翌日どういうわけか深雪と達也が次いで私まで生徒会室にお昼のお誘いを受けた。
私の場合、恐らく七草生徒会長が家の諜報か既に仕入れてある情報から私のある程度公開済みの情報を手にしたか、いずれにしても昨日があの返しだったからその目的もあるでしょうが、ともあれお誘いに私は乗ることにした。
達也は当初断ろうと思っていたが私まで誘いを受けたと知ると一緒に行く判断をしていた。目的がどうであれ、分かっているのは新入生総代を務めた深雪の生徒会勧誘。
ただ、達也まで誘う理由が見当たらない。例え魔法への分析力が高いとしてもそれだけで誘う理由には弱い。私を呼び込むのは分かる。だが、あの一件だけで?それとも、達也は前から監視されていた?いや、情報が無さすぎる、確定するには足りない。はて、どうしたものかと思いながらも3人で生徒会室前に来た。
咲那にはエリカたちと一緒に行動してもらっている。それでも、咲那は大丈夫かと心配になるけど、咲那は咲那でエリカとは話が合うようで、また咲那のライトセーバーでのフォームが剣術の何かの型と似ているらしく、それで意気投合しているようだった。
生徒会室に入ると昨日会った七草生徒会長、渡辺風紀委員長の他に女子生徒が2人居た。まあ、生徒会室だから生徒会役員なのだろうけど、何故風紀委員長までいるのかがわからない。
「ようこそ、生徒会室へ。ささ、遠慮しないで入って。」
七草生徒会長がそう言ったのに対し私たちは顔を見合わせて一礼してから会室に入った。
昼食会という事で生徒会室にある自動配膳機(ダイニングサーバー)というある種弁当自販機のようなサーバーから食べたいランチを選んだ。
そうして紹介が始まったけど、残りの紹介者は生徒会役員の2人。2年の会計の市原鈴音さんと同じく2年の書記の中条あずささん。そして、今回の昼食会には居ない副会長の服部刑部、恐らく入学式の際七草生徒会長の傍に居た男子生徒だろう。ガンを飛ばして来た奴だと私も深雪も記憶していた。
紹介が終わってから彼女たちは本題に入った。
まず、最初は深雪。案の定想定した通り新入生総代を務めた深雪の生徒会入り。
これに関しては深雪とは昨日のうちに話をしてあった。生徒会役員に深雪は達也もと考えていたようだが、第一高校の現行体制では生徒会役員を二科生から取る制度は無く、全て一科生のみとなっていた。この件に関しては忠仁兄さんから前の副会長からの情報を元に聞いていた。現状、どうしようもない事に深雪は憤慨していたがその場で言っても覆る事は無いという忠仁兄さんの厳しい意見により昨夜の考えの通りに深雪は生徒会役員になる事を了承した。だが、此処で渡辺風紀委員長が発言した。
「随分とすんなり受け入れたな。兄妹なら兄もとなるかと思ったが。」
「現行体制では不可能だというのは昨日の内に予習済みですので。」
「ほう?卒業生か誰かから聞いたか?」
「なんとでも。ですが、深雪は分かりますが何故私と紫音姉さんも呼んだので?」
「九條さんには別にお話があるの。」
「では自分は?」
「・・・・・・・・それに関しては・・・・・」
少し間を置いてから風紀委員長は・・・
「風紀委員の生徒会選任枠が一人埋まっていなくてな。」
「そっちは人選中よ、摩利。新年度が始まってまだ一週間も経って無いのよ。」
「ああ、だが3人も知っている通り、生徒会の役員は一科の生徒からしか選ばれない。
だがそれは一科の縛りがあるのは生徒会メンバーだけ。風紀委員は二科の生徒から選んでも規定違反にはならない。」
風紀委員の縛りが無いという事実は聞き及んでいなかった。だが、仮に二科生から風紀委員を選んだとして問題は無いのか?という疑問も出て来る。ただでさえ、一科と二科の差別は最悪な状況にある。いくら達也でも悪目立ちが過ぎると思う。
「成る程、それで自分が・・・ですか。」
「摩利っ、ナイスよ!そうよ、風紀委員なら問題は無いわ。」
なんか喜んでいる生徒会長を横目に私たちは冷めた目で見ていた。
深雪はしょうがないとしても達也が成る利点があまり無いからだ。
「生徒会は司波達也君を風紀委員に指名するわ。」
「話が何故かやる前提で進んでいますが、自分の意思は無視なのですか?」
「やりたくない?」
「ええ、自分としては図書館で魔法協会の文献を閲覧出来るから入ったようなものなので。それ以上の事は求めるつもりは無いので。」
「お兄様はどちらかと言うと研究職のような方ですからね。」
「研究職というか研究者じゃないの?」
そんな達也の姿勢と妹と私の反応に七草生徒会長は呆れた反応を示した。
「えっ、え~?。」
「おいおい、名誉職だと思うのだがな、二科生から選ばれるわけだし。」
「渡辺風紀委員長、面白がっていますよね。達也をマスコットか何かと勘違いしていませんか?あんたらの適当な玩具と違うのですよ。ふざけてないで真面目に話してくれませんかね。」
「むっ。私は真面目なんだがな~。」
そう言いながらにやける渡辺風紀委員長。舐められているとしか言いようがない。深雪もどうしようかと考えた時、ハッとなって発言した。
「兄をいいようにしようとしているのが見え見えなので生徒会役員の職を降りますね。」
「はいっ!?」
「えっ、ちょっ!」
楽しむような発言しかしない2人に深雪は心を落ち着けながらも内心はかなりキレていた。まだ冷気が漏れ出たりしない辺り修行の結果が出ているというところだろうか。
そんなやり取りをしている間に予鈴が鳴った。
「では、改めて考え直してくださいね。ふざけた事を言い続けるのであれば深雪も達也も役職には就きませんよ。」
食事を終えて、私は2人を連れて生徒会室を後にした。まさかの事態になったが、遊ばれてると思われたなら、どうするかを自身で考えて行動に移せるようになった2人は前より成長したなぁと思う。
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紫音達が後にした生徒会室で・・・・・
予鈴と共に一方的に出ていってしまった3人を尻目に七草生徒会長も渡辺風紀委員長も唖然としていた。
「ちょっと想定外よ。」
「・・・まさか、こうも狡猾な手段に出るとは・・・。妹が生徒会入りだから兄の方も思ったのだが、まさか兄の方を起点に妹がああも手段に出るとは・・・。」
「渡辺委員長も悪手ですね。」
「ああ、今回にしてしまえば完全に裏目に出た。これは一筋縄ではいかないぞ。」
「それに紫音さんの事も聞けず仕舞いよ。」
「何を聞く予定だったんだ?」
「九條家の動きよ。学校周辺で動きがあるのは分かっているのに掴めないのよ。」
「聞き出さないといかんな。」
「出来れば穏便に進めたいわ。」
「真由美、多分無理だ。放課後は・・・・・」
「・・・・・あっ、もう無理そうね。また一波乱ありそうだわ。」
そう言いながら時は過ぎていった。
午後の授業は魔法実習室での実技課題、CADの基本操作を習得するというもの。
その状況で、いつものメンバーと合流して先の事を話していた。
「えっ、風紀委員に!?」
「声が大きい。」
「うっ、わりぃ・・・。なんで選ばれたんだ?」
「成り行きとしか言いようがない。それ以前に面白そうだからって感じで風紀委員長が言い出した事だしな。」
「でも喧嘩の仲裁とかでしょ?面倒でしょ。」
そうこうしている間に達也と私の番が来た。
達也も実感しているけど、私の場合は・・・
「・・・・・・・・・?」
据置型のCADに自身のサイオンを流して台車を魔法を使ってレールの端から端まで3往復させる筈だった。だが、サイオンを流してもうんともすんとも言わないCAD。
同じことが咲那でも起きていた。
「紫音さん、これって・・・。」
「うーん、あの時の現象かなぁ?もっと入れて見るかな~。」
「いや、止めた方がいい。既に・・・・・」
そう言っている間に据置型のCADのモニターにスタッフを呼び出してくださいという文言が浮かび上がっていた。文言通りに呼び出して確認してもらったが、やはりというべきか、流す量が多かったためにオーバーヒートを起こしていた。
「えぇ~。うっそだろ。」
「こんなことになるなんて。」
「どんだけのサイオン量なのよ。」
CAD一台緊急メンテナンスに送り込んで今日の課題授業は終わった。
だが、はっきり言って原因は私たちというよりCADの方としか言いようがない。そうでなくても、普段はCAD無しで魔法を発動する事が多いのだから。
ただサイオン量が多いだけの2科生というのはあまりにも異端な存在らしく、普通1科生である筈というのが学校教職員の考えらしい。
CADは結局総交換され、次の日には通常通りに使用可能となっていた。
ただ、1-Eの後に使用しようとした1-Aで、2科生の所為で使用不能になった据え置き型のCADの事がちょっとした話題になっていた。
深雪は、そのCADを見ながら苦笑し、誰の仕業かを直ぐに悟ったのだった。
連投します。