なかったですっ!」

 

ほんとにこの子は……、とエリスは思う。

頭が少し、いやかなり悪いのに、天使としての力だけは無駄に高いのだ。

そのせいで、今までも数々の問題を引き起こし、その度に上司であるエリスが尻拭いをしてきたのだが……

 

「……今回ばかりは、あやまって済む話ではありませんからね?」

 

「え?何でですかぁ?見るからに弱っちそうな、明らかに小者っぽい男の人を、間違えて転生させちゃっただけじゃないですか。

確かにあの男の人には申し訳ないですけど、いつもみたいにエリス様の女神パワーでもみ消せるんじゃないですか?」

 

「私がいつも職権乱用しているみたいな言い方はやめてください。

……あのですね、彼はああ見えても魔王を倒して世界を救ったばかりの勇者だったんですよ?

そして魔王と相打ちになってしまったので……」

 

「ちょ、ちょっと待ってください。

彼が勇者、ですか?」

 

「ええ、そうですよ?つまり貴方は、魔王を倒した時の願いによって蘇ろうとしていた勇者の魂を、勝手に転生させてしまった天使、ということになりますね。」

 

「えぇ……彼が勇者……?

あんなに冴えない見た目の彼が?想像と違う……

というか勇者って……ひょっとして私相当まずいんじゃ!?」

 

ようやく事の重大さを理解し始めたコルセアの顔が、どんどん青ざめていく。

まあエリス自身も彼を見て勇者だと思える者はいないと思うのだが。

彼はどう見ても魔王を倒したようなんかには見えないし、コルセアがそう考えてしまったのも仕方がなかったのかもしれない。

もっとも、最初から彼女が話を聞いていれば、こんなことにはならなかったのだとも思うが。

 

「やっと気づきましたか……」

 

「え、えーっと……

わ、私は大丈夫なんですよね、エリス様?」

 

こうやってすぐに自分のことだけを考えるところや、能力は高いのに頭が残念なところなど、アクア先輩と似ているところが多いと思う。私よりも先輩の部下のほうが良かったんじゃ……

いや、二人が一緒になると問題が大きくなって大変なことになるな、絶対。

やっぱりやめたほうがいい。

 

「流石にこれだけのこと……誤って勇者の魂を転生させておいて、何もお咎めが無し、なんてことは無いと思います。

それも含めて今、会議にかけられているところですので。」

 

「え、エリス様ぁ~!何とかして下さい~!」

 

「無理ですね。会議に出席している方たちは、私よりも位が上の方たちですので。

私ではどうにもできませんよ。」

 

「そんなぁ~」

 

「あ、会議の結果を伝えに来たみたいですよ

……どうぞ、入ってきてください」

 

そう言うと、扉から一人の天使が入ってきた。

 

「あ!ロエル~!」

 

「うるさいですよコルセア様。

まったく、なんてことをしでかしたんですか今度は。

まさか勇者の魂を勝手に転生させるなんて……

頭おかしいんじゃないですか?」

 

ロエル、と呼ばれた天使は、コルセアにそう返す。

 

「な、なにー!た、確かに話を聞いてなかったのは悪いと思ってるけど、あんなのどう見ても勇者って感じじゃなかったから!しょうがなかったんだから!」

 

「だとしても、です。そもそも人を見た目で判断するのはダメです。というか勝手に転生とかどうかしてますよ。

それに、仮にも魔王を倒した勇者様なんですから、それなりの見た目なはずですよ、ね、エリス様?」

 

「えーっと、どうでしょうね?

ま、まあ見るからに悪人とか、そういったことは無いですよ?

……勇者に見えるかどうかで言ったら、ちょっと怪しいですけど。」

 

エリスも歯切れが悪いようである。まあ自らの欲望のためにトレーナーになった男なのだから、勇者に見えるわけもなかった。

 

「それほんとに勇者ですか?

……というか間一髪で記憶を残せたと聞きましたが、今何をしているのか、とかこちらに連れ戻すことができるのか、等はどうなっているんですか?」

 

「いえ、なにぶんコルセアが急にやってしまったものですから、全く分かっていない状況です。」

 

「あの、彼の記憶を消えないようにですよね?」

 

そう、ロエルは聞く。

 

「うん、そうだよ?それがどうかしたの?」

 

「それって、どっちがやったんですか?」

 

「え?私だけど?」

 

と、コルセア。

 

「ええ、コルセアさんが転生させたので。その時にやったと言っていました。」

 

エリスもそう肯定する。

 

「どうやってやったんですか?」

 

「えっと、魂は転生する時に精神をまっさらの状態にされちゃうからね。

それから守るために、彼の精神を私の加護で包んであげたよ!」

 

「……じゃあ加護を与えた人間のことはいつでも見ることができる、って知ってますよね?」

 

「「あっ」」

 

……あっ。

 

「コルセア様はともかく、まさかエリス様まで忘れていたんですか!?」

 

「ちょっと!私はともかくってどういうことよ!

……加護なんて普段使わないからしょうがないじゃない!

ですよね、エリス様?」

 

「ま、まあ加護を与えることが稀なうえに、その人を見ることなんてそうそうないですからね。」

 

「……まったく、二人とも、しっかりしてくださいよ。

それでは、このことを上に伝えてきますので」

 

そういって部屋を出ていこうとするロエル。

 

「ふむ。話は聞かせてもらったぞ。」

 

「あっ!創造神様!」

 

創造神。

要は天界で一番偉い神である。

 

「コルセア、彼、勇者カズマの場所は分かるか?」

 

「は、はい、

ただ並行世界ですので、普通の異世界とは違って転移ができません……」

 

「ああ。並行世界への転移は禁止されているからな。」

 

並行世界とは、もしかしたらありえたかもしれない『もしも』の世界である。

時間軸が進んでいる並行世界などは、他の並行世界から見た場合、ほとんど未来の世界のようなものである。

そこから影響を与えることはその世界に重大な問題を引き起こすことがあり、天界の条例で禁止されているのだ。

まあタイムパラドックス的なあれである。

 

「だからな、今回はコルセア。

お前にはあの世界に転生してもらうことになった」

 

「え?」

 

「こちらが彼の魂に接触できるまでの間、彼のサポートをしてきてくれ!」

 

「ちょ、ちょっと待ってください創造神さま!」

 

「なに、並行世界の神々と話はつけてあるし、

天使の加護は使えるようにしてあるから大丈夫だ。

……もちろん帰還の魔法とかは使えないようにしてある状態で、だがな。

健闘を祈るぞ、コルセア」

 

そう言うと、創造神の両手から光が溢れ出して、コルセアを包み込んでいく。

 

「え、流石に急すぎて困るというか!嫌なんですけど!」

 

そう言っているうちにもコルセアの体はどんどん宙に浮かんでいく。

 

「ま、マジのやつだこれ……

嫌ぁー!高貴な天使の私がなんでこんな目にぃ!」

 

「「「自業自得ですね」」」

 

「ねえちょっとひどいって!

ってあっこれもう行っちゃうやつ……」

 

そう言うとコルセアの魂は遥か並行世界へと旅立っていったのであった。

 

 

 




次回!コルセアちゃん追放!
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