剣士の帰還、ジェダイとなって調和を齎さんとす   作:アトコー

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連続投稿~


そういえば、紫音たちって転移したのが小学生ぐらいの時という設定なんですよね。
あれ、なんの試験が必要・・・・・?無ければ作ればいい・・・という方針で進めています。



有りました。


幕間 地球での暮らしと勉強と・・・・

 

私は取り敢えず、咲那と一緒に九條家にそのまま住み続ける事になった。

地球に来る事を望んでいた朝武さんと黒姫さんに加えて更識さんと直江さんも、昨日の増援部隊と一緒に合流した。

 

んで、問題の家族の方だけど、咲那の件もあったからどうかと思ったけど姉さんの伝手を使って調べてもらった。出るには出て来たけど、朝武さんの一家は朝武さんが行方不明になった後、引っ越し。しかし、国内で起きた事故に巻き込まれて一家全員が死亡という状態だった。黒姫さんの方は、私と同じく一家は存続していたけど、生きている情報を教えても無視されたらしい。向こうの家族にとって黒姫さんは既に死んだ者として扱われている状態だったので、私が母を伴って黒姫さんとその家を訪れたけど、死んだ者が生きて帰るなど縁起が悪いと言って聞かなかった。寧ろ、生きて戻ってきた黒姫さんに対し罵詈雑言の嵐。なんで生きて戻ってきたとか、あのまま行方不明の方が良かったのにとか、あまりの物言いにキレそうになったところで、母さんが黒姫さんを引き取ると言ってその場を後にした。

 

 

 

他二人も似たり寄ったりで結局4人ともうちの家に・・・・・・母の紹介で分家にそれぞれ迎えられた。各分家当主が呼び出されて、私を含む行方不明になった者の帰還報告から所属について、そして4人の住む場所について話し合われた。

その結果、九條家の分家としてある(というか、分家がある事すら私は知らなかった)常陸家、一之瀬家、結城家、山科家がそれぞれ引き取る事となった。

4人とも離れ離れになるけど、私たちの所属や身分を分かった上で迎え入れてくれるのは、九條家傘下ならでは、って事らしい。九條家と同じく日本の守護、主には天皇家守護を担ってきただけあって常陸家と結城家は守護武家、一之瀬家と山科家は清華家であった。

 

とはいえ、3年後に魔法科高校へ入学しようって話になると、皆憂鬱な感じになってた。

だって、私を含めて皆小卒ですら無いんだもの。

一応ジェダイ聖堂で一通りの教育は受けたのだけど、地球の教育は途中リタイアだから一からのやり直しってわけじゃないけど、どうなるかが分からないのだ。

その辺りの勉強の方も色々教えて欲しいところだけど、そんな心配は母さんが事前に話してくれたおかげで、それぞれの家の家族の方が対応してくれることになった。序に戸籍の方も更新してくれた。

とはいっても、役所の方で色々書類作成が面倒になるところを九條家の権力でねじ込んで、マスターの力も借りて地球時間では50年銀河連邦時間では5年の間コルサントに居た(居住地があるから強ち間違っていない)事になるように対応してくれた。尤も、私を含めて銀河連邦の要人扱い(地球出身だけど、所属上の問題で)なので、それら戸籍の方も地球時間で50年のところは省いて作成ではなく、生年だけ改竄という結果に納まった。(他の口裏を合わせる為)

 

 

魔法に関しての知識は四葉家の方で色々教えてくれることとなった。その時だけ他の4人を含めた6人全員が集まって四葉家本邸に泊まる事が決まった。

そうして始まった小卒認定資格に向けての勉強・・・だけど、過去問を解いた上で言うと結構簡単な感じがした。ただ、こっちの公式に合わせる必要があるってだけ。

小卒認定資格は一月と掛からない内に私も咲那も合格して資格を得た。次の中卒認定資格の方も似たり寄ったりでそこまで難しいって事は無かった。普通科の中卒試験過去問で問題になったのは社会と理科。咲那は国語と社会。覚えている知識ではどうしようも無くなった為、家に帰ってきた綾子姉や忠人兄を頼って教えてもらい、時には母さんにも教えて貰いながら過ごした。

 

まあ勉強ばかりだと煮詰まってどうしようも無いから、社会見学の態で全国の神社巡りを咲那と巡ったり、世界遺産を見て回ったり、息抜きしながら過ごした。

実際のところ3年も要らないのだけど、達也と深雪は3年後に魔法科高校へ入学することになっているという。ならば、それにうちらも合わせたら丁度良くない?って感じになって、小卒試験はなるべく早く、中卒試験は2年後に受ける予定となっていた。その間、何もしない訳にはいかないのだけど、世間一般に私たちぐらいの子供が学校にも行かずにいるというのは些か問題らしい。

身長は、5年前に比べて伸びた方だから大丈夫じゃ?って思うけど、ダメなものはダメらしい。息抜きで日本各地を巡った時に感じた目線はそう言う理由があったのか・・・・・と、反省しつつもその訳を探った。

 

「真夜さんの事件が原因?」

 

「みたいですね。国際交流の一環で行われていたのが、どうして此処まで・・・・・マスター!この記事を見てください。」

 

咲那と一緒にパソコンで調べている時に咲那から見せられた記事に納得した。

其処には真夜さんが誘拐されて奪還されるまでの間に日本中で小学生ぐらいの少年少女の誘拐事件が多発していたのだ。魔法師、非魔法師の区別無く・・・・・・幸いにも国外に出る前に全員保護されていた。成る程、この事件が過去に頻発していたなら、有り得る話だと。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

日本の地理と歴史に話を変えると、50年前と後では大きく変わっていた。

先ず、第一に日本に領土問題が無いという事。

 

50年前、日本国内の領土問題は北方四島や北千島、南樺太、尖閣諸島、竹島であった。だが、現在はそれらの問題は全て立ち消えている。日本地図でも2092年現在、全て日本国の領土となっていた。これら一連の領土問題を解決したのが第三次世界大戦によるものだと記載されてあった。

 

 

「第三次世界大戦で、ロシアは日本に侵攻!?」

 

「何がどうなって・・・・・っえ?」

 

それは2055年頃に起きた事件から始まっていた。

2055年にロシアはベラルーシを吸収し、ウクライナに対し再び侵攻した第二次ウクライナ戦争が発端とされていた。

第一次の2020年頃に起きたウクライナ戦争ではNATOを含む諸外国の支援もあってロシアに不当に取られたクリミア半島も奪還して侵攻してきたロシア軍を追い出して終結した。(裏でロシアが核搭載大陸間弾道ミサイルをキーウに向けて放ったが、NATO連合によって全弾迎撃され不発に終わったとされている。)

その後ウクライナはNATOに加盟したのだが、2055年に状況が一気に変わった。ベラルーシの大統領が政変により消え、ロシアに合併吸収された1か月後にウクライナを電撃的に侵攻。軍や周辺国が対処増援を出す前にウクライナはクリミア半島以外の全土を失い、最後まで抵抗を続けたクリミア半島のウクライナ軍が全滅した後、ロシアが吸収した形となった。ウクライナ侵攻から僅か3カ月の事だった。あまりにも電撃的過ぎてベラルーシの政変にもロシアが関与していると思われていたが確かめようがなかった。

 

そして、ロシアは予てからの計画であった日本、北海道侵攻を発動し極東に部隊を集結させて一気に侵攻を謀った。

だが、ウクライナ戦争から数か月しか経っていなかった事と、極東ロシア軍だけでは北海道を征服出来る程の戦力を持ち合わせていなかった。

ロシアは第二次世界大戦時に奪えなかった領土を奪うと宣言して北海道に侵攻したが、海路を渡っていく本軍と北方四島から進軍する陽動との足並みが揃わなかった事に加え、事前に侵攻される可能性を予測していた日本国防軍北部方面軍によって防衛線が敷かれ、北方四島から侵攻してきた部隊は水際防御で壊滅させると、本命の艦隊の方は舞鶴から出撃した国防海軍艦隊と国防空軍対艦攻撃隊による対艦ミサイルの飽和攻撃により、排他的経済水域を越えて侵攻中のロシア艦隊並びに揚陸艦隊を全滅に追いやった。

戦闘後に救助活動はしたものの、攻めてきた時期が冬だった事もあって助け出された兵士は僅か数名に留まった。

 

日本政府はロシアによる宣戦布告無しの軍事行動を痛烈に批判しながらも宣戦布告をしロシアが宣言したように日本も第二次世界大戦時に奪われた領土を奪還すると宣言を世界中に発し、北方四島、千島列島、樺太を次々に奪還。

住民の生活を保障した上で、奪還した地域を北海道に組み込んで戦闘終結を宣言した。

一方、ロシアは北海道侵攻に失敗した挙句、極東ロシア海軍の全戦力を喪失し、加えて侵攻部隊5個師団が海中に没し、北方四島、千島列島、樺太を奪われて黙っては居なかった。

 

日本に向けて手持ちの弾道ミサイルを日本に向けて第一陣を発射。それに合わせて核搭載弾道ミサイルも数発発射していたのだが、全弾ロシア上空で撃ち落とされただけでなく、核搭載弾道ミサイルの核弾頭がウラジオストク、カムチャツキ―の上空で何故か高高度核爆発が発生し、両都市のインフラが完全に破壊され、日本侵攻どころでは無くなった為、日本とは一時休戦となった。(両都市は日本侵攻の為の重要な大都市で、陸海軍基地が各所に点在していたのだが、高高度核爆発により一斉に通信不能となった。民間の回線も破壊され状況を自らの足で確認しに行く必要が出た上、状況報告に往復している為人員が必要となり、侵攻軍からも人員を割いてインフラの復旧に対応しているという。)

その後、樺太に日本政府の支援を受けながらユダヤ人国家を改めて建国した。(第二次世界大戦時にも建国したが、ソ連軍の侵攻を受けて国内や国外に逃げ延びていた。)

中東にもイスラエルというユダヤ人国家が樹立していたが、アラブ諸国との深い対立から幾度と戦争が起きていた。

 

竹島に関して言えば、旧大韓民国が唐突に権利放棄した事で国有化出来たのだが、その背景には大韓民国の上の国家、旧朝鮮民主主義人民共和国による旧大韓民国への侵攻が秒読みになっているという危機的状況下で領土問題、離島保全にまで手が回らないと判断した時の大統領が放棄したとされている。権利放棄に当たって、日本国首相はしっかりと放棄に関する書類に署名させ以後竹島に関して言及しないと約束事を条件に軍事侵攻を受けた旧大韓民国への食糧支援等を行ったが、結局統合され大亜細亜連合高麗自治区となってから竹島問題を向こうは取り上げたけど、国際社会からは、前政権による移譲は正当なものであり、ソレに関する書類も日本側が厳重に保存してあった事もあって高麗自治区の竹島が自分の領土であるという言い分が聞き入れられなかった。日本国内では竹島問題は無いものとして扱われている。実効支配せんと高麗自治区軍が竹島に軍を派遣する度に追い払われ、若しくは海の藻屑となっていた。

 

尖閣諸島に関しては色々問題が重なっていた。

が、第三次世界大戦で大きく変わった。日本側の強気な姿勢が尖閣諸島の領土問題を大きく変えたとも言える。

台湾は少年少女魔法師交流会における事件を防げなかったと日本に対して引け目に感じており、大亜細亜連合も、日本による次の攻撃(四葉、九條家による報復後)に対する備えも無かった事もあり、尖閣諸島の領土を放棄した。その為、尖閣諸島周辺には貴金属や石油等のプラットフォームが点在しており、周囲を国防軍と沿岸警備隊が防衛している。

 

 

 

そもそもの話。

日本がこんなにも体勢を整えてあるのは、第二次世界大戦のおかげでもあった。

第二次世界大戦時、日本は当初は枢軸国であった。

日独伊三国同盟を結んでいたものの、ナチスドイツによる激しい民族浄化、ユダヤ人への迫害状況を重く見た時の政権が三国同盟を破棄。枢軸国(特にナチスドイツ)から距離を置く姿勢を見せた。

この行動には、周囲のアメリカを中心とした連合国は困惑したという。樺太にユダヤ人国家を建国し、疎開してきたユダヤ人保護を掲げながら、平行して太平洋共栄圏をしっかりとした形にしていく等と対応を取った。(太平洋地域の連合国植民地を次々に解放して政治家等を釈放し、国家樹立を支援した。)

 

これに面白くないと思ったのが、枢軸国寄りの陸軍過激派だった。クーデターを画策した過激派だったが、海軍によって計画は外に漏れ、強行される前に主要閣僚を皇居に避難させる等対応を取った(主要閣僚は退避出来たが、副首相や副大臣が犠牲になった)。

そうして、陸軍過激派を国賊と認定させた海軍は、陸軍穏健派と手を組んで過激派を討伐した。その後、海軍主導で御前会議を開き、イギリスと単独講和を果たした上、日本軍の欧州派遣。つまりは日英同盟の復活を成功裏に収めた。日英同盟の復活により、日本と連合国の激しい戦闘は珊瑚海海戦を最後に小康状態となり、その後本格的な海戦は太平洋地域では無くなった。強いて言えば、独領の小型艦船による海賊討伐を日本と連合国の両艦隊によって壊滅させたぐらいであった。

 

そんな過去があって、第二次世界大戦では戦勝国では無いが敗戦国でも無かった。連合国を主導したアメリカの要請に従って戦争が終わる直前に突然ソ連軍が南下。北海道や満州国を手中に収めんと軍を推し進めたが、国境守備防衛部隊によるその身を犠牲にした戦いを前に失敗。その間に満州国では態勢を整えた満州国軍と日本軍、進駐してきた連合軍が防衛部隊を破って突入してきたソ連軍と鉢合わせし、アメリカ軍を主力とした連合軍と敵対する事を嫌ったソ連はそれからの戦闘を中止。北海道への侵攻も、千島列島、北方四島へは進軍出来たものの、其処に至るまでに大量の犠牲を払っておりそれ以上の侵攻が不可であった為、断念した形となった。

(史実と大いに違う為、この世界で原爆が最初に落とされたのはドイツであり、日本ではドーリットル空襲は経験しているが、東京大空襲を経験していない。したがってミッドウェー海戦も起きていない為、欧州派遣に当たっては日本の空母6隻、大和型戦艦2隻を含む機動艦隊が派遣されている。)

 

 

 

その後、第三次世界大戦後にベラルーシ、ウクライナ、カザフスタン、アルメニア、アゼルバイジャン、ジョージアを吸収し新ソビエト社会主義共和国連邦となった。新国家、新政権樹立後日本への侵攻はぱったりと消えているが、交流は無い。が、新ソ連内では大統領による強権的行動が祖国を戦争に導いた結果、今の諸外国の対応であるとして大統領制を廃止。連邦政府のトップは首相となっている。

 

 

 

尚、現在の日本軍には武家の色がまだ残されている。

主な理由は第三次世界大戦時に登場した義勇軍として参戦した島津、三好、伊達の武家一団の存在だった。国防軍が護りに徹する中、攻めに徹したのが武家の一団だった。なし崩し的に国防軍が後を追うような形に何処の戦線でもなったのだが、特に強かったのが島津軍だった。島津から約3000人が参戦し、幾つかの戦線で孤立する状況に陥ったかと思えば、敵陣地を内側から食い破って崩壊させ、敵の指揮官を幾度も捕らえて敵軍を降伏させたりという文書だけでも異常な程の活躍をしていた。戦争の推移の間に次々に日本に残っていた武家が名乗りを上げながら参戦した結果、武家が日本を護ったような状態となり、国の体制の為にもと、幾つかの武家一団が軍に編入されたという。

先の大亜細亜連合高麗自治区軍による対馬侵攻でも西部方面軍島津隊の活躍により国防軍の被害は最小に留められた。しかも魔法師の出番が殆ど無かったというのだから恐ろしい。

この時、ある人物はこう呟いていた。

 

「彼らが敵ではなく味方であった事を幸運に思いたい。魔法が一番だと思っていた過去の自分を殴りたいと思う程に・・・・・」

 

その人物は、後にトリックスターと呼ばれるようになる人物だが、武家現当主陣主に島津の前当主には頭が上がらないらしい。

 

「知らないところで日本が凄く変わっていたんだけど」

 

「・・・その、今までの知識にあった日本が日本じゃないような気がしてきました。・・・・・そういえば、紫音さん。クラスメイトにも島津姓の方が居ませんでしたか?」

 

「・・・・・・・・・ええ、居たね。」

 

名を島津歳弘。クラスメイト一の剣術馬鹿。

親から木刀一本で北海道の山の中でサバイバルをさせられたらしい過去を持つ結構ヤバ目な奴だった。フィジカルの強い奴だったからサバイバル技術を駆使して何処かで生きていると私は思っている。ただ、発見に至っていない。

 

「彼は・・・・・・あの頃からヤバかった気がするけど、咲那はどう?」

 

「申し訳ありません、殆ど記憶に無くて。毎日朝早くに校庭で木刀を振っていた・・・ぐらいしか?」

 

「変人だね。」

 

「変人でした。」

 

彼がどうしているかはさておいて、この九條家も第三次世界大戦後に台頭した武家の一つだった。魔法師よりも、魔法を持たない非魔法師が修練を重ねれば魔法師以上の力を手に入れる・・・・・・かもしれないという事実は、魔法師業界では衝撃的だったという。

また、魔法師が所かまわず魔法を行使して兵士に被害が出なかったかと言えば、全くないとは言い切れず、少なからずの被害に厳正な対処を求めた軍と十師族とで対立関係にあり、この頃から軍の、特に十師族関係には嫌悪感を示す一方軍に属する魔法師を優遇するような措置が見られ始めた。

魔法師コミュニティで冷遇された者が軍では優遇されるという光景も珍しくなかった。

現在、国防軍で魔法師を含めた部隊運用をしているのは第1空挺団、第3空挺団、第1師団だけである。

 

「精鋭部隊と首都防衛部隊だけ・・・か。まあ人数が少ないというのが難点ってところよね。」

 

「そう言えば、紫音さん。この世界ではCADなるもので魔法を行使するそうですよ。」

 

「へぇ、学ぶ機会の時に触れさせてもらおうかな。」

 

 

中学までの卒業認定を小卒認定資格の1年後に取得した後に一足先に四葉邸で試した2人。だが、思いもよらない事態が待っていた。

 

「!?・・・・・そんな・・・・」

 

「・・・・・っ!なんでっ!?」

 

試しにと渡されたCADを使って何時ものように魔法を行使しようとしたが、うんともすんとも言わなかったからだ。

CADを外せば、問題無く行使出来る魔法がCADを介せば全く使えないというのは、これからの学校生活上で致命的な問題だった。

 

「ふむ・・・・・恐らく、お二人の演算能力と干渉力が御強いのですな。CADが対処仕切れない程の干渉力ですか・・・。」

 

そう答えたのは四葉家当主筆頭執事の葉山さんだった。

常備されてるCADでは普通に扱えないだけの干渉力と魔法演算能力を2人は知らず知らずのうちに持っていた。いや、約5年の戦争の間に手にした力であった。

 

その後、合流した他の4人も同じように上手く扱えず、無理矢理発動しようとさせて黒姫さんはCADを破壊するという暴挙を引き起こした。(CADに込めた魔法力がCAD本体の処理能力を超え、内部自壊を起こしながら壊れたというのが真相だが)

備品の一つを壊した黒姫さんには反省するように伝え、持っている貯金から差し引く旨を伝えた。

 

此処で、一つ伝えておくと、銀河連邦のお金『クレジット』と日本のお金『円』を還元するに当たっての為替相場というのが、1週間前に決められた。

それが、1クレジット=100円であった。

四葉家所有の壊したCADが45万である為、4500クレジットを還元して葉山さんに渡した。因みに私を除いて5人の貯金は平均して約50万クレジット、日本円にして5千万円という訳で、実際にはそんなに痛手じゃなかったりする。

 

では、私は?

 

答えは・・・・・・計算したくない。けど、概算だけ言えば、ヴィクトリー級スターデストロイヤーを5隻は個人所有出来るぐらいには持っているとだけ言っておく。

 

それはさておいて、魔法式やらエイドスやらサイオンやらプシオンやらを考えないで、フォースと似たようなものと位置付けて日々使っていた私たちからしたら、あまり混乱せずに受け入れる事が出来た。

サイオンは自身が持つ魔法力のようなもの、プシオンは自身の持つ魔法力を行使する為の媒体・・・フォースに近いがフォースと異なる存在と分けて考えるとしっくりくる。

私たちジェダイが使うフォースは、サイオンやプシオンと言った事象とそれらを媒体して使う機器を必要としない。自らの意思の力を通じて引き出された精神的能力の側面が強い。そして、自身のフォースの力量(この意味でいえばサイオンと似ている)に加えフォースのエネルギーを直接周囲に影響を及ぼす事が可能だった。

その点、フォースの二番煎じ的な扱いになっていた魔法というのは、フォースでは出来ない、対応できない事を補うモノという考え方が強く、系統魔法で言うと移動魔法(大体フォースで代用していた)以外の4系統7種をフォースとは異なる『魔法』を使って対応していた。寧ろフォースで対処しているものの多くは此方で言う系統外魔法に近い。心霊・精霊魔法とまでは行かないが、似たようなフォースがリビング・フォースだ。また、マインドコントロールやフォースの霊体のようなモノも此方で言う系統外魔法に分類されるのではないかと思う。

結局のところ、CADの使用方法や起動式に関しての説明を受けながら、四葉家は私たちが扱えるCADの開発を四葉家が出資した企業に開発依頼を出していた。

既存のCADでは処理しきれないという問題解消の為に、私からも貯金から300万クレジット、日本円にして3億円近くをポンと出資した。

無論、ポンとお金を送った瞬間に葉山さんが飛んできて、本家で真夜さんと深夜さんからそんな金額を簡単に渡すんじゃないと説教された。金銭感覚可笑しくなっているからか、怒られると思って、少なかった?っと聞いたら、多すぎ、と怒られた。

尚、家に帰ったら母にも怒られた。

有り余った貯金を少し使っただけだと、反論したけど仮に自分のCADを得る為の投資だとしても初期投資額が多すぎるとのこと。

金銭感覚が鈍った私には、母から今の経済状況や株価為替についての話があった。成る程、いきなりこれだけの金を一人で投資すれば買収などを考える・・・と。銀河連邦では有り得ない事が日本ではあり得る事実を私はまだよく理解出来ていなかった。

 

 

それから本家で色々教えてもらっていながら、私が扱える魔法には本家地下練習場で使えるものと練習場以上の大きさの会場での使用でないと問題が発生するものの二つに分けられた。地下練習場で使える魔法の多くは防御魔法、障壁魔法、精神干渉系魔法であり、それ以外が領域魔法に属するであろう領域干渉系魔法、戦略級魔法に値するであろう魔法だった。その為、

 

「それでは、お嬢様と御子息様と一緒に巳焼島に行かれてはどうでしょうか?」

 

「確か、深雪がニブルヘイム習得の為に来週行くんだよね。」

 

「はい、その通りになります。」

 

「2人が一緒に来ていいと言うならば・・・」

 

そう言ったところで、扉がバンっと開いた。

 

「紫音御姉様もいらっしゃるのですか!?」

 

「深雪、もうそんながっつくような事しちゃ駄目よ。」

 

深雪が飛び出して来たかと思えば、私の元に飛び込んできた。

遅れて達也が、少し頭を抱えながらも合流して深雪を引き剥がしてくれた。

 

「あっ、ごめんなさい御姉様。」

 

最近になってだけど、達也にフォースを扱う資質がある事に気付いた。

深雪も有るにはあるのだけど、達也と比べると深雪の方は扱うには長い修練が必要になりそうだった。其処は、咲那が師事するようになった。一人の弟子に一人の師というジェダイの掟に従えば、私が達也を、咲那が深雪を、それぞれフォースの師事をするようになって、達也は短期間で魔法を使わずに物の移動にフォースを使って行う事が出来るまでに成長していた。深雪は、まだ手で持つ事が出来るぐらいの軽い小物を少し動かす程度だった。だけど、フォースの瞑想をじっくりとしているからか、魔法に関しても応用が聞いて最近は上手く魔法を行使出来るようになったと聞いていた。

 

私が巳焼島へ行く事に反対は無かった。寧ろ、領域魔法で私が使う魔法が観たいというのが深雪の考えで、達也は最近、エンジニアのような事をし始めていた。

というのも、CAD開発の知識に長けた達也は新型CAD開発の為にFLTの開発部署で研究員として所属しており、私や咲那、他のジェダイメンバーが思うようにCADを使えないのに、CAD無しでは普通通り使える事を気にかけており、私たちでも扱えるCAD開発に取り組んでいた。

 

無論、達也は自分のCAD開発の傍らその開発をしており、時折フォースの修行に支障が出ている為、無理矢理にでも休ませたりしている。

魔法の勉強をしていない間は実家で過ごしているのだけど、深雪が来たいという事で九條家本家で過ごしたりもしている。

そうこう過ごしている間に、司波深夜さんが体調を崩された。

 

元々、かの事件で心に深い傷を負った姉の四葉真夜の精神的ダメージを精神構造干渉で緩和し続けて、真夜さんとの関係を悪化させた為に数々の四葉家の仕事の過程で精神構造干渉を過剰行使した結果、一気に身体を壊し、療養生活を送っていた。沖縄で咲那がマッサージをしてから幾分か良くなったものの、分家で療養していた深夜さんは姉にした罪悪感から自分自身に精神構造干渉を行使して一時意識不明の重体に陥った。

四葉家お抱えの病院に緊急搬送されたが、深夜が抱えている闇の一端に自分が過去に妹を詰った事が原因だと真夜さんは悟っていた。また、元造さんも娘姉妹が抱える問題に対してどう接すればいいかと考えながらも中々切り出せずにいた中に起きた事件だった。

 

事態を聞いて飛んでやってきた私たちの中で何が出来るかと言えば、こういう事態にも慣れた咲那の出番だった。

ジェダイでも少なからずあったのは戦闘ストレス反応(CSR)や戦闘疲労による神経症、心的外傷後ストレス障害(PTSD)だった。精神的に未熟だと言う高位ジェダイも少なくなかったが、クローン戦争のような大規模戦闘を今までに経験していないジェダイが多かった為、それに対する対処法が無かったとも言えた。ヒーリングフォースや心理療法と言った癒しの技を使えるジェダイたちでも対処に困った事象だった。(聖堂爆破事件後は聖堂従業員からもPTSDの症状が出た為、対応に追われていた。)

そんな中、多くのジェダイや従業員のヒーリング対応を行っていたのが咲那であった。

戦場では多くのトルーパーたちの治療対応をして数多くの経験を踏んできただけあって、何を最初にすべきかが、咲那を含む一部のジェダイだけが分かっているような状態だった。

カウンセリングから処置から、事後対応の指示まで咲那は医療班の中では下の上の地位にあったが、知識量は上の中ぐらいあった為、対応指示は的確だった。

 

そして、今回も咲那が深夜さんの治療にヒーリングフォースを用いた治療を施した。

母が倒れたと聞いて魔法の練習も中止にして飛んできた兄妹に真夜さん、元造さんらが見守る中、咲那が施したヒーリングフォースは、咲那だけが扱える精神干渉系魔法を併用して行使された。ただ、時間を要する上、非常に高い集中力を必要とするため、施術中は立ち入り禁止、緊急時以外の会話禁止として対応していた。

3時間と長い時間、魔法とフォースを交互に行使するというのは従来では考えられないやり方だが、そのやり方で回復後復帰した者を多く見て来た私は咲那の背を押すぐらいしか出来なかった。

3時間の治療を終えた咲那は、手始めに真夜さんを呼び出した。汗だくになった咲那の額をタオルで拭いながら、状態を説明していた。

 

「現状は深夜さんの体内魔法力の治癒と精神的に負荷を掛けていた問題の遺物は取り除きました。ですが、根本は変わっていません。」

 

「・・・・・そう、ありがとうね。」

 

妹の容体を聞きながらそう呟いた真夜さん。だけど、私は直ぐに気付いて部屋から出た。

咲那のフォースが揺らいだのだ。

 

「正座してください。」

 

「・・・・・えっ?」

 

「正座。」

 

「えっ、ちょっと?」

 

「せ・い・ざ!」

 

お怒りモードの咲那による説教が始まった。

実の姉妹同士ならどうして助け合わずにそうギスギスするのかと、深夜の行った魔法に不満があるなら真正面から話し合って言うべきだというのにどうしてそう詰ってしまうのか、大事な妹ならしっかり話し合わないといけない筈だと、その上で深夜さんが自身に精神構造干渉を行使するという自殺行為によって死ぬ一歩手前までの状態になったというのにどうしてそんな態度しか取れないのかと、怒りが爆発した咲那はヒートアップ。

心当たりしかない真夜さんは顔を背けつつも、深夜さんを眺めていて極めつけに咲那は言い放った。

 

 

「仲直りするまでご飯禁止です。」

 

「えっ!?」

 

「深夜さんは病人なので食べさせますが、関係を拗らせた真夜さんは罰として晩飯抜きです。」

 

「そんなっ!?私四葉家の当主なのよ、」

 

現当主である事を伝えた真夜さん、しかしそんな事を言っても・・・・・

 

「家柄と妹さん、どっちが大事ですか?」

 

「それは・・・・・妹に決まって・・・・」

 

「なら、分かりますよね?」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・」

 

そう言って部屋を出た咲那は、言いたい事は言ったと満足げにしながらも座っている私に寄り掛かって座った。

唖然とする面々を余所に一仕事終えたという咲那は私に寄り掛かったままウトウトし出しているのを見て、昔と変わらないなぁって思いながら

 

「先に帰りますね。咲那がお膳立てはしたようですし、後は本人次第でしょうし。」

 

そう言って私は咲那を横抱きして家に帰った。

 

 

 

その後、達也経由で仲直りした事を聞いた。咲那にお膳立てされて、本当に使用人の葉山忠教によって晩飯抜きにされた真夜さんは深夜さんが起きてからも甲斐甲斐しく看病していたらしい。(真夜さんは当主であることを理由に脅したらしいが、葉山さんがでは、咲那殿に報告しますか?と聞いたところ、ウっとなって何も言えなくなったそうだ。)

どのような会話があったかは分からないけど、結局は互いを大事に思うがあまり考えと行動が突っ走る姉妹だったとしか言いようが無かった。

自ら行ったとはいえ、酷使した身体を元の状態に治せたわけでなく、また療養して治していく必要があり、互いに支え合っていく必要性を確かめていた。

と、同時に話題は息子娘の達也、深雪の話題になりながらも、四葉家の中でもまだ達也に関しては家内に敵が多い事を問題視していた。切実に感じる深夜さんは高校入学を機に改めて学校に近い家を買う方針で固めた。ただ、真夜さんは達也を溺愛している節もあって、別居する事に反対し、遊びに行くとまで言い出す始末。身分を明かす訳にも関係性を周囲にばらす危険性も考慮してテレビ電話で我慢しなさいと、深夜さんに言われていた。

尚、事態を聞きつけた私の母、由香里さんに2人共々家に連れていかれて説教を受けた挙句に2人纏めて母さんは一緒に寝たとか。既に、大人だからという2人の言い分は母さんにとっては娘同然だからなのか通じず、まあ由香里母さんが2人にとっての母代わりであった事も大きな理由だし、アノ事件後も2人の世話をしてきたのも母さんだったから、今回の事はかなり・・・・・。

 

次の日の朝、起こしに行った達也が普段表情を変えない顔が、驚くほどに変わったというか目を白黒させて驚いていたような事態になった・・・というらしいから余程なのだろう。(由香里母さんに言われて起こしに行ったら、普段から険悪な関係にあった真夜さん深夜さんが抱き合って寝ていたのを目撃して、2人が起きるまで・・・・・いや、起きてから2人が達也を確認しに行って尚も動かない事に気付いて確認すると、立ったまま気絶した達也に真夜も深夜も互いに笑みを零しながら、二度寝しようと達也をベッドに引き込んで挟んでもう一回寝ようとしたところで母さんに見つかって揃って朝から怒られたとか。)

 

 

 

第一高校入学への準備としての試験までには、私や咲那たちがなんとか扱えるCADも達也を含む研究チームが開発してくれていたが、それでもまだ足りなかった。まだ反応速度が遅いと感じる程に・・・・・だけど、達也はめげなかった。寧ろやる気を出して研究に勤しむ傍ら自身の勉強も熟していたのだ。達也の魔法に関する知識は非常に高く、私がフォースについて教える反面、私から達也に魔法知識を教わるような関係でもあった。

達也にその素養がある事はマスターにも教えていた。その事もあってか、家にもう一人のマスターが時々訪れるようになった。

 

 

「様子を見に来たぞ。」

 

客人が来ていると和室に向かうと其処には見知った顔があった。

 

「マスタードゥークー、よくいらっしゃいました。」

 

「ああ。・・・まったく、君が言っていた事は正しくその通りであったな。」

 

マスタードゥークーが言っているのは、この国の政治家たちに対しての事だった。

 

「魑魅魍魎とは言い得て妙。だが、共和国時代の議員らに比べたら大分マシだな。」

 

「世話を掛けます。」

 

「何、君があの計画の協力者であるが故だ。レヴィナスもそうだが、よもやオーダーを欺くとはな。」

 

あの計画については・・・まだ詳しく話せない。咲那にさえもまだ話していないのだ。

 

「マスターヨーダもそうですが、どうも優柔不断なところがあるので、臨機応変に対応出来る面々で仲間を増やしているところです。」

 

「現状、後は誰だ?」

 

「マスタースカイウォーカーとモールだけです。」

 

「モール・・・か。信用出来るか?」

 

「現在は、大使館駐留のガードリーダーとして加わっていますよ。」

 

どうやら、ドゥークーはモールの現在について知り得ていなかったようだった。

 

「何?それは気付かなかったな。彼も強くなった証拠か。・・・・さて、本題に入ろうか。君はどう思う?」

 

「彼の事ですね?」

 

「うむ。本来ならジェダイオーダーにというところだろうが、如何せん・・・育ち過ぎている。アナキンが聖堂に来た時よりも成長しておろう?」

 

「ええ、来年には高校生に。私も咲那も高校生として入学する予定です。」

 

「ミディ=クロリアン値の値はどうだった?」

 

達也、そして深雪にはフォースの素質があると分かった後、血液を採取して鑑定に出していた。その結果が届いていた。

 

「平均的なパダワンたちと同じぐらいの量はあります。」

 

「ふむ、今ぐらいの歳でそれだけ残っているというのは珍しいな。他にも居そうか?」

 

「今のところはこの2人だけです。魔法科高校に入学して素質のある者が居れば、接触しますか?」

 

「いや、それでは余計な混乱を招きかねない。紫音の判断で行わず、フォースの素質のある者は、私かレヴィナスを通して教えよ。」

 

「分かりました。調べるぐらいであれば私の判断でも?」

 

「悟られるような事のないようにな。・・・ところで、咲那君はどうしている?」

 

この部屋に居ない咲那について、マスタードゥークーは聞いて来ていた。

 

「咲那は、優姫と一緒に四葉家で過ごしていますよ。どっちかと言うと、母性を求めて、というところでしょうか。」

 

「・・・母性・・・か。」

 

ジェダイの道を選んだ以上、家族と引き離されてジェダイ聖堂で過ごす時の多い事となるのだが、如何せん厳格な掟の中でその掟を掻い潜って過ごして来ただけあって、私の家族の親戚という形ではあるが、2人は真夜さんとは仲がいいみたい。

更に真夜さんも、そんな2人に気分良くしているのは、普段からというより、四葉真夜で定着した意識というのは十師族としての四葉真夜として畏怖の対象となっており、肩身が狭いような思いをしている事が多かった。親として、達也に触れる機会を周囲の達也を認めない分家によって奪われた結果でもあった。そんな中、咲那と優姫は共に家族を50年の間に失い、親代わりとなる存在があってもどうも何か違うようで真夜さんと一緒にいる方が、気分が良いのだとか。そして十師族のではなく、個人として四葉真夜と見る2人を悪く思っておらず、寧ろ達也や深雪と同様娘のように可愛がっている現状があった。

まあ、私も母さんや姉さんたちに甘えるのだけどね。

 

「厳格な教えを以って言うなら引き離すべきというところだが、今は大分変ったからな。・・・・・・ほどほどにしておくといい。」

 

そうは言いながらも、マスタードゥークーは元気そうである事を喜んでいた。

マスタードゥークーが復帰後、ライトセーバー戦の肩慣らしで私と咲那で何度もドゥークーと戦ったが、果たして本当に長期に渡ってカーボン冷凍されていただけだったのかと疑いたくなるほどに強かった。何人ものダークジェダイを倒して退けて来た私でさえ、マスタードゥークーにはかすり傷を負わせることも出来ずに敗れた。ジェダイ公文書館のデータにあった『恐るべきジェダイ』というのは誇張し過ぎという訳では無かった訳だ。

一通りの話が終わった頃、襖が開いた。

 

「難しい話は終わったかしら?」

 

そう言って入って来たのは母さんだった。

 

「コルサントってところからのお客さんでしょう?遠いところからお疲れ様です。良かったらどうぞ。」

 

そう言いながら、母さんは和菓子と熱い緑茶を置いていった。

 

「これは?」

 

「日本の伝統的なお菓子と言ったところかな。和菓子と呼ばれているけど、これは練り切り?」

 

「そうよ、日本の四季に合わせて2つずつ。御口に合えば、こちらの最中もどうぞ。」

 

置かれた練り切りは、桜、春の山、花火、鈴蘭、菊、紅葉、蕗の薹、雪中花と最中は白餡の俵最中だった。

 

「練り切りは紫音の好物だった筈だけど、今も変わらないよね?」

 

「久々過ぎてどうだったか忘れていたよ。繊細な甘味だから丁度いいんだよね。」

 

「ほう?どれ・・・。」

 

ドゥークーは、練り切りに舌鼓を打って気に入られたご様子だった。小さいというのも丁度良かったのかもしれない。その後、大使館でも密かなお茶と和菓子ブームが巻き起こったとか。

ドゥークー派閥のジェダイは、その多くがオーダー脱退後にドゥークーの後を追ったが、その殆どが偽物のドゥークーに良い様に使われ戦争の最中か賞金稼ぎの標的とされて命を落としていた。その為、オーダーに再び戻ったドゥークー派閥のジェダイは限りなく少なく、そしてドゥークー自身もあまり居場所が無かった。だが、ドゥークーの善き理解者であり古い友人だったレヴィナスがドゥークーを誘ってこの地球へと職員の一人として連れて来ていた。主に政務外交を務め、レヴィナスが軍務外交と分かれて仕事を熟していた。

大使館職員として来ているジェダイは、殆どがレヴィナス派閥のジェダイだった。レヴィナスの弟子やその関係者、弟子が持ったそのまた弟子など多くのジェダイが来る事にならないように選抜して連れて来ていた。その中にはレヴィナスの友人であるドローリグの部下(テンプルガード)も含まれていた。

 

「掟を気にせずに学ぶといい、此処にオーダーはない。評議会の介入が無いように此方で調整しておく。」

 

「なるべく介入させないように動きます。魔法については非常に知りたがっている方もいらっしゃるわけですしね。」

 

ドゥークーは深い溜息を吐きながらも頷いた。その人物とは、パルパティーン最高議長である。現状、ダークサイドのフォース等の知識情報はドゥークーを介して得ていた。コルサントにいる間は、パルパティーンの半ば弟子的な立ち位置だった。ダークサイドの知識を得る代わりに魔法について、パルパティーンに教える。そう言う関係でやってきていた。

 

マスタードゥークーは、お土産に和菓子の詰め合わせを得ると、少しは気分が良くなったようで、来た時よりも穏やかに帰っていった。

 

 

 

高校入試まで、後一月という時期に起きた来客だった。

 




緑茶と和菓子って何でも合うと思うのですよ。

ただ、試した事が無いのは、どの和菓子とどの銘柄の緑茶が相性が一番いいかってやつですね。どれも食べても同じだったりして。けど、少し気になりますよね。休みの日に巡ろうかな。書いてて食べたくなった作者です。
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