次の日、朝食を終えてから仕事に行く面々は仕事へ行き、家に残ったのは父さんと母さん、敏子姉に忠仁兄と、信春さんと響さん、未央奈さんの7人だった。
因みに領空侵犯した件については確認をそれとなくしてみると孝行兄が言っていた。
「そういえば、スタークルーザー?で来たと言ったが、紫音は軍の指揮官なのか?」
「えっと、ジェダイそのものは戦闘集団じゃないのだけど、有事の際は将軍となって軍を率いる権限が与えられたの。もう戦争が終わったから軍を率いる必要は無くなると思ったのだけど、銀河連邦軍を率いる者の軍の長として必要って事で、確かに私も咲那も・・・一応指揮官って事になるのかな?」
「マスター、一応というかジェダイ将軍だから軍指揮官は強ち間違いじゃないと思うよ。」
「どのぐらいだ?」
怪訝な表情で聞かれた。まあそうだろうねえ、子供が大軍の指揮官ですって言われたら怪しいって思うのも当然だろうし。
「私は1個大隊ですね。一応紫音さんの部隊に組み込まれていると言いますか。」
「私が1個コープスだからねぇ。だけど、大隊と言ってもこの国の大隊とは規模が違うんじゃない?」
「連邦グランドアーミーの指令構造では分隊、小隊、カンパニー、バタリオン、ブリゲード、大隊、コープス、セクター軍、星系軍でしたっけ。」
「ん?それだとどうなるんだ?日本軍でも大隊はおおむね500名から600名だが?」
「連邦グランドアーミーで言うバタリオンと同等のようですね。1個バタリオン約600名ですから。」
「何!?それだと、大隊は・・・。」
「約9200名ですね。」
「1個旅団相当だぞ。国防陸軍に当てはめれば少将クラスというところか。」
「少将!?」
「そんなに高いのね!」
敏子姉と未央奈さんが驚いた。忠仁兄と信春はあまりいい顔をしていない。
「なあ紫音。積極的に戦争に関わったのか?」
まあそうだと思った。この中でも最年少の私が、その若さで戦場に躍り出たとなれば良い顔をされないのは分かっていた。
「積極的・・・となるかは分からないけど、多くが元老院議員からの依頼で調停して回っていたからね。ジェダイの仕事上、仕方が無いと割り切らないといけない事も多かったし、戦争に発展したものを鎮圧しに回った事もあるし、抑圧された民族の解放に出た事もあるよ。だけどね、これだけは言うけど、好き好んで殺しまわった事は一度も無い。」
「紫音。」
「罪なき人々が何の言われも無くただ殺されていくのをただ見ている事なんて出来なかった。少なくとも、あの戦争の最中に間に合わなかった、という事の方が多い。力を持って軍も率いているのに、戦わないという選択肢は無かった。何度、死にかけようと私には最高の仲間がいたからね。」
力強く真っ直ぐ目を見て忠仁兄さんに言った。
話を聞いていた父さんは、深く溜息を吐いてから・・・
「紫音は、生半可な道を歩んできたわけじゃない。少なくとも、そう感じられる。5年もの間、戦争は3年半の間、戦い続けてきたというのだ。咲那もまた、生半可な道じゃなかった。紫音に助けられていなければどうなっていたか。そう考えれば、紫音の行動は後先を考えずに動いているとしても、後から大きな功績となってやってくる事が多いようだ。忠仁、あまりそう虐めてやるな。」
「でも、父さんだってそう思う筈だろ!」
「忠仁、紫音はあの日、誰も知る人の居ない地に飛ばされて、師となる誰かに拾われた。だが紫音や咲那は思っている程、心は強くなかった筈だ。まだ子供の、幼い子供が誰も何も知らない場所に飛ばされたらと、自分に置き換えて考えた事があるか?
もし、その師とやらに出会う事が無かったとしたら・・・どう考えた?」
「・・・・・・・・・・・・」
「そんな状況下で生き残り、生きていく為に必死こいて勉強して修行して働いたんだ。ジェダイとして、銀河連邦に尽くしたんだ。そして、故郷の惑星を探す為に苦労もした筈だ。忠仁、紫音は何も苦労していないと思ったのか?」
「そんな筈は無い。だが、戦場に出るなど!」
「人は必要に駆られて動く者とそうでない者に分けられる。戦わないという選択肢もあったと思う。だが、何かのきっかけで人は大きく変わるものだ。
俺だって、対馬攻防戦の時、最初は戦うという選択肢はしていなかった。お前たち息子も娘も居たからだ。だが、対馬の大亜細亜連合軍による村一つの虐殺を見て戦う気に変わったんだ。人間、誰しも変わるものだ。忠仁もそのうち分かるさ。」
「だとしても、歳行かない妹が戦場に出ているなんて。」
「忠仁はその道を進んだ。紫音もその道を歩んだ。戦わずに済めば良かった、はあくまで結果論でしかない。この話は終わりだ。いいな。」
そう言って父さんが強引に話しを終了させた。
まだ言い足りないって言う感じが残る忠仁兄からしたら思うところがあるというのはよく分かるが、私も咲那も、はっきり言えばこの道しかなかったと思う。
「それで聞くが、さっき話にあったスタークルーザーってのはどういうものなんだ?」
その質問には咲那が答えた。
「銀河連邦宇宙軍の主力クルーザーですね。ヴェネター級スタークルーザーは全長1142m全幅551m全高268mの言わば宇宙戦艦です。今回は、ある目的を含めてヴェネター級スタークルーザー40隻、アクラメーター級アサルトシップ32隻、支援艦60隻で来ているよ。」
「「「「「「「!?!?!?」」」」」」」
「まあ、実際大きいですからねぇ。感覚が麻痺している私たちからしたら、大して驚かないところですし・・・。」
「地球でも侵略するつもりか?」
「まさか、もしそのつもりならもっと多くの戦力で来るよ。」
「いや、十分だろ。」
まあおっしゃる通りかもしれないけど・・・
「まあ、確かに私と咲那、そしてマスターレヴィナスによって率いられたこの艦隊はあくまで銀河連邦の先遣隊。本隊ともなると若しかしたら1個艦隊、100~300隻の主力艦と支援部隊によって構成された戦力が来る可能性もある。」
「いや、待って。どうしてそれだけの戦力を持ってきたの?ただ帰るだけなら1隻だけでも良さそうなのに。」
「・・・・・・・・・・。」
確かにそう。だけど、問題があるから軍を動かした。
「此処からは、お父さんと話そうかな。あまり大きく話せる内容じゃない。」
父さんから家族の要職を事前に聞いていただけあって、政界と深い繋がりを持つ父にしか、これから話す事は言えないから。
「・・・・・・分かった、書斎に来なさい。」
黙って頷いた父に言われ、2人で書斎に去った後、残された家族はというと
「なあ、咲那ちゃんはいいのか?」
「何がです?」
「紫音のあの態度だよ。もっと言っちゃってもいいんじゃないか?」
「紫音は、マスターは、色々責務を抱えていますから、私はマスターを支えるべくしているだけでいいのです。」
「その、マスターって何?」
「?・・・マスターはマスターですよ。ジェダイの師弟師妹関係と言いますか。私は紫音を師としてフォースを学びジェダイとして生きる道を示してくれたのですよ。あの暗い地獄のような場所から救い出してくれたマスターたちには感謝しか無いのです。」
「は、はあ。そう、そうなのね。」
「それに、今回はマスターレヴィナスもそうですが、紫音も同じ役職を兼任しています。」
「役職?ジェダイ将軍だけでなく?」
「はい、マスターレヴィナスとマスター九條に与えられた権限、それは銀河連邦元老院最高議長代理・・・です。」
議長代理、というのはアナキンや紫音が務めたりするものだが、権限は議長と同等の権力を用いる事が出来る。尤も、今回は遠く離れた星系の地球という惑星にパルパティーン最高議長が赴けないので、代理を立てているという訳だ。
そして、最高議長代理は1人でなくてはならない。その為、レヴィナスは紫音に日本の首相との会談までのセッティングを任され、同時にセッティングに当たっての権限として一時的に代理権限を有しているだけだった。
そんな事も知らない残りの家族は、驚愕に包まれていたのだった。
――――――――――――――――――――
「それで?部屋を移してまで話す事とはなんだ?」
「父さんが、国防軍に属していて、現職の国防大臣や外務大臣、首相と交友関係にあるという点と今日本が置かれている状況から銀河連邦の元老院最高議長代理として話させてもらうね。」
「紫音、それは訂正だ。今は、軍の方は既に退役している。」
「そうなの?」
「ああ、話忘れていたが、退役はしているんだ。ただ、軍の教導とかで訪れているにすぎん。」
「分かった。じゃあそれでもいい。それを踏まえてだけど、
今、日本国は大亜細亜連合からの圧力を掛けられている状況だよね。」
「ああ、そうだな。大亜細亜連合が2085年頃から、どういうわけか勢力を強めて周辺国を無理矢理併合したりして地域勢力を強めているな。」
「日本も、周辺諸島への防護を強めた感じかな?」
「ああ。漁民に紛れた工作員が乗り込んで不法占拠した例もある。各諸島には無人島であっても部隊が駐留している状況だ。それも大きく動き出したのも5年後の2090年からだったな。我々も把握していないが、連中、宇宙からやって来た何かの勢力と手を組んだと言われている。」
やっぱり、諦めていなかった奴らとシスの生き残りが手を組んだのだろうね。そして再起する為に・・・・
「多分、その勢力は銀河連邦が追っている勢力だろうね。」
「そうなのか?」
「クローン大戦と呼ばれた銀河中に波及した戦争は銀河連邦の前身銀河共和国の勝利に終わった。戦争相手の分離主義勢力、独立星系連合とも言われるこの勢力が敗北で終わり、主要幹部らも逮捕して漸く終わったと思っていた。だけど、その幹部らの言い分だと、戦争末期にコルサントよりも良さげな惑星を見つけたから其処に戦力の一部を移したと言っているんだ。」
「その惑星が、若しや・・・。」
「うん、地球の事を指していたのだと思う。この写真を見て。」
鞄から取り出した写真は、前回の偵察時に撮影した評議会でも見せたものと同じものだった。
「これは・・・何処だ?」
「恐らく、大亜細亜連合のゴビ砂漠、タクラマカン砂漠辺りの写真になる。」
「この丸い物体は、石油タンクか?」
「いや、これは・・・R3S4、ルクレハルク級を出して。」
一緒に同行させていたR3S4にルクレハルク級バトルシップをプロジェクターで映し出してもらった。同時に、数種類のバトルドロイドの写真も見せた。
「こんなドロイドを見た事無い?」
そう言ったら、父さん。目を真ん丸にしてから険しい表情に変わって
「これを何処で?」
「大戦中に幾度も目にしてきたし、なんならまだ残骸や電池切れの奴が連邦には残っている筈だよ。」
だが、父さんはムスッとして黙ったままだった。
父さんから何かしらの解答があると思って私も黙っていたら、
「その写真は表に出すなよ。」
重い口を開くようにそう言った。そして続けて、
「その手の写真は非公開にしている上、大亜細亜連合の主力兵器の一つとされている奴だ。おまけに魔法が効きにくい為、魔法師の天敵に成り得るとして公開していない情報だ。」
成程、今の魔法世界バランスを崩しかねない情報というわけか。
「まあ、足元に爆発系の魔法を放てば簡単に撃破出来ると思うけど、地球で改良型が出来たのかもね。連邦軍では対抗する為に私たちジェダイはライトセーバーを、トルーパー達はブラスター銃を持って対抗したよ。」
「その、ブラスター。連邦軍はどれくらい保有しているんだ。」
父さんからしたら歩兵でも対抗できる武器として欲しいと思っているのかもしれない。だが、おいそれとあげるわけにも行かない。連邦では安価で買えるものも有るが、だからと言って簡単に渡せば火種にもなりかねないからだ。
「たくさんあるよ。兵士1人に付き、ブラスターライフルとブラスターピストルは常備だけど、その辺りは交渉次第だろうね。」
「紫音」
「父さんの言いたい事は分かるよ。だけど、これは私からしても簡単に渡すわけに行かない。それだけの代物なの。ブラスターピストルでも大体相場は750クレジット、1クレジットを100円相場として75000円で買えると言えば買える。だけど、ブラスター自体が通常の銃より強力で、弾丸がプラズマ光弾だから、生身で当たれば殆どがショック死する可能性が高い代物なの。」
「なら、ライトセーバーは?」
「私が持つライトセーバーもそうだけど、これは持つ者自体がブラスターよりも限られる。」
そう言って見せた起動前のライトセーバー、ボタンを押して起動させるとパープルの光刃が現れた。
「ジェダイだけが持つ事を許されるライトセーバーだけど、敵となるシス勢力もライトセーバーを持っている。ライトセーバーの基本的な作り方だけど、周りの素材は地球でも集めようと思えば集めれるかもしれない。それでも結構希少な金属を使ったりしているし、何よりライトセーバーの主軸となるカイバークリスタルってものが必要になる。これは、ただの一般人が触れてもただ透明だったりするけど、フォースの道を進んだ者が、自分だけのライトセーバーを作る為に自分だけのカイバークリスタルを探しに行かないといけない。それに、ライトセーバー自体、製作に1か月から数年掛かる代物だからあまりいいとは言えないね。」
「・・・・・・・・・・・。なら、どうしたらいい?大亜細亜連合に対抗する為には。」
「・・・・・銀河連邦に日本が加盟する。会談の場を作れれば、私と咲那で本当の代行をエスコートしてその会場へ向かう。昨日の段階で艦隊は木星軌道を通過しているみたいだから。」
「・・・・・加盟・・・か。・・・・・・・どれくらい掛かる?」
「そちらに合わせるよ。ハイパースペース航路を使えば1時間と経たずに地球軌道に艦隊も代行を乗せたシャトルも来る事が出来るだろうから。」
「・・・・・。銀河連邦が、信用に値するかが問題だな。」
懐疑的に思うのは理解出来る。彼らからすれば、何処の馬の骨の組織なんだと思うだろうから。
「銀河連邦は、独立星系連合のように自分たちの利益の為に侵略なんて行わない。ただ、侵攻されたり、脱退して敵対した勢力には容赦が無いってだけ。」
「もし、日本が加盟したなら?」
「私が率いる1個コープスの他に支援戦力として8個大隊が駐留する予定。それ以外にも何人かジェダイが派遣される予定だよ。」
「・・・・・・。そこまで考えていたのか?だが、拠点は・・・。」
「地球大気圏内の日本領内の何処かにあると嬉しいな。後は地球軌道上に宇宙ステーションを複数造る事にもなると思うよ。」
「大々的だな。」
「でもね、私の予想ではその状況になる前に、戦いが起こる可能性がある。」
「・・・・・。やっぱり宇宙から見ていると分かるか。」
今は6月だけど、宙から見た感じもう少し掛かりそうでも、事が起こる事前提。
密かに戦力を集めているつもりでも、丸わかりとしか言いようがない。
「こっちの調べで揚陸艦10隻、分離主義勢力がよく使う上陸艇4隻、スターフリゲート4隻が集まっている。はっきり言って上陸作戦を行おうとしているようにしか見えないね。スターフリゲートは地上に降りているようだから、戦力の積み込みを行っているのかも。」
「やばいな。上陸戦力が尋常じゃない。何処に向かうにしても今、国防軍は其処までの戦力に対処出来んぞ。・・・・・其処で銀河連邦のお出ましか。提案に乗らなかったらどうするつもりだ?」
「砲艦外交のような形になりますけど、大亜細亜連合軍の侵攻に独立星系連合が関与している事を確認した上で、順次戦力を送り込み、勝手に各防衛線を敷いて戦闘に参戦するつもりです。」
「前者が好ましいな。・・・・・・分かった。国防大臣を含め首相らと話をしてくる。」
「出来るの?国家元首となれば簡単にはいかないと思いますが・・・。」
「今の大高首相も、米内国防大臣も、高野外務大臣も多くが私と同期だ。更に言えば、同じ大学を出て、一時は同じ軍人でもあった。話せば分かるだろう。」
「そうでしたか。」
「だが、会談の時は紫音も参加するのか?時期にもよるが・・・」
「何か?」
「いや、何。実はこの夏、沖縄に行こうと思ってな。由香里の親族家も沖縄に行くというから合流して楽しもうと思っておったのだが・・・。」
「有難い話ですが、私も責務がありますから。」
「・・・・・・・・・分かった。」
それから私も父さんも黙ったまま時が過ぎ、何か話す内容は無いかと思い、ふと退役中将の件について聞いてみた。
「一応、事を聞くけど、国防軍を辞めた理由ってなんなの?」
「それか・・・そうか、まだ話していなかったな。母さんの親族家と言ったが、正確には由香里の母の姉の親族と言ったところだ。」
「なんか複雑な関係になってない?」
「まあな。由香里の旧姓は東雲だが、既に由香里以外が故人になってしまっていて、繋がり上は親族という事にはなっている。複雑な繋がりなのは間違い無いが、その親族が現十師族の一つ、四葉家となる。」
「・・・・・・・。」
十師族についてまだ何も知らない私はそれが何を指しているのかピンと来ていなかった。
「十師族に関してはパソコンで調べるといい・・・・・話を戻すぞ。
国防陸軍中将を辞したのは、ある事件がきっかけだ。俺は独断で1個連隊を動かし、当時の海軍少将の手を借りて、国の許可も得ずに越境。越境先で拉致され誘拐された親族の孫娘を救出する為だった。手段が如何せんイケなかった事は理解しておるが、事が事であった故、事後承諾という形で軍部は話を付けていたが、俺がそうもいかないと思ってな。」
「成る程、しかし・・・拉致誘拐って。何処ぞの国もソレをやって国家問題になっていた筈だよね。今で言うなら高麗自治区辺りにあった国家だね。」
「半世紀以上も前の事だな、結局未解決で終わってしまったが。身内から誘拐された者が出たと知りゃ居ても立っても居られなかった。」
「分かるよ。その気持ちは、ただ立場が行動を邪魔してしまう。」
「そうだ。だが、俺は全責任を負うつもりで独断出撃し、無断越境、襲撃、拉致被害者救出、脱出までしたんだ。」
「・・・・・・。褒められたことじゃないけど、人間として凄い事をしたというのは分かるよ。それで、被害者の状態は?」
「酷いものだった。・・・・・・・あれは・・・・俺も怒りで我を失ったものだからな。」
遠い目をしながらそう言った父の表情を見て、私は深く聞かなかった。物凄く後悔の念を感じ得ない、そんな表情だったから。
「そっか。」
「紫音はそういう経験はしたのか?」
「あるよ。何回か。」
そう言うと、父さんは目を丸くした。まさかあるとは思わなかったのだろう。
「ある・・・のか?」
「うん、一番キレたのは・・・・・咲那が賞金稼ぎに囚われて分離主義勢力に捕まった時だったかな。」
「その時はどうしたんだ?」
「そりゃあ、戦力を集めて艦隊で救出に行ったさ。相手が名の知れた敵の将軍だったから、何人かのジェダイマスターの手も借りてだけど、キレたのは咲那を人質に自分だけ助かろうとした賞金稼ぎだね。咲那を傷つけられた事にキレて、・・・確かライトセーバーでギタンギタンにしたんだっけ?」
「記憶が曖昧なのか?」
「聞いた話によれば、賞金稼ぎの手足をゆっくり殺ぎ落として細切れにして殺したって言うから相当キレていたんだと思う。キレすぎて、他のマスターに意識を失わされたって言うから。」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
この時、剛蔵は思った。
「(そう言えば、うちの女勢、キレると止まらなくなるのは・・・遺伝なのだろうか?紫音は度合いが違いすぎるが・・・。)」
「後、助けた筈の避難民が虐殺された時も大分キレたね。女子供、赤子に至るまで皆殺しにした分離主義勢力を裏から操るシスという暗黒組織の戦士。それが誰だったと思う?」
「誰だ?知っている奴か?」
「同じく地球から転移させられた元クラスメイトだった男だよ。名前は忘れたけど、確か山村って奴だったよ。」
父は少し思考停止していた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。いや、待て。殺し合ったのか?」
「殺したよ、トルーパー達と一緒にね。」
「!?」
父は驚いていた。それもそうだろう、境遇は似通っている者同士。再会したなら・・・と思ったのかもしれない。だが、・・・彼は既に、未知を外し過ぎていた。
「元老院議員からの依頼で、戦火から逃れた避難民がいるキャンプが何者かによって壊滅させられているという報告があった。何れもライトセーバーによる斬撃で疑いたくもないがジェダイがやっているのでは?という懐疑的な意見もあったから調査の為に向かったんだ。訪れた難民キャンプに2個小隊を調査と護衛名目で置いていたけど、その2個小隊から突如入った救援連絡、誰も答えず現場に行くと斬り殺されたトルーパー達と難民たち。
記録用のホログラムで何に襲われたのか、死ぬことも顧みず壊されないように撮影し続けたトルーパー達の記録によってジェダイではなく、シスの戦士である事が判明して、討伐命令が下った。」
「その討伐対象が・・・」
「シスの悪党に堕ちた山村だった。・・・・・彼は・・・・いや奴は面影など無かった、其処に居たのは殺戮を楽しむ狂人そのものだった。」
「・・・・・・・・・。そのシスの戦士に堕ちたと思われるのは、何人いる?」
「分からない。ジェダイオーダーを含めて銀河連邦に与しているのは私を含めて10人いたかな。それ以外で5人は確認しているけど、それ以外は不明。シスに与しているのは確認出来るだけで10人近くはいた。」
「つまり、日本からの行方不明者の中に敵となった者が10人・・・。」
「うち3人は死亡しているから最低でも7人いる。」
そう言うと、父は唐突に私たちが突然いなくなった原因が何かあるんじゃないかと聞いてきた。
「50年前のアレは何だと思う?」
「さぁ?私たちにも分からない。誰が、何の目的でそんな事をしたのか、ジェダイオーダーの私の師であるマスターレヴィナスにも調べてもらったけど、そんな特異的な事例自体が銀河史上初の出来事だったから。」
「・・・そうか。」
それから、地球に戻りたいと選択しているが、不安でまだコルサントに残っている面々と元老院議員の紹介で、他の惑星に移り住む選択をした面々の話もした。
父さん的には、確認出来る面々の集計と無事を確認したいという要望があった為、その件は評議会を通じて話す事にした。
そして、父さんの目の前で現在の状況を火星軌道上で待機する艦隊で指揮するマスターレヴィナスに報告した。ホログラムを使った長距離通信に不安はあったものの、通信状況には問題は無かった。
『早かったな。接触出来たか?』
「はい。家族とも再会出来まして、咲那と一緒に過ごしていますが・・・・・」
『何者かの召喚から5年、地球では何年だ?』
「50年です。」
『・・・・・・。大分経っていたな。大丈夫か?それは』
心配するマスターを安心させようと、ホログラムの投影範囲を広めた。
「此方に座るのが、私の父、九條剛蔵になります。」
「九條剛蔵だ。娘が世話になったと聞いているよ。」
『・・・・・少々、御転婆娘だっただけだ。まあ、立派なジェダイマスターに育ったが・・・・・』
「そうか、色々話を聞きたいが本題に入ろう。」
『そうだな、シオンからの報告は?』
「聞いている。銀河連邦は・・・本当に其処までしてくれるのか?」
『非公式会談を行う必要があるが、万が一侵攻があればそちらの国家代表の同意があれば即座に軍を動かせる。』
「・・・・・日本は、昔も今も民主主義の国家なのだ。君らの存在を先に公表する必要がある。」
『ああ。同時に大亜細亜連合にくっ付いた独立星系連合の事も公表すればいい。』
「軍事面での支援は心強く思うが、上手く行くとも限らん。」
『政治とは、いつもそういうものだ。悪い流れにさえならなければ問題はあるまいよ。』
「会談するなら、何処がいいと思う?紫音」
父に言われて何処がいいか、軽く東京の地図を見て目立ちにくいだろう場所で都内からも近い場所を策定した。
「・・・・・・・・・・うーん、国防陸軍立川基地が良いんじゃないかな。マスターはUウィング支援機で来ますか?」
『その予定だ。加えて2分隊は手配する。』
「分かりました。それなら、更に欲を言えば夜間が望ましいかと。」
『機体を見られなくて済むな。』
夜間である上、レーダーにも映りにくいから変に報道機関にも悟られにくいだろうと考えていた。
『来る時はシオン、エスコートを頼む。』
「大丈夫です。咲那と迎えにいきますよ。」
それから、マスターは父、剛蔵を通して会談に向けてどうするかを話し合った後、3日後に父さんは、アポを入れて友人たちに会いに出かけていった。
そんな直ぐ入るものかと思ったが、父の友人だからと兄さん姉さん達は言っていた。
詳しい話をする為にも、私もと思ったが、父さんからは家でゆっくりしていろと言われ、クローン大戦時にライトセーバーで戦っていたという事を家族に話した時に敏子姉が興味を持っていた。
という事で、その日は九條家所有の道場に敏子姉とお邪魔した。
道場の師範は、父、剛蔵が取り仕切っており、敏子姉は師範代だというが、九條示現流なる剣術流派らしい。道場はかなり広く、5試合同時に出来る程広い道場であるが、既に多くの剣士が鍛錬に勤しんでいた。
「姉御、お疲れ様です。」
「師範代、お疲れ様です。」
姉さんが通るたびに鍛錬を辞めて頭を下げる剣士たち。男性も女性も関係無く、頭を下げているから上下関係はしっかりしているみたいだった。
「此処にいるのは、現職の警察官や軍人ばかりだから口は堅いわよ。」
「・・・それで、姉さんは私と一戦つかまりたいってところ?」
「そう言う事。胴着は無いけど、問題無いわよね?」
「だから、今日も私のあの服じゃなくてこっちの和装戦服なわけね。」
「まあ、そんなところね。」
そう言いながら、木刀を手に取る敏子姉。
私は自前の木刀など無いに等しいが、腰には一応持ってきていた、訓練用のライトセーバーがある。
「いいの?観客が多いけど、私の事がバレるよ?」
「言ったでしょ?口は堅いと。」
剣を置き、正座で座り、じっとこちらを見る面々。50人近くいるというのに、本当にいいんだかと思いつつ、腰に下げているトレーニング・ライトセーバーをフォースで手元に持ってきて、起動する。
「安心して、このライトセーバーは出力制限が掛かっているから斬れないよ。まあ、触れたらビリって来るぐらいかな?」
「へぇ~、それがライトセーバーって言うんだ。」
私は、目を閉じてライトセーバーを右手で構え、フォーム3のソレスの構えを取った。
フリーハンドのV字を人差し指と中指で前に立てながら構え、ライトセーバーを後ろに大きく引く弓矢を構えるような姿勢になるが、敏子姉は気合の籠った声と共に木刀を振りかぶってきた。
即座に防御・・・するのではなく、敏子姉の頭上を飛び越えて後ろへ。
斬り付けに行っては直ぐに離れ距離を取るが、敏子姉は即座に反応して激しく斬り伏せに掛かった。幾度と燕返しのような振り下ろしと振り上げの攻めをいなし、流したが如何せん、何処にそんな力があるのかと思いたくなる程の胆力があった。だが、フォーム4アタルを使ったフォースと全身の柔軟性によるアクロバティックな乱撃には、敏子姉も防ぐので手一杯になっていた。根本的に流派も無く、幾つかのフォームを習得し戦いに際して使い分ける戦い方をしてきた私にとって、戦い方は何通りも使えた。アタルによる飛び跳ねまわって全方位から攻撃を食らわすような斬撃にも大きな弱点がある。背中を見せやすく、空中では無防備になりかねないという事。だが、其処はフォース2マカシで補った。
激しい鍔迫り合いの攻防だけど、私にはまだ余裕があった。
何しろ、そういう命の取り合いを何度も経験してきたからだ。
まだ人を斬った事が無いだろう敏子姉の剣には、まだ迷いが見えた。
「なぁ、・・・あれって・・・」
「師範代が、押されてるってあの少女、何者だ?」
「というか、片手で相手してやがるぞ!」
敏子姉も、私が片手で相手しているという事に外野のヤジで漸く気付いたみたいで、一気に距離を離した。
「ねえ、本気で打ち合ってくれないの?」
「死合じゃないからね。本気で殺し合うような戦場にいた私と、まだ経験の無い敏子姉との差があるから。」
「じゃあ、本気を出させればいいわけね。」
「・・・・・。はぁ、分かった。」
言っても聞かなそうだから私は訓練用のライトセーバーを仕舞い、無造作に床に置かれていた木刀をフォースで引き寄せた。
「最初からこうすれば良かったかな?」
「なっ!?」
「何だ、今の!?」
「魔法の兆候が無かったぞ!」
「じゃあ、一体・・・?」
外野が驚き喚く中、私と敏子姉は両者構え、精神を統一させていた。
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・っ!」
先に動いたのは敏子姉。上段からの強烈な攻撃を私は両手で受け止め、受け流すと即座に背後に回り、振り向きざまに敏子姉の首に木刀を置いた。
「・・・・・・・・っかぁ~、ダメかぁ。」
両手を上げて降伏した敏子姉だけど、見ていた外野の面々は沸いた。
師範代という事もあってか、ほぼ無敗とも言える実力を持っていたらしい。
「まだ修行が足りないって事かな。こうなると、奥義とか習得していこうか・・・。」
「型がどうとは言えないから、何とも言えないけど・・・確かな実力がある事は分かったよ。」
「・・・紫音、ジェダイ的には私はどれぐらいなの?」
「・・・・・パダワン見習いぐらいかな?私の知るマスターたちは私よりも遥かに強く、戦いにずば抜けた実力を持っていて多くの知識を持つ人達だよ。だから、私もまだ鍛錬を続けている。」
「まだ、強くなる気?」
「私たちの敵は、想定を超えて来るかもしれない。なら、全力で抗う術を覚えなくてはならない。決して油断も情けもならない。」
敏子姉とそんな会話をしていると、
「師範代、こちらの子供は・・・。」
「ああ、伝えて・・・いや今伝えると・・・・。」
「何れ知れ渡るわけでしょうし、私としても今の日本を知りたいので構いませんよ。」
「ああ・・・んんん?良いの?」
「ええ、正式な発表まで口外しないと約束できるのであれば・・・ですが。」
「だそうよ、貴方達、出来るわよね?」
そう敏子姉が言うと全員が一様に頷いた。
「まず、初めに前提として私は50年前の人間である事、そしてある日より遠い銀河の彼方に飛ばされてから・・・というのが前提になります。」
「50年前?」
「どういうことだ?」
「警察関係者なら、今も尚未解決となっている魔法が絡んだのではないかと言われている事件があることでしょう。九條家の者が巻き込まれた・・・。」
「50年前・・・・・・もしや、2042年に起きた集団児童行方不明事件か!?」
「なんだ・・・その事件は?」
「とある小学校の生徒凡そ30名が突如として教室から消えた事件だ、当時はかなり騒がれたと聞く。魔法による広域移動実験に巻き込まれたとされているが、真相は闇の中だ。」
「まあ、なんと言われているかは置いといて、取り敢えず、私がその事件の被害者でもありますが、何が起きたか、魔法が絡んだのか、その辺りは皆さんの方が良く知っているでしょうし。」
「なんですと!?」
「九條家の・・・申し訳ありませんでした!」
さっきヤジを飛ばしていた面々が土下座で謝るのを見て、いいと宥め立たせた。
「私自身が言ってないのだから、構わない。だけど、人間性が出るから直した方がいい。」
「はい、分かりました。」
「大変申し訳ございません。温情に感謝します。」
「で、まあ色々有った部分を省くけど、私の所属は地球出身の銀河連邦のジェダイオーダーに属している云わば、銀河連邦の戦闘外交官・・・のようなものかな。」
実際、ジェダイの在り方については元老院でも問われている問題でもあった。
銀河の平和と正義の守護者・・・平和維持組織としての活動が主な任務だったが、クローン大戦を経て、その在り方に疑問を呈す議員が出ているのも事実だった。
各銀河、各惑星国家における外交官的な役割は元老院議員が行ってきた。だが、大戦が終わってからのジェダイは、元老院議員と同等の権力を有した存在と成り代わっていた。大戦時に施行した法整備によって得た権力とも言えたが、根本的には何も変わっていなかった。
共和国の平和を第一とすると謳いながら、共和国の腐敗は見逃し共和国民の貧困を見て見ぬふりをすることが今までのジェダイだったからだ。
この問題に関して最初に抗議の声を上げたのがかつてのマスタードゥークーだった。
腐敗した議員への取り締まりと称したある意味脅しのような事をするドゥークーのやり方はジェダイオーダーでは異端と見られた。だが、ドゥークーがジェダイオーダーを去った後、ドゥークーのようなやり方は、銀河共和国の平和において必要な事であると相次いで声を上げるジェダイが現れ、マスターレヴィナスもその一人だった。
議員の腐敗を見て見ぬふりをするジェダイと、議員の腐敗不正を取り締まり、元老院で公表し、議員にふさわしいかの裁可を取るという行動を起こすジェダイの2極化が進み、ジェダイ評議会が異端という認識を示す一方、元老院内における不正腐敗を是正しようという取り組みが議員内からも起きた。銀河共和国に加盟している国家ごとで起きた脱税や横領等の額は高額であり、その調査も一筋縄では無かったが、ジェダイに元老院から調査におけるあらゆる権限を付与した事で、取り締まりが強化され多くの腐敗が取り締まられた。逮捕された元老院議員も少なくなく、中には銀河共和国からの離脱に至った国家や組織もあった。だが、離脱した方に完全な非があり、経済支援しつつも担保に土地や人間を貰う方式で相手が返金出来ない状況を作り出すというあくどい手法で多くの被害者が続出した事もあった。関係者全員逮捕乃至送検される事態に反発に離脱していったのが、後に分離主義勢力に加担するインターギャラクティック銀行グループやコマースギルド、通商連合等であった。
奇しくも、共和国の負、悪い言い方をすれば共和国のゴミを見つけ出し叩き出すというドゥークーの思想が以後、多くのジェダイの主な仕事の一つとなった事は、当時、見て見ぬふりをし続けたジェダイオーダー、ジェダイ評議会の過失と言えよう。
現在は、加盟している国家、組織の監視、防衛の意味合いで連邦軍が存在するが、現地で唐突に発生する紛争鎮圧にジェダイの存在も不可欠としている為、現地対応と本部対応の2種の仕事をそれぞれ分けてジェダイたちが請け負っているわけで。
特に海賊が頻発しているアウターリムの取り締まりには、今も尚ジェダイの戦死者が出る為、戦争後の苛烈な紛争宙域とされており、鎮圧に逐次、軍を派兵する状況が続いていた。
また、元老院議員がジェダイ個人を評価している面もあり、特定のジェダイを指名して仕事を渡す場合もある。
今の私は、大戦中はそうだった。しかし今はどれにも当てはまらないが、私の星と国については親交のある議員方にはお話が済んでおり、元老院での根回しも進みつつあった。
本作品におけるクルーザー紹介 原作と多少異なります。
ヴェネター級スタークルーザー(アタッククルーザー) 通常時
全長 1142m
全幅 551m
全高 268m
武装 ヘヴィデュアル・ターボレーザー・タレット 片舷5基、計10基
ミディアム・ターボレーザー・キャノン 4基
ターボレーザー・キャノン 80基
重点防御用レーザーキャノン 48基
AV-7キャノン 片舷28基、計56基
ヘヴィミサイル発射管 前部8基
近接防御用マイクロミサイル発射機 艦橋下部16基
搭載機 ・クローンZ-95スターファイター 56機
・ARC-130スターファイター 36機
・LAAT/i 36機
・LAAT/c 20機
・AT-TEウォーカー 24機
・セイバー級ファイヤータンク 12機
・AT-RT 56機
・BARCスピーダー 48機
操縦要員 約7000名 (艦橋要員、整備要員、機関要員、砲手要員、艦内防衛部隊)
搭乗兵員 約2400名 (歩兵部隊、偵察部隊、隠密部隊)
艦隊旗艦や特定の部隊を含めた場合、搭乗兵員はその部隊+通常部隊となる。
ジェダイが搭乗する場合は搭乗兵員に上級偵察部隊や降下空挺部隊、機動歩兵部隊などが追加される。