GAME OVER
「また死んだ」
目の前のテレビにはゲームオーバーの文字が映し出された。
友達から勧められて始めたて始めたこのゲーム、タイトルは『メタルギアソリッド』というらしいがなかなか面白いな。
俺のやるゲームのジャンルがほとんどRPGとSTGだったからか、とても新鮮に感じる。
ゲームをセーブしたところから再びやり始めると、下の階に居る母さんから声をかけられる。
「優斗、ちょっとお使い使いやってきて」
お使いか...まあ、ちょうどゲームも行き詰っていたところだし気分転換に外に出てみるのもいいかもな。
ついでに本屋によって攻略本を買ってこよう。
「はい、これが買うものを書いたメモね」
そのメモには、カレーで使う食材が書かれていた。
母さんの作るカレーはうまいから今から楽しみだったりするが、それを言うとニヤニヤされるので言わないようにしている。
「あ、それと今日は父さんが帰ってくるから多めに買ってきてね」
マジか!
あの人が帰ってくるのか!
俺の親父は自衛隊に所属しており、隊の中でも有数の鬼教官と呼ばれるほど怖い。
だが、家に帰ってくると、母さんには頭が上がらないその姿を子供のころから見ているので、そんな風に呼ばれているとは思えないが。
まあ、なんだかんだ言って俺は親父のことは尊敬している。将来の夢は親父みたいな自衛官になることだし。そんなこと考えてないでそろそろ行きますか。
親父は相当の大食いだから、ちょと材料を多めに買っていったほうがいいかもしれない。あと福神漬けも大量に買ってこないと...。
「わかった、ちょっと行ってくる」
ちゃんと財布とエコバッグを持って近所のスーパーに向う。
エコバッグは一つで十分だろう。
そういえば、前に財布を忘れて一回家に取りに戻ったことがあったな...懐かしい。
あの時は一度買ったものを戻したりして大変だった。
攻略本はスーパーの帰り道の途中にある本屋で買っていこう、今日中には何としてもクリアして友達に自慢してやる。
そんなことを思っているうちにスーパーの周辺に着いてしまった。
俺はスーパーで買い物を終え、帰宅していた。
だが、その両手には大量の買い物袋とエコバッグが握られている。
結局エコバッグ一つじゃ足りなかったな。あんまり買い物袋は使いたくないが、今回はばっかりはしょうがないということにしよう。
「ちょっと買いすぎたかな?」
買い物を終えた俺はそんなことを思いながら歩いていた。
親父がいるからこれぐらいが妥当だろう。逆に足りないかもしれない。
こんな両手に荷物を持ってちゃ、本屋に寄れないな...。
まあ、一度家に戻ってまた行けばいいだけのことか。
そんなのんきなことを考えていたとき、ちょうど近くの信号が目に入り、そこには小学生ぐらいの女の子がうつむきながら歩いている。
それだけなら特に問題ないだろうが、少し遠くに法定速度を軽く超えた速度で走っているであろうトラックが見えた。このままでは女の子に衝突するだろう。
「危ないっ」
気づいた時には手に持っていた荷物を捨てて走り出していた。
間に合うかどうか不安だったが、いつもはそんな速く走れないはずなのに、こんな時だけ本気が出せるようで距離を詰めることができた。
だが、この距離だと女の子を掴んで俺も一緒に飛び退くなんてことは出来ないだろう。
第一、そんなことをしたら二人とも死ぬ。ならどうするか...
「こうするんだよっ!」
俺は、全力のスピードで女の子のもとに行き、勢いに任せたまま突き飛ばす。
こうすれば少なくとも女の子の方は死にはしないはずだ。
俺の方は無事ではすまないがな。
「きゃっ」
そんなかわいらしい声が聞こえたかと思うと、次の瞬間には体中に痛みが走る。
痛みで叫びたいが声が出ないし体中が痛い、だが我慢して首を動かし突き飛ばした女の子のほうを見る。
女の子と目が合う。どうやら今の俺の行動で大きな怪我はしてないようだ。
いや、よかった。
「ガフッ」
俺の口から大量の血が吐き出される。これは死ぬかもな...。
だが、最後に人を助けられたからいいか。
こんなことを考えて死ねるのも、親父のおかげだな。
結局、俺は親父に会えなかったな...。せめて最後に会いたかった。
俺の視界は真っ暗に染まっていき、そのまま意識を手放した。
主人公に助けられた女の子はトラウマものですね。
だって、自分を助けてくれた人が目の前で無残な状態なんですから。
ちなみに、今の作者の中での主人公の怪我の状態は、プロシュート兄貴みたいになっています。