「確かここらへんだったはずだが...」
「何もないですね」
何もないはずはない。
実際、レーダーもここを指している。
「あそこに誰かいるのです」
そう言って電が指をさしたほうを見ると、確かに誰かが倒れている。
だけど、あれは明らかに...。
「待っててください。今助けに行くです!」
まだ決まったわけじゃない。
まだ、可能性はある。
そう思って、俺もその倒れている奴に近づいた。
....。
やっぱり、俺の思った通りだった。
そして、俺はその倒れている奴に30mmガトリング砲を向ける。
「司令官さん、何をするのですっ!」
なんで、電はこいつを庇う。
「電、なんで深海棲艦を庇う」
倒れていたのは、空母ヲ級だった。
なぜこの海域に居るのかはわからんが、見つけてしまったからには殺すしかない。
「まだ、この子は何もしてないです」
「何もしていないから?そんな甘いことを言ってられるのか?
場合によっては、お前が殺されるんだぞ」
電を最初に見たとき優しそうな子だとは思ったが、
まさか此処までとは思わなかった。
「...私が殺されることになっても、...この子を助けたいです」
「そうか、なら....]
どうやら電はそれ相応の覚悟をもって助けたいって言ったらしい。
そんなことをされたら....。
「...補給と入渠だけだ」
助けるしかなくなるじゃないか。
「ッ!ありがとうございます。司令官さん」
補給に関しては問題ないし、船渠も空いているだろうから問題ないとして、
どうやってこいつをアーセナルの中に持っていくか。
そういえば...あれ使えるかな...。
「電さんお帰りなさい。あれ?提督はどこにいるんですか」
「もう少し見回ってから帰るそうです。それと船渠のほうは空いていますか?」
よし、俺とこいつはやっぱり見えていないな。
ほんとに便利だなこれ。
「ええ、空いていますよ」
あと少し。
「じゃあ、私は少し入渠してきます。」
「ゆっくりと傷を癒しきてくださいね」
「ありがとうございます」
これで一安心だな。ここまでくれば見つからないだろう。
「あ、それとあなたの部屋が決まりました。132号室です」
「は、はい」
優花、ビビらせるなよ。
一瞬ばれたかと思ったじゃないか。
「司令官さん、もういいですよ」
「ふう、電ありがとな」
「お礼を言わなきゃならないのは、電のほうです」
ステルス迷彩は本当に便利だな。
おっと、そんなこと考えている場合じゃない空母ヲ級を降ろさなくては、
「ありがとうなのです」
だけど、電がさっきからずっとお礼ばっかしてくる。
俺そんなにいいことした覚えはないんだが...。
実際を急を殺そうとしたし...。
「それと司令官さん、外に出ていてくれないですか」
なんでだ?
もしものときのためにここで待機していたほうがいい気がする。
「空母ヲ級が逃げ出した時のためにここにいたほうがいい」
「もしかして司令官さん、...見たいんですか?」
見る?
どういうことだ。
「とにかく出て行くのです」
追い出されてしまった。
追い出されてしまったものはしょうがない。
俺はステルス迷彩を使い、優花の横を通り抜けて外に出る。
そして今度は、ステルス迷彩を切り、何事もなかったこのように優花に挨拶をする。
「優花、留守番ありがとな」
「提督、お帰りなさい。ずいぶん遅かったですね、心配したんですよ」
なんかすごい罪悪感があるが、ここは嘘をつかなくてはならない。
これも電とヲ級のためだ。
「すまない、少し沖まで行ってしまった」
「では、部屋に戻ってお休みになられてください。
任務の達成はこちらで報告させていただくので...」
罪悪感で押しつぶされそうだ。
「何から何まででありがとう。優花の言うとおりに部屋で休ませてもらうよ」
すまない、優花。
そう思いながら俺は部屋へと向かう。
だけど、電は大丈夫だろうか。
仮にも敵と一緒にいる訳だけれど...。
ドン
そんなことを考えていると誰かとぶつかってしまう。
「ヲッ!」
ヲ?
「すまない、起きあがれる...か..い」
「ヲ、ヲ」
なんでこいつがいるんだ。
いま電と一緒入渠してるはずじゃなかったのか。
てか、ごく自然に俺の隣を通り抜けようとするな。
自然過ぎて見逃すところだった。
「ヲ~、ヲ~」
たぶん離せって言ってるのだろうが、此処で離すやつはいない。
少しうるさいので、手で口をふさぐ。
「ちょっとこっちに来い」
とりあえず、俺の部屋にぶち込むか。
「ヲ~」
さて、椅子に縛り付けてやった。
これで逃げられることなく話ができる。
「おい、お前もし逃げないことが約束できるなら、その縄をほどいてやる」
できれば、縄で縛りつけることはやっていたくない。
もしここを誰かに見られてしまうと、とても厄介だ。
「ヲッ、ヲッ」
首を縦に振っているところを見ると、肯定なのだろう。
「そうか、逃げんなよ」
そういいながら縄をほどいていやる。
「ヲ~」
何を言っているのか全く分からない。
言葉は通じているみたいだが...。
「じゃあいきなりだが、なぜおまえがこんなことになっているか説明する」
「ヲッ!」
俺は電がお前を助けたこと、傷を治すために船渠に居れたこと、
そして補給をさせ海に帰すはずだったことを伝えた。
「...ヲ」
これで大体説明をし終えたな。
いきなり扉が勢いよく開けられる。
「司令官さん、空母ヲ級がどこに行ったか知らないですか?」
い、電か...。
優花かと思って肝を冷やしたぞ。
「今ここにいるぞ」
まさか今までずっと探していたのか。
「やっと見つけたのです」
「電さっそくで悪いが補給の準備をしてくれないか」
電には悪いが、時間が長引けば長引くほど見つかってしまう可能性が高まる。
「わかったのです。今持ってくるのです」
「本当にすまないな...ってもう行ったのか」
電もわかっているのか、長引かせてはいけないことを。
「ヲ、ヲ」
「なんで自分に此処までしてくれるか分からないって顔をしているな」
これは完璧に予想なのだが..。
「ヲッ、ヲッ」
...首を縦に振っている。
マジか、俺の予想が当たったのか...。
「あの子は困っている人がいるとほっとけないんだよ。
俺も会ってまだ間もないが、それぐらいは理解できる」
実際、あの子の覚悟は本物だしな。
「お前も感謝しろよ。あの子がいなければ、俺はお前を殺していた」
「ヲッ!!」
たぶん驚いてんだろうな。
「なんだ、知らなかったのか」
「司令官さん、補給の準備が整ったのです」
ちょうどいいな。
これ以上話すことはない。
「さあ、行け、もうお前に会うことはない」
「ヲッ」
バタン
...今のは、敬礼か?
なんで俺にやったんだ?
よくわからんことだらけだが、もう二度とあいつに会うことはないだろう。
会うとしてもその時は敵同士だ。
さて俺は着替えて武装を外そうか。
主人公着替え中
やっぱり何回やってもめんどくさいな。
もういっそのこと、この服に穴でもあけるか。
「司令官さん、失礼しますです」
電か、ずいぶんと速いな。
「電どうだった」
といっても、電がここにいることで結果はわかるのだが。
「無事に海に戻っていきました」
「そうか、電今日はご苦労様、部屋に戻ってゆっくりしていいよ」
電も疲れただろうから早く休ませてあげたい。
「わかったのです。司令官さんお休みなさい」
「ああ、お休み」
今日は疲れた。
早く布団を引いて寝よう。
そして、俺は布団を引き電気を消して、
布団にもぐりこんだ。
疲れていたからか、すぐに眠気が来た。
俺はゆっくりと目を閉じた。
艦娘を出す前に出してやりましたよ。
逆に今出さないと後から大変なので...。