嘘は言ってません、最後まで見てくれればわかります。
だけど逆に最後まで見ないとわかりません。
「ふう、やっと終わった」
そういいながら俺は掃除した部屋を見渡す。
そして見渡している視界にダンボールが写りこんだ。
今は誰もいない、見られる心配もない
「少しだけ、少しだけなら」
俺の手はゆっくりとダンボールに伸びていく。
そう、少し被るだけ少し、被ったら終わる。
「ただ今戻りました」
「...ッ!?」
危なかった。
ダンボールを被っているところを、妖精さんに見られるとこだった。
最悪、狂人扱いされて提督着任を取り下げられるかもしれない。
あの伝説の傭兵には悪いが、俺はダンボール愛なんてものはない。
「何やっているんですか?ダンボールなんか持って」
どうやら被ろうとしていたことは気づかれてはいないようだ。
まずは一安心だな。なら適当にごまかそう。
「ダンボールを移動させようと思ってな...。それよりどうだった」
こんなダンボールをかぶろうとしている場合ではない。
俺は無事に提督になれたのか?
たぶんなれているとは思うが、もしもがある。
「提督着任、おめでとうございます」
どうやら無事に提督になることが出来たらしい。
「それと提督の服が届いています」
妖精さんの手元を見ると白い服が折りたたまれている。
わざわざ着替えきゃだめなのか...。
「ありがとう」
「どういたしまして」
そんなやり取りをしながら俺は服を受け取る。
そういえば俺、妖精さんの名前知らないな。
少し聞いてみるか
「そういえば君の名前ってなんていうの?」
そう俺が質問すると、妖精さんは最初は驚いた顔をしていたが、
すぐに悲しそうな顔をして、そのあとに一言。
「...妖精に名前はありません」
名前がないのか...。名前がないのは不便だな。
名前がないならつければいい。
「なら、俺がつけてやるよ名前」
「えっ!?」
凄い驚いてるな。
だけどまた名前か...。
今回ばかりはアーセナルのように簡単に決めることはできない。
名前ってのは大事だからな。
......。
よしこれで行こう。
「優花でどうだ」
この名前にした理由だが、優しく花のような子だからこの名前にしたい。
少しかっこつけすぎたか?
まあ、名前ってのはこれぐらいがいいだろう。
「優...花...」
「ううっ...うっ」
ヤ、ヤバい、泣かせてしまった。
父さんにも女だけは泣かすなって言われてたのに。
「す、すまないそんなに名前を付けられるのが嫌だな「違う」えっ」
違う、どういうことだ?
名前を付けられたのが嫌だから泣いてるんじゃないのか?
「うれしいの...名前を付けてもらえたのが...」
そういいながら優花はぽろぽろと涙をこぼしている。
そして、その涙が頬を伝い床にを落ちる。
何か声をかけようと一歩前に出る。
その瞬間、不意に優花に抱きしめられる。
「少しこのままでいさせて....」
数十分後
「落ち着いたか」
ヤバい、何がヤバいのかというと俺の理性のほうがヤバい。
抱きしめたい衝動を抑えるのも限界になり、優花に声をかける。
「だいじょうか?」
「すみません...でした...」
そう言ってゆっくりと俺のから離れる。
顔をはうつむいてしまっているが、顔が真っ赤なのは簡単に分かった。
たぶん、相当恥ずかしいのだろう。
まあ、いきなりだきつけばそうなるよな。
俺も顔が赤いだろうし...。
そして顔を上げるが、俺と目があった瞬間に赤かった顔がさらに赤くなる。
「.....ッ!!」
そして叫びにならないような声を上げた後にダッシュでこの部屋を出て行ってしまった。
あの状態では戻ってくるのに時間がかかるだろうな。
今のうちに優花が置いて行ってくれた服に着替えるか。
「だけどどうやって着替えればいいんだ?」
俺にくっついている武装は取り外せるのか?
とりあえず引っ張ってみるか。
キュッ ポン
なんか軽い音を立てて俺の武装は外れた。
いや、なんかもっと重い音が出ると思ったのだが...。
...着替えるか。
提督着替え中
「サイズもぴったりだ」
優花に渡された服は、なぜか俺のサイズに合っていた。
なんで優花が俺のサイズを知っていたのかが気になるが、
質問したらややこしいことになりそうなので、質問しないことにしよう。
だけど提督になって何をすればいいんだ?
そこを全く教えてもらってなかった。
「し、失礼します」
ちょどいい時に来たな。
「優花、提督になったのはいいんだが、最初に何をすればいいんだ?」
さっきのことがあったばかりで質問するのは気が引けるけど、
俺が気軽に声をかけられる妖精って優花しかいないんだよな。
「はい。基本的には書類整理などですけど、やっぱり最初は艦娘を建造するのが一番か と」
やっぱり最初は艦娘か...。
どうすれば建造できるんだ?
「工廠に材料を持って行けば、ほかの子たちがやってくれますよ」
材料って、たぶん燃料・ボーキサイト・鋼材・弾薬の四つだよな。
優花はすごいな、さっきあんなことがあったのに平然としている。
俺はまだ少し顔が赤いかもしれないのに...。
「そ、それと、提督その服に合っていますよ」
この子こういうところが抜けている気がする。
なんでさっきあんなことがあったのに、こういうことを言えるんだこの子は。
「....ッ!し、失礼しましゅた」
そして優花はまた顔を赤くし、早足で去って行ってしまう。
自分の発言で恥ずかしがるなよな...。
最後の失礼しました、を嚙んだところがかわいかった。
「工廠に行ってみるか」
優花のほうは放っておこう。
いま俺が行ったところで逃げられるだろうし...。
提督建造材料運送中
「やっと着いた」
一回、材料を取りに行ってここまで来るまでに一体何回迷ったことか。
さすがアーセナルでかい。
そうしてようやくたどり扉には、工廠と書かれたプレートが掛けてある。
そして俺は工房の扉を開ける。
「建造してもらいたいんだ..が...」
「「「「「「提督着任おめでとう」」」」」」
....何が起こっている?
なんで俺は大量の妖精さんに歓迎されているんだ?
というか、なんで提督になったことを知っている?
決まったのは少し前のはず...。
しかも、知っているのは俺と優花だけのはずだ....まさか!
「はい、私がみんなに伝えました」
やっぱりお前か優花...。
「...ご迷惑でしたか?...」
優花、涙目で上目遣いとか反則だろ...。
他の妖精さんも涙目でこっちを見つめるんじゃない。
これがうれしくないわけがないだろ。
「いや、うれしすぎて言葉を失っていたよ、みんなありがとう」
俺がそう言うと優花や妖精さんたちに笑顔が戻る。
この子達はほんとにかわいいな。
やっぱり子供は無邪気でいいな。
「提督、ご挨拶を」
えっ、ゆ、優花そんな急に言われてもな..。
「大丈夫です。名前と意気込みを語るだけですから」
いきなり意気込みとかを言われても...。
もういいや、言ってやるよ。こういうのはノリだ、ノリ。
「今日からこの鎮守府に着任した龍輝優斗だ。
まだ着任して間もないが、これからよろしく頼む」
俺の挨拶が終わった瞬間に、ありえないほどの拍手の嵐が起きる。
なんか、恥ずかしいなこういうの...。
ありがとう。
そしてその後、俺は妖精さん達と話していたが、あることを思いだした。
「建造するの忘れてた...」
「提督、そのことに関しては問題ありませんよ」
いつの間にか隣に立っていた優花が俺の言葉に反応する。
「問題ないってどういうことだ?」
問題はあるはずだ。
だって俺の持ってきた資材がまだそこに...あれ?
なくなっている?
「妖精さんたちが持って行ってくれましたよ」
なんか、すごい気が利くな妖精さんたち...。
ほんとに俺は優花や妖精さんたちに迷惑かけっぱなしだな。
此処の妖精さん、いい子が多い気がする。
「そろそろ部屋に戻りましょうか」
「えっ、まだ艦娘が...」
まだ艦娘が建造できていないんだが...。
「はあ、此処の提督が工廠であいさつしても威厳がないでしょう。
だから早く戻りましょう」
確かに...。
そうと決まれば早めに部屋に戻ることにしますか。
「じゃあね、みんな」
俺は工廠に居る多くの妖精さんたちに挨拶して工廠を出た。
数十分後
「提督、艦娘をお連れしました」
なんかすごい緊張する。
本来、緊張するべきは俺じゃないはずなのに。
いったいどんな子が来るのだろうか?
「電です。どうか、よろしくお願いいたします。」
妖精さんがモブキャラからにレギュラー近いところまでレベルアップしました。
これからどうしよう...。