剣士の帰還、ジェダイとなって調和を齎さんとす   作:アトコー

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最近、温かくなったり寒くなったりで身体の調子がおかしくなりそうな状況が続きますね。


作成していた文書が保存し忘れで消えるというハプニングを経て、投稿を継続していきます。


幕間 入学前騒動

 

入学前 幕間

 

 

2095年3月

 

一同に集まったのは各十師族の当主たち。

東京のとあるビルの一角で、その人達は本来オンラインで参加する者もいる中で行われる筈だったが、全員が直に揃うという異常な状況だった。

何故、そのような状況になったのか。

 

 

 

「全くを以って大問題だぞ、これは。」

 

そう切り出した三矢元の発言は、議題となっている問題が頭を悩ます問題だったからだ。

 

その問題というのが、国防軍情報部の十山つかさ曹長が国防軍基地内で引き起こした問題だった。

当時、銀河連邦との条約締結からすぐさま起きた沖縄防衛戦。その後、国防軍首脳部の主だった将官は、現地で指揮した者達と顔合わせを開いた。が、その場に現れたのが九條紫音とマーシャルコマンダーのブレイブ、連邦宇宙軍代表としてペレオン提督の3人だけだった事に加え、大半の軍の指揮権を成人していない少女が持っているという事実が彼らを驚かせた。

同時にその権限を有するその少女を篭絡させてしまえばと、邪な考えを持った軍人も居た。

その一人が、上官から話を聞かされた遠山つかさ曹長(軍ではそう名乗っている)だった。

 

九條紫音を教育すれば万単位の戦力が簡単に手に入ると考えた一部の者達や情報部は即座に行動に移そうとした。拉致同然に連れ去り教育(洗脳)してやろうと考えた彼らは其処が龍の巣であると知らずのその場に足を踏み入れてしまったのだ。

 

 

 

九條紫音が軍務調整で習志野基地を訪れている事を把握した軍情報部は遠山つかさを中心とした捕縛部隊を送り込んだ。が、送り込んだ習志野基地で何が行われているかまで把握しなかったのが不味かった。(そもそも習志野基地では特殊作戦連隊や空挺団等の特殊部隊の訓練地である事実を彼らは知らなかった。)更に彼らは軍が用いる拘束、拉致に使われる用具を持っていった事も不味かった。

だが、それ以上に不味かったのは習志野基地で軍事演習が行われていた事だった。

九條紫音が率いる第11スカイコープス(空挺兵団)から選出した1個カンパニーとクローンコマンドー1分隊の他、保安部隊から1個小隊が銀河連邦軍側の参加部隊だった。

これに加えて国防陸軍からは第1師団の歩兵中隊や第1空挺団、第2空挺団から各1個中隊、統合陸軍のレンジャー連隊やデルタチームが参加していた。そして彼ら情報部が来た瞬間は演習中では無く、演習が終わり、各部隊が交流している中で指揮官たちが習志野基地内で演習の結果評価をしている最中に来てしまったのだ。

そして、遠山つかさが突入した部屋に居たのは、

 

 

 

それは正に龍の巣だった。

 

 

 

 

 

国防軍元中将の九條剛蔵に加え、樋口栄一郎陸軍中将、栗林辰徳陸軍中将、乃木将義陸軍少将、熊谷直樹陸軍少将、大石蔵吉海軍元帥、千葉修作海軍少将に加えてジェダイマスター九條紫音、レヴィナス、ドゥークー、コマンダーブレイブ、コマンダーコルトという面々が意見を交わしながら会議している最中だったのだ。

 

 

彼ら情報部の面々に九條紫音の居場所を教えた兵卒はわざわざ第3会議室で会議しているという旨を伝えていたにも関わらず突入してきた彼らは、その部屋の面々を見て一瞬にして血の気が引いた。そして少しの間の後、慌てて逃げ出そうとしたが後の祭り。

入口から入って来た彼らを見て異変に気付いた基地職員が、彼らがある程度武装して会議室に突入するところで即座に発報。

逃げ出そうとする彼らは騒ぎを聞きつけ駆け付けた憲兵隊や軍警察、連邦軍保安部隊に敢え無く全員御用となったのだ。

 

 

 

 

情報部隊員は別部屋に連行、主犯格の遠山つかさだけ椅子に拘束された状態で6人の将官の前に座らせられて無言の圧力を、軍情報部主要将官が来るまでの間8時間にわたって、ただ黙ったまま書類と交互に見られ続けるというある種の生き地獄を味わったという。

その後に他の部隊員をマスタードゥークーとショックトルーパーたちによる尋問で目的がバラされて、更には九條紫音を狙い再教育目的での犯行であると、情報部トップもいる中で自白した遠山つかさの処遇は国防軍に委ねられた。私はその状況でこう付け加えた。

 

「言っておきますが、我々ジェダイは確かに銀河連邦軍将官士官としての階級を与えられていますが、部隊の者達は1にも2にも忠誠を捧げているのは銀河連邦であって私では無いので、その辺り理解した方がいいですよ。あくまで上官部下という関係に過ぎず、国家としての命令が下ればそちらを最優先に行動するようになっているのですよ。だから仮に私を洗脳したとしても銀河連邦の為にならないのであれば軍は動きませんし、それどころか私を一時拘束した上本国に送られる事になるだけですよ。」

 

情報部の狙いを見切った上で無意味な行動であると言って私はその会議室から出た。

待っていたマスターやコマンダーに迎えられながら、基地を後にした訳だけど・・・コマンダーコルトが反論した。

 

「将軍、言っていた事は間違っていないのですが、忠誠を捧げているのは確かに銀河連邦で間違ってないのですが、1に銀河連邦であるなら2は将軍ですぞ。」

 

「・・・・・・・・・・・・・。」

 

「コルト、それは将軍も分かっておられる。」

 

「だが、勘違いされるのはっ」

 

「日本の連中にはそう勘違いされた方が、都合がいい。そうでしょう?ドゥークー将軍。」

 

「そうだな、まさかこのような強硬な手段に出ようとは思ってもいなかったが、場が悪かったな。」

 

「連中、情報部を名乗っている癖に直前の情報も入手しないまま突入してきたからな。処罰は国防軍がやってくれそうか?紫音。」

 

「やってくれると思うよ。あそこには退役しているとはいえ父もいるし、今回集まった面々は父の友人たちだもの。私を捕らえ、拉致し洗脳という再教育を施そうとしたと聞いて、父が怒らないと思う?それに、樋口中将閣下も栗林中将閣下も、私と同じくらいの息子さん娘さんがいらっしゃるそうよ。今後の対応なんて考えるまでもない。」

 

「成る程、なら無問題だな。」

 

まあ年齢詐称という問題がありますが、黙っていれば万事OKなのです。

 

マスターレヴィナスが安心したと頷く中、気になる事が一つ。

 

「ただ、気にするとすれば・・・・・」

 

「気にするとすれば?」

 

私の言葉にオウム返ししたコルト、だが、ブレイブも首を傾げていた。

 

「主犯の遠山つかさって人は軍名で本名は十山つかさというそうなのですよ。」

 

「それが何か?」

 

「この国にいつの間にか出来ていた十師族とかいう組織の行動が気になる。あの女が犯した事に対して何かするのかどうか。」

 

他の隊員から聞いた尋問内容から聞き出した本名と今日起きた事をそのままメールで四葉さんに送ったら速攻で電話がかかって来た。

 

「襲われたって言うけど大丈夫なの!?」

 

「大丈夫ですよ、真夜さん。」

 

「はぁ、良かった。」

 

「それよりもやけに話が早いですね。」

 

「そりゃそうよ、息子たちの良き友人であり従姉にあたる上、九條家に名を連ねているなら猶更よ。四葉家は十師族で有る以前に九條家の傘下なのよ。」

 

真夜さん的にはどういう襲撃だったのかを知らなかったそうなので、状況を教えると。

 

「・・・・・・・・、運が無いというか、随分と無謀な事をしたのね。ソレは。」

 

「ええ、そう思います。」

 

それだけ、十山つかさが仕出かした問題は大きかった。同じ日本人とはいえ、他国で将官をやっているものを再教育の名目で拉致しようとしたなど国家間における緊急問題になり得たかもしれないのだから。内容を聞いた真夜さんは即座に十師族の師族会議を開くと明言したが、私はその場には出席するつもりは無いと答えると理解を示してくれた。その代わりだけど・・・

 

「改めて、になるんだけど、九條家の分家としても行動する旨を御爺様に伝えてくれないかしら?」

 

「はい、父さんには伝えておきますよ。恐らく気負うなと言うでしょうけど。」

 

「御爺様らしいわ。」

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

そうして開かれた緊急の師族会議は四葉真夜主催の元、当主全員が集められた。

そして、議題にあがった十山家の者による蛮行について師族としてどう処断するかについて話し合われようとしていた。

 

「ふむ、内容は分かったが、罰する程の事か?」

 

内容を読んでそう言ったのは一条家当主の一条剛毅であった。

 

「いえ、罰すべきでしょう。日本人とはいえ、他国の将官位を得ている者を拉致しようとしたなど、それも師補十八家に名を連ねる者がこのような行動を起こした事が世間にバレたら弱火となった反魔法勢力が勢いを増しかねないわ。」

 

冷静に考えを述べた六塚家当主の六塚温子の意見は一条家と真逆だった。

 

「・・・・・・真夜、この日本人というのは本名を明かせないのか?」

 

九島家当主の九島烈は教え子である真夜に問いた。

 

「本家と銀河連邦側の要請ですので。」

 

「ふむ。・・・・・・・・ん?本家?」

 

「ええ、本家ですわ。」

 

真夜のその発言に、他の者がざわついた。四葉家当主が突然言い出した本家発言の真意が分からなかったからだ。順当に考えれば本家とは四葉家を当主である彼女自身を指す筈、だがそうではない可能性に烈は言葉を繋いだ。

 

「真夜、若しや・・・・・・・・彼の家か?」

 

烈の発言は、真夜と烈本人にしか分からなかった。他の者は誰の事を指しているのかさえ分からなかったのだ。

 

「ええ、そうですわ。此処にある日本人もその家に名を連ねる方ですからね。」

 

「むぅ・・・・・ならば、真夜の言い分が理解出来る。だが、そう考えれば弘一。お主確か十山の動向を把握していた筈だろう。何故見逃した?」

 

「っ!?・・・・・烈殿。それよりも彼方の家の方の事が先に知りたい情報です。お二方でそう話されても分かりかねます。」

 

「それは、お前の答えを聞いてからだ。」

 

だが、弘一からしても大した理由では無かった。正体不明の日本人ジェダイを明らかにしたかったという幼稚な理由からだったからだ。それを聞いて、確かに知りたいと思っていたように反応したのが剛毅だけで、他は呆れた顔をしたり無表情で眺めたり、馬鹿なのか?とアホ面されていた。

 

「お前が見逃して、もし拉致が起きていたらどうなっていたか考えたか?」

 

「・・・・・・・・それは・・・・何も。」

 

「・・・・・・はぁっ、愚か過ぎだ。」

 

「ええ、愚かね。その子は九條剛蔵さんの娘さんよ。」

 

九條剛蔵、その名が出ただけで弘一の身体は急速に冷えていくのを感じた。

 

「おまけに、銀河連邦でも顔が利いて、現元老院議会最高議長を含め多くの議員と知古だそうよ。それに兵団レベルの軍の指揮官なのに、とんでもないのを敵に回そうとするなんてどうしたものかしら?」

 

さらに続く真夜の爆弾発言には烈すらも驚愕する事態となった。

七草が見逃した、得たいと思った相手の交友関係が想定の遥か上を云った結果とも言えた。

最悪の事態になりかねないと、三矢元は七草に警告するほどに。だが、四葉真夜からは本人や出くわした面々からは事を大きくするつもりは無いと穏便に済ませてくれたと言を貰いつつも我々の判断で、処罰も判断するという国防軍の姿勢に、一条家と七草家、九島家を除く残り7家が師補十八家から除外すべきと判断。更に十山家は見逃した七草家と御見付役として十文字家が十山家の動向を監視し、不審な動きがあれば次は魔法師コミュニティからも除名処分とするという重い判断を下した。放逐するという案も出されたが、変に手出ししてわざわざ穏便に済ませてくれた彼女の顔に泥を塗りかねないとその案は廃案となった。

 

だが、その後四葉家が九條家の傘下である事実の確認の為に一旦休憩が挟まれたが、進捗があったのは意図的に情報が流れた九島家だけだった。

烈が確認を取って確かな事実を把握した時、

 

「真夜は知っていたのか?」

 

「知っていたも何も、家族ぐるみの付き合いですわ。我が四葉分家の皆さまも知っていますし、中には敬意を払っている方もいらっしゃいますわ。」

 

「・・・・・・・・・・・・・。」

 

九島家にとって、現状でも四葉の力を削ぐ為に裏で手を回しているつもりだった。だが、何をやっても上手く行かず、失敗続きの理由が分からず仕舞いだった。

だが、その四葉家が九條家の傘下、それも分家に当たるというのでは話は大きく変わって来る。九條家は代々から続く五摂家の関係者であり、かつては天皇家の支えになっていた者達の一つだった。

現在は支えで無いものの、天皇に助言を求められる事もあるという程、十師族にとっては雲の上の存在であり、手出しはしないというのが暗黙の了解だった。

烈は、この事実を知った瞬間から、四葉家へのあらゆる諜報も工作も全て中止し引き上げるように指示を出した。烈の長男である真言から怒りの電話があったが詳細は帰って話すと言って彼は切った。

 

だが、四葉家がよりにもよって九條家の分家である事実は十師族を含めほぼ全ての魔法師一族もその事実は今日まで知り得なかった。だが烈は、過去を思い返せば『アノ』四葉家による報復に何故九條家が大きく関わっていたのか、それを調べないまま放置していた。あの時調べていれば、把握出来たかもしれない情報を見落とした事にこの時になって深く後悔した。

だが、起きた以上は対応せねばならないのも事実。

 

四葉家が九條家という強力な後ろ盾を得ているという状況は例え何か介入するわけでないとしてもそれだけで師族会議においては大きな発言権を持っている事と同義となるからだ。

 

「真夜は・・・どうする気だ?」

 

「別にどうもしませんわ。」

 

表向きは東道家との関係が深いとされていた四葉家が実は九條家とも家族ぐるみの関係だったという事実を前に先の件をひっくり返そうと画策していた七草弘一は、拳の振り下ろし先を失った形となった。それだけ相手が悪かった結果だった。

 

議題はその後、銀河連邦に関してとなったが、根本的な科学文明が違いすぎて付け入る隙が無いという五輪勇海の意見に三矢元も追従した形となった。兵器ブローカーという一面を持つ元が語った理由は、実際に提供されたゴザンティ級クルーザーを生で見たからだった。宇宙船の建造技術からしてもまだ新型の人工衛星や往還出来る宇宙船の開発も進んでいない日本(魔法技術の進歩を優先した為、全世界で宇宙開発は下火状態。世界大戦もあって、月と地球を往復する宇宙船の開発は日米共同でも遅々として進んでいなかった。)からすれば革新的で次世代的高度な技術だった。其れに加え、世界に先駆けて宇宙開発どころか大きく宇宙進出可能だろうという試算に取引で得たゴザンティ級クルーザーのあらゆる技術は直接コルサントへ赴いて開発会社への技術支援を例え高額の資金が掛かっても行うべきという試算が宇宙開発機構で出る程の内容だった。

三矢元としてはこれに資金提供しても後押ししたいつもりでいたが、銀河連邦に関する詳しい情報も無い中、闇雲に支援を受けるべきじゃないという十文字代行当主の意見もあり保留となった。

 

現状、コルサントとの行き来が可能とはいえ、政府要人以外の渡航は認められていない。その為、日本政府は木戸外務大臣を主とした外交団の派遣を決定。東京湾海上国際空港(通称羽田空港)から銀河連邦が用意した日本用の外交宇宙船としてのカンサラー級クルーザーに乗り込んでコルサントへ出発したという情報以外、今は何も無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

結局のところ、十山家は師補十八家だけでなく、百家からも追放、七草・十文字による長期間に渡る監視という重い処分となった。これ以上の問題を起こせば魔法師コミュニティそのものから永久追放処分にするという警告も添えて。

 

 

 




色々追加設定が入りますが、原作と本作で相互がありますのでご了承ください。
また、主人公を含め複数名の年齢が実際とは合っていない状態があります。

九條紫音・・・本作の主人公、既に20歳を越えていますが立ち姿、振る舞い、面影は時が止まったかのように周囲から見られる為か原作開始時に16歳頃と同程度に成長しています。
レヴィナスが紫音に鍛錬させた特殊な空間での副作用になります。また、立花咲那も紫音の半分ほどの期間、異空間に居たため、年下設定となっています。
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