「ここはどこだ」
たぶん転生した世界なのだろうが、目の前にはどこまでも青い海が広がっている。
とりあえず周りを確認しよう。
そう思って起き上がろうとしたときに、手に紙切れのようなもの握っていることが分かった。
「武装と性能?」
紙にはそう書かれている。
たぶん、俺の武装と性能のことだろう。
これから生きていく中で重要なものだ。周りを確認する前に、少し見てみよう。
ええと、なになに...。
「なんだこれ、ふざけてんのか」
紙に書かれていたのはあからさまなチートだった。
この世界のことはあまり詳しくないが、RPGが好きでやりこんでいた俺には分かる。
これは普通の数値じゃない。
なんだよ装甲千五百とか、カンストってレベルを超えている。
そのほかのステータスも飛びぬけているし...。
...武装の中にあるダンボールって使う機会なんて無いだろ。
「...とにかく、周りを確認しに行こう」
なんか考えるのがあほらしくなってきた。
さっさと俺が乗っているこの馬鹿でかい『船』のようなものが何か確認しに行こう。
重いからだを動かし歩き出す。
ガシャン ガシャン
何の音だ?
そう思い一度立ち止まり周りを確認する。
特に音がするようなものはない。
....なんだったんだ?
俺はまた歩き出す。
ガシャン ガシャン
...まさか。
俺は確かめるために船の上から海面を見る。
「マジか...」
その海面にはメタルギアと人間を織り交ぜたような俺が写っていた。
まさか、神様が言っていた世界観に合わせるってこれのことか...。
あの時ちゃんと神様に聞いていればよかった。
そんな後悔をしても今更遅いので、俺はこの船のようなものの探索に向かうことにする。
「...ふざけてんな」
結果、この船のようなものの正体が何か分かった。
「アーセナルギアとか...」
本当にふざけてる。
しかも変なフロアが追加されてるし、その中に小さい子供がたくさんいたぞ。
他にも大量の緑のドラム缶が一フロア分置いてあったり、弾薬と鋼材が山のように置いてあったり、部屋いっぱいに赤褐色の丸っこい塊...たぶんボーキサイトが置いてあった。
まあ、事前にあの神様から教えてもらったからな。
「これかどうするか」
なんて俺が考えていると服の袖を引かれた。
引かれたほうを見ると、さっきのフロアに居た小さい子供が引っ張ていた。
ちょうどいい、この子に少し質問してみるか。
「ちょっと質問に答えてくれるかい?」
「いいよ」
妖精さん説明中
「じゃあ、君たちは妖精さんで、気づいたらここにいたんだね」
「うん」
この子達は妖精さんらしい、そして気づいたらここにいたらしい。
俺はもう何も言わない...。断じて俺のせいじゃない。
文句を言うならあの神様に言ってくれ。
ここについてもいろいろ教えてもらった。
なぜ、この本来存在しないはずのアーセナルのことを知っているのか気になったので、聞いてみると結構前からここにいたらしい。
神よ、結構前から計画してたのかよ...。
一体どれだけに人に迷惑をかければ気が済むんだ...。
いろいろ説明してもらった中には、使えそうな情報も入っていた。
まず一つ目は、あの緑のドラム缶の中身は燃料らしい、そして部屋いっぱいに会った赤褐色の丸っこい塊はやはりボーキサイトだった。
あと弾薬と鋼材についても教えてくれた。
それは事前に教えてもらっているので、知っている。と言いたかったが説明してくれているよう妖精さんにそんなこと言えるはずもなく。
そして二つ目は、妖精さんがたくさんいたあのフロアは工廠というらしい。
どうやらここで艦娘を創ることが出来るらしい。
妖精さんにここでもできるかどうか聞いてみたところ、資材は十分すぎるほどあるのでできるとのこと。
仲間はいたほうがいいし、今度やってみるか...。
「ありがとう、助かったよ」
「お礼はいらないよ、今度は私の質問に答えてくれる?」
逆に質問に答えろ、と言われるのは予想外だった。
まあ、減るもんじゃないし、此処まで俺にいろいろ教えてくれた恩もあるしな。
「いいぞ、何でも質問してくれ」
そんな変な質問はしてこないだろう。
「お兄ちゃんは、何?」
...確かに今の俺は人間ではないけどさ、何と言われても少し困るんだよね。
艦娘?いや、俺そもそも娘じゃないし男だし。
「お兄ちゃんは艦娘っぽいけど男だし、雰囲気がなんか...違う?」
いきなり何といわれても、俺自身よくわかってないからな。
というかなんで最後疑問形なんだよ。
もうめんどいから、適当な言い訳でもするか。
「俺自身よくわかっていない、気づいたらここにいた」
こればっかは、説明のしようがない。
異世界から転生しました、なんて言っても理解されるはずもない。
逆に、これを説明できる人はいるのか?
「...そう、ありがとうそれとあともう一つ。これはお願いなんだけど...」
お願い?
あってすぐの俺に何かお願いがあるのか?
まさか、ここから出てけとかじゃないよな...。
「ここの提督になってほしいの」
は?
なんでいきなり俺にそんなことを言うんだ?
てか、簡単になれるのか提督って。
「そんな簡単に提督になれるものなのか?」
「はい。最近は深海棲艦も増えてきたし、本部に手紙を出して了承がもらえればなれる よ」
そんな簡単になれるのか。
それより、此処の提督ってことはアーセナルギアの提督ってことだ。
鎮守府や泊地でもないアーセナルギアで提督になれるのか?
「鎮守府じゃないここでも提督になれるのか?」
このアーセナルギアでも提督になれるとしたら、俺が提督になるしかなくなる。
万が一このアーセナルギアを、悪意のあるやつに奪われたら大変なことになる。
まあ、解体され技術が流用されるだけでも大変なんだが...。
「なれるよ。ここはちょうど今日ようやく鎮守府として認定されたからね」
これで、もう俺が提督になるしかなくなったわけだ。
てか、本部の人たちアーセナルギアを鎮守府に認定するって、凄すぎでしょ。
普通は、危険があるかどうかじっくり調べてて、それから何の用途に使われるかとか調べなきゃいけないんじゃないのか?
だけど、その前に少し気になることがある。
「最後になんで俺に提督になってほしいって思ったんだ」
「あなたなら此処を悪用しないだろうと思ったから」
ここでなんでって質問するのは、野暮だよな。
まあ、提督になるのは話の途中で決めていたしな。
しかし、この子もこの世界でアーセナルが異常か気が付いてるのか...。
「わかった、此処の提督になろう」
「ありがとう」
そう言い終わると俺の手を握り、中に案内される。
この時、手を握られ少し焦ってしまったのはしょうがないだろう。
そうして歩いている内に、ある扉の前で立ち止まった。
「ここが提督のお部屋になります」
提督か...。
まだ着任してもいないのに、いい子だな。
しかもなんか敬語になってるし...。
俺は、案内された部屋を見渡す。
そこの部屋には少し埃っぽく、部屋の真ん中にダンボールが置いてある。
なんだろう、ダンボールを見るとなんか引き寄せられる。
心の底から何か...そうダンボールをかぶりたい。
「提督?何してるんですか」
...ッ!?
「な、なんでもない」
なんか一瞬ダンボールを無性に被りたくなった。
明らかに危ない人だな。
前世の俺はそんな趣味はなかった...まさか、あの神のせいかっ!
あの神は何で迷惑ばっかりかけるんだ...。
「では、この書類に署名と着任場所をご記入ください」
そう言って、どこからともなく取り出された書類を渡される。
そういえば、俺はここのアーセナル...いや、鎮守府の名前を聞いていない。
俺はアーセナルギアで通していたが、この世界には存在しないわけだから名前も違うかもしれない。
「この鎮守府の名前って知ってる?」
まあ、どうせもう決まっているだろうからあんまり関係ない気がするが...。
「...まだ決まっていません」
少し沈黙からの決まっていない宣言。
こういうのって本部のほうが決めてくれるじゃないのか?
「本部のほうも忙しいようで、そちらのほうで決めろとしか...」
それでいいのか本部...。
妖精さんも申し訳ないのか、顔を伏せてしまっている。
「妖精さんが悪いんじゃないよ、それと名前は俺が決めていい?」
妖精さんが驚いたように顔を上げる。
俺なんか変なこと言ったっけ?
「は、はい、提督がお決めください」
鎮守府の名前か...。
俺、名前決めるの苦手なんだよな。
ゲームで名前を決める時に悩みまくってたら、半日終わっていたなんてこともあるしな。
そして俺は書類に名前と鎮守府名を書き込んだ。
「龍輝 優斗 いい名前ですね」
この妖精、さっきの事といいよく恥ずかしげもなくそういうセリフ言えるよな。
まあ、それだけ無邪気だということだけど。
「鎮守府名は、『アーセナル』ですか」
やっぱりそのままが一番いいよな。
別に、いい名前が思いつかなかったからとかじゃない。
考えすぎてたら半日が経過してしまうから、そのままなだけだ、
「では、この書類を本部のほうに届けてくるので少しお待ちください」
「ああ、頼んだぞ」
そういって妖精さんは、部屋の外に出て行った。
さて、暇になったことだしこれからお世話になる、この埃っぽい部屋を掃除しますか。
ヤバい、まだ一回も艦娘が出ていない。次の話ではようやく艦娘に会えます。