艦娘達と金属の歯車   作:ビクトリー

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最初は、ほのぼのにするつもりが、最終的にシリアスっぽくなってしまいました。


北方棲姫

 

 

「北方棲姫、一週間ここで生活しろ」

 

いま現時点で考えられる最善策は、これくらいしか思いつかない。

問題は、どう隠すかだな...。

 

「イイノ?」

 

「当たり前だ。ただし大人しくしててくれよ」

 

この子をどう隠そうか....。

...いいことを思いついた。『アレ』を渡せばまず見つかることはないだろう。

まず部屋に行くか、ダンボールの中で会話していてそれで気づかれてしまった、なんて言ったら笑い話にもならない。

 

「北方棲姫、ちょっと着いて来てくれ」

 

部屋に戻ったら北方棲姫に『アレ』の使い方を教えなくちゃな。

使い方は簡単だから、すぐに覚えてくれるだろう。

 

「ホッポウデイイヨ、オネエチャンタチモソウヨンデルカラ」

 

北方棲姫だから北方か、そのまんまだな。

まあ、本人がそう呼んでもらいたいならそう呼ぶか。

 

「じゃあ、北方ついて来てくれ」

 

「ワカッタ」

 

 

 

そして、俺たち二人はだれにも見つからずに部屋に来ることが出来た。

なんか、俺と北方がコソコソしてると何処となく犯罪臭がするが、逆に見つかるとまずい状況なのでしょうがないと思う。

 

「ココガヘヤ?」

 

北方がきょろきょろと俺の部屋を見渡す。

その姿は、深海棲艦などではなく俺にはただの少女に見えた。

 

「ああ、そうだ。それとここまで静かに来れた北方にプレゼントだ」

 

俺はそう言って懐から『ステルス迷彩』を取り出し、北方に渡す。

喜ばれるかはわからないが、これから一週間は役に立つはずだ。

 

「ナニコレ?」

 

「これは『ステルス迷彩』と言って、まあ簡単に言ってしまえばみんなから見えなくなる」

 

説明は簡単でいいだろう。

てか、俺もよく原理が分からないし...。

 

「ホントウ!!」

 

そう言うと北方は、目をキラキラさせながらステルス迷彩を見る。

...思っていた以上に食いつきがいいな。

 

「使い方を教えてやるよ」

 

「ハヤクオシエテ!」

 

 

 

そのあと、俺は北方に使い方を教えた。

そして、今は...。

 

「オモシロイ!」

 

北方が消えたり現れたりを繰り返している。

だけど、なんか危なっかしいな。

 

「あんまりはしゃぐなよ」

 

そんなことを北方に言っていると、廊下の方から走るような音が聞こえる。

やっぱり来たか...。

 

「北方、ちょっと隠れてろ」

 

「ワカッタ」

 

北方はいい子だな。

普通の子どもだったら、もうちょい駄々をこねると思うんだが...。

きっと、教育がよかったんだな。

 

バンッ

 

急にドアが勢い良く開けられる。

その勢いから、開けた人物がどれだけ急いでいたかが分かる。

 

「司令官、やっと見つけたわ!」

 

その声のした方を見れば、俺を探していた全員が集合している。

これは、ちょっと覚悟を決めるか。

 

「提督、そこに座れ」

 

「わ、わかった」

 

天龍から黒いオーラのようなものが見える。

最初に会ったとき、確か天龍は怖いかって聞いたが、その時俺はそんなに怖くなかったが今まさに 怖い。

 

「提督、なんで俺たちがこんなに怒っているか解るか?」

 

なんで天龍は最初に会ったときに、この威圧感を出さなかった。

多分、この威圧感を実際に体験すればほとんどのやつが怖がるはずだ。

 

...現実逃避はやめて質問に答えるか。

 

「お前らに伝えずに勝手に出撃したから」

 

「なんで私たちに何も言わずに出撃したんだい?」

 

今度は、響が俺に質問をしてくる。

...響は顔には出ていないが、声が少し苛立っているように見える。

 

「相手の戦力が未知数だった。しかも、誤作動かもしれない。そんなところにお前たち を向かわせる訳には行かない。お前らだってそんなとこ行きたくはないだろう」

 

もし、俺が同じ立場だったらできればそんなとこ行きたくないと思っていただろう。

仲間が危険にさらされているとしたら別だが...。

だけど、あそこに俺ではなく艦娘達が行っていたらどうなっていただろうか。

多分、最悪の結果になる確率の方が高かっただろう。

 

「司令官さん...」

 

次は電か...ってなんで泣いてんだ!

俺がなんかしたか...うん、凄いしてるな。

 

「ちょっと司令官、何電を泣かせてんのよ!」

 

「雷ちゃん、私は嬉しくて泣いているんです」

 

嬉しくて泣いてる?

俺は、電が嬉しがるようなことをした覚えはない。

その逆ならしたが...。

 

「司令官さんが、私たち艦娘を道具としてではなく、一人の人間として扱ってくれてい ることがとても嬉しいんです」

 

艦娘が道具?

艦娘は人間だ。

前に、深海棲艦にも言ったが感情さえあればそれはもう人間と同じだと思う。

まあ、これは俺の持論でしかないが...。

 

「電、感情さえあればそれはもう人間と同義なんだよ。ここに居るみんなは道具なんかじゃない。大切な仲間だ」

 

「...提督、今回のことについてはツケにしといてやるぜ。龍田、行くぞ」

 

「待って~、天龍ちゃん」

 

そう言いながら、さっきまで怒っていた天龍が部屋から出て行く。

龍田の方は出て行った天龍に着いて行く。

それに続いて、第六駆逐隊の子たちも何も言わずに出て行く。

俺、変なこと言ったか?

 

「たぶんみんな嬉しいんだと思うよ」

 

島風がそんなことを呟く。

 

「どう言うことだ?」

 

嬉しいだと?

さっきの反応を見る限り嬉しそうには見えないんだが...。

 

「みんな自分が生まれた理由を知っているからね...。だから、みんな素直に喜べないん だと思う」

 

そうだったのか。

だが、深海棲艦を説得すれば、それも終わると知ったらみんな素直に笑ってくれるのだろうか?

...みんなのためにも、頑張らなくちゃな。

 

「提督、私も部屋に戻るよ」

 

「ああ」

 

そう言って島風が出て行った。

...もう少しで、みんなが笑いあえる世界が作れる。

待っててくれよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ひとこと言わせてください。なんでこうなった?
ほんとに最初は、ほのぼのにするつもりでしたが、シリアスになるとは...。
さて、主人公は平和な世界にすることが出来るのか?

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