魔王を倒したのにウマ娘世界に転生しちゃったカズマさん 作:はははのは
天使転生
私は今、並行世界へと飛んでいる。魂だけの状態で。
「なんで私がこんな目にぃ~!」
そう、復活させる予定だった勇者の魂を間違えて転生させてしまい、その責任を取るために勇者の魂を呼び戻せるまで彼のサポートをしろと。
天使の力をほとんど剥奪された状態で、よ?
どうしろと。使える力は、加護の力と、ちょっとした奇跡の力だけなんですけど?
加護の力と言っても、転生させる直前にギリギリ勇者の魂につけられたのだけだし。
こんな力では宝くじで1000円当てるくらいしかできないんじゃないかしら。
……ほんとにどうしろっていうのよ。
「そりゃ、私も悪かったかもしれないけど、たった人間一人よ!?
いくら勇者って言っても、これは流石にひどすぎると思うわ!」
いくらなんでも一回のやらかしでこれはやりすぎだと思う。
いや、あと一回、いや二回、……とにかく何回かは失敗した記憶があるけど。
創造神様は怒りすぎなのよ!それにエリス様もかばってくれたっていいじゃない!
私は優秀な天使なんだから!
あ、光が見えてきた。そろそろ到着かしら。
「あの勇者のやつ、覚えてなさいよ!今度会ったら絶対許さないんだからね!」
そして私の魂は無事にあの勇者が転生した並行世界に辿り着いて……
( ᐛ )パァ
……ん?なんか今変な音がしなかった?
パァ、みたいな。まあ気のせいでしょ。それより……
「おめでとうございます!元気なウマ娘のお子さんですよ!」
私は赤ちゃんになっていた!あとウマ娘って何だろう?ま、いっか!
そんなことより早く勇者を探さないと……あれ?勇者って誰だろう?何で探さなきゃいけないんだっけ?
ていうか眠いな……とりあえず寝よう、睡眠は大事だからね!
「あ、あれ?泣かない!大変よ!このままじゃ……」
ああそうか、生まれたばかりの赤ちゃんは息をするために泣くんだっけ。
それじゃあ……
「お、おぎゃー」
なんか棒読みになっちゃった。まあいいか、おやすみなさい。
「あ、泣いたわ!でもなんか声が小さいわね?息はしているみたいだけど……
って寝てるわね。大丈夫かしら。」
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私は、ウマ娘として生まれたらしい。
ウマ娘とは、人間より遥かに優れた体を持ち、別の世界の魂や思いを受け継ぐ、とされている存在。
ウマ娘しか出ることのできないレース――トゥインクルシリーズ、というものもあり、ウマ娘たちが青春をかけてライバルたちと競い合っている。
そしてトゥインクルシリーズに出るウマ娘たちは、日本ウマ娘トレーニングセンター学園、略してトレセン学園という名の学園に通っている。
私はなぜか、このトレセン学園に行かなければならない、そういう強い思いが昔からあった。なんでかは分かんないけど、どこか別のところから流れ込んでくるような思い。
幸い私はほかのウマ娘の子たちより足が速かったし、トレセン学園に入学することができた。
今、私はトレセン学園の正門にいる。今日は入学式の日だ。
入学式の会場に行くと、たくさんウマ娘の子たちがいた。みんな速そう。ほんとに大丈夫かな、と不安になってくる。
でも私は地元では一番速かったし、大丈夫!
あ、誰かがステージに来たみたい。あれは……生徒会長のシンボリルドルフさんだ!
シンボリルドルフさんは、トゥインクルシリーズのレースの中でも最も格が高いとされているG1レースを7回も勝った、7冠ウマ娘で、とにかくすごい人らしい。
「新入生の皆、私はこのトレセン学園で生徒会長を務めるシンボリルドルフだ。
今年も才華爛発なウマ娘たちが入学してきてくれたこと、生徒会長として嬉しく思う。
ここに入ってきたからには、意気衝天の如く、様々な夢や野望、目標等へのやる気に満ち溢れている者も多いことだろう。
ここトレセン学園では、そのような目標を叶えるためのものがそろっている。
結果を出せるかどうかは君達次第――
1人でも多くの者が、各々の抱える夢を叶えられるよう願っているよ。
それでは、私からは以上だ。」
難しい単語とかも多くてあんまりわからなかったけど、すごかった!
流石は生徒会長で7冠ウマ娘ってことなのかな?
「うむ。ご苦労だった、シンボリルドルフ。
では、これから新入生の皆にはそれぞれの教室に移動してもらう。
解散ッ!」
理事長さんが解散のあいさつをした。
あの理事長さんってとっても小さくって私よりも年下に見えるけど、言っていることとかも大人びているんだよね。
人は見かけによらないってやつかな。
それより、自分の教室に移動しなきゃ。
確かクラスは……
「おいスカーレット!お前なんでこんな日に限って寝坊すんだよ!」
「仕方ないじゃない!アタシだって寝坊したくてしたわけじゃないわよ!
スマホの充電が切れてて目覚ましが鳴らなかったんだから!」
「スマホくらい充電しとけっつの!
優等生サマなんだから俺のと起こしてくれたっていいじゃねえか!
このままじゃ新学期初日から遅刻しちまうって!」
「うるっさいわね!そんなしゃべってる暇があったらもっと速く走りなさいよ!」
「そんなことくらい分かってるって……ってうおっ!」
「キャっ!」
いてて、ぶつかっちゃった。寮のほうから来たみたいだし、先輩かな?
誤らないと。
「あ、あの先輩ですよね?ぼーっとしちゃってたみたいで、ごめんなさい!」
「い、いや俺のほうこそ周りを見てなくって、ワリィ!
それより大丈夫か、ほら。」
そう言って手を差し出してくれる先輩。その姿はとても……
「カッコイイ……」
「え?今なんて?」
「ん?あ、す、すみません!変ですよね急に!
それじゃあ!」
き、緊張して変なこと言っちゃった。
「いやいいって。それよりさっきなんて言った?」
「え?えっと……カッコイイって……」
「お!やっぱり俺はカッコイイよなー!
ほらスカーレット!新入生の子もこう言ってるぞ!」
「うるさいわよ、この子困っちゃってるじゃない。
ていうか急がないとほんとに遅刻しちゃうわよ!」
「あ、いっけね!それじゃあ!」
「あ、あの!お名前なんていうんですか!」
「ん、俺の名前か?
俺はウオッカっていうんだ!お前は?」
「あ、私レッドディザイアって言います!」
「分かった、覚えておくぜ!じゃあな!」
「ちょ、ちょっとウオッカ、急ぎなさいって!」
ウオッカ先輩か……かっこよかったな。
また会えるといいな……
( ᐛ )パァは天使パワーである程度防いだものの、力が弱まっていたせいで完全に防ぎきれずに、ちょっとおばかになっちゃいました。